いつ何で認知症に気付くか

記憶障害(物忘れ)の目立たないレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症(ピック病)は、家族にも医師にも認知症と気付かれるのが遅れがちです。
(注:レビー小体型認知症の中には、記憶障害が早期から強く出るタイプと記憶障害が目立たないタイプがあります。)

レビー小体型認知症の場合、家族は、何がきっかけで病気に気付くでしょう。

今までご家族から直接聞いた最も早期の発見のきっかけは、たった一言の言葉。
「私、拉致されたの」。この一言の他には、何の症状もなかったそうです。
そして病院での精密検査の結果「異常なし」。
定期的に検査を受け続け、レビー小体型認知症と診断されたのは3年後でした。

100%の家族が気付くのは、「訳のわからないことを言い張り、訳のわからない行動を止めない」という問題(せん妄という意識障害)に直面した時です。
「敵が来た!」と棒を振り回す、浮気をしたと責め立てる、泥棒が居ると警察を呼ぶ等。

(追記:その後、ご本人から幻視体験談を伺って、幻視を見て興奮したりするのは、せん妄ではないと思うようになりました。自然で正常な恐怖感です。2014年)

本人にとっては、「訳(リアルな幻視)」あっての言動です。
真剣に必死に問題に立ち向かおうとしています。家族以上に苦しんでいます。
説得では、決して治まりません
この時、多くの家族は、「突然、認知症になったんです」と言います。

けれどもそれまでの何年もの間(人によっては、10年以上)サインは出ていたのです。

 <認知症のサイン>(レビー小体型に限らず)より正確→21個のチェック項目

*なんとなくうつっぽくなっている時がある。

(口数が減る。面倒くさがる。出無精になる。約束をその日になってキャンセルする。
 掃除や料理が手抜きになる。好きだった趣味を止めてしまう。何もしない等)

*なんとなく以前と違う、『こんな人ではなかったのに』と感じる時がある。
(だらしなくなった。イライラする。ひどく心配性になった。配慮に欠けたことを言う。
 以前にはなかったミスをする。食べ物の好みが変わる。悪臭に気付かない等)

*なんとなく会話に変な感じ、違和感を覚える時がある。
(何かズレて噛み合わない感じ。唐突な感じ。テンポがずれる感じ。反応が鈍い感じ等)

けれども正常に見える時の方が多いので、多くの方は、『年のせい』と受け流してしまいます。
一番早く気付くのは。次にのようですが、男性や配偶者は、気付くのが遅れます。

親しい隣人、趣味の仲間、働いていれば同僚や仕事相手は、家族よりずっと早く気付いている場合があります。
疑問に思ったらそうした第三者に「何か今までと違うと感じたことはありませんか?」と聞いてみると、驚く答えが得られるかも知れません。

レビー小体型認知症の場合は、早くから自律神経症状が出る方もいます。
何となく体調不良。だるそうにして昼間でもゴロゴロしている。ウトウトしている。
排泄の問題(便秘、頻尿、尿漏れ等)。ひどく暑がる/寒がる。多汗/無汗。等々
しかしこれだけで認知症を疑う人は、皆無です。

幻視(幻覚)も、幻視(症状)とは思い付かない家族の方が多い印象があります。
空中の何かをつまむような動作幻視への話しかけも見過ごされることが多いです。
「人がいる」と言われて『幽霊が見えている』と考えた例も複数聞きました。

「本人は、何年もサインを出しているのに、家族は、認知症が進行して、(家族自身が)困ってどうしようもなくなるまでは、気付かない」と精神科医から言われたことがあります。

どの段階で気付くかは、人に寄りますが、レビー小体型認知症の様々な症状を把握し、体験談(多様性)を多く知っていればいる程、早期に気づくことは確実です。

そうすれば、長年に渡って病院を渡り歩き、誤診を繰り返されることもなく、抗うつ剤や向精神薬(リスパダール等)や睡眠薬などで劇的に悪化することも防げます。

<関連記事>
*「認知症の種類別 早期発見のための知識とチェックリスト
認知症 ゼロから分かるQ&A」まず何をどうすればいいか。
*「5種類の認知症別 本人と介護家族の体験談集」役立つヒント満載!
*「親の認知症 気づいて!」日経新聞2013年12月
高齢者の認知症を悪化させる薬一覧」(記事の下方をお読み下さい)

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マリーゴールド
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しばさん
お久しぶりです。
毎日暑いですね。
うちの母も、いろんなこと、やらなくなっていました。
でも、本人の言い訳が、絶妙で、ふーんって信じちゃいました。

しかも、家事も、最低限はキープしていたし。わからなかったです。
泊まり込んで、何日か居れば、わかったかもしれません。
今思えば、明らかに変なことも、じわじわやらなくなっていったり、言い訳されると、こういう人なんだって思ったり。

母の一番仲良しの友達は、気づいてました。でも、なかなか言えなかったみたい。そして、気づいていながら、外に連れ出してくれていたんです。ありがたいです。
私が実家にいたら、話をきけたかもですが。

もう、仕方ないですね。
母の場合は、これでよかったと思います。
寝たきりになる直前まで、友達とランチしたりして楽しそうだったし。
とにかく、悪いなりに楽しんでいたから。

気づいていたら、家族で思い出作りは、できたかな?

ただ、ちょっと変かなと思ったら、しばさんが書いてくれたように、まわりに聞くことをすすめます。
たぶん、困っている本人のフォローも出来るし、家族も認知症とわかれば、こころの準備できると思います。

暑い夏、カラダに気をつけてのりきりましょう。


みやさん

本当にお久しぶりです!コメントありがとうございます。
『殺す気?!』という感じの暑さが続いています。
みやさんもご家族様もくれぐれもお気を付けて。

・・はい。過去のことは、仕方のないことです。
考えてもしょうがないです。
過去にできなかったことを考えるのは止めて、今日からできることを考えた方が、ずっといいです。

私自身、最後の最後まで、母がレビーと気付けなかったんです。
その反省からこういう記事を書いているのであって、「過去の過ちを悔いる」のは、自分を傷つけ、消耗させるだけで、百害あって一利なしです。

母の場合は、パーキンソン病という診断名があったので、うつ、頭の回転の遅さ、無表情、幻視など、次々と現われる症状をいくら調べても「パーキンソン病の症状」に行き着いてしまいました。

今から考えると母は、若い頃から自律神経症状がありました。
それも持病(甲状腺機能低下症)の症状とすべてかぶっていたので、気がつきませんでした。

レビーとわかる1年位前、1度、母が、耳を疑うような心ない言葉を言ったことがありました。

とても思いやりが深く、絶対に人を傷つけるようなことは言わない人だったので、非常に驚き、ショックを受けました。

今ならあれは、認知症の症状とわかります。
でもその頃、年上の友人に相談すると「人は、年をとるとそんな風になるものだ」と言われ、そうなのかなぁと思いました。

違いますね。
いくら年をとっても、正常に老化した人は、人格が変わったような発言はしません。
頭の回転が遅くなったり、疲れ易く、意欲が落ちることはあっても、『こんなことを言うような人じゃなかったのに!』という発言はしないと思います。

『こんな人じゃなかったのに』は、認知症のサインと覚えていた方が良いですね。

認知症と気付くには

わずかな変化に「あれ、こんな人ではなかったけど」と言う感覚が大事になると思います。
初期に認知症を判断することは、医師にとって難しい作業です。
河野先生が、「家族が?を持つような言動があれば、それは認知症と考えた方が良いと言っていますが、まさに名言だと思います。
改定長谷川式認知スケールでは、判らない認知症の方は大勢います。
状況により改定長谷川式認知スケールを行う弊害もあります。
せっかく受診しても、「認知症で無い」と誤診されるケースが多いです。l早期発見をしても、進行を遅らせる手段を知らない医療関係者も多いです。アリセプトは、進行を遅らせているわけではありません。
このような、認知症とその家族にとって厳しい環境が有ります。これを変えていけるのは、介護者しかいません。介護者と認知症の方が、声を出して行くしかないのです。それが現状です。

No title

「訳のわからないことを言い張り、訳のわからないことを止めない」という
異常行動(せん妄という意識障害)が出た時」
これってすごく納得です。
義母も最初に倒れた直後に、「そこに人が立ってる」と言ってました。
幻視です。
でも私たちにはまさに、わけのわからないことを言い張る、状態。

家族が、何かおかしい、って思った感覚って大事なんですね。
その感覚を受け止めてくれるお医者様がもっと増えてくれたら
いいなあと思います。

hokehoke先生  しいさん

コメントありがとうございます。

ここから読者の方に向けて書きます。

多くの方は、「素人の自分」より「プロの医師」の方がよくわかるはずだと信じています。私もそうでした。
診断も治療も。

でも認知症という病気に限っては、それは往々にして間違っていると思った方が良いです。

「医師が診察室で見る患者の姿」と「家庭での患者の姿」は、別人のように違う場合も多いですし。

家族の観察が、こんなに重要になる病気は、他にないのではないでしょうか?

レビー小体型認知症の場合、「医師にお任せ」で上手くいく例をほとんど知りません。

どんな医師にかかろうと、新しい薬を使い始めたら、その作用と副作用(必ずあると思っていた方が良いです。)をしっかり観察して、医師に報告し、止めるなり、量を減らすなりの調整が必要なのが、レビー小体型認知症です。

アリセプトを3mgから5mgに増やした途端、「怒りっぽくなったし、認知症も悪化した気がする」と報告すると、「では、10mgに増やしましょう」という医師が、どこにでもいます。

それは、アリセプトが過剰なために起こっている副作用だと介護家族自身が気付き、減らさなかったら劇的に悪化します。

私たち介護家族は、薬のことを学んで、自衛しましょう。

「素人は黙っていろ」という主治医なら、主治医を代えましょう。

プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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