介護の工夫でできること・できないこと

介護の工夫例の記事では書き足りなかったことを書き加えます。

確かに「ある工夫」が効果を上げ、悩みに悩んだことが、解決されることもあります。
そうした実例のデータベースが、どこかのサイトにできればいいのにとも思っています。
(既にあったらどうぞ教えて下さい。)

けれども実際には、Aさんに効いた工夫が、Bさんにも効くとは限りません。
Aさんに昨日まで効いていた工夫が、今日も効くとは限りません。

暴言・暴力・物盗られ妄想(「嫁がお金を盗む」)・嫉妬妄想(「夫は浮気中」)・昼夜逆転・不潔行為(弄便)など家族が困り果てる症状(周辺症状。BPSD)は、多々あります。
「こうすれば良い」というアドバイスも本やネットでたくさん見ます。
(主には、叱らず、否定せず、説得せず、本人の抱える不安や不快を取り除く等)

けれども結局、「これをすればピタリと治まる」という決め手などありません。
治す薬もありません。(抗精神薬や睡眠薬は、病気を悪化させる場合があります。)
押せば解決する魔法のボタンが、どこかに必ずあるはずだと探しても辛くなるだけです。
子供の不登校などの問題を簡単には解決できないのと同じだと思います。

その言葉や行為の裏側に隠れたその人の気持ちを見つめ、その人の心の平安を脅かすもの、苦しめているもの(孤独感、不安など)を時間をかけて少しづつ取り除く以外にはないといわれています。

でもそれこそが最も困難なことで、私は、いつも無力感で泣きたくなります。
母の妄想が消えたことは、1度もありません。

昔読んだ河合隼雄氏の本の中に「嫁が財布を盗んだと姑は言うが、本当に盗んだものは、最愛の息子」と書かれていました。
(嫁が標的になりやすいのは、世話をかけていることへの申し訳なさを無意識に打ち消そうとするためという説明も誰かの本にありました。)
それが本当なのかどうかは、わかりません。
本当だとしても、離婚して息子を姑に返すことはできません。
ただそういう視点を持てば「私も辛いけど、この人も辛いんだ」と思えると納得しました。

最後に。老人ホームでの様々な工夫には感心させられることがよくあります。
「他の人は違うけど、この人はこうすると食べてくれる、飲んでくれる」という工夫を見るとびっくりします。
愛情と注意深い観察と創意工夫(諦めずに試行錯誤を続ける根気)は、家族にもできなかったことを可能にするのだと思います。

P1010300_convert_20120612075337.jpg
イングリッシュ・ラベンダー
人通りのない空き地に咲いていました。
どこかから種が来て広がったようです。
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プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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