レビーフォーラム2015 当事者の講演④幻覚

③からの続き。 レビー小体型認知症と生きる当事者・樋口直美さんの講演。
………………………………………………………………………………………………

幻覚には、幻視、幻聴、幻臭など色々ありますが、それらもずっと出ていません。
私の幻視は、物が動くことが多く、は、滅多に見ませんでした。 

「幻視はボーッとしている時に起こりやすい」と言われていますが、私は、意識障害を起こしている時には、見ません。意識も思考力も正常な状態で起こりました。 

「どんな風に見えるんですか?」とよく聞かれます。
「皆さんの正面の人、その隣の人。一方が幻視です。よく見てどちらか当てて下さい」そういう感じです。見た目では、本物と区別がつきません
透けてもぼやけてもいません。空中に浮いてもいませんし、足もあります。
ただ幻視の人は、何も話しません

オリヴァー・サックスが書いた「見てしまう人びと」等の本に、シャルルボネ症候群という幻視の症例が、沢山紹介されています。
彼らは、知的能力や精神状態に問題がなく、ただ幻視が見えてしまうんです。
彼らの幻視の見え方は、私の幻視の見え方と、とてもよく似ています

「本物にしか見えないなら、どうして幻視と分かるんですか?」と聞かれます。
この場所に、こういうものが居るだろうかと考えます
もし家の中に人がいれば、ありえないので幻視と分かります。
でも突然出ますから、心臓が止まるかと思う位びっくりします
虫は、目の前で消えると「あ?幻視だったんだ」と初めて分かります。
消えない限りは、どれだけ観察しても分かりません

幻視で人を見るのは、私は、とても怖いです
皆さん、今夜、家で寝室の扉を開けた瞬間、知らない男が寝ていたらどうしますか? 
叫ぶと思う方。(挙手を求める)警察を呼ぶ方。棒を持って来る方。
包丁はいないと思いますが、「初めまして」と言う人も居ないと思います。

でもレビーの、特に高齢の方が叫ぶと、全く違います。
頭がおかしいと怒鳴られ、説教され、バカにされたり、BPSDだと決めつけられます
病院に無理矢理連れて行かれて向精神病薬を飲まされるかも知れません。

「認知症だから、ないものをあると言って、訳のわからないことをするから困る」と家族の方は言います。  違います。思考力があって、本物にしか見えないものが見えるから、正常に反応しているんです
不審者が居れば怖いです。でも、慰められるどころか、狂人扱いされます
言いようのない悲しみ、悔しさ、孤独、不安、絶望を感じると、本人になってみて、わかりました。

私は、一時期、色々な物が動いて見えました
テーブルの上の胡麻、カーペットの模様、窓の外の景色、駐車場の車、色々な物が、突然動きました。
初めは、そんなものが見える自分が恐ろしかったです。

でもある時、池谷裕二さんの脳科学の本を読んでいたら「脳の中のMT野ニューロンが活性化すれば、止まっている物でも動いて見える」と書いてありました。
『これだ!』と思いました。

「私のMT野ニューロンのスイッチは、時々誤作動を起こす
私の知能とも精神とも人格とも何の関係もなく、それは起こる」
そう分かった時、精神的にとても楽になりました
『よ~し、今度起こったら、幻視の消し方を色々試してみよう!』と思いました。
でも、その頃から幻視は、急に見えなくなりました。薬は変えていません。

幻視に怯えて、毎日ビクビク暮らすストレスから解放されたからではないかと考えています。
脳には無数の機能があります。
レビーは、そのいくつかのスイッチに、時々不具合が起きる病気だと感じています。 

⑤に続く (⑤症状を悪化させるもの)



オリヴァー・サックスがTEDで語るシャルルボネ症候群(無料動画)
レビー小体型認知症の幻視の種類と特徴 
樋口さんの体験した幻覚の種類と具体例 いつ、どう起こり、何を感じるか
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サザンカ(山茶花)の変種

レビーフォーラム2015 当事者の講演③自律神経症状と意識障害

②からの続き。レビー小体型認知症と生きる当事者・樋口直美さんの講演。
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今困っている症状は、この病気の特徴である自律神経障害です。
血圧、心拍数、体温などを一定に保てません
「体調に波があって…」と言うと「誰でもあるよ」とよく言われますが、血圧の上が、
80を切ったり、夏でも汗が出ずに発熱したりして、日常生活に支障をきたします。
汗が出過ぎる人もいますし、失神を繰り返す人もいます。
暑さ寒さや気候の変化等にとても弱くなります。

レム睡眠行動障害といって寝言を叫んだりする初期症状がありますが、
それ以外にも不眠無呼吸や医師もよく分からない様々な不思議な睡眠障害があります。

でも、「見えない障害」ですから電車の中で辛くなっても、高齢者のようには、席を譲ってもらえません。

そして自律神経の影響だと思いますが、
脳の血流が突然低下するために、意識障害を起こします
急にひどい疲れや、だるさや、眠気を感じます。
脳貧血とか風邪で発熱した時の感じによく似ています。熱くはないです。
熱と同じで段階があります。ひどい時は、倒れるように眠ってしまいます。

意識障害を起こしている時は、注意力が、ガクッと落ちます
誰でも高熱の時に筆記試験なんて受けたくないですよね?
それと全く同じことが意識障害の時に起こります。頭が上手く回転しないんです。

治療直前は、それがひどくて、寝たり起きたりの生活でした。
その頃も記憶障害は、特にありませんでした
抗認知症薬を使うようになってすぐ、体調が改善しました。  

医師にも分からないと言われましたが、
これは、レビー特有の「認知の変動」ではないかと私は思っています。
「とてもしっかりしていた人が、突然ぼーっとする」と説明されます。
でも本人は、かなり苦しく、不快だということが、なってみて、初めてわかりました

そして、高熱がある時と同様、そんな時でもちゃんと、周囲で起こっている事も、
そこにいる人の気持ちも全部わかっています

ただ、朦朧としていて、受信はできても、発信用の回線がオフになっている感じで、反応できません。   
周囲からは、なんだか魂がどこかに行っているように見えるので、
<顔の前で手を振るジェスチャーをする。>……っという感じだと言われます。

これは、治る時も突然治ることが多いです。パッと体が楽になって、元に戻ります。
停電が終わって、回線が繋がった感じです。

私は、自分の体の中に「飼い虎」がいるとイメージしています。
それが暴れ回っている間はぐったりして何もできません。でもトラはネコ科です。
上手く付き合えば、ゴロニャ〜ンとしている時も多いんです。
そういう時は、体調も良く、頭も何の問題もなく、回転しています。 
自分は、健康で、全く正常な人間だと感じられます

④に続く。(④幻覚はどう見えるのか。幻覚はなぜ起こるのか)


<関連記事>
せん妄/意識障害の種類と具体例(認知症との区別が大切!)
レム睡眠行動障害を描いた漫画
レビー小体型認知症の自律神経症状とは
レビー小体型認知症の症状一覧とその解説
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山茶花(サザンカ)

レビーフォーラム2015 当事者の講演②認知症と診断される意味

①からの続き。  レビー小体型認知症と生きる当事者・樋口直美さんの講演
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今、色々な方々が、一生懸命正しい情報を発信して、少しづつ変わっては来ていますが、それでも「認知症恐怖症」は、日本中に蔓延しています。

これら
スライドNo8は、よく「偏見」と呼ばれますが、私は違うと思っています。
これは、多くの医師の共通認識だと思います
それを私たちはメディアを通して教えられ、最近、また強化されているように感じます。  
認知症は、脳が萎縮する病気だと多くの方が思っていますが、
レビー場合、脳は、ほとんど萎縮しません
最期まで、「その人らしさ」は、失われないと聞いています。

「段々色々なことが出来なくなるのはどんな気持ですか?」とよく聞かれますが、
私の認知機能は、去年からどんどん改善しています。
できなかったことも、今は、できるようになっています。 

スライド資料1
(☆当日配布の参考資料から。クリックで拡大。カラー版は→こちら

私が正しく診断され、抗認知症薬で治療を始めたのは、1年7ヶ月前です。
レビーと診断された時
「進行を遅らせるために私ができることは何ですか?」
と聞きました。
ないんですよ。ただ今までの生活を続けて下さい」と言われました。

自分でレビーを疑って、レビーについて詳しく調べ始めたのは3年前ですから、
診断された時は、冷静でした。

でも、当時、若年性レビーの情報は、ほぼ皆無でした。
唯一見た症例は、どんどん悪化して、衰弱して・・という絶望的なものでした。
たった2年前のことですが、まだ「ためしてガッテン」でレビーを紹介する前で、
ほとんどの人にとって、レビーは「聞いたこともない病気」でした。

私は、この病名を、人には話せないと思いました
誤解はされても理解されることはないだろうと思いました。      

深い渓谷に一本の長い平均台が続いていて、その上に一人で立っている気がしました。
自分さえ気をしっかり持って、上手く歩けば大丈夫と思うんですが、
圧倒的な恐怖感と孤独感を感じました
逃げ道はどこにもなく、進むか、落ちるか、どちらかしかないのだと、毎日思っていました。

でも、その後、家族会「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」の加畑さんからアドバイスを頂き、話を聞いてくれる人と出会い、同病の人と出会い、友人に病名を伝え始め、家族に支えられ、渓谷なんて最初からなかった、私が一人で作り上げた幻想だったとわかりました。

一時期は、簡単な計算ができないとか、1度に2つのことを同時にできないとか、
色々な症状が次々と出ましたが、今は、ほとんどありません。 


③に続く(③自律神経障害と意識障害)


<関連記事>
レビー小体型認知症チェックリスト(3種) 症状から分かる
病気を打ち明けることの利点(レビー小体型認知症本人と家族の体験談集)
レビー小体型認知症を特集した「ためしてガッテン」関連リンク集
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梅(ウメ)

レビーフォーラム2015 当事者の講演①レビーは認知症ではない

2015年1月27日「レビーフォーラム2015 レビーなんてこわくない!もっと知ろう、レビー小体型認知症」が、めぐろパーシモンホールで開催されました。満席でした。
レビーフォーラムimage
(登壇順に)レビー小体型認知症と生きる樋口直美さん、グループホームはるた施設長・鬼頭恵津子さん、たかせクリニック院長・高瀬義昌さん(そしてパネルディスカッションで家族会「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」代表・加畑裕美子さん)が、希望に溢れた、他では聞く事のできない貴重素晴らしいお話をされました。

このフォーラムを撮影した動画は、後日、「認知症スタジアム」で無料公開されます。

以下、樋口さんから託された講演原稿の全文(その1)を公開します。
………………………………………………………………………………………………
 
       「”本人”になって初めてわかったこと」   樋口直美

みなさん、初めまして。樋口直美と申します。トム・クルーズと同い年の52才です。
50才の時、レビー小体型認知症と診断され、治療を始めました。

            
会場スクリーンの画像> これは、レビー小体型認知症の症状の一部です。
病名が長いので、以後、レビーと省略させて頂きます。 

レビーは、人によって、出る症状も出方も違います
私は、よく超初期と誤解されますが、発症は11年前だろうと医師から言われています。
しかし現在も記憶力、思考力の低下は、ありません
      
「認知症」という言葉は、元々、病名ではなく「認知機能の低下によって自立した生活が困難になった”状態”」を指す言葉です。
その意味では、私の病名は、レビー小体型認知症ですが、私は、認知症ではありません
私だけが特別なのではなく、レビーと診断されて、私と同じ様な方は、大勢いらっしゃいます。
この病気は、認知症ではなく、一種の「障害」だと、今は、受け止めています。 


先月、まずタイトルを決めるように言われた時、自分のことを何と呼ぼうかと、ちょっと悩みました。 
各言葉のイメージ像が次々とスクリーンに映される> 
患者病人?  よく使われる当事者?…何となく物々しい。
本人? 選挙の公示前、こういう人、駅で見た事ないですか?選挙法で名前を出せないんです。     
3つとも、かなり、です。でも3択で「 本人」にしました。
  
本人になって初めて分かったこと。沢山あります。
「認知症の人」という呼び方が「おかしい」と感じるようになったのも本人になってからです
テレビで専門家が言います。
「認知症の人は記憶できません。新しい事は覚えられません。でも感情は残っています」    
病気の種類も、進行の度合いも無視して、十把一絡げに「認知症の人」です

レビーの症状は、アルツハイマー病とは、異なります
ピック病を含む前頭側頭型認知症も、また全く違います。
レビーでも、高齢の方で記憶障害が強い方はいますが、レビーの場合、進行しても記憶障害が軽い方が少なくないそうです
新しいことも覚えられます。
このスライドも今回初めて作り方を覚えて、一人で全部作りました。イラストもです。

②に続く(②認知症と診断される意味)


<関連記事>
樋口直美さんの体験談集(No.1)
お話しされた4人の記事へのリンク集
5種類の認知症 種類別本人と家族の体験談集
登壇者4人のプロフィール


元気です!

追記:文中のおすすめの記事、毎日追加しています。ご覧下さい。
……………………………………………………………………………………………

「しばらく更新してないけど、インフルエンザ?」というメールを頂きました。
ご心配おかけして、すみません。大変に忙しく、元気にしております。

更新していない時は、どうぞコメント欄(記事の補足も書いてます。)や
(ほぼ)毎日情報を発信しているtwilogをご覧下さいませ。こちらです
ツイッターに書いているものですが、登録していなくても読めます。

27日(火)の「レビーフォーラム2015」は、非常に期待しています。
 新幹線に乗ってでも、行く価値があると思います。

 参加費千円は、製薬会社などが、バックアップしていないためです。
 よくある認知症フォーラムとは、ずいぶん違うものになると思います。
   ★詳細・申し込み → こちらを (当日まで間に合うと思います)

「認知症なんて、皆、同じでしょ?レビー小体型なんて、何だかよく分からないし」
 という方は、是非この記事を →「2分でわかるレビー小体型認知症」

「認知症って診断だから、アルツハイマーよね? レビー小体型なんて言われてないし」
 という方でも、これを読むとレビーと気づくことも多いです チェックリスト

アルツハイマー病の方は、突然スイッチを切った様にボーっとすることはないです。
便秘とか、立ちくらみとか、だるそうとか、昼寝ばかりしている等もレビーの特徴です。


古い記事も是非読んでみて下さい。例えば

  アリセプトとレビー小体型認知症(製薬会社発表の副作用情報)

  ●リバスタッチパッチ・イクセロンパッチなどのシール型薬のかぶれ対策

  ●レビーの自律神経障害である重症の便秘を治す完全ガイド

  ●とても役立つ認知症 無料動画集

  ●レビー小体型認知症の日常 家族が描いたほのぼの漫画

  ●5種類の認知症 種類別 本人と家族の体験談集

  ●4大 認知症 早期発見チェックリストと認知症に間違われやすい病気

  ●認知症を主題にした映画集

関東の辺りは(全国的に?)、
大寒(1月20〜24日頃)から立春(2月4〜8日頃)が1年で1番寒いんだそうです。
インフルエンザやらノロやらも流行っています。
どうぞ皆様、お体に気を付けて!
春は、あと少し…。
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蠟梅(ロウバイ) 香りが素敵です。

親子・家族・夫婦、そして介護

追記:治験シンポジウムの案内など最新情毎日更新(「認知症と運転規制」も)

追記:コメント欄をお読み下さい。
  レビー小体型認知症(レビー小体病)の病名変遷の歴史他。


★お知らせ今月27日(火)の「レビーフォーラム2015」は、絶対に見逃せません
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リリー・フランキー著「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」から抜粋。

ふたりが離婚して、互いがこの先、一生会うことがなくても、ボクはどちらにも会う。
そして、オカンの側にはずっといる。
どちらか選べとくだらない質問をされたら、ボクは迷わず、オカンを選ぶ。

ボクを育ててくれたのは、オカンひとりなのだから。
オトンは面倒を見てはくれるけど、ジョンのように育ててはくれなかった。
そのための時間を持ってはくれなかった。
口と金では伝わらない大きなものがある
時間と手足でしか伝えられない大切なことがある

オトンの人生は大きく見えるけど、オカンの人生は十八のボクから見えても、小さく見えてしまう。
それは、ボクに自分の人生を切り分けてくれたからなのだ。

          (文中の「ジョン」は、休業して子育てをしたジョン・レノン。)
出典:齋藤孝著「心の琴線にふれる言葉」P53
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(孫とうれしそうに話をしている私の母の手)

「日々」(作詞作曲:吉田山田)をお聴き下さい→YouTube動画

歌詞の一部
         写真には写らない思い出 
        笑い出す二人 

        出逢った日  恋に気づいた日 
        結婚した日  別れたいと思った日 
        子供を抱いた日  手を離れた日 
        溢れる涙よ  これは幸せな日々


<関連記事>
認知症をテーマにした映画集(感想へのリンク集)
山田太一脚本ドラマ「ながらえば」引き離される老夫婦の気持ち
手紙 ~親愛なる子どもたちへ~ (歌・作曲 樋口了一)認知症の母からの手紙
*カテゴリ「介護家族の心理変化・気持ち
*音楽「いつでも何度でも」Erutanの美しい声で
*音楽「風に立つライオン」さだまさし

上田諭著「治さなくてよい認知症」

追記:ジュリアン・ムーアが、2015年アカデミー賞(主演女優賞)受賞。

追記:ジュリアン・ムーアが若年性アルツハイマー病を演じた「アリスのままで」が、1月11日ゴールデン・グローブ賞主演女優賞受賞原作本を紹介した記事→「静かなアリス
映画の予告動画(字幕なし)「私はこの病いに、ただ苦しめられている(suffering)のでなく、必死で闘っている(struggling)のです」という台詞が印象的。

追記:老化が大きな要因である後期高齢者の認知症中年期に発症する病気は違います。
   若年性アルツハイマー病・佐藤雅彦さん(60才)がラジオで語ったことこちら
(診断後9年を経ても自らの工夫自立した生活をされる姿に感動します)

追記:コメント欄お読み下さい。記事の補足もあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<記事本文ここから>

必読です。これこそが、介護者に、医師に、マスコミに、声を大にして伝えたいことなので、少し長いですが、本前半の重要部分を抜き書きします。

本にも明記されている通り、この本は高齢のアルツハイマー病を対象に書かれています。
物忘れがひどいからと無理矢理患者にしを飲ませる現在の認知症医療を批判
(注byしば:医療は、レビー小体型の場合、介護と同じ位重要になります。自律神経や意識の障害を伴い、年齢に関係なく適切な治療で改善し、生活の質が向上するからです。)

抜粋した部分は、どの病気にも共通します。是非、最後までお読み下さい。


   < 介護をより楽にするために、介護者が、理解すべきこと >

指摘しない議論しない叱らないを生活上接するときの鉄則として提案したい。
そのうえで「やって」や「こうしなきゃ」と言葉だけで「指導」するのではなく
慰める助ける共にする信条としたいのである。P32

記憶の間違いや(略)ミス、できなくなったことに対し指摘したり(略)
正論を主張して議論したり、感情的に怒ったする態度はとってはいけない。
「どうしてわからないのか、何度言ったらわかるのか」(略)
それは脚を骨折した人に「走れ!」と叱咤しているようなもの。P61

認知症の妄想の原因精神的孤立感と不安である。
生活が満たされていない/楽しみや張り合いがない(略)退屈で何もすることがない日々、自分がしたいことがなかなかできず家人に指図されあるいは頼り切っている生活。
邪魔にされている」という被害者意識が生まれても不思議ではない。P83

本人が、妄想を生まざるを得なかった心情を理解して対応したい
攻撃性、妄想の裏には、孤独感、疎外感と喪失感があることを知って欲しい。
医師も(略)本人の心情を(家族に)理解してもらう努力をすべき。
本人の自己肯定感居場所回復につながり、妄想は徐々に消えていく。P87

認知症を発見した時にすべき第一のことが、
自己肯定感や自尊心の傷つきからの回復である。
さらに生きる役割とそれがもたらす自己効力感の回復である。
本人のできないことを忘れていい、できなくていい受け入れることである。P32

初期から中期には一定の病識をもっている人がほとんど。
認知症の人本人が困っているとしたら、周囲が(略)ことさらに問題視して指摘したり、「治そう」という考えから修正しようとして何度も注意したり、
ときには感情的に叱責したり(略)—。
本人は、周囲からいろいろ非難されることにもっと悩み困っている。(略)
困ることなど何もなかった人を
困っている人にしているのは、実は周囲の見方や対応が中心なのである。P10

認知症は、自己肯定感(自尊心)が傷つき
これまでの対人関係(社会的関係)が壊れる病であり、
関係性悪化を背景とした精神的反応としてBPSDが生まれる
認知症は超高齢社会においては当然なるべきものであって
矯正するべきものではなく肯定と承認を与えるべきもの

三好春樹氏は人間関係が閉鎖的で、「介護をしてもらう」という
一方的な関係
が続いている場合に妄想が出やすいことを指摘。
迷惑をかけているという心理的負担を解消するために妄想が生まれる
嫉妬妄想もまた(略)置き去りにされるのではないかという不安感と怒りが心理的背景。P84
治さなくてよ認知症

     < 医療者が、よりよい医療のために知るべきこと >

認知症専門医は、いまのほうを向いて仕事をしているのか。(略)
認知症の人の気持ちを、認知症を診る医師は何よりもまず考えているだろうか。(略)
本人を前に、家族の訴えばかりに耳を傾けていたら、溝は決定的なものになる。
困っていなかった人を困った人にすることに認知症専門医が手を貸してどうする。
ありのまま受け入れることを指導してこそ専門医。

認知症の人の存在と心情に注目することは現在の認知症診療で一番欠けていること
認知症の人は、自分の存在すら危うく感じられている。
治療者の語りかけが、本当に必要なのは、認知症の人本人である
常に本人の立場に立ち、心情を受け入れて共感する態度が基本である。3章

高齢者のアルツハイマー病に限定して言えば、
病名を本人に告知する必要はないと私は考える。(略)
物忘れを自分でも感じ、周囲から指摘されて不安を覚え
自分の居場所存在自体が揺らぎ始めている認知症の人にとって
その宣告に耐えうる余力は少なくなっているし、何のために耐えるのか、
耐えて得られるメリットがない
。P63

認知症告知:患者さんの多くは(略)落胆し悲観し絶望する。どうやって受け止めるか。
その答えを持っていなければおかしい
本人の心情をよくよく考えた配慮が欠かせない。
安直な告知が、人格や人生を否定することになりかねないことを肝に銘じて、
本人の能力のうち、障害されたのはごく一部であること
認知症という病気には、否定的な側面ばかりではないことなどを
告知と同時に丁寧に説明しなければならない
それができないなら、告知などすべきでない
画像所見や認知機能検査の結果を伝えるときにも(略)
肯定的な所見を同時に伝えて本人の自尊心に配慮し、衝撃を最小限にすることである。P67

アルツハイマー病の場合、軽度から中程度ならば、
脳機能の障害は、脳全体からすればごく一部、それも記憶を中心とした部分であって、
本人のものの見方と考え方、感情や他人への配慮や気遣いには、ほとんど影響を及ぼさないBPSDと呼ばれるものは、脳の神経機能障害から生じているのではない。P70

ところが、認知症専門医の間にすら
脳器質性障害そのものによってBPSDが生じるという認識が広まっている
「診察室で突然大声を上げる(略)初期から見られる」(『認知症ハンドブック』)
このような無理解で一方的な記載が、国内最高とされる認知症の成書(教科書)になされていることは、わが国の認知症臨床の貧しさを象徴するもので、本当に嘆かわしい。P71

  < マスコミが、知るべきこと >

あるテレビの認知症報道:制作側に認知症の人本人の心情に対する理解がまるでない
思い込み、決めつけのもとに番組が作られている。
(略)これを視聴した人の多くが、認知症の人はこんなものだと思うとしたら
認知症診療に与える悪影響は大きく、番組の責任は重い。P48

(下線は、私、しばが加えたものです。)

<こちらも是非読んで下さい>
*「家族よ、ボケと闘うな!」長尾和宏・近藤誠著
*『認知症の「真実」』東田勉著。若年性レビー当時者Kさんやしばも出て来ます。
*「旅の言葉 認知症とともによりよく生きるためのヒント
*「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」長尾和宏・丸尾多重子著
*「静かなアリス」リサ・ジェノバ著。小説。若年性アルツハイマー病
 映画「アリスのままで」(ジュリアン・ムーア主演で昨年映画賞多数獲得)の原作
*「誤解だらけの認知症」市川衛著
*「新版 認知症 よい対応・悪い対応」浦上克哉著

2015年のはじまり

改めまして
      あけましておめでとうございます。
          今年もどうぞよろしくお願いいたします。


昨年末は、1年の最後に読んだ「家族よ、ボケと闘うな!」
(長尾和宏医師と役人の近藤誠氏の共著。ブックマン社)が素晴らしく、
記事の冒頭コメント欄やツイッター(1  )でご紹介しました。
これは、是非読んで下さい
コウノメソッドに関しても賛否両論書かれている所が、バランスが取れていて好きです。
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昨日は、「治さなくてよい認知症」(上田諭著 日本評論社)を読み始め、まだ最初の30ページですが、うれしくて、同じくツイッターに抜粋をいくつか書きました。

これは本にも明記されている通り、高齢者のアルツハイマー病を対象に書かれています。(80代90代で物忘れがひどくなった人をみんな病気と診断して、無理矢理薬を飲ませるような真似は止めようと訴えています。)
ですから適切な治療が重要な若年性アルツハイマー病やレビー小体型認知症など他の病気には、当てはまらない部分があります。
しかし認知症の捉え方、接し方など、医師も含め、私たち全員が心しておくべき重要な視点が示されています。こちらも是非お読み下さい。

さて、わたくし、今年のわくわくプロジェクトは、何をしようかと考えております♪
ふと、三日坊主をやり続けたら、1年で121回もの新しい経験ができると気がつき、
中々いいな〜と思っています。
人生で「1度も経験がない」と「1度でも経験したことがある」では、かなり違う
「1度だけ経験した」と「3日で3回も経験した」は、さらに…。
みなさんも是非、わくわくプロジェクトを計画してみて下さいね。
みなさんの1年が、笑顔わくわくで一杯になることをお祈りしています。
コアラ
(From Twitter:Earth Pictures@EarthAddicts instagram)

★お知らせ今月27日(火)の「レビーフォーラム2015」は、見逃せません

<関連記事>
症状から分かる認知症のタイプ分類質問票(山口晴保教授考案)
認知症の種類別早期発見チェックリスト(認知症に似た病気も)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集
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認知症Q&A(リンク集)まず一歩目。疑問・受診・治療
認知症という言葉 私の考えること
レビー小体型認知症を描いた漫画10作
製薬会社発表の「アリセプトの副作用とレビー小体型認知症」
2分でわかるレビー小体型認知症
レビー小体型認知症を疑ったら、診断されたら、まずここから読もう!
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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