母、リクライニング式車いすで博物館へ行く

  母が、リクライニング式車いすに乗って博物館に行った。
  特養の利用者3人と介護職員3人と一緒にバスで。


最初にこの話を伝えたのは、父だった。
「お母さんなぁ、今度、○○館(子供館)に連れてくって(相談員が)言ってたぞ!」
「お母さんが?!・・○○館に?!」
「おお。どこでも行けるみたいだぞ。今度、お前が帰って来たら家に連れて帰るぞ。○○(レストラン)もいいなぁ。○○にも行くか?」
「お母さんを家に泊める気?」
「泊めん。帰りたいって、毎日言うから連れて来るだけだ」

意味がよく理解できなかった。
確かなのは、父が母を自宅に連れ帰ると決めていることだけだ。
「どこ行くの?!嫌だ~!!」
泣いて暴れて特養に戻ることに抵抗する母の姿がありありと浮かんだ。

母に自宅がわかるだろうかとも思う。
少なくとも住所は完全に忘れている。
自宅の場所を訊けば、結婚する前に住んでいた住所を言う。

気持ちがずしりと重くなる。
辛い、嫌な思い出を作るためだけに苦労して連れ出すのか・・。
でも1度自分で経験して懲りるまで、父は、絶対に納得しないだろう。

妹に連絡すると呆れて絶句していた。母が外出できる訳がないと言う。

その後、妹に電話があり、1人づつ職員が付いて、○○博物館(有名な博物館)に行く行事があると聞く。
その日、母の体調が良ければ、連れて行ってくれるという話だった。

そんな手間の掛かることをしてもらえるなどと、入所の時には聞かなかった。
普通なら施設1番の「売り」として、自慢できることなのに・・。

言葉にならない程、ありがたく、嬉しく思った。
グループホームには、散歩の時間、外のベンチでひなたぼっこをする時間があったが、特養には、なかった。
大量のボランティアでもいない限り、それは不可能なことだと思う。

けれども囚人のように、あそこから出ることなく死んでいくと思うと辛い。
母の状態さえ良ければいくらでも連れ出せるのだが、もうそれは無理だと、私も妹も諦めていた。


母は、どんな顔で博物館を巡ったのだろう?
私や私の子供達と一緒に行った日のことを思い出しただろうか?

父は、その後、電話で言った。
「それなりに楽しんだみたいだぞ。俺が訊いても何にもわからんかったくせに、(訪問)リハビリの人が来たら100%正常になってなぁ。こんなのがあった、あんなのがあったって、事細かに説明してたぞ。あれには、たまげたな!人が来ると、突然、正常になるんだなぁ!信じられんぞ!」

母は、後半は疲れて、体が傾いてしまったそうだが、楽しんでいたようだと、妹が職員から聞いた。


P1030826.jpg
鈴蘭(スズラン)の実。
赤いとネットには書いてあるが、なぜか黄色。

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しばサン

ご無沙汰してます(^^)
たまに、ブログは読ませてもらってましたが、なかなかコメント出来ずにすいません…

母は、 尿閉と言われ、入院して、1ヶ月が経ちましたが、今日初めて 車椅子を押して、散歩に出掛けてみました(^^)

汗だくになりながら、車椅子を押してる、私の事など知らずに
母は、「100円で、こんなに真っ直ぐに行けるんやねぇ~と、喜んでました(笑)」
夕方には、スッカリと忘れてましたが、忘れてても
自分の中には、しっかりと思い出として残るかな♪
しばサンの、お母様も、楽しまれたって聞くと、こっちまで嬉しくなりますね(^^)

あるるさん

お久しぶりです。また来て頂いて嬉しいです!
あるるさんのお母様も大変だったんですね。でも散歩に出掛けられるまでに回復されて、本当に良かったです。

正直言って、母が博物館を楽しんでいる姿というものが、全然想像できないんですが、(行ったということすら信じ難い感じです。)外出できるということは、先月私が見た母よりも調子が良いということなのかなぁと思ったりしています。
普段から側にいないと、どうも様子がわからず、頭の中が「?????」状態になることが多いです。もうずっーとそうだと言えば、そうなのですが・・。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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