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若年性アルツハイマー病者の心理を描いた小説「静かなアリス」

リサ・ジェノヴァ著「静かなアリス」(原題:Still Alice)(講談社 2009年発行)を
一気に読みました。認知症を正確に描きつつい、小説としても面白い優れた作品です。
最近、ジュリアン・ムーア主演で映画化もされたようです。
(日本でこの良書が、あまり話題にならなかったのは、邦題と表紙絵と所々にある翻訳のまずさ等で過小評価されたせいかと思います。)

追記:映画「アリスのままで」の日本公開は2015年6月予定。アカデミー賞候補とか。

主人公アリスは、50才のハーバード大学教授。ある日、自らの異変に気づきます。
この小説は、自分の中で起こっていることを科学者の目で観察、分析し、言葉で表現できるアリス自身の視点で描かれています。
(著者も研究者で、数多くの認知症患者との対話を基にこの本を書いたそうです。)

その心の動きは、複数のレビー小体型認知症の方から伺った内容とも非常に似ています。

「アルツハイマー型は早期に病識(病気である自覚)を失い、レビー小体型は失わない
「アルツハイマー型は、認知機能の変動はない」
という定説をずっと鵜呑みにしてきましたが、先日の記事と合わせて、それは、違っていると分かりました。

若年性アルツハイマー型認知症と高齢で発症するアルツハイマー型認知症は、まったく違うと聞いています。どう違うかはわかりません。どなたか教えて下さい。)

認知症と生きる方、介護家族、医療・介護職員、将来認知症と関わる可能性のある方、
つまりすべての方にお勧めする本です。悲しいですが、あたたかい物語です。

以下は、本の抜粋です。(ページ順。数字はページです。太字は私が変換しています)


頭がおかしくなるくらいなら、死んだ方がましだ。(略)わたしがアルツハイマー病になったことを、この人にはとても伝えられない。(略)こんな病気になったわたしをどうやって愛せるだろう。96

これ以上の困難はなく、手を貸して欲しいと心から思った。120

癌なら闘うことができる。(略)まったく違った種類の敵だ。倒せる武器がない。143

人から排除され怖れられる者になどなりたくない。144

記憶が混乱し、言葉が出ず、バスルームを探し出せずに苦しんだ日々と、アルツハイマー病が鎮まり、なんの邪魔もしない日々との違いを理解できるようになった。188
そしてその時間がしだいに短くなっていること。(略)だから、いまは完全に普通だと思っていても、自分が普通じゃないことはわかっている。(略)
わたしは自分が信用できない。196

話される内容からではなく、彼らのボディランゲージから、言葉にされない感情を読みとることができるようになった。207

アルツハイマー病になったからといって、分析的な思考ができなくなったということではないのだ。(略)その発言が耳を傾けるのに値しないというわけではないのだ。225-226

最近しょっちゅう、怒りが爆発する。これは病状が悪化しているせいなのか、正しい反応なのか、どちらなのだろう。わからない。239

あなたを誇りに思う、と伝えたい。しかし今日は、考えをまとめて口に出すのにあまりにも時間がかかりすぎる。275

「あなたを見てもだれなのかわからなくなるときがくるのかしら」
「わたしがだれなのかわからなくなっても、わたしがお母さんを愛していることはきっとわかると思う」
「でもあなたを見ても娘だとわからなくなって、あなたがわたしを愛していることがわからなくなったらどうするの?」
「そうしたら、愛しているって言うわ。そうしたらわたしの言うことをきっと信じてくれる
その答えをアリスは気に入った。282

わたしたち、若年性アルツハイマー病患者は、(略)言葉が喋れないわけでも、意見を持たないわけでもありませんし、長いあいだ意識はっきりしていないわけではないのです。(略)異様な世界に住んでいるのです。それはとても孤独で、耐えられないことです。309


<関連記事>
若年性アルツハイマー型認知症と生きる藤田和子さんの体験談(文芸春秋から)
若年性レビー小体型認知症本人の体験談(「認知症に見えない」と言われる葛藤)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集(クリスティーン・ブライデンさんも)
若年性アルツハイマー病 石川恵子さん・佐野光孝さんの体験談(雑誌から)
若年性レビー小体型認知症 本人3人の体験談(藤田さんと似ている部分が多)
認知症の種類がわかるチェックリスト(山口晴保教授作成)半数はアルツハイマー以外
0.jpg
原書の表紙。画像は、アマゾンから。蝶は、物語の重要なカギになっている。
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No title

認知症の父親を看取った友人が言ってました。
「親父は最後は、息子だとも分からなかったけど、でも、『こいつは信用できる奴だ』とは思ってたみたい。」

愛情が分からなくなることはないんじゃないかな?

No title

私もそう思います。
この小説もその答えを最後に暗示します。

(どなたにも気分を害されないで頂きたいのですが、)
ふっと「動物に心はあるか」という研究や本があることを思い出しました。

動物を1度でも飼ったことのある方なら誰でも「はぁ〜?!」と思いますよね。
怒りすらわいてきます。

でも動物は、喜怒哀楽を「言葉で」伝えることができないために
「感情はあるのか?知性はあるのか?心はあるのか?証明せよ」
と一部の人からは、思われてしまうわけです。

「言葉で」思いを伝えることのできないあらゆる人々も
「感情なんてないんだろう。知性も心も壊れてるんだろう」
と決めつけられてしまうのではないでしょうか?

「認知症になると、何もわからなくなる」と
多くの方が思い込まされていますが、
そんなことはありえないと、私は、思います。

柳田邦男さんは、脳死の息子さんが、反応したと書かれています。
http://nonohana7.blog134.fc2.com/blog-entry-457.html

接し方なのだと思います。
愛情をもって、普通の人として接すれば、必ずわかると思います。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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