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アルツハイマー型認知症を描いた映画

追記:コメント欄にレビー小体型認知症の幻視の特徴(あまり知られていないものも。)
   や対応の仕方・注意点などを書きました。
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映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(2012年)を見ました。
予告篇とは違い、アルツハイマー型認知症を病んだサッチャー元首相の視点から描かれ、認知症と生きることの不安、混乱、孤独、そして同時に幸せ、強さも胸に迫ります。
類い稀な人生と夫婦愛のドラマとしても感動的な名画です。お勧めします。

メリル・ストリープは、この演技で2つの主演女優賞を取っています。驚異的な演技です。
晩年の、病み衰えた姿にも消えることのない知性、気品を漂わせています。

アルツハイマー型では、レビー小体型と違い病識(病気の自覚)がないと言われます。
映画の中のサッチャーにも病気の自覚はありません。
(首相だった頃の自分の姿を見て「自分で自分がわからない。I don't recognize myself.」と打ちひしがれる場面はあります。)
しかし自分のことをヒソヒソと話している周囲の否定的な雰囲気は感じています
色々な問題に自力で対処しようとしては、訳のわからない「問題行動」と取られます。


映画を見て、1つ疑問に思ったのは、アルツハイマー型認知症の幻視です。
漫画「ペコロスの母に会いに行く」でも亡き夫が見えるエピソードがありました。
(実際は、数回「父ちゃんが居た」と話しただけと原作者がテレビで語っていました。)
映画の中のサッチャーは、亡くなった夫(幻視)と暮らしています。
アルツハイマー型の幻視について、当事者に直接伺ってみたいと思いました。

レビー小体型認知症の幻視では、家族や友人など知った人間が見えることは、少ないと言われています。
知らない人、子供、小動物、虫が、本物と全く同じように見えることが多いです。
(しかしレビーには常に例外があり、母は、亡き家族や熊など大型動物もよく見ます。)

「今、何が見える?」と聞くと、幻視を見ながら、色、形、大きさ、表情、動きなどを詳細に説明できることが、レビー小体型認知症の幻視の特徴です。

アルツハイマー型の家族会の方のお話では「アルツハイマー型では、幻視の詳細な説明は聞かない。”今、見える”ではなく、”居た”と過去形で言うことが多い。何でも見えるが、は聞いたことがない」そうです。

<関連記事>
*幻視体験談「Kさんの例」「ominaeshiさんの例」「母の例
*「映画化、ドラマ化された漫画「ペコロスの母に会いに行く」の作者の言葉
*「きみに読む物語」アルツハイマー型認知症を描いた映画
*「明日の記憶」記事の下に少し紹介。若年性認知症が主題の小説、映画。

artic.jpg
ストリープ演じる晩年のサッチャー(外出のために身なりを整えたところ)
画像はこちらから。
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No title

アルツハイマーの幻視?や妄想は、過去の体験に関する記憶が元に成っていると思われます。
思い出した事を、今現在の事だと思い込むためと考えられます。
ですから、見知らぬ人ではなく「親しい人」の場合が多いと思います。物取られ妄想の盗人は、同居の家族の場合が多い印象があります。

アルツハイマーの場合、短期記憶障害が主要な症状です。
私はこれが前頭葉の障害からきていると考えています。
前頭前野は記憶の管理を行っています。
記憶している場所は、大脳辺縁系にある海馬や側頭葉です。大脳辺縁系は側頭葉の内側にあります。
私は、アルツハイマーの場合、前頭前野が短期記憶を海馬に書き込む事が出来なくなっていると考えています。海馬への書き込みが無くなると、海馬は廃用性萎縮を起こすと言われています。
記憶の想起(思い出す事)も前頭前野が管理しています。
アルツハイマーの場合、思い出すとき海馬に無い情報は、過去の似たような体験で置き換えられていると考えられます。
この異常は、前頭前野か大脳辺縁系が行っているかは良く分かりませんが・・・・。
このため、アルツハイマーの方は、自分の記憶に自信を持っています。短期記憶障害を強く訴えるレビーと対照的です(アルツハイマーでも、初期には短期記憶の障害に対する不安がある)。

初期のアルツハイマーの短期記憶障害は、海馬の萎縮が原因とは言えません。
LPCや前頭側頭変性症でも海馬の萎縮は早期から目立ちます。
それでも、海馬の萎縮がかなり高度に成っても、短期記憶障害をほとんど認めないケースが少なくありません。
私が経験したLPC(おそらくCBS)は、海馬の萎縮が左右差がありますが、両方とも中等度にとどまらず高度な委縮と言っても良いレベルに成っていました。こ海馬の萎縮から前医は、アルツハイマーと診断していましたが、MMSEの点数が最終で24点と高得点である事に首をひねっていたそうです。

幻視なのか妄想なのか

hokehoke先生、コメントありがとうございました。
(前の記事にLPCの説明を求めるコメントがあります。よろしければ回答お願い致します。)

確かに「人には見えない故人が、アルツハイマー型認知症を病む本人だけには見えている」という解釈で描かれていた「幻視」が、本人に本当に見えているのか、そう本人が思っている(考えている)だけなのかは、わからない部分がありますね。

(ここからは、読者に向けて書きます。)

レビー小体型認知症の幻視は、本人には、現実のもの(本物)として見えているのですが、家族は、妄想、勘違い、思い違い、夢と現実の混同、「ボケて訳のわからないことを言っている」などと表現し、現実に見えているとは考えないことが、非常に多い印象があります。

「知らない男の人が来て、家のお風呂に入った」などと言う時、妄想だと決めつけてはいけないと思います。

レビー小体型認知症の場合は、記憶力もありますから、「どんな男の人だったの?」と聞けば「白いシャツに茶色いズボンをはいた、背の高い、ひげをはやした人。黒いカバンを肩にかけてた」などと答えてくれたりします。

レビー小体型認知症では、気配の幻覚もあり、「姿は見えないけれども、後ろを確かに通った」とか、「タンスの陰/隣の部屋/二階に人が居る」と言う場合もあります。
これも気のせいではなく、本人には、リアルな幻覚です。

「何をバカなこと言ってるの?!」といった否定的な対応は、本人を傷つけ、ストレスを与え、症状を悪化させる危険が高いので、避けなければいけません。

では、(繰り返し書いていますが)何と言えばいいかといえば:

1. 本人には本当に知覚されていることを認めてあげる
 「見えるんだよね/聞こえるんだよね/そう感じるんだよね」
2. それは本人にしか知覚されないことを優しく伝える
 「でもね、それは、私には見えないの/聞こえないの/感じないの」
3. 病気の症状であり、大丈夫だと安心させる
 「びっくりするよね/怖いよね。でもそれは、病気が見せているものなの。
 病気で見えているものだから、悪いことをしたり、何か怖いことをしたり
 することは絶対ないから、大丈夫だよ。安心してね」

私の母は、あまり怖いものは見ないせいもあるのですが、幻視の話をするのが大好きです。
私も面白いので「どんな服を着てるの?お母さんは、どう思ったの?」など、どんどん質問をします。

それは、の話を聞いているようで、話す方も聞く方もしく、会話も盛り上がります。
そういう意味では、幻視は、悪いことばかりでなく、コミュニケーションの手段としてとても役立つという側面もあります。

LPCとは

LPCはlewy-pick complexを略した表記です。
最近前頭葉症状を持つ、レビーのケースが目立つ事から、生まれた概念です。
レビーにピック様症状が加わる場合が多いです。一部には、レビーから前頭側頭型認知症に移行した(ピック化と呼んでいます)ケースもあります。
広い意味では、前頭葉症状(ピック病が代表)とパーキンソニズムを併せ持つ疾患群をさす造語です。CBS(大脳基底核変性症候群)もこの中に含まれるケースがあるようです。
前頭葉症状とは、前頭葉眼窩面の損傷で生じる行動の異常をさす言葉です。
前頭葉症状は様々ですが
1、ピック様顔貌:大きく眼を見開いて周囲を眺めている特有の表情。
2、食行動の異常:食べ物の好みが変わる。甘いもの好きになるケースが多い。中には、甘党だった方が甘いものを全く食べなくなるケースもあり。
食べ方も、早食い・リス食い。好みのものをあるだけ食べる。盗食など
3、衝動的・発作的に激しく興奮・易怒を示す。
4、介護抵抗:他人の干渉を嫌う・極端なマイペース人間、周囲の状況には無関心
5、清潔保持に無関心:入浴拒否・着替え拒否(着たきりすずめで平気)掃除をしない
6、異常な収集癖:自分の関心があるものをひたすら集める(買ってくる)家に持ち帰ったものには無関心になる。
前記の掃除をしないと合わせて、ゴミ屋敷化する事が珍しくない。
7、逸脱行動:社会的なルールを無視する。万引き・車の運転などで信号無視など・・・。
8、悪ふざけ・周囲の状況に無関心でマイペース:本人の前でその人の悪口を言うなど・・・。
9、横柄な態度:医師の前で腕組み・足を組むえetc
10,セクシャルハラスメント的な言動が目立つ
11、関心がない事は全くしないが、執着する事には異常にこだわる。
12、常同行為:同じ動作を繰り返す。体を規則的にゆすった利するケースもある。箪笥の医引き出しを開けて、中身を出したりしまったりする事も多い
13、周徊と言って同じコースを繰り返し回る。夜間に多い印象があり。前記の逸脱行動や周囲への無関心から、車の前に飛び出し事故に成るケースもある。ひたすら突き進むケースもあり、崖や段差から落ち大けがを負う事もある。
など様々な陽性症状があります。
レビーで陽性症状が強く、介護者を困らせる症状の多くは、前頭葉症状と考えられます。

陰性症状として、アパシーがあります。
アパシーは、周囲に刺激に無関心で、自発的な言動が非状に乏しくなります。音がする方や視覚的な刺激に反応しますが、危険回避のために条件反射で起こる行動を考えられています。
統合失調症に対するロボトミー手術は、前頭葉のある領域を壊すとアパシーに成ることから、考案されたようです。

レビーでパーキンソン症状が急に進行し寝たきりになったケースで同時にアパシーが目立ちます。

前頭葉症状も眼窩面にある前頭前野の領域が障害され、情動の中枢である大脳辺縁系のコントロールが出来なくなった状態と言えると思います。
人間の心や本能は、大脳辺縁系にあると考えている専門家も少なくありません。
前頭様葉は理性を作り出していると考えられています。
この二つのバランスが崩れたとき、人は異常な言動を取ると考えられます。

なお前頭葉症状を主体とする認知症を前頭側頭型認知症(ピック病が代表)と言いますが、かなり進行するまで短期記憶を含め認知機能の異常はないケースが多いようです。ですから通常の知能テストでは異常が認められない事が多く、前頭葉症状を知らない精神科医にかかると、精神障害と誤診されるケースが多いです。

No title

細かい説明、ありがとうございます。

この列記の殆どが、50代で脳梗塞をした後の義母に当てはまるような気がします。歩き出すと止まらないとか、掃除もせずにTVばかり見て、邪魔されるとキレるとか、甘い物ばかり欲しがるとか・・・
大きく目を見開いて眺める、というのは初めて知りましたが、これも心当たりがあります。それと、視界を横切る動くもの(人)には素早く反応して目で追うのも・・・
自発的な言葉が少ないのは、左脳の梗塞で言語野を障害したのと、難聴(障害4級)のせいかと思っていましたが、認知症との関連も考えられるのですね。

しかし、25年経って、最近は短期の記憶障害が顕著で、段々に穏やかで幸せそうになってきました。脳全体が萎縮して、最終的にはアルツハイマー型に変わったのでしょうか。

気配の幻覚

hokehoke先生、
「LPC」の詳細な説明 具体例をたくさん列記して下さり 大変勉強になります。
お忙しいところ ありがとうございました。
また、しばさん、先生にお声掛けを ありがとうございました。

ある時 自分のベッドの寝跡(シーツのしわ)を見ての発言ですが、
『他の誰かが寝ている。自分の場所ではない。』と。
どうしてそう思うのか?不思議な感覚が気になっていました。
もしかすると これが「気配の幻覚」?と合点しましたが 如何でしょう。

レビーの幻覚に対する介護者の心構え 再認識出来て助かります。
実のところ 上手に 冷静な対応が出来ているとはいえないもので。

No title

hokehoke先生

詳しい説明、本当にありがとうございました。
とても分かりやすく、勉強になりました。

前頭側頭型認知症であるピック病は、本やネットで症状を調べると、一目で異常に見えるようなものばかりがズラズラ並んでいるのですが、私の父も普通の人に見えますし、介護経験者に伺っても「人が接しても認知症とは気づかない」と仰っていました。

しかし父は、先生が書かれた項目の多くに当てはまります。
いつも暴走して、誰にも止められないという感じです。

介護経験者の方は、初期に集中的に付き合い、丁寧で受容的なケアをして「味方」になり切れば、後は、何でも言うことを聞いてくれて、とても楽だったと話されていました。

くろまめさん

気配の幻覚」というのは、私が勝手に使った言葉で、医学用語ではないので、主治医と話される時は、お気を付け下さい。

私も母の発言を「幻視」「妄想」などと厳密に分類することはできません。

何か不思議なことを言った時は、それが何という症状かと考えるより、その言葉の背景にある気持ちは何かと考えています。

不安とか寂しさ悲しさ等、何か満たされないマイナスの感情が隠れていることが多いです。

『他の誰かが寝ている。自分の場所ではない。』
これは、分かりにくい言葉ですが、反対語は「ここは、私の居場所だ。私が安心して居られる場所だ」ということですから、何かに居心地の悪さを感じているのかも知れません。

こういう発言を聞いた時は
「そうなの?お母さんは、例えば、誰が寝ていると思う?」
(目を見て、笑顔で、優しく受容的に)
と聞いてあげると、次のヒントが出てくることがあります。

何か満足できない気持ちがあって発言しているので、「話をちゃんと聞いてもらえた」と感じるだけで、気持ちが落ち着くという作用もあります。

顔をしかめたりすれば、それだけで気持ちは全部伝わってしまいますし、「何言ってるの!ここがお母さんの場所じゃないなら、どこがお母さんの場所だっていうの?!」と言えば、心の中にある不満や不安が、増々膨らんでしまいます。
その積み重ねが、やがてBPSD(本人も家族も苦しめられる症状)にもつながっていくと思います。

安心を与えること。これがカギです。

kimiさん
色々な型の認知症について知ることができ、勉強になります。
ありがとうございます。


前頭葉症状の原因は?

前頭葉症状の出現の原因は、多くのケースで良く分かっていません。
前頭葉症状単独より、パーキンソン症状を伴うケースの方が多いのです。
何らかの脳の損傷が引き金に成っていると思われるケースを認めています。私自身脳出血後のリハビリ中、パーキンソン症状と前頭葉症状が出現したケースに、2例遭遇しています。
脳梗塞後でも、前頭葉症状を伴うケースがいるようです。
そうしますと、動脈硬化の関与が考えられますが、確証はありません。

陽性症状が出なくなるケースの場合、アパシーに成っている可能性もあります。アパシーは、前頭前野が大脳に指示を出さなくなる事で起きていると考えられます。大脳の多く領域は、前頭前夜の指示に従って、自分の役割を果たしているだけであると考えられています。前頭前野が指示を出さない事と、アルツハイマーのように指示を受ける大脳の障害が高度になるのと、症状としてはほぼ同じに成ります。唯一アパシーの場合は、視覚刺激や聴覚刺激に反応すると言う点が違います。声をかけながら近付くと、その方を見ますが、それ以上の反応が乏しいのがアパシーと言う事に成ります。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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