障害者ときょうだいと認知症を患う人

障害者の兄弟姉妹を「きょうだい」と呼ぶそうです。
「きょうだい」の抱える問題を扱ったEテレの番組「ハートをつなごう」が1月4日5日に再放送されます。
一般の方は、何の興味も関心も持たない問題だと思いますが、こんな問題もあるということを知って頂けたらと思います。(きょうだいに関する過去の記事は、こちらを。

「きょうだい」の問題は、家族の問題でもありますが、多くの人の意識(無関心も含めた偏見・差別)の問題でもあります。
知的障害者に対する意識は、認知症を患う人への意識にも通じると感じています。


大江健三郎の「静かな生活」という小説があります。
知的障害者の妹である若い女性の一人称で書かれ、大江健三郎の小説の中では、最も読みやすいものです。
ユーモアとあたたかさと深い知恵が散りばめられた素晴らしい作品です。

大江光さんをモデルにした「オーちゃん」は、言語障害のある兄とは、だいぶ違いますが、それでもユーモラスなところ、思いやりの深い所など、兄を彷彿とさせる部分が多々ありました。
妹の「マーちゃん」も学生時代の自分と似ている所があると思いました。
一生結婚はできず、兄妹で暮らすのだろうと考えているところなど。

この小説は、大江健三郎の義弟の伊丹十三によって映画化もされました。
(予告編の動画はこちら)
渡部篤郎主演(これがデビュー作)のとても良い映画でしたが、興行的には、失敗したそうです。

韓国映画の「オアシス」は、脳性麻痺(知的障害ではない。)の女性の恋愛を描いて心に深く残る作品ですが、日本では絶対に作れない映画だろうと思いました。(スポンサーも付かなければ、客も入らないでしょう。)

知的障害者の姿をありのままに伝えるものは、過去にはあまりありませんでした。
最近は、「ちづる」(自閉症、知的障害)などのドキュメンタリー映画が出て来ましたね。

障害者も認知症を患う人も、そのありのままの姿を知れば、私たちと同じ普通の人だということがよくわかると、私は、いつも思っています。
(できないことが色々あるという意味では「普通ではない」と思われるかも知れませんが、程度の差こそあれ、誰にもできないことはあります。
「心は、普通の人と同じ」と言えば、より正確なのでしょうか。
でも「きょうだい」である私は、「できないことのある普通の人」と考えています。)

P1030464_2.jpg
ストレプトカーパス(イワタバコ科)
9月からずっと咲き続けています。
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No title

記事を読んで、障害者本人や家族の心境を細かに描く映画はありそうで少ないと思いました。本人は自己表現できないし、家族は苦しみを人前に出すのは、障害のある本人に悪いとひいてしまうのですね。周りからはなかなか理解されない。

私が認知症の老人を描いた秀作と思うのは、日本映画の「ふるさと」です。
加藤嘉主演で脇役もみな実力派、モスクワ国際映画祭で主演男優賞を受賞しました。もうすぐダムの底に沈む岐阜県の村の老人と、隣家の少年との心の交流を描いていて、山村の映像も素晴らしいです。

身につまされたのは、同居の息子(長門裕之)が、「(名古屋に住む)他の子の所に行く」と言って野菜を持ってさまよい歩いて行った父親に「そんなに俺と暮らすのが嫌か」と憤るところです。一所懸命介護しても顔も名前も忘れられた妻を思う気持ち、仕事に行くため父親を離れに閉じ込めなければいけない後ろめたさが滲み出ていました。

kimiさん

コメントありがとうございました!

「本人は自己表現できないし、家族は苦しみを人前に出すのは、障害のある本人に悪いとひいてしまうのですね。周りからはなかなか理解されない。」

親ときょうだいは、若干違うと思いますが、きょうだいにとって最大の苦しみは、差別と偏見です。兄自身に対して怒りや恨みの感情を抱いた記憶はありません。いなければ良かったと思ったこともありません。
兄は、私にとっては、いつも普通の人、心優しい兄でした。でもどこに行っても、いつでも差別され、偏見の目で見られる。その理由をどう理解すればよいのか、どう納得すればよいのか全くわからず、それが幼い頃には、最大の苦しみでした。



プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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