レビーフォーラム2015 当事者の講演④幻覚

③からの続き。 レビー小体型認知症と生きる当事者・樋口直美さんの講演。
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幻覚には、幻視、幻聴、幻臭など色々ありますが、それらもずっと出ていません。
私の幻視は、物が動くことが多く、は、滅多に見ませんでした。 

「幻視はボーッとしている時に起こりやすい」と言われていますが、私は、意識障害を起こしている時には、見ません。意識も思考力も正常な状態で起こりました。 

「どんな風に見えるんですか?」とよく聞かれます。
「皆さんの正面の人、その隣の人。一方が幻視です。よく見てどちらか当てて下さい」そういう感じです。見た目では、本物と区別がつきません
透けてもぼやけてもいません。空中に浮いてもいませんし、足もあります。
ただ幻視の人は、何も話しません

オリヴァー・サックスが書いた「見てしまう人びと」等の本に、シャルルボネ症候群という幻視の症例が、沢山紹介されています。
彼らは、知的能力や精神状態に問題がなく、ただ幻視が見えてしまうんです。
彼らの幻視の見え方は、私の幻視の見え方と、とてもよく似ています

「本物にしか見えないなら、どうして幻視と分かるんですか?」と聞かれます。
この場所に、こういうものが居るだろうかと考えます
もし家の中に人がいれば、ありえないので幻視と分かります。
でも突然出ますから、心臓が止まるかと思う位びっくりします
虫は、目の前で消えると「あ?幻視だったんだ」と初めて分かります。
消えない限りは、どれだけ観察しても分かりません

幻視で人を見るのは、私は、とても怖いです
皆さん、今夜、家で寝室の扉を開けた瞬間、知らない男が寝ていたらどうしますか? 
叫ぶと思う方。(挙手を求める)警察を呼ぶ方。棒を持って来る方。
包丁はいないと思いますが、「初めまして」と言う人も居ないと思います。

でもレビーの、特に高齢の方が叫ぶと、全く違います。
頭がおかしいと怒鳴られ、説教され、バカにされたり、BPSDだと決めつけられます
病院に無理矢理連れて行かれて向精神病薬を飲まされるかも知れません。

「認知症だから、ないものをあると言って、訳のわからないことをするから困る」と家族の方は言います。  違います。思考力があって、本物にしか見えないものが見えるから、正常に反応しているんです
不審者が居れば怖いです。でも、慰められるどころか、狂人扱いされます
言いようのない悲しみ、悔しさ、孤独、不安、絶望を感じると、本人になってみて、わかりました。

私は、一時期、色々な物が動いて見えました
テーブルの上の胡麻、カーペットの模様、窓の外の景色、駐車場の車、色々な物が、突然動きました。
初めは、そんなものが見える自分が恐ろしかったです。

でもある時、池谷裕二さんの脳科学の本を読んでいたら「脳の中のMT野ニューロンが活性化すれば、止まっている物でも動いて見える」と書いてありました。
『これだ!』と思いました。

「私のMT野ニューロンのスイッチは、時々誤作動を起こす
私の知能とも精神とも人格とも何の関係もなく、それは起こる」
そう分かった時、精神的にとても楽になりました
『よ~し、今度起こったら、幻視の消し方を色々試してみよう!』と思いました。
でも、その頃から幻視は、急に見えなくなりました。薬は変えていません。

幻視に怯えて、毎日ビクビク暮らすストレスから解放されたからではないかと考えています。
脳には無数の機能があります。
レビーは、そのいくつかのスイッチに、時々不具合が起きる病気だと感じています。 

⑤に続く (⑤症状を悪化させるもの)



オリヴァー・サックスがTEDで語るシャルルボネ症候群(無料動画)
レビー小体型認知症の幻視の種類と特徴 
樋口さんの体験した幻覚の種類と具体例 いつ、どう起こり、何を感じるか
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サザンカ(山茶花)の変種
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プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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