認知症の苦しみとは Kさんの場合(2)

若年性レビー小体型認知症 Kさん(50代女性)へのインタビュー。
(1)からの続き。


診断から4ヶ月以上経った現在は、将来を楽観できる情報も少しづつ増えてきて、怖れているようなことにはならないと思えるようになってきた。

適切な医療を受け、東洋医学も使い、運動もし、食事など様々なことに気を付けて生活しているので、どんどん進行することも、薬で劇的に悪化することも、自分が自分でなくなることも、多分ないと思っている。
(不安や恐れが脳を蝕むので、そう信じることで進行を遅らせる効果もあると思う。)

少しづつ進行して、色々なことができなくなっていっても、しばさんのお母様の例のように思考力は残ると信じている。
「レビーは、最期までその人らしさが失われない病気だ」と家族会の方からも伺った。

子供にも友人にも病名を話せるようになった。
話して初めて、そのままに受け止め、受け入れてくれることを知り、本当に楽になった。
自分を支えてくれる人たちがこんなに居たのに、一人で勝手に殻にこもって悩んでいたのだとわかった。


この病気の理解は、誰にとっても難しいと思う。情報が、あまりにも少ないから。
「認知症の人」は、世間では「何もわからない人」という意味で広く使われている。
自分が認知症と診断されて初めて「認知症患者」「認知症の人」という言葉の冷ややかさ、荒っぽさを感じてしまうようになった。

病院でも相談機関でも誤解され「いえ。家族ではなく私です」と常に訂正する。
「認知症には全く見えない。会話をしてもわからない」と多くの人に言われる。
「認知症の人」と「認知症と診断された自分」の間にあるギャップは大きい。

でも注意力低下で車の運転は危ないし、記憶力や判断力の低下でミスをすることは多い。
(ガンダム型)ロボットの内部で操縦している自分(の思考能力や感情)は全く変わらないのに、ロボットの性能は低下していて、よく思いもかけない誤作動を起こすと感じる。

いつどんなミスをするか予測ができないので、それを防ぐための対策は精一杯しているけれど、自分を信頼することはできない。気配りもできなくなったと自覚している。
だから病気を隠して(親しくない)人と会う時は、緊張し神経も使うのでとても疲れる。

すべての人がこの病気を理解し、1つの病気に過ぎないと普通に受け止めてくれたら、病気を隠す必要もなくなるだろう。
病気を隠す必要のない社会なら、多分、「認知症の苦しみ」というもののほとんどは、消えてしまうような気がする。

<関連記事>
*Kさんの体験談治療と経過(漢方薬も含む)/本人が語る症状(幻覚と意識障害)
*「ominaeshiさんとKさんの体験談(空間認知能力)」(時間感覚/料理に苦労)
*「ominaeshiさんの語る若年性レビー小体型認知症の苦しみ」 今までの経過
*「Hさんの語る若年性レビー小体型認知症体験談」 「車いすで沖縄家族旅行
*「若年性認知症 普通の人として普通に暮らす
*「認知症のわたし(朝日新聞連載記事)
*「NHKある夫婦の記録「隠したって何もないもん」
*「認知症の方本人はどう接して欲しいと思っているのか
*「若年(性)認知症の方とその家族が直面している経済的問題と対策
*「認知症と生きる人のためのサイト」(「3つの会@web」)

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ドウダンツツジ(灯台躑躅、満天星)
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No title

Kさん、本当に大変でいらっしゃいましたね。
一人で耐えていらしたなんて、どんなにお辛かったことでしょう。

病気を隠す必要のない社会、素晴らしいと思います。

確か、何かの本で、「隠すことから偏見が始まる」ということを読んだことがあります。

もしかすると、隠すことは、自分が自分に課してしまう偏見なのかもしれないですね。

隠すメリットと、カミングアウトするメリットを比べると、後者のメリットの方が大きいと私は感じています。

カミングアウトすることにより、嘘をつき続ける必要がなくなる。
いつ、ばれるかとひやひやすることもなくなる。
助けを求めることが出来る。
自分の気持ちを吐きだすことができる。

カミングアウトすることで、離れていってしまう人は、それまでの縁の人だったのでしょうね。





MKさん

Kさんへのコメント、本当にありがとうございました。

MKさんの書かれた「カミングアウトするメリット」を読んで、非常に重要な視点だと思いました。
カミングアウトについての記事を書こうと思い立ち、現在、若年性レビー小体型認知症と生きる方々(Hさん、ominaeshiさん、Kさん)にインタビュー中です。

記事をお楽しみに!

なお、お三方共、それぞれの事情でコメントの書き込みはされませんので、どうぞご理解下さい。
コメントや反響(拍手やツイート等)は、皆さん、大変喜ばれています。

皆さん、若年性レビー小体型認知症について、一人でも多くの方に知って頂きたい、理解を深めて頂きたいと切実に願っていらっしゃいます。
SNS(ツイッターやフェイスブック等)で、広めて頂けますと本当に幸せです。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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