仏発魔法のケア:ユマ二チュード

2013年8月28日毎日新聞東京朝刊掲載の記事。毎日新聞公式サイトより全文転記。
私(しば)は、これは「テクニック」の問題ではないと思いますが。(コメント欄参照)


  くらしの明日: 私の社会保障論 国際医療福祉大大学院教授・大熊由紀子

    「魔法」の高齢者ケア フランス発、国境超える「ユマニチュード」

まるで魔法のようでした。
千葉県にある特別養護老人ホーム。丸2年間、ベッドから起き上がろうとしなかった90歳の女性が、実に楽しげに、歌いながら歩き始めたのです。

気位が高く職員が誘っても立腹するばかりだったその女性をわずか10分足らずで変えてしまったのは、フランス人男性のイブ・ジネストさん。
ロゼット・マレスコッティさんと共に30年余かけてつくりあげたケア体系「ユマニチュード」の創始者です。

ユマニチュードは、「ケアすることとは何か」という問いに始まる人間哲学に裏打ちされた150を超えるテクニックの集大成です。
母国フランスでは、400以上の病院やケアホームで利用され、スイス、ドイツ、カナダと国境も越えています。

秘密は、誰でも身につけることができるワザにあります。
例えば、
見つめること、話しかけ続けること。
前から静かに近づき、水平な視線で見つめて自己紹介し、これから何をするかを丁寧に説明
します。
声は優しく、歌うように、静かに。言葉には、愛と尊敬を込めます

最近、高齢者の入院が激増しています。
白い壁、白衣、体に差したチューブ類を抜かないようにと施される身体拘束
高齢者は叫んだり、暴れたりしますが、それは
スタッフを「暴力を振るう敵」と思い込むからです。

見つめたり話しかけたりするのがおろそかだと「あなたは存在しない」と言っているのと同じで、人としての関係が生まれません

日本への紹介者、東京医療センター総合内科医長の本田美和子さんが「日本の患者さんにも応用できる」と確信したのは、入院中の80代の女性の変わりようを目の当たりにしたからでした。
1年近く、一言も発しなかった女性に、通訳を介してジネストさんが接すると、目を開き、「手を上げてください」と言うとその通りにしたばかりか「ありがとう」と言ったのです。

体験した看護師たちは「目に見えて患者さんが笑顔になるので、うれしくなります」「管を入れる必要が本当にあるのかを考えるようになりました」「つらいから辞めようと思わなくなりました」とこもごも言います。

追記: 2014年2月5日 クローズアップ現代でユマニチュードを取り上げます。
   「新たな認知症ケア“ユマニチュード”の可能性」

追記:2014年5月10日TBS「報道特集」の全内容→こちら

<参考記事>
*「アルツハイマー型とは全く違うレビー小体型認知症のケアとは
 (医療・福祉・介護に携わる多くの方が誤解し、誤った対応で傷付けている)
*「認知症を患う人とつながる」(そのための条件)
*「認知症と共に生きる方が必要としているもの」(安心と敬意を)
*「認知症と共に生きる人との接し方」(彼らは介護者の心を鏡のように映して見せる)
*カテゴリ「認知症とは/ケア・介護
*「意識がないように見える人に話し掛ける」(田口ランディ、柳田邦男の体験)
*「桜新町アーバンクリニック主宰ユマ二チュード講演会記事(上野秀樹医師のサイト)
*「2013年10月29日毎日新聞の記事」(認知症ケア 優しさ伝える介護)
2013年11月13日朝日新聞の記事(ケアのアプローチ方法で変わる)

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松葉牡丹(マツバボタン)
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No title

講演会に参加してきました。
レビー対応のために、わたしたちが訴え続けて来た事なので
今更、何を、と思ってカクニンに行きました。
目からうろこではありませんが、
先生方は「優しい人じゃなくてもできるのです」と言います。
150のテクニックですが、そこに人としての個性は
あるべきだと思います。
先ずはこころを磨き直そうよと言いたいんですが。
病院への導入は大賛成。
今まで、わたしたちはcureをするのです、careとは違うと
言って来た人たちです。
ユマニチュードが絶賛されればされるほと、
パーソンセンタードケアや、当事者うんぬんと
言ってきた人々の「こころ」は今までどこにあったんだろうと
ちょっと、情けなく思った次第です。
ナイチンゲール精神は医療の進化と共に、どこかに隠れてしまって
いたのでしょうか。
「人間は目を見合わせ合わなければ、死んでしまう動物」
行動しているときの視線の動線をみる動画が、いちばん説得力ありましたよ。
そのうち、日本語版DVDがでるそうです。

人と接するということ

bossさん
講習会に参加ですか〜?! びっくり・・でもないですね。
フットワークの軽い、熱い方だから・・。

私は、この記事にかなり違和感を覚えました。
こういうことは、別に教えられなくても、自然にできる人がいます。

特養で働いていた時、同じパート職員の方がそうでした。
その方に話し掛けられた入所者は、だれでも普段とはまるで違う表情をしていました。
誰とも話をしない人も彼女とは、普通に会話をしていました。
私は、その方を心から尊敬していました。

新人職員でも似た人がいました。
仕事の覚えもよくないし、マニュアルよりも入所者本人の気持ちを優先しようとするので、よく意地悪な先輩にいじめられていましたが、この記事に書かれた「テクニック」をごく自然にしていました

この真逆のことをする看護師さんを時々見ますが、あの人達は、「入院中の認知症患者は人間ではない」と教育されたのだろうかと真剣に考えてしまいます。
私もこの「テクニック」の病院への導入は、賛成です。

記事の冒頭に「テクニックの問題ではない」と書きましたが、では何だと言われたら、「心」「姿勢」、いや、「覚悟」かなと思います。

「優しさ(優しげ)」では、足りない。
自分の努力が、もしかしたら報われないかも知れないことも
(笑顔につばを吐きかけられるかも知れない)
自分への不利益も、全部引き受け、
それでも、その人と真正面から向き合い
人間関係を築こうとする覚悟のように思います。
(それは、敢えて別の言葉にすれば、「愛」だと思います。)

そこまでしてケアしたくないと言う方もいらっしゃるかも知れません。
でも逃げ腰でいる限り、人と人の心が通い合う幸せ感動は、決して味わえないのではないでしょうか。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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