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「驚きの介護民俗学」(六車由実著)2

民俗学准教授から特別養護老人ホームの介護職員に転職した六車由実さんの著書「驚きの介護民俗学」(→アマゾン)から。(1)の記事の続き。
以下(青字部分)は、抜粋。一部、原文は残しつつ要約。( )は私が加筆したもの。


  *幻覚(幻視、幻聴)についての考察(施設利用者と接していて著者が思うこと)

幻覚はときに本人を苦しませることがあるが、しかしときにはその方を支えたり、優しい気持ちにさせてくれることもあると言えるだろう。(P.133)
幻覚症状のある利用者に話をうかがっていると、その方の語る幻覚世界の豊かな物語性に驚かされることがたびたびある。(P.134)

美智子さんは(略)幻覚症状そのものというより、息子さんやまわりの人間がそれを理解してくれないということに苦しんでいるように見える。(P.135)
美智子さんが生き生きと生きている世界を単に認知症の問題行動とだけ認識してしまっていいのだろうか、という思いを私は強く持つのだ。(P.137)

民俗学では、(死に近い)老人と(生まれて間もない)子供は、世俗にまみれたこの世の両端に生きる存在であり、従って神に近い存在として認識されていた。
神に近い存在だからこそ、物語世界を素直に受け入れることができる。
(略)民俗学で調査対象となる語り部(「昔は人を騙す狐がいた」と話す。)と幻覚を語る認知症の高齢者との間に、決定定期な違いなどあるのだろうか。(P.140全体を要約)



  *まったく同じ言葉、問いを毎日何度でも繰り返す意味

「ところであんた何町?」と問いかける。そして最後には必ず「うちに遊びにいらっしゃい」と言うのだ。とすると「あんた何町?」で始まる一連の問答は「それじゃあ今度うちに遊びにいらっしゃいよ」を導き出すためのいわば伏線だと考えられる。(略)地域のさまざまな場面でリーダーとして活動してきた喜代子さんの「生きる方法」が見て取れるのだ。(P.123)

あるとき職員が、喜代子さんの関心を逸らそうと、「あなた何町?」という問いに対して、「僕は火星です」と答えた。喜代子さんは(略)「やだー、この人はまったく愉快な人だねえ」と大笑いした。そして、笑いもおさまらないうちに、「で、あんた何町?」を繰り返したのである。
(なお「火星」という答えに喜代子さんは落ち着かなくなり、最後に出た「沼津です」の答えに、いつもの会話を繰り返し、その後は、何事もなかったかのようににこにこしていたと書かれている。)
「同じ問いの繰り返し」には、実は、「同じ答えの繰り返し」が求められているのではないだろうか。(P.124)

認知症の方の「同じ問いの繰り返し」も、本人にとっては不安定で混沌とした場所において「生きる方法」を確かにし、ひとときの安心を得るための儀礼的行為だということができるだろう。(P.126)

<関連記事>
*「レビー小体型認知症の幻視の種類と特徴(妄想も)
*「幻視はどう見えているのか」(要支援2の頃の母が語った幻視の見え方)
*「進行しない母」母の語る妄想が、この本に出てくる例と似ている。

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網笠茸(アミガサタケ)
マンションの草の中で発見。
『こんな所にシーボーズが?!』
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プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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