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聴く力

今回一緒に帰省した私の子供が、「○○おじちゃん(私の兄)、変わったね」と言う。
重い知的障害と言語障害を持つ兄が、彼らにも自然に話し掛けるようになったという。

言われて初めて気が付いた。
確かに兄は、以前よりもリラックスし、堂々としていた。
以前のように、こちらの反応に関係なく一方的にしゃべるのではなく、反応を見ながら色々なことを伝えようとしている。
言葉の壁を越えて、コミュニケーションを取ろうとしている。

以前の兄は、どうせ何を言ってもわかってもらえないと、最初から諦めているところがあった。
常にどこか緊張し、自信がなく、しかめっ面をしていた。
同じフレーズの意味のない独り言をいつまでも繰り返していることが多かった。
言われてみれば、今回、その独り言を聞かなかった。


新しく入ったグループホームの世話人さんたちのお陰だとすぐに思った。

彼女らは、重い言語障害を持つ兄にたくさんたくさん話し掛けてくれるのだろう。
そして兄の言葉をあたたかく、熱心に、最後まで聴き、共感してくれるのだろう。
そうした根気強い繰り返しの中で、兄は、自信を持ち、安心し、人と言葉で繋がろうという気持ちが持てるようになれたのだ。

50歳を過ぎた兄が、また大きな変化を遂げた。
奇跡のようなことだと思える。
家族にもできなかったことを彼女らは、恐らく自然にしているのだろう。
(そこに意志とたゆまない努力があるとしても・・)
大きな奇跡を起こしているということにすら気付いていないかもしれない。


兄に起こったことは、子供にも高齢者にも認知症やうつ病を患う人にも当てはまるだろう。
あたたかく聴き入ってくれる人が居れば、安心し、自信を持ち、心を開くことができる。
人とつながることができる。
人の心の動きにとても敏感で、口先だけの言葉など直ぐに見抜いてしまう彼らでも。

しかし誰もが、そんな風に彼らの話を聴くわけではない。
経済で動く社会の中で、弱者に敬意を持つという価値観は、存在しない。
見返りの期待できない人たちに対して貴重な時間を使うことを良しとはしない。

それは、なんという恐ろしい価値観だろう。
私たち全員は、生きている限り老い続け、脳を含めた体全体に少しづつ障害を持っていくのに。

P1040811.jpg
実家の庭の梅
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すごいです!

お兄様も、気持ちが通じる安心から、同じ言葉の繰り返しが減って来たのですね。同じ言葉を繰り返すのは、心の安定を保つ為のストレス対策の一つ。宗教のお経がそうです。

ふと、「レインマン」のレイモンドが「Who is the First? The First is Who!」という自分が理解できないジョークを繰り返すのを思い出しました。
でも、最後には「K'mart is S××ks!」と本物のジョーク(所長への切り返し)を言えるようになりましたよね。普通の人と違っても、周囲の働きかけによってその人なりの適応ができるようになるのですね。

ホント良かった!

kimiさん  

ありがとうございます。
一緒に喜んで頂けてとても嬉しいです。

私は、自分のことで忙しかった頃、兄をあまり気使ってあげないことがありました。
この冬、インフルエンザとノロウイルスのため母の施設全体が外出禁止となり、外で母の世話を焼くことがなくなりました。
母がいない分、落ち着いて兄の世話をすると、兄にもどれほどたくさんの気持ちがあり、母のことで心を痛め、障害ゆえの不便さに耐え、それでもなお努力しているかということが、今までになく見えました。
今まで、兄に申し訳なかったと思いました。

「レインマン」(ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ出演)を見た時は、兄との共通点がとても多いことに非常に驚きました。
兄は、知的障害であって、自閉症とは全く考えたこともなかったので。
しかし仮死状態で生まれた兄は、酸欠によって脳の広い部分を損傷していると思うので、自閉症のような症状が出てもおかしくないのかも知れません。(兄は、ダウン症ではありません。)

脳は、まだまだ人間にとっては未知の世界で、認知症と同様に、「知的障害」といっても一人一人のあり方は、全く違うのだろうと想像します。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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