漫画「ペコロスの母に会いに行く」2(Eテレ)
Eテレ「ハートネットTV」で2012年11月29日に放送した「みつえとゆういち ―親子で紡ぐ“認知症”漫画―」。(→記事はこちら)
番組の中で印象に残った言葉を出てきた順番にメモしておきます。
岡野「(あの漫画は、母の)しぐさの可愛さとか、ちょっとしたズレの面白さみたいなも
のを面白がってもらえたら一番いいと思う」
12年前、岡野さんのお母さんは、隣の家の植木鉢を全部持って来た。認知症に気付いた。
岡野「失敗というか、ズレがどんどん増えた。ただ僕はずっと面白がってたんですね。
ゆっくりぼけていったので悲惨な気持ちはなかった」
6年前脳梗塞で倒れ、認知症が一気に進行した。悩み抜いた末、施設に預けることを決断。親戚からは「親を見放すのか」と問い詰められ、言葉を失った。
岡野さんは、母の介護を放棄したという罪悪感に苛まれるようになった。
しかし漫画の読者には「それでいいんですよ」という人が多かった。
介護は、自分一人で全てを抱え込む必要はないのだと読者から教えられた。
<作家田口ランディとの対話>
岡野「興味(漫画のテーマ)が母のズレの方に行った。妙な言い方ですけど、すごく面白
いんです」
田口「普通の人は、認知症の人のズレが、耐えられないんだよ」
2人:それを面白がれるのは、漫画を描いているから。描くことによって落ち着き、冷静
でいられる。(しば:客観的な視点を持つことで救われたのは私も同じ。→記事)
岡野「実際は、無茶苦茶叱ったりとか、ありました。描かないだけで。だって親が、わー
っとなった時に優しくできるはずがないんですよね」
田口「お母さんの介護が、辛いんじゃないの。お母さんの介護をしている時に鬼になって
しまう自分が辛いわけよ。介護の辛さって自分の闇と向き合うことだよね。
やらなきゃいけないのに、こんなに嫌とか、優しくしなきゃいけないのにできない
ってことが、一番辛い」
岡野「”(亡き)父ちゃんが来たよ”って、考え方によっては詩的。ぼけるっていいんじゃ
んって実感した」
岡野「nowhere(どこにもない)は、2つに分けるとnow(今) here(ここ)。母は、ど
こにもいない。どこにいるのかも自分ではわからない。でも”今、ここ”にいる」
田口「認知症の人ほど、今、ここに生きている人はいないんです」
<漫画の1シーン>
母「こん中(目の中の小箱)には、今まで見て来たもんが、全部入っとるよ。じゃけん、
もうなんもかんも忘れてしもうて、よかろ?」
子「よかさ。生きてさえおれば、なんば忘れてもよかさ」
追記:2013年2月17日、テレビドラマになり放送されましました。記事は、こちらを。
<関連記事>
*アルツハイマー型に次いで多いレビー小体型認知症の不思議な日常をほのぼのと描く
レビー漫画:(1)故人の幻視を不思議がる (2)孫の幻視で興奮 (3)風景の幻視
(4)転倒 (5)妄想
*介護家族に伝えたい言葉 田口ランディ著「パピヨン」から
*田口ランディの体験に触れた記事「意識がないように見える人に話しかける」
*漫画にしたら絶対に面白いと思う「レビー小体型認知症の母の日常」
*カテゴリ:「認知症ケア・介護など」
*様々な種類の認知症を早期発見するための知識とチェックリスト
*このブログのカテゴリ:「介護家族の心理」

漫画「ペコロスの母に会いに行く」

作者の岡野雄一さん(ペコロス)とグループホームに暮らす母・光江さん
(写真は、「ハートネットTV」公式サイトから。)
番組の中で印象に残った言葉を出てきた順番にメモしておきます。
岡野「(あの漫画は、母の)しぐさの可愛さとか、ちょっとしたズレの面白さみたいなも
のを面白がってもらえたら一番いいと思う」
12年前、岡野さんのお母さんは、隣の家の植木鉢を全部持って来た。認知症に気付いた。
岡野「失敗というか、ズレがどんどん増えた。ただ僕はずっと面白がってたんですね。
ゆっくりぼけていったので悲惨な気持ちはなかった」
6年前脳梗塞で倒れ、認知症が一気に進行した。悩み抜いた末、施設に預けることを決断。親戚からは「親を見放すのか」と問い詰められ、言葉を失った。
岡野さんは、母の介護を放棄したという罪悪感に苛まれるようになった。
しかし漫画の読者には「それでいいんですよ」という人が多かった。
介護は、自分一人で全てを抱え込む必要はないのだと読者から教えられた。
<作家田口ランディとの対話>
岡野「興味(漫画のテーマ)が母のズレの方に行った。妙な言い方ですけど、すごく面白
いんです」
田口「普通の人は、認知症の人のズレが、耐えられないんだよ」
2人:それを面白がれるのは、漫画を描いているから。描くことによって落ち着き、冷静
でいられる。(しば:客観的な視点を持つことで救われたのは私も同じ。→記事)
岡野「実際は、無茶苦茶叱ったりとか、ありました。描かないだけで。だって親が、わー
っとなった時に優しくできるはずがないんですよね」
田口「お母さんの介護が、辛いんじゃないの。お母さんの介護をしている時に鬼になって
しまう自分が辛いわけよ。介護の辛さって自分の闇と向き合うことだよね。
やらなきゃいけないのに、こんなに嫌とか、優しくしなきゃいけないのにできない
ってことが、一番辛い」
岡野「”(亡き)父ちゃんが来たよ”って、考え方によっては詩的。ぼけるっていいんじゃ
んって実感した」
岡野「nowhere(どこにもない)は、2つに分けるとnow(今) here(ここ)。母は、ど
こにもいない。どこにいるのかも自分ではわからない。でも”今、ここ”にいる」
田口「認知症の人ほど、今、ここに生きている人はいないんです」
<漫画の1シーン>
母「こん中(目の中の小箱)には、今まで見て来たもんが、全部入っとるよ。じゃけん、
もうなんもかんも忘れてしもうて、よかろ?」
子「よかさ。生きてさえおれば、なんば忘れてもよかさ」
追記:2013年2月17日、テレビドラマになり放送されましました。記事は、こちらを。
<関連記事>
*アルツハイマー型に次いで多いレビー小体型認知症の不思議な日常をほのぼのと描く
レビー漫画:(1)故人の幻視を不思議がる (2)孫の幻視で興奮 (3)風景の幻視
(4)転倒 (5)妄想
*介護家族に伝えたい言葉 田口ランディ著「パピヨン」から
*田口ランディの体験に触れた記事「意識がないように見える人に話しかける」
*漫画にしたら絶対に面白いと思う「レビー小体型認知症の母の日常」
*カテゴリ:「認知症ケア・介護など」
*様々な種類の認知症を早期発見するための知識とチェックリスト
*このブログのカテゴリ:「介護家族の心理」

漫画「ペコロスの母に会いに行く」

作者の岡野雄一さん(ペコロス)とグループホームに暮らす母・光江さん
(写真は、「ハートネットTV」公式サイトから。)
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