なぜ”この私”を忘れるのか?

「なぜ毎日懸命に介護している家族の顔や名前を忘れるのか?他の人は覚えているのに」

何年も前に読んだ本(題を思い出せません。)には、こう書いてありました。(青字

   「認知症を患う人を診ていると、一番近くにいて一番良く自分の世話をしてくれて
   いる介護家族の名前を真っ先に忘れていく
ケースが多い。
   それは、その家族への”罪悪感”を消すために働く自己防衛の作用ではないか。

   『誰よりも愛する家族にこんなことをさせて辛い』
   『嫁に苦労をかけて本当に申し訳ない』

   そんな”罪悪感”から逃れるために、無意識の内に記憶を消し、やっとのことで心の
   平静を取り戻しているのではないか」

精神科医の言葉だったと思います。
それを実験で実証することは不可能でしょうが、きっとそうなのだろうと私は思います。


「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」の集まり(おしゃべり会)に参加した時、家族会の方がおっしゃっていた言葉は、目からウロコでした。

  私、だれ?” ”私のこと、わかる?と聞くことはしない
  ”○○(自分の名前)と散歩に行こうか?” ”○○の作った煮物、おいしい?”
  と「私」の代わりに名前を言い続ける
  効果は、わからないけれども・・。

健康な中高年ですら人の名前は、ど忘れしやいものです。
でも「お名前は?」とは、聞けない。
そんな時に、自分から何度も名乗ってくれるのは、有り難い気使いだと感じます。

認知症を患う人にとっても『あぁ。そう、そう。この優しい人の名前は、○○だった』と、思いやりが伝わるのではないかと想像します。
それを何分覚えているとか、覚えていないとかは、もう、どうでもよいことです。

どんな形であろうと、愛情を伝え続けること、伝わること。
(言葉や表情で反応できなかったとしても、きっと伝わっているはずです。)
大切なのは、それだけではないか・・、そんな気がします。

<関連記事>
*「家族が誰かわからなくなっても」(クリスティーン・ブライデンさんの言葉)
*「認知症・うつ病患者の内面で起こっていること
認知症の母から子へ 「手紙」
*「認知症を患う本人の気持ちを代弁する詩
*「意識がないように見える人に話し掛ける
*「認知症の人が求めているもの」(パーソンセンタードケアの内容)

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水仙(スイセン)
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忘れる理由

私は一番身近な人を忘れてしまう理由をこのように聞いたことがあります。
忘れてしまっても問題のない人(忘れることがトラブルにつながらないと思われる人)から忘れていく、って。
忘れられる、ということは、それだけ心を許していて安心していられるからだそうです。
もしそうならちょっと救われるような気がしますね。

No title

義母は・・・どうも好きでない人から忘れて行ってます。
まずは夫。それから兄。甥、姪、従兄弟はとっくに。親子関係の悪かった娘とその子達(孫)。
みんな名前だけでなく、存在から忘れてしまいました。

しかし、自分の息子も、弟と間違えている節が・・(私の勘です)

彼女は忘れたいものを選べるのか?ご都合ぼけなのか?真相は謎ですね。
但し、覚えていた時よりも幸せそうなのは間違いありません。あんなふうになりたいものです。

そうそう、認知症の人は、相手との過去の関係よりも、現在の相手の自分への接し方に反応して、それにあった対応すると思いませんか?過去を引きずらず、その人の真の「人となり」を見抜くような気がしてなりません。

しいさん kimiさん

しいさん
コメントありがとうございます。
その後、お母様は、いかがでしょう?

問題のない人から、ですか・・。う〜ん。それもありそう・・。

私は、BPSD(周辺症状とか、以前は問題行動と呼ばれていた困った症状)が、親しい家族により強く出るというのを聞いたことがありますねぇ。
一種の「甘え」なのかなぁと思いました。

認知症って本人にとって、もの凄いストレスのある病気だと思うんです。
特にレビーは、病識もありますし、自分がどうなっていくんだろうっていう恐怖感、不安感は、凄いものがあると思うんですよ。

だから怒ったり、怒鳴ったり、叫んだりしなきゃ、やってらないよなぁ・・って。
それで少しでも気が済むなら、怒ってストレスを発散して・・って思うことがありましたね。

正解は、誰にもわからないわけですから(一人ひとり理由が違うのかも知れませんし。病気の種類によっても違うのかも)自分で良いように解釈していればいいんじゃないかと思っています。
私の母は、まだそういう記憶障害は、ほとんど出ていないので(孫の名前がぱっと出なくなったくらいでしょうか。)私にも、よくわかりません。

kimiさん
消したい記憶を自由に消せたら、それは幸せ以外の何ものでもないですね。
「認知症という名の恩恵」とでも呼びたいです。
私もその恩恵に預かりたい・・!

母と過去の関係が悪かった人というのを知らないので、その真相はわかりません。
でも仲が良いと思っていた人を悪く言うことはありました。悪い妄想のためでした。仲が良かった人なのに、なぜそんな悪い妄想が・・ととても不思議に思いました。同時にその方には、とても申し訳なかったです。

「その人の真のひととなりを見抜く」というのは、100%同感です。
健康な時よりも鋭くなったと感じています。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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