替え玉妄想について教えて下さい

石飛幸三著『「平穏死」のすすめ』を読んでいます。(関連記事
「口から食べられなくなった時どうするか」という問題について書かれているのですが、目からウロコが落ちるようなことがたくさん書かれています。良書です。
特別養護老人ホームの問題点も内部から詳細に書かれていて驚きます。
こうして問題を公にし、「ではどうすれば改善していくのか」と皆で知恵を絞り、試行錯誤していくということが本当に大切なのだと思います。

この本の中にレビー小体型認知症の方ではないかと思う例がありました。(関連記事→「レビー小体型認知症の幻視の種類と特徴」

この方は、娘のAさんが、2人いるという幻覚がある。(幻の娘をBさんとする。)
仕事に出ているという設定のBさんこそが、本物の娘と言い、執拗に電話を掛け続ける。
Aさんが、目の前でその電話に出ても、偽物が出たと激怒する。
本物の娘であるBさんが、仕事から帰るのを夜中まで延々と待っている。
家族が説得しようとしても「(Aさんは)別人だ」と言い張り、怒り出す。
Aさんが、対処方法として少し場を外して戻ってみると、Bさんが戻ったと思い「どこに行っていた」と怒鳴る。
翌日には「昨日は何時に帰宅した?家を空けてどこで何をしていた?」と詰問する。
まるで発作のようで、治まるまでには長い時間と苦しいやり取りが続く。
雨の日には、夕方からこんな状態になっている。

(『「平穏死」のすすめ』P.70〜71)

同じ外見の家族が複数いると信じる「カプグラ症候群(替え玉妄想)」は、レビーに多いと「第二の認知症」(小坂憲司著)に書かれています。(P.72)

母も、要支援2だった時、幻視の娘に向かって「あんた(本当の娘)から電話だよ」と言ったことがあります。
温厚だった母も、幻視から発展した妄想によって、発作のように激怒し、執拗に責め立て続けるということが、ずっと続きました。(薬物治療でも接し方でも治まりませんでした。)
私は医師ではないのでわかりませんが、これは他の認知症でも起こることでしょうか?

母に多いのは、替え玉妄想より「周囲の他人を家族や親戚だと信じる」妄想です。
(嫉妬妄想もずっと続いています。これもレビーに多いと「第二の認知症」にあります)
通りがかりの人を見間違え、「違うよ。あれは知らない人だよ」と言っても信じません。
特定の介護職員を姪だと信じていて、いつも姪の名前で呼びます。

錯視(見間違い)による妄想に「フレゴリの錯覚(フレゴリ症候群)」というものがあることをネットで知りましたが、母の妄想は同じものでしょうか?
これは、レビーに特に多い現象でしょうか?どの認知症にもよく起こることでしょうか?

替え玉妄想も含め、様々な認知症の介護家族・施設職員の方から教えて頂きたいです。
またこうした妄想への対応で上手くいった例がもしありましたら是非教えて下さい。
悩んでいる介護家族の方は、とても多いと思います。どうかよろしくお願いします。

<追記:雨の日(低気圧の時)に体調も精神状態も悪くなり幻視もひどくなることがレビーでは多いと聞いています。母もそうです。体調悪化は自律神経への影響だそうです>

P1010759_convert_20121116185222.jpg


関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

思いこみが強くなって固定化したものが妄想と言われています。
一度形成されるとなくなる事はないと考えられています。
特定の事柄にこだわり、錯覚・誤解などが加わり誤った思いこみが生じて来るようです。治療が奏功しても、妄想体験として残ることが多いようです。
「今は、娘が一人しかいないけど、前は二人いた」と言うような妄想が体験として残ることを妄想体験と言いますが。
精神的なストレスなどで、この傾向に拍車がかかるようです。
このような状態にレビーの方はなり易いようです。

原因としては、大脳辺縁系と呼ばれる領域のドパミンの働きが過剰になるためと考えられています。この領域のドパミンの働きが過剰になると、幻覚・妄想・激しい興奮などの症状が起こります。
ですからドパミンを抑える薬で妄想を抑える事は可能な場合が多いのです。ただパーキンソン症状は、脳幹部のドパミン不足で起こりますので、パーキンソン症状の悪化が問題になります。
妄想に効果がありパーキンソン症状の悪化が起こりにくいのは、セロクエルが一番良いようです。

あと妄想の誘因として、幻視が挙げられます。幻視から直接誘発されることもあるようです。
幻視が激しい、とかなりのストレスになるようです。また昭和一桁以前の生まれの方は、精神に対する強い偏見の中で育ちましたので、幻視をひたすら隠そうとしているようです。このストレスがかなり大きいようです。

レビーの方は、せん妄など意識障害を起こしやすい傾向にあります。意識障害により判断力の狂いが生じ、幻視から妄想が形成されやすい傾向にあるようです。

レビーの責任病変は、後頭葉の視覚野により幻視が生じます。
あとは意識の中枢である脳幹網様体~大脳賦活系(アセチルコリン系)と、ドパミンの働きによる脳幹→前頭葉賦活系の働きが悪化することが、大きな要因だと私は考えています。

アリセプトの多量投与(10mg程度投与よる急速飽和)で、レビーの症状が改善することがあるのは、アセチルコリン増加により、脳幹網様体~大脳賦活系の働きが良くなり、大脳の活動性が高まるためえと考えられます。ただそれを長期続けると、ドパミン不足に拍車がかかり、パーキンソン症状のみならず脳幹→前頭葉賦活系の働きが悪化し、せん妄などの意識障害が誘発されますので、長期のアリセプトあ良療法は問題があります。
抑肝散と必要に応じて少量のセレネースが、意識障害に有効なようです。せん妄が目立った時は、ニコリン1000mgの静脈投与が効果的です。

hokehoke先生  

医学的な情報をありがとうございました。

セロクエルに関しては、うめのははさんの体験 
( http://nonohana7.blog134.fc2.com/blog-entry-827.html )を読まれた方は不安を感じていらっしゃると思うのですが、単に処方量の問題でしょうか?

記事にあるような「替え玉妄想」がある場合、レビーと考えても良いのでしょうか?アルツハイマー型や脳血管型、前頭側頭葉型などでも起こる場合があるでしょうか?

アルツハイマー型などと誤診されているレビー患者は、大量にいると思われますが、それを見抜くチェックリストがあればいいのにと思います。
替え玉妄想ならレビーの可能性が高い、とか。

アルツハイマー型でも幻視をみる場合が(少ないが)あるそうですが、特徴的な幻視があるのでしょうか?
以前、Eテレの番組で医師が「虫の幻視は、レビーにとても多い」と言っていました。

No title

レビーの方は、薬剤過敏性があり思わぬ反応を起こすことがあります。これを知っていれば、対処は容易になります。問題ある薬剤をやめるだけですから・・・。

アルツハイマーとレビーの合併は多いです。レビー小体型認知症から見ると、95%以上の方がアルツハイマーを合併しています。
アルツハイマーとレビーが合併した場合は、レビーの治療を優先すべきです。理由は薬剤過敏性があるからです。
無理に分けたりする必要はありません。

横レスですが

私の思うにhokehoke先生はこう言いたいんじゃないでしょうか?「診断名に過度に拘ってはいけない」と。「病を診ずに人を診よ」ですね。
前にも紹介しましたが、ある精神科医の言葉です。「名医ほど診断名に拘らない」

因みに、ある自閉症のお子さんは、小学生でアルツハイマー型認知症と診断されたそうです。若年性と言っても早すぎませんか?

精神科の診断名はほぼ「医師の見立て」に由っています。同じ症状でも「この人は統合失調症では?」「この人はうつ病から来る混乱だろう」「脳の疾患が隠れているのかも」と、当てずっぽうで薬を出し、当たれば幸いという。(現役医師から聞きました)
米ドラマ「Dr.House」を見れば、精神科に限らず同じ症状で思い当たる病名がゴマンとあるのが分かります。逆に診断に拘りすぎると、重要な症状を見落とす危険もあるのでしょう。(警察や検察が容疑者に有利な証拠を意識下で排除するように)

この世の全ての名前も分類も、人間が勝手に付けたのです・・名前のつく遥か昔から、それらはずっと現に存在していました。

kimiさん

認知症は、診断名にこだわっても意味がないということを私もブログを通して学んできました。
脳も年々変わっていきますからね。

小学生にアルツハイマーの診断は、びっくりですね。
乳児に睡眠薬を処方した精神科医がいるとテレビで言っていたのを聞いたこともあります。(たしか「クローズアップ現代」)

幻視のことを詳しい方に伺ったら、アルツハイマー型で見る幻視は、特定のものはないそうです。何でも見るそうです。
「虫も見ますか?」と聞いたら、ないようです。
「虫とか小人とかヘビとかは、レビー独特じゃないか」と仰っていました。

母は、不思議なことに虫もヘビも見ません。
人(他人)、子供、ネコが多いですね。
あまりにもリアルに(現物そのものに)見えるので、ほとんどの患者は、本物と信じていて幻視と気がつかないんじゃないかと思います。
それが目の前で消えれば、目の錯覚だと思って、やはり誰も幻視とは思わないのではないでしょうか。

プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR