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知的障害を持つ50代の兄の成長

「塞翁が馬」を信じている。
では、両親が認知症になって、何か良いことはあったかと訊かれれば・・。
あった。重い知的障害を持つ兄(50代)が、劇的に変わった。

母は、知的障害を持つ子供の、1つの典型的な母親だった。
(韓国映画「母なる証明」を見た時、主人公(母)は、母にそっくりだと思った。)
兄の一挙一動に世話を焼く。
『命に代えてもこの子だけは私が守り抜く』という執念と悲壮感が常にあった。
それが母にいくつもの難病を発症させてきた気がする。

兄は、認知症という病気を理解することはできないが、母がもう「頼れる人」ではなくなったことを早い時期からわかっていた。
それまで母に任せていた多くのことをできないながらも自分からするようになった。

以前にも記事に書いたが、兄は、自分から電話に出られない人だった。
重い言語障害もあり、言葉で他人と意思の疎通をすることは、とても難しいからだ。
私と2人きりの時に電話が鳴ると、半ばパニックになって「デンワ!デンワ!デンワ!」と叫んだ。

母が、グループホームに入った後、私が、実家に電話をすると兄が初めて電話に出た。
「オトウサン、オカアサン、イナイ!」
電話をかけてきた相手を知ろうともしないまま受話器は、ガシャンと置かれた。
それでも兄が、勇気を奮って電話に出たことに驚いた。

やがて、私の声を聞き、電話を切らなくなった。
中々会話は成立しないけれど、とにかく双方向で話せるようになった。

先日は、電話で初めて近況を教えてくれた。
単語の羅列だが、「友達と○○に行った。楽しかった」という内容だった。
兄が、自分の近況をそんな風に教えてくれたのは、初めてだった。

兄は、今、グループホームから通所授産所(作業所)に通っている。
グループホームの職員の方が、一生懸命兄の話し相手になってくれているのだと思う。
兄は、自分にも人とコミュニケーションができるのだという自信を身に付けたように見える。

父が母を自宅に連れ帰った時、妹が、「ほら!黙ってないで歌でも歌って盛り上げてよ」と母に言った。
すると兄が、突然、タイガーマスク(古いアニメ)の主題歌を歌ったのだという。
「最初は何だか全然わからなかったんだけど、よく聞いてたら、どうもタイガーマスクみたいなんだよね!」と妹は、驚いていた。
母を見る度に「カワイソウ」と涙を見せる兄は、母を喜ばせようと必死だったのだろう。

*このブログのカテゴリー「重度知的障害の兄のこと
*過去の記事「障害者ときょうだいと認知症を患う人
*過去の記事「障害者のきょうだいの抱える問題


P1020808.jpg
露草(ツユクサ)
去年撮った写真。とても好きな花。


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プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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