ピック病介護家族の体験談(1)症状など

ピック病(前頭側頭型認知症)の方とご家族のためになるのであればと、浅井郁子さんが、お父様を介護された貴重な体験談を提供して下さいました。(本人の承諾を得てお名前を書かせて頂いています。)

本やネットに書かれた症状からでは、決してわからない姿が見えてきます。
但しピック病も含めて認知症の症状は、個人差が大変大きいことをご理解下さい。
(私の父ともそっくりな部分もあれば、正反対の部分もあります。)

字数の関係で、浅井さんのお言葉を短く省略したり、要約しています。
実際には、浅井さんは、大変丁寧な言葉で私の質問に答えて下さっています。
従って、文責は、私(しば)にあります。
以下、赤い字が、私の質問、青字が、浅井さんの回答を書き直したものです。

***********************************

お父様のピック病発病時の年齢と介護度は?

78歳でピック病を発症。便失禁をきっかけに要介護1。その後、脳梗塞から失語症になり要介護3。硬膜下血腫の手術後、車いすとなり要介護4。肺炎を起こし要介護5。

病院に行くきっかけとなった症状は?

勤め先の方から「その場にそぐわないことを言うようになったので引退した方が良い」と進言されたこと。

異常に怒りっぽくなるという変化はなかったか?

元気な頃のほうが、欲望やストレスが多かったせいか、怒りっぽかった。元々性格的に優しく大人しいタイプで、私に怒りをぶつけるようなことはなかった。

それ以前にもあったと、後になって気が付いた症状は?

本人がしきりに「忘れっぽくなったなあ」と首をひねりながら言うようになった。
家中の壁に歌手や女優の写真、絵画等を隙間なく張りだした。等。


どのような検査、診断、治療を?

長谷川式の後、CTとMRI。主治医が3~4か月間症状を見た結果、ピック病の診断。
数か月間はアリセプトを服用、その後は気分を穏やかにする薬や眠剤を服用。

その後の症状は?

・偏食が著しくなり、バケットに塩を振ったものを頻繁に食べていた。
・同じものをいくつも買ったり、お金を貸したり、財布にあるお金を使い切らないと
 気が済まない様子だった。
・毎日10時に家を出て明治神宮に行き、ほぼ決まったコースを辿って午後に帰宅。
 本人は、たまにしか出掛けてないと思っているようだった。
・家の中で一時もじっとせず、無意味な整理整頓のようなことを毎日繰り返していた。
・電話の取次ぎができなくなり、そのまま切ってしまうこともあった。
・人の話を聞く様子がなくなった。
・便失禁をして、それを平気で踏んで作業を続けるなど、衛生観念がなくなった。等。
(但し、その後、脳梗塞、失語症等も起こり、症状の原因が判断できなくなった。)

「(2)浪費・家族の対応」に続く。

浅井さんが介護経験を元に作られたケアダイアリー(介護手帳)→(1) (2) 

*カテゴリ「ピック病について

追記:2014年8月7日に日本テレビ「得する人!損する人!」でピック病特集を放送しました。新井哲明筑波大学准教授が解説していました。

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南アフリカ原産。
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No title

浅井郁子さんのお父様の症状は、典型的なピック病(前頭側頭型)の症状でしょう。一点甘いものでなく、塩を好むところが特異的ですが・・・。
ピック病の症状は多彩で、すべてがそろっている訳ではありません。
ピック病は画像診断の力を借りないと、わからない部分も大きいのですが・・・。
失語症は、側頭葉病変により進行すると感覚性失語が伴うことは、珍しくありません。
清潔感が欠如するのも、ピック病の主要な症状のひとつです。
所謂ゴミ屋敷の持ち主に、ピック病の方が目立つという意見もあるようです。同じものを異常に収集するという症状と清潔感に無頓着な点が合わさると、集めるものによってゴミ屋敷に成るようです。

hokehoke先生

コメントありがとうございます。
私も含めて素人は、本やネットに症状がズラズラ書いてあると、その全てがその通りに起こるのだろうと思ってしまいます。
しかし実際にはそうではないので混乱します。
「本当にピック病なのだろうか?」「これから出てくる症状なのだろうか?」と頭は、疑問で一杯になります。

どんなものを読んでも「ピック病は甘いものを好み、そればかり大量に食べるようになる」と書いてあるのに、実際には、浅井さんのお父様のように塩を好む方もいらっしゃるということなのですね。

私の父も本を持って来て「ここに書かれた症状は、何1つ俺には当てはまらない」と言います。
確かに当てはまらない部分が多いのですが、父に感ずる「違和感」が、浅井さんがお父様に感じられた「違和感」ととても似ていると感じます。
勘のようなものかも知れません。
「あの人は、昔からそうだった」と周囲は言うのですが、私は、昔、この「違和感」を感じたことはありませんでした。

No title

>hokehoke様
読んでいただきありがとうございます。
しば様がとてもわかりやすくまとめてくださりました。

父はもともとは大の甘いモノ好きでした。
それがピック病を患ってからはあまり好まなくなりました。不思議ですね。
脳の味覚に関係する部分に何か影響があったのでしょうか。

CTとMRIを撮り、脳全体の委縮と、右脳の一部の著しい萎縮が認められるという所見から、認知症であるとは思えるが、その種類については症状をもう少し見守りましょう、となり、3か月くらい症状を見て、主治医がピック病と判断しました。

失語症に関しては、脳梗塞を起こして左脳の言語野がきれいにやられちゃいまして、後遺症として失語症になりました。
身体的な麻痺は全くありませんでした。
でもそこから認知症が進行してしまいました。

ありがとうございます

>しば様
このたびはお声をかけていただいてありがとうございました。
このようにわかりやすくまとめてくださり感謝します。

誰にも当てはまる症状と言うのもあるのかもしれませんが、一般的な傾向というのは、統計的なものが含まれているのでしょうから、必ず例外はあるでしょうし、何と言っても複雑な脳に一つとして同じものはないはずですから、そこで障害が起こったら一人ひとり症状が違って当たり前とも感じます。
特に何十年もかけて作ってきたその人の脳を、なんていうか、慮ってあげることが人として介護者には必要かなと思います。
「違和感」と言うのは、故障のようなものかなと。
故障したから以前と違う何かを感じるのかなって。

No title

浅井様へ
以前は甘いものが好きだったと言う事ですね。
食べ物の好みの変化もピック病の特徴的な症状ですね。
今まで好きだったものに全く興味を示さなくなり、嫌いで箸もつけないような食べ物を良く食べるようになることも多いようです。
ピック病の方は、接すると特有の違和感を感じることが多いです。

なお失語症は運動性失語と言って、思うように言葉が出てこない(話せない)ものだったのでしょうか?
それなら、脳梗塞で良く起こりますが・・・。

なおピック病の治療法は、多くの医師は知りませんが、コウノメソッドにおいて治療法がほぼ確立しています。
多くの方が、この治療法で改善します。
認知症の中で、症状を改善するのはピック病が一番簡単です。

浅井さん hokehoke先生

コメントありがとうございます。
浅井さん
hokehoke先生は、認知症専門医で(名古屋の認知症クリニックの院長である河野和彦医師がネットでも公開している)コウノメソッドの実践医でいらっしゃいます。
浅井さんのご経験は、これを読む多くの方のピック病への理解を深め、ピック病患者の介護家族に力を与えるものと信じています。
ご協力、本当にありがとうございました。
これからもコメントなどお気軽に書き込んで頂けたら嬉しいです。

hokehoke先生
私の父は、刺身が大好物で毎日でも食べたかった人ですが、全く食べなくなりました。理由を訊くと「なんとなくな・・」と言いました。自分でも理由はわからないようです。
甘いものは、自分では買い込まないようですが(私の知る範囲では。)私が買って置いておくと数時間で袋(箱)を空にしてしまいます。
甘いものは昔から好きなので、買ってあげたいのですが、信じられない量を食べてしまうので買えません。
本人に自覚(記憶?)は全くありませんが、血糖値もどんどん上がっています。
こうしたことも同居していない私には、どうにもならないと感じています。

No title

しば様へ
やはりお父様は、ピック病だと考えて良いでしょう。
食べ物の嗜好の変化と過食(特に甘いもの)があり、必用がないものを(もうすでに十分あるもの)を多量に買い込むところは、ピック病以外考えられません。
元々の性格も、より強く(異常なくらい)出て来ているのもピック病でしょう。

hokehoke先生

私も浅井さんのご経験を読んでいて、勘のようなものでそう思います。

確認ですが、「食べ物の好みの変化」というのは、他の種類の認知症でも起こりますか?特定の種類の認知症に起こるということがありますか?

私は、うつ病になった時、特に鶏肉が食べられなくなり(食べると戻しそうになる。)、「好みが変わるのも症状」と言われました。
いつの間にかまた平気で食べられるようになりました。
脳の病気は、不思議ですね。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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