胃ろう後でも食べられるようになる

嚥下(えんげ)障害(=食べたり飲み込むことが困難になる状態)は、レビー小体型認知症患者にとても起こりやすいと言われています。
しかし早期(まだ元気に歩ける時期)に始まる人もいれば、私の母のように一歩も歩けなくなって3年が過ぎても問題なく食べている人もいます。
(母は、寝返りは打てませんが、震えはなく、箸を使えます。)

先日、嚥下障害の有無を調べる簡単な方法を介護家族から伺いました。
ペットボトルで飲ませてみるのだそうです。
嚥下障害を起こしている人は、ペットボトルからでは飲めないそうです。
(追記:理由は、コメント欄のkuririnさんのご説明をご覧下さい。)
さっそく母に試すと、全くむせずにゴクゴクと平気で飲みました。

かなり病状が進んでも嚥下障害がないという例は、他の介護家族からも時々聞きます。
両者を分けるものは何なのだろうとずっと疑問に思っています。


嚥下障害を起こすと誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
そうして入院すると胃ろうを勧められるのが一般的です。
胃ろうには様々な誤解がありますが、その1つは、「胃ろうにしたら、もう口からは食べられない」というもの。
実際には、医療スタッフの指導の下、毎日の口腔ケア食べる訓練で可能になります。

医師はよく「治りません」「もう食べられません」「できることはないです」「もう長くないですよ」と簡単に言いますが、そんな無責任な言葉を鵜呑みにしてはいけません。

胃ろうを造ってもケアとリハビリで食事ができるようになる例は、以前にもご紹介しましたが、最近の新聞記事にも掲載されたので抜粋・要約を載せます。(青字部分)

2013年7月9日の千葉日報 シリーズ「食べること 生きること」

             訪問歯科医の口腔ケア日記 筆者:五島朋幸歯科医師

  家族の力添えで「奇跡」 「まさか食べられるとは」

肺炎で入院し、胃ろうになった男性。以後、口からは、全く食べていない。
訪問して口内を見ると、奥さんが質の高いケアをしていて、とてもきれいだった。

私(歯科医師)は、まずベッドを軽く起こして口腔ケアを始める。
頬や舌のマッサージを続ける。男性の目が、しっかり開いた。

「これからゼリーを食べていただきます」と告げるときょとんとした表情。
スプーンでゼリーを口の中に入れると、モグモグした後、ゴクンと飲み込めた。
母娘は、声をそろえて「飲んだ!」と叫んだ。

半年後、男性は、介助をされながら柔らかい食事を食べられるまでになった。
「まさか本当に食べられるとは思わなかった。奇跡」と奥さんは言った。



*介護家族の方々からは、黒こしょうのアロマパッチ(襟元に貼る)で飲み込みが改善し
 た
という話を聞いています。(追記:詳細はコメント欄をご覧下さい。)
*関連カテゴリ:胃ろう・嚥下障害

04.jpg
オムツゼロ達成の特別養護老人ホームで見た食前の口腔ケア(マッサージ)はこんな感じ。職員が指を使って広くまんべんなく口の中から外に向かって(かなり強めに)押し出します。口回りの筋肉がほぐれて動きやすくなり、唾液も沢山出るようになるそうです。
(写真はこちらから
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ささやかな経験ですが…。

こんばんは。
こちらには初めてコメントさせて頂きます。
いつも拝見しつつ大変勉強させて頂いております。

当記事を拝読し、誠に僭越ながら私自身が経験した範囲のことをお話したいと思いました。

>ペットボトルで飲ませてみるのだそうです。
>嚥下障害を起こしている人は、ペットボトルからでは、むせて飲めないそうです。

ペットボトルで飲んでもらうと何故嚥下障害が判るかと言うと、ムセルからではなく、極少量しか口に含めないことがハッキリするからです。

食べたり飲んだり出来ているように見えても、ムセることなく誤嚥しているから怖いのです。

真新しいペットボトルを開け本人に手渡し飲むように薦めると、量がほとんど減らないことが目で見て明らかに判ります。

何らかの嚥下障害が潜在的にある場合、見た目は普通に食べたり飲んだりできていても、そのひと口がごく少量であったり、口に含んだ状態で何度にも分けて飲み下す、ということが起きます。

その段階では既に液状のものにはトロミ剤が必要で、そうすることで液体の誤嚥を回避できる可能性が高まります。

私自身はこの段階で、本人納得のうえでトロミ剤の使用を開始したとこでそれまで苦労していた水分摂取がはかどった経験があり、脱水予防も図れ嬉しかったことを覚えています。
 
 
>黒こしょうのアロマパッチ(襟元に貼る)で飲み込みが改善したという話を聞いています。

黒こしょうのアロマパッチは『嚥下の廃用予防』にエビデンスがあります。
メーカー推奨の使用法は『襟元に貼る』のではなく、肌着などの裏側に貼付し皮膚にも触れるようにします。

詳細は割愛させて頂きますが、有効成分は嗅覚だけからではなく、経皮でも血中に取り込まれることが実験で明らかになっていますが、これに触れると薬事法に抵触するのでメーカーは表立ってはこれを謳えません。

肌に触れることでパッチが汗を吸い体温で温められ芳香します。

嚥下の廃用予防が必要な方々は高齢の方々も多く、皮膚も弱い場合が少なくないことから、直接皮膚に貼らないアロマパッチは試しやすいものかと思います。

私自身は2007年にDLBと診断された義母(現在84歳)と暮らしています。診断当初からムセがありましたが、治療とケアの両面より様々に努力を重ね現在も尚経口摂取を維持しております。
早期に障害の存在に気付き残存能力の維持に努めることで、レビーの方が胃ろうを先延ばしにすることも、場合によっては不可能ではないかも知れない…と、私自身は感じております。

記事のタイトル主旨から外れたコメントだったかも知れませんね。
不適当な場合は削除下さって構いませんので。

コメント頂き、本当にありがとうございます

kuririnさん

コメント、本当にありがとうございました。感激しています。
私もレビー介護家族に希望を与え続けるkuririnさんの超有名ブログ
「薔薇と宝塚とキラキラが好き」
http://kuririn-web.cocolog-nifty.com/blog/
では、3年前からいつも勉強させて頂き、心から感謝しています。

kuririnさんの徹底した追求心、(実母ならぬ)お義母様への深い愛情、介護をしながらの膨大な情報の発信は、(こんな言い方が失礼でなければ)驚異的で、『なんて凄い、素晴らしい方なんだろう』と常々尊敬してきました。

kuririnさんがサイトで行っていらっしゃるレビーの「ペンの手」(指の変形)の写真集めにも是非ご協力したいと思い、レビー介護家族の友人に撮影を依頼したのですが急逝され、それも叶わず。(私の母には変形がないのです。)
ご連絡する機会を逃し、サイトにコメントも書けないまま今日になってしまいました。

そんなkuririnさんからご連絡頂き、本当に心から嬉しいです。
ありがとうございます。
これを機に、これからもどうぞよろしくお願い致します。

追記
リンク集、長年放置状態だったのですが(リンク集に載せるには全部読み込んでからでないと読者に対して無責任だと思ってきたので・・)遅まきながらkuririnさんのサイトを入れさせて下さいね。

読者の皆さん、アロマパッチの詳細はこちらを↓
<kuririnさんのサイト:黒胡椒のアロマパッチと嚥下障害の防ぎ方について>
http://kuririn-web.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-15de.html

しばさん、こんにちは。

ご無沙汰いたしています。

父は特養に入所しました。
食事は朝、昼、夕ともに経口摂取になりました。一昨年9月以来です。
ミキサー食やペースト食でなく、普通食に近い形です。見栄え良くて、美味しそうです。
病院と違って雰囲気良く、職員さんの対応は優れています。これまで25分程度の食事時間でしたが、1時間掛けて職員さんが丁寧に介助して下さいます。職員さんの労働は大変と思います。

肺炎が治ってからは、発熱することも体調を崩すことなく元気でいます。
誤嚥のリスクはありますが、穏やかに暮らすことができたらと思っています。

runmoleさん

コメント、ありがとうございました。

そうですか!それは素晴らしい回復ですね!
多くの方に勇気を与えるお話だと思います。

入られた施設も良かったんですね。
中には、まだまだ食べられても「危険だから」と刻み食やペースト食に変えてしまう所もあります。

何よりrunmoleさんの熱意とご努力が、お父様を再び食べられるまでに回復させのだと思います。

「胃ろうにして寝かせきり」ではなく、「再び口から食べられるようになるための胃ろう」が、日本中に当たり前のように広がっていくことを願っています。

(runmoleさんの体験談。脳梗塞からのリハビリによる回復)
http://nonohana7.blog134.fc2.com/blog-entry-751.html

しばさん、こんにちは。

父は、誤嚥性肺炎になり入院しました。
発熱、呼吸苦、喘鳴、SpO2値が低いです。
特養入所69日、ショックです。

No title

runmoleさん

私もショックです。言葉がありません。

お辛いことと思います。
一日も早く回復されることを祈っています。

誤嚥性肺炎は、避けられないと聞いています。
どれほど気を付けていても、どれほど頑張っても、
寝ている間にも唾液が肺に入り込んで肺炎になると。

runmoleさんも「何が悪かったか」とは、敢えて考えずに、
お父様が、美味しそうに食事を召し上がった時の笑顔を思い出して下さい。
一緒に笑ったことだけを思い出して下さい。

きっと良くなられます。
祈っています。

しばさん、ありがとうございます。

しばさんの温かいお言葉をいただき、心を落ち着かせることができました。誤嚥性肺炎と背中合わせと判っていても、いざ直面すると取り乱してしまいます。

酸素吸入をしていますが、SpO2は正常値に近くなって呼吸苦は治まりました。体温は37℃台に下がりました。私にしきりに訴えますがはっきりしなくて、多分ミトンを嫌がっているようです。

食後1時間して嘔吐してぜーぜーと息苦しくしているところを職員さんが見つけて病院に運びました。私が病院に着いたときは、SpO2が70台でこれまでにない苦しさを訴えていました。意識はしっかりとしていて、筋力は強かったです。

医師から人工呼吸器の可否を問われました。必要なら付けて下さいと父の状態を考慮して答えました。酸素吸入で変化が見られたこととCT検査で思いのほかひどくなかったので、人工呼吸器は付けなくても良かったです。

川口有美子氏と大野更紗氏の対談で、瀕死の肺炎に陥った川口さんのお父さんが人工呼吸器と胃ろうをして回復された(両方とも外した)ことが紹介されています。
胃ろうをするしないの選択は考慮する日数がありますが、人工呼吸器はすぐに決めないといけない状況になりやすいです。

No title

お父様も少し落ち着かれたようで、本当に良かったです!

私も母が誤嚥性肺炎を起こして胃ろうや人工呼吸器を迫られた時、
落ち着いて冷静に判断できる自信はありません。

runmleさんのように辛い、そして貴重な体験を分かち合って頂けることは、
私も含め多くの方にとって、とても有意義で貴重なことです。
本当にありがとうございます。

人間の持つ力というのは、医学では計り知れないものだと思います。

私の祖父も何度も何度も「もうダメです。あと数日の命です」と言われ
その度に回復しました。

がんの余命もまったく当てになりませんし、認知症も「何年経ってもほとんど進行しない」という例をいくつも読んだり聞いたりしています。

むやみに奇跡を信じろというわけではないのですが、医学の常識が、常に100%正しい訳ではないということも知っている必要があります。

お父様が、順調に回復されますように!
runmleさんもお体に気を付けて!

プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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