噛むということ

母の毎回の食事は、おかゆ状の「刻み食」から一口食に変わった。
(追記:「一口食」と聞いて、普通食を一口大に切ったものだと思っていたが、実物を見てみると、グループホームで「刻み食」と呼ばれていたものよりも細かく刻まれた食事だったので驚いた。食事形態は、施設によって呼び方が異なる。)

「この頃、ご飯、おいしくなったよ。なんで?」
と母は、妹に訊いたという。
食欲も出て、以前よりずっと多くの量を食べているようだ。

以前、「誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐ」の記事の中のにあった。
「咀嚼(そしゃく)に使う筋肉は、使わないと2週間で約4割も力が落ちる。
1ヶ月で元の30%になる。
こうなると普通食は食べられず、離乳食のような食事になる。
柔らかい食事を続けると舌の筋肉も落ちる。
舌を動かせなくなり、中長期に影響する。」

母もあと少し遅ければ、普通の食事を食べる筋力を失っていたかも知れない。


誤嚥(ごえん)性肺炎は、唾液や食べ物が、誤って気道に入ることで起こる。
誤嚥性肺炎で入院すると多くの場合、医師から「胃ろう」(カテゴリの中の「胃ろう・嚥下障害」参照)を勧められる。
「胃ろう」とは、簡単な手術で胃に管を付け、流動食を口や鼻からではなく、胃に直接入れることだ。

しかしどんな人でも簡単に十分な栄養が摂れる「胃ろう」には、様々な問題点もある。

噛むことを重要視し、噛むためのリハビリに熱心に取り組む医療・福祉施設もある。
一度は、食べられなくなっても、リハビリの効果で回復し、また食べられるようになる人たちもいる。

2011年2月9日に放送されたためしてガッテン(噛むことの効果)の公式サイトには、以下のように書かれている。

(噛むことが)脳の中の「運動」や「感覚」をつかさどる部分や「記憶」や「思考」、そして「意欲」に関係する部分まで活性化させることがわかってきました。
1年間ほぼ寝たきりだった人が、(噛むことによって)歩けるまでに回復することがあるのも、噛むことで脳の広い範囲が活性化されることが関係していると考えられています。



P1030195.jpg
芙蓉(ふよう)
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No title

胃ろうをつくっても、口から食べさせることは、可能な範囲で続けたほうが良いと私は考えています。
誤嚥は、高齢者(とくに介護保険サービスを使うような方)は、程度の差はありますが、ほぼ全員誤嚥はしていると言われています。
窒息をおこすような多量な誤嚥をしなければ、危険はありません。
確かに肺炎になるのは、誤嚥した量が多いときにも起こしやすいですが、基本的に免疫機能が低下するので、誤嚥→肺炎・気管支炎となるのです。
起こす時は唾液の誤嚥でも肺炎になりますから・・・。肺炎を起こした時に、すぐ食事を止めることは、問題があると思います。食事を止めても唾液の誤嚥はつづきますから・・・。
誤嚥性肺炎の原因となる細菌は、歯周菌が多いですから、食事を止めても起こす時は起こしますから・・・。

良かったですね!

変化が正確に判断できなくても、お母様は食べる楽しみ、幸せはよく分かり、それが復活したのを喜んでいるのですね!素晴らしい事だと思います。

段々に特養の人達も、お母様の本当の状態やお人柄に触れて、判断修正してきたのですね。介護や医療において大事なのは、相手にあわせて柔軟に対応する姿勢だと思います。人間相手のお仕事なのですから。

hokehoke先生 kimiさん

hokehoke先生
貴重なご意見、情報をありがとうございます。
やはり素人には、中々ここまではわかりません。
「窒息しますよ。肺炎になりますよ」と脅されれば、胃ろうにするしかない、もう口から普通に食事はできないと諦めざるを得ないのが現実です。
リハビリの重要性も言われていますが、あえて胃ろうにせず、何とかリハビリで食べられるよう努力して下さる所が、いったい全国で何%位あるでしょうか。
歯周菌は、口腔がん、食道がんの原因にもなると先日、「ためしてガッテン」で言っていましたが、肺炎も起こすんですね。口腔ケアの重要性を再認識しました。

kimiさん
ありがとうございます。
介護のプロであっても認知症の進んだ人に対して『普通食でも刻み食でも本人は違いがわからないだろう』と思ってしまいがちですが(特養で少し働いた経験からそう思います。)、それは間違っているのだと今回痛感しました。
特養で、ミキサー食の方の食事の介助を何度もしましたが、誰1人進んで食べようとはしませんでした。ほとんどの方が、口をぎゅっと結んで拒否します。皆さん、もう言葉を発しない方でしたが、まずくて、どんなにかお辛かったんだろうなと思うと、今になって胸が痛みます。

No title

胃ロウを作っても、経口摂取を続けることが大事だと思います。
私も家族の希望で、ある病院で数人作りました。そのうち二人が、嚥下機能訓練で経口摂取が可能となり、胃ロウは不要となりました。
そこはST(言語・嚥下機能の訓練の専門家)が二人おり、看護スタッフも協力して、気長に訓練をしてくれました。
そういう意味で、胃ロウは嚥下機能に問題が起きたら、早期に作るべきだと思います。

hokehoke先生

コメントありがとうございます。
そうした確かなバックアップ付きの、リハビリ目的の胃ろうでしたら、私も安心して喜んで早期に胃ろうをお願いしたいと思います。

しかし実際、母の特養には、リハビリ専門職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士=ST)は一人もいません。私が以前少し働いていた関東の特養も同じです。

そうした所では、胃ろうになった方は、ただ黙って胃の管と流動食をつなげるだけです。職員が、話し掛けることもありません。もちろんリハビリなどまったくありません。「ジョニーは戦場へ行った」のジョニーのように、ただ生き続けるだけです。
全国的に見れば、そうした特養の方が、ずっと多いのではないでしょうか?

以前、特養でのリハビリのことを書いた時、首都圏の特養に入っていらっしゃる方は、しっかりしたリハビリをされていると知ってびっくりしました。地方都市とは、格差があるのではないかと思いました。

この現状の下で、私は、母に胃ろうを望みません。
その時になってみなければわかりませんが、ただ延々と生かされるだけの胃ろうは、母にとっても家族にとっても決して幸せではないと思ってしまうからです。
しかしリハビリのための胃ろうも現実としてあると知ると、その恩恵と無縁に生き、死んでいかなければいけないことが、とても無念にも思えます。

No title

前のコメントに補足します。
一晩たって、冷静に考えれば、そうしたリハビリを望むなら、そうしたリハビリ専門家のいる有料老人ホームに入るべきだと思いました。
リハビリ専門家のいる特養もありますが、そうした所に入ることができるということは、それこそ「宝くじに当たる」ようなものなのだと思います。
経済的負担が最低限ですむ特養にいながら、あれもこれも望むのは、間違っています。
(もちろん可能な範囲でサービスの向上はあって欲しいです。職員がいつも利用者に笑顔で接してくれるというだけで、まったく変わってくると思います。)

がんなど、他の病気もそうですが、今は、医療技術が進んでお金さえ積めば、様々な素晴らしい治療法があります。でもそうした選択肢の広さは、必ずしも人を幸せにはしないと思います。
人は、生まれて、老いて、病んで、死んでいくものなのだと、それが自然な流れなのだと受け入れて、静かに死んでいければ、それが一番幸せなような気がします。
百年、いえ、私が子供の頃ですら、多くの人は、そんな風に生きて、死んでいったような気がします。
なんて偉そうなことを書きましたが、それは理想の話で、何とかして家族を救いたいと思う心は、押さえ難いものです。ジレンマですね。

言語聴覚士のいる施設にご家族がいらっしゃる方は、是非、様子を教えて下さい。お願いします。

特養のリハビリ

言語聴覚士がいて、システマティックにリハビリをやってくれるのは理想です。しかし、そのような人がいなくても、特養もその施設なりに頑張っていると思います。

義母の特養では、食事前に口腔体操をしたり、食後はコップの水で口濯ぎをしたりしています。入所して2年ですが、若くて優しい男性に担当者が替わって、最近は腕の上げ下げや横に拡げるなどの体操も取り入れて一緒に体操してくれているみたいです。
「疲れましたか?」と尋ねると、にっこりして「楽しい」と答えるとお手紙に書かれていました。ありがたい事です。

食事については任せっきりで全くチェックしてなかったのですが、書類を見返したら「ミキサー食、パン粥」から「極超刻み食、粒の残る粥」に変更になっていました。それにしても、広島の特養にいたときからは考えられない程回復しています。この間の夏祭りでは「たこ焼き(たこ無しで風味だけついてる)と一口大のスイカも食べました。
硬いスイカが喉につまらないか?とハラハラしましたが、ゆっくり噛んで、ちゃんと飲み込んでいました。以前、ドロドロの熟柿を持って行って食べさせたら、すごく不味そうな顔をしましたが、これだったら ちょっと柔らかめの柿やマンゴーを食べられそうです。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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