幻覚の種類と具体例 いつどう起こり何を感じるのか(患者本人の体験談)

若年性レビー小体型認知症と生きるKさん(樋口直美さん。50代女性)の体験談です。
(過去にも記事にしてきましたが、全幻覚と最近のお話を1つにまとめました。)

Kさんは、「認知の変動」が起こると体も頭も動かなくなるそうですが、「(家族との間では起こるが)人と話している最中にそうなったことはない」といいます。

注)幻視の見え方は、人により異なります。(常に物が二重に見える方は、幻視も二重に。夜中に眼鏡なしで見る幻視はぼやけて見える等の体験談を伺っています。)


    < 診断される十数年前から見ていた幻視 >

記憶してる最初の幻視は、夜、駐車場の人の車の助手席に座っている中年の女性
本物の人に見えたが、一瞬で消えたので、目の錯覚だと思った

その後も繰り返し、夜間、同じ場所に同じ人を見た。いつも一瞬で消えた。
無表情で薄気味悪かったが、幽霊は信じていないので、目の錯覚だと思っていた。
レビー小体型認知症と診断される十数年前(うつ病と誤診される数年前)のことで、心身や脳の状態に何の問題もなく、活発で充実した日々を過ごしていた。

その頃から夜、車を運転している時、道ばたで時々(資材等)を人と見間違った
なぜあんな所に人がうずくまっているのか』と見ると全然形の違う物だった。
繰り返しあったが、それも目の錯覚だと信じて疑わなかった。

診断される数年前から視野の隅で、何か小さい物が、一瞬動くのをよく見た。
脳腫瘍を患う友人に話すと「私もよく見る」と言われた。

目の錯覚でないことに気づいたのは、レビー小体型認知症と診断される2年前。
歩く丸いを見ていたら、5cm程歩いてから、急に綿ゴミに変わった。

    < 体験した幻覚 種類別に >

今まで見たのは、幻視(何もない所に見える。)も錯視(見間違う。)も含めて

 (車に乗った女性。立っている子供。寝室に寝ている男性は布団の錯視。)
 (写真に写っている色々な物が、リアルではないが、人の顔に見えてしまう)
動物(すべて錯視で、の抜け殻、輝く美しい鷺のような数羽)
 (歩く丸い甲虫は錯視、飛ぶ虫蜘蛛巨大な蜘蛛のような虫うじ虫
動き(床の模様や窓の外の風景が動く、が丸く盛り上がる。が揺れる、が動く。
   視野の中にある小さく黒い染みや胡麻などが動くことは、頻繁にある。)
その他窓ガラス全面がすりガラスのようになって向こう側が見えなくなる
  
その他の幻覚
幻聴(人のいない部屋から物音、屋外から音楽聞き取れない町内放送の声等)
幻臭(そこにありそうな悪臭。腐った魚/汗/殺虫剤の臭いなど)
体感幻覚(切り傷の鋭い痛み、皮膚のヒリヒリする痛み、煙草の火を近づけた熱さ
気配(誰もいない部屋で、自分の背後を誰かが、確かに通ったと感じる)

    < どんな時に、幻覚が起こったのか >

幻臭以外は、全て何の脈絡もなく、夢のように関連した記憶もなく突然起こった。
幻臭だけは、大抵、そこにあっても不思議ではない場面で起こった。)

私の場合は、意識障害(→詳細)の最中に幻覚が起こったことはない。自分では頭にも体にも異常を感じず、意識も思考力も正常な時、時間や明るさや天候に関係なく起こる。
朝、新聞を読んでいる時、車の運転中、以前の職場、日中の自宅、店の中など。

    < どんな風に見えるのか >

幻覚は、どれも本物と区別がつかない
幻視は、目の前で消えるか常識的にありえなければ自力で幻視だとわかる
最近は、夫に「この虫、見える?」と抵抗感なく確認できるようになった。

幻聴幻臭のほとんどは、自力で本物かどうかを確かめる手段が、全くない。
自宅での物音悪臭は、本物なら困るので放置もできず、続くと精神的に疲れる
物音はリアルだが、幻臭は、本物にしては、臭いが強過ぎる気がする。
幻視幻聴が、同時に起こったことはない幻視に音や声は、伴わない。

幻視もよく考えると、本物よりも細部までくっきり見えることが多い。
飛んでいる虫の幻視を凝視すると目の色羽の模様まで見えるが、有り得ないと思う。
人や動物も長時間消えなければ細部までスケッチできる。どこもぼやけてはいない

    < 幻覚があることを どう感じているのか >

幻覚は、人から質問されれば話すが、自分からは、話していない。
一度友人に話したら飛び上がって驚かれた。それが普通の反応だろうと思うから。

人には(夫以外の家族にも)気づかれないよう言動に常に気を付けているが、思わず反応してしまい失敗したこともある。(駐車した車が、突然自分に向かってゆっくり動いて来たように見えた時/物音を家族がたてていると思って無人の部屋に話し掛けた等)

幻覚にも、そういう異常がある自分にも、それが増えていくだろう未来にも、ひどく怯え、悲観していた時期があったが、今は、幻覚も減り、慣れた気がする。
症状(脳の誤作動)だから仕方がない」と思い、本物か幻覚かわからなくても「どちらでもいいや」と気にしなくなった。そうでないと精神的に疲れてしまうから。

(頻度はとても少ないが)突然見える人の幻視だけは、驚きも衝撃も大きいので、人だけは見たくないという思いは強い。
幻視と理性で分かっても、本物にしか見えない人が、突然現れる怖さに変わりはない



この講演の動画

<関連記事>
幻視(幻覚)への対応方法
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若年性レビー小体型認知症 Kさん他2人の全体験談集
レビー小体型認知症 初めの一歩 まずここから読もう!(重要リンク集)
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ガクアジサイ(額紫陽花)
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潮 8月号の特集記事ご覧になりました?
認知症800万人時代
現実味を帯びて来たと感じました。

No title

情報をありがとうございました。
早速買って来て、読みました。

「介護する家族が元気に過ごすために」和田秀樹(精神科医)
「医療最前線—認知症改善への挑戦」吉田耀子(フリーライター)

両記事とも非常に良かったです。
こうした視点(介護家族への支援/薬以外の方法で認知症症状を改善する)が、まだまだ十分に広がっていないと感じます。

「認知症の夫をもつ妻が、夫のコンサートに千人集めた」という記事も
介護家族としては、パワーをもらいますね。

自分が/家族が、認知症になったから「終わり」ではなく、
認知症になったから「始まる」こと、
認知症になったから開かれていく可能性もたくさんあると
私は、信じています。

それは、「認知症を介護する人の気持ち分かるようになった」でもいいですし
「心やさしい素晴らしいケアマネ・介護職員・介護家族と出会えた
なのかも知れません。

何であれ、私たちは、この困難な病気から
たくさんの宝物をもらえると、私は、自分の経験から思います。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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