認知症という言葉

「認知症」という言葉は、2004年に「痴呆」という言葉の代わりに厚生労働省の検討会で決められました。「痴呆は、侮蔑感を感じさせる表現であること」が変更の第一理由でした。しかし今は、「認知症」という言葉が、侮蔑的に使われることが度々あります。

生活の中だけでなく医療や介護の現場で、「あの患者、ニンチだから」「ニンチ入ってる」という言い方を見聞きします。(母のいる老人ホームで聞いたことはありません。)

重症の圧迫骨折で手術をし、せん妄を起こした母(2010年当時71才)は、車いすにベルトで固定され、ナースステーションに終日置かれていました。物のように。
誰一人声も掛けず、肩や手に触れることもなく、微笑みかけることもないままに。
看護師さんたちは、認知症の人に感情はないと教育されているのだろうかと思いました。
(ご迷惑をお掛けしていることは十分分かっていましたから何も言いませんでしたが。)

退院後は、デイケアの職員にも親類にも「お母さんは、認知症じゃない」と言われました。母には、最近まで記憶障害がほとんど目立たなかったからです。

「認知症=ひどい物忘れ」と広く浸透したため、初期のレビー小体型認知症やピック病(前頭側頭葉型認知症)の人は、認知症だと気付かれにくくなっていると思います。

「認知症」より「脳機能障害」と呼ぶ方が、より本質を表すのではないかと言う友人がいました。同感です。様々な種類の認知症の多種多様な症状にもしっくりきます。

認知症の症状(障害)は、脳のどこに影響(損傷)を受けたかによって変わります。
レビーの人の多くは、記憶力や理解力ではなく注意力や集中力が落ちると言われます。
(長谷川式で計算間違いが特に目立つのは、計算能力ではなく、注意力の低下が原因)

先日ご紹介した動画の中では、前頭側頭葉型認知症の方が、言葉にひどい障害を持ちながらも一流企業でミスなく仕事をこなしていた実例が紹介されていました。

認知症は、脳の機能の全てを丸ごと冒されるわけではありません。
無数にある脳機能の内のほんの一部分が、低下するだけです。

一時的低下なら誰でも体験します。酔った時、高熱の時、病気、過労、睡眠不足の時。
強いストレスや薬の副作用によって。もちろん老化でも。
脳は、もろいものです。
認知症の人とそうでない人の脳機能には、大した差などないのでないかと感じています。

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「正常」と「異常」の間(幻視)
若年認知症になった佐藤雅彦さんご自身の講演動画 

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ヤツデの花
去年ヤツデを載せた記事←(レビーかどうかのチェックリストを掲載してあります)

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プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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