手術で治る認知症 正常圧水頭症(その1)
主な症状は、認知症状、歩行障害、尿失禁。
母も昨年3月に症状が激変した時、この病気を疑われMRIを撮ったが、違うと言われた。
(この時は、脳に萎縮などの異常もなく「認知症とは思われない」と診断された。)
私は、正常圧水頭症は、MRIで簡単に診断ができるのだと思っていた。
けれども実際には、医師により言うことが、かなり異なるということがわかった。
レビー小体型認知症が、度々誤診され、中々正確な診断にたどり着けない状況とよく似ている。
それを非公開のコメントで教えて下さった「雪さん」の体験を(ご本人のご承諾を得たので)ご紹介したい。
雪さんのお義母様は、83才。5年ほど前から認知症状がある。
医師の診断は、脳梗塞による脳血管性の認知症。
(3軒の比較的有名な病院でMRIの検査を受けた結果。)
しかしお義母様の症状は、幻覚、夜に何度も起きる、小刻み歩行、尿失禁、便秘、薬剤に対する過敏な反応、体のこわばり、繰り返す転倒だった。
11月末に、初めて精神科、脳神経外科を受診。
そこで初めて、脳血管性認知症ではなく、レビー小体型認知症、正常圧水頭症の疑いを示唆される。
雪さんは、診断が医師によって違うことをまざまざと感じたという。
水頭症は、「MRIだけでは、断定できない。タップテスト(背中の脊髄から髄液を抜く)を行い、その後約2週間の状態を家族が観察し、効果が出れば水頭症、出なければ違う」と説明される。
(効果の出方には個人差があるという。)
試しに12月に3日ほど入院してタップテスト(背中の脊髄から髄液を抜く)を受けると、症状がかなり改善。
特に歩行。髄液を抜いたその日に自力で久しぶりに数歩歩く。
体のこわばりも消えたので服を着せるのも楽になった。
抜いたその晩に、3年前に亡くなったことすら忘れていた御主人を思い出して泣かれる。
体のこわばりや尿失禁がひどく介護も大変なので、1月に脳のシャント手術を受けることを決意された。
<Part2に続く>
雪さんが教えて下さった突発性正常圧水頭症のサイトもご参考に。
追記:突発性正常圧水頭症とレビー小体型認知症の類似点と相違点→こちら
追記:この記事にコメントを寄せて下さったhokehokeさん(医師)によると以下の通り(原文通り)です。
「正常圧水頭症も多くは画像診断で判るはずです。タップテストと言うのは、手術で改善する可能性があるか否かの判断のために行います。一部治療目的で行うこともあるようですが、何回もしないほうが良いと言われています。正常圧水頭症は、他の原因による認知症に合併することも多く、この場合は、手術で改善する可能性が低いことが多いようです。」
コメントはさらに他の認知症の画像診断に付いても詳しく書かれています。
雪さんのお義母様は、私の父(ピック病と診断)と同じように判断の付きにくい例だったのかも知れませんね。
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