両親の変化

母の認知症を治すのだと、父は、車で何時間もかかる複数の病院に母を連れ回してきた。
それが母にとってどれほど危険で負担が大きいかということをいくら話しても無駄だった。

しかし最後に連れて行った病院で長谷川式簡易知能評価スケール(テスト)を受けた母は、数点しか取れなかった。
脳の萎縮もかなり進んでいると言われた。
「お母さんは、もう治らないんだな・・」と父は、電話で言った。


私は、立ち会っていないが、長谷川式テストは、母の能力を表してはいないと思う。
当日、調子が悪かったのかと妹に聞くと、普通だったという。
(調子が悪ければ、ほとんど会話もできず、理解力も反応も極端に悪い。)

もし質問の意味を母が完全に理解するまで繰り返しゆっくり説明していれば、そして母が答えを出すまで何分でも待っていれば、得点は、まったく違ったものになったと思う。
レビー小体型認知症は、頭の回転がゆっくりになるので理解に時間がかかるが、理解力がひどく劣っているわけではない。
口から出任せのいい加減なことも言わない。
時間をかけてよく考え、真面目に一所懸命に答えを出せたはずだ。


しかし結果的に、父は、母を病院巡りに連れ出すことを完全に止めた。
母が幻視や妄想について話す時も「そんなものは、いない」「そんなはずがない」と言わなくなった。
父は、母の言動に忍耐強くなり、ニコニコ笑って側に付いているようになった。
父は、「母の病気を治療で治す」という目標を失って「母の余生をなるべく幸せに過ごさせる」という新しい目標に邁進しているように見える。

父が変わったことで母も変わった。
父と居る時の母が、とても穏やかな顔をしている。
「お父さん、優しくなったよ」と嬉しそうに私に言う。

「お母さん、そう言って、幸せそうに笑ってたよ」と父に伝えた。
父は、黙って、ただ微笑んでいた。


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「ストレプトカーパス・クリスタルアイズ」

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母も・・

はじめまして。母が3年ほど前からレビー小体認知症で、13年生まれの父がひとりで全面介護しています。でも、最近ちょっと限界も感じ、近くに住む娘の私が時々見舞っていますが、今日は薬を飲みたがらないといって、私が駆り出されましたが、うまくいかずに母が生きていても仕方がないとか言い出して、悶々として涙が出そうになりました・・。
また少しずつブログ見させてください。よろしくお願いします。

リトルモアさん

はじめまして。このブログを書いているしばです。
コメント、本当にありがとうございます。とても嬉しいです。

13年生まれ・・。母と同い年ですね。
お父様、本当に精神的にも肉体的にも想像を絶するご苦労をされていらっしゃるのだと思います。
男性は、人に愚痴を言わない方が多いし、愛する妻に100%のことをしようと猛進して、疲れ切ってしまう方が多いような気がします。
「生きていても仕方がない」というお言葉もそんな疲れが、思わず言わせたもので、決して本心ではないはずです。

どうかリトルモアさんは、それを理解し、感情のうずに飲み込まれないように踏みとどまって下さい。

お母様は、デイサービスやショートステイなどを利用されていらっしゃいますか?
男性介護者は、完璧な介護を目指すために、人(サービス)の助けを求めない方も多々いらっしゃいます。
リトルモアさんが、ケアマネさんも交えて話し合い、お父様が、介護から解放され、心身共にリフレッシュする時間を作ることも必要かも知れませんね。

今は、将来も真っ暗に思えるかも知れませんが、決してそんなことはありませんよ。

私の母も飲食、薬を拒否した時がありました。
口に入れても入れても吹き飛ばして、それを拾っては口に入れた時もありました。
何かが、母を精神的に不安定にさせていたのだと思います。
今の母は、穏やかで、そんな拒否もすっかりなくなりました。

レビーは、ガラッと変わることが、よくあります。
リトルモアさんのお母様もきっと来年には、穏やかな日々がやって来ますよ。


追記

リトルモアさんと連絡を取りました。

「生きていても仕方がない」は、お母様の言葉でした。
レビー小体型認知症は、記憶も病識もあり、症状として(或は現状を把握できる能力からか)抑うつ症状もありますから、どうしても厭世的になります。

私の母も「家族に迷惑をかけるばかりで苦しい。早く死にたい」と繰り返し言い続けました。
「私たちは、お母さんが生きていてくれるだけで嬉しい。苦しくても私たちのために生きていて欲しい」と説得した時もありますが、言葉の説得よりも一緒に笑い合う時間を持つ方が、効果があったように思います。

介護する側が苦しんでいると、それを敏感に感じ取って本人が苦しむようです。
介護する側が幸せだと、それが伝わって、死にたいとは思わなくなる気がします。


デイサービスは、スタッフが、レビー介護を熟知していないために利用を減らしたそうですが、これも本当によく聞く話です。

レビー小体型認知症のことは、医師も看護師も介護スタッフもケアマネもリハビリスタッフもよく知らないということが、当たり前のようにあります。
(アルツハイマー病やパーキンソン病と一緒にされてしまいます。)

そのためによく説明することが大切だと家族会から教えて頂き、精一杯何度も説明したり、資料を手渡したりしましたが、それでも「素人のたわごと」と思われるのか、聞き流された経験が何度かあります。

「知っていて当たり前、わかってくれて当たり前」と思わず、「1度や2度言ったくらいではわかってもらえない。わかってくれたこと確認できるまで努力を続ける」決意が、レビー小体型認知症介護家族には必要だと学びました。
あきらめないことが大切だと思います。

No title

病気のことを同じように体験した家族としてのコメントを読んで心救われます。周りには同じ経験をした方はいませんし、ネットならではの出会いだと思っています。
母も13年生まれですので、同い年ということですね。ますます親近感を覚えます。

父は時々勉強のためにと家族会に参加したこともありましたが、男性と女性とでは病状も違うようなのか、その会は男性が多かったようでその家族の奥さんたちと話をしたそうです。でも最近は母から目が離せないのであまり参加していません。

今朝になって母が、迷惑をかけてすまないということを言って昨日薬を飲まなかったことを父に詫びたそうです。だから父はちょっと今日は心落ち着いている様子でした。

私は日頃は仕事をしていますので、なかなか近くにいてもずっと一緒というわけにはいかず、父に相当の負担を追わせています。車で1時間ほどの距離に弟(長男)もいますが、こちらも仕事をしていますから1ヶ月に1、2度程度話し相手に来てくれます。
私たちはみんな岡山県内に住んでいますが、もともとは三重出身のため、もう少し病状が落ち着いたら4人(両親、弟と私)で三重に旅行したいねと言っていますが、長い時間の移動が一番の課題です。

写真の花名

『ストレプトカーパス』の一種?だと
スッキリします。
実際の花の大きさや葉の形状などが良くわからないので
自信がありません。

花の名前

はい。私もストレプトカーパスにそっくりだなと思ったんですが、花の付き方が違うんですよね・・。
茎が伸びないで、お行儀良く密集して咲いています。
ストレプトカーパスは、茎があっちこっちにニョキニョキ伸びて、すごいことになりますよね?

それにしてもくろまめさん、単なる趣味ですか?プロ(お花屋さんとか植物学者とか)ですか?
どうやって調べるんですか?
何かおすすめの調べ方があれば教えて下さい。

私は、花がとても好きですが、中々名前がわかりません。
ちなみに夫は、バラとチューリップだけは、辛うじてわかる人です。
私が、どの車も同じに見えるように(名前も自分が乗っている車以外は、わかりません。国産も外車もよくわかりません。)どの花も同じに見えるようです。

写真の花名 その2

本来の開花の季節が冬でしょうか?
そうでなければ、『ロベリア』とかも似ている気がします。
どうにかスッキリさせたいですよね?

『花』は単に、好きなだけです。
花屋さんを介して、花友が少しいます。
今通っている美容室の先生も「園芸通」だったりで、
皆さんが私の師匠です。
お陰さまで四季折々楽しんでいます。
植物とその交流が、介護の癒しにもなります。







花の名前 

発見!
『ストレプトカーパス クリスタルアイズ』
そっくりですよ~

これがラストでーす。

花の名前

すっ・・凄い!ビンゴです。
しかし凄い名前ですね・・。
「チャーリーズエンジェル フルスロットル」みたい・・。
(花の名前ではなく映画のタイトルです。)

また名前のわからない花があったら是非教えて下さ〜い!
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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