BPSD(周辺症状):「困った症状」は何を意味するか
中に認知症のことが書かれている部分があります。
一文一文が、心に突き刺さりました。
本の中でご紹介したい文章は、たくさんありますが、まず周辺症状(BPSD。以前は「問題行動」と呼ばれていた。)について書かれた部分を抜き書きします。(青字部分)
母も去年、腰椎圧迫骨折で入院中「便こねをした」とつなぎのパジャマを着せることを求められました。
自宅介護中も夜中に繰り返しオムツを外してしまいました。
もの盗られ妄想、嫉妬妄想など、周辺症状がない時がありません。
周辺症状によって家族は追い詰めれますが、一番追い詰められているのは、本人なのだと思うと、受け止め方も変わってきます。
以下、一部は、原文通りではありません。
ここで引用されている小澤勲著「認知症とは何か」も良書です。
弄便(便いじり)。これは失敗したコーピング(対抗戦略)と考えられると小澤は言う。
「お尻のあたりに何かが挟まっているみたいで気持ちが悪い。
触ってみよう。
何かグニョグニョしたものがある。何だろう。
でも、これを取り除けばいいんだ。
手に何か付いたなあ。布団にこすりつけたら、まあ、何とかなった。
お尻のあたりも少しマシになったようだ。
あれっ?すごい顔して嫁さんが飛んできた。怒ってる。
何を怒ってるんだろう?
ひどくまずいことを私はしたらしい。何をしたのだろう・・・」
自分に起こった不具合を何とかしようとする人ほど周辺症状、なかでも妄想や徘徊
などの陽性症状を招き寄せることが多い。
何とかしようという意欲まで失ってしまうと、陽性症状はあまり見られなくなる。
その意味では、陽性症状は認知症を生きる人のエネルギーの発露でもある。
(小澤勲著「認知症とは何か」)
(弄便、収集癖、もの盗られ妄想、家族を記憶から消去する言動、相手の誤認、作り話)
これらはきっと、「対処し難いと感じた事態を何とか切り抜けようとする彼らの思い」が生んだ「成果」なのである。
老人の棘のある言葉には、周囲に迷惑をかけているらしいじぶんへの不安やさらには怯えがこもっている。
強い否認は、逆に整合的な話を作り上げてでもひとつの世界を維持しようというやむにやまれぬ戦略の裏返しにほかならない。
(『「待つ」ということ』P.100~102)

菊?
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