スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

高齢者の認知症は脳の病気か?

(追記:ここでは、高齢者の認知症について書いています。若年性は少し違います)

認知症は、病名ではなく「自力での社会生活支障をきたす状態」を指す言葉です。
(日本でも使われている「アメリカ精神医学会精神障害診断基準」から。)

しかし多くの医師の啓蒙活動によって、多くの方は、こう信じていないでしょうか。
「認知症は、物忘れがひどくなる脳の病気である。(脳が萎縮する病気)
しかし早期発見し、早期治療さえすれば、進行を遅らせることはできる」

     私も長年それを鵜呑みにしてきました。
     しかし、今、大きな疑問を持っています。

認知症を引き起こす病気には、多くの種類があります。
レビー小体型認知症やピック病では、物忘れがない方々がいます。
脳も萎縮せずMRIPETによる画像診断精度は決して高くありません
早期であればある程、診断は困難。正しく診断できる医師は、少ないです。
薬剤過敏性(薬に弱い特徴)のあるレビー小体型認知症では、誤った薬物治療によって、改善する人以上に悪化する人がいると私は思っています。(→体験談集

アルツハイマー型認知症では早期に病識(病気の自覚)が失われる」とどの本にも書かれていますが、最近、それが間違っていることがわかってきました。(出典→アピタル

医師にも研究者にも認知症と生きる方々の内部(脳、心、体)で、何が起こっているのかわからないのです。
内部に残された多くの能力が、接し方によって引き出せるなどということは、多くの医師にとって関心のないことです。
それは医学の領域外のことですが、体と心を切り離して認知症という症状を改善することはできないと思います。

私は、今、認知症とよばれる症状を作っているのは、病気そのものよりも、医師の誤診誤った治療、周囲の人の接し方、社会の誤解偏見無関心、社会の仕組み(ATMを使わなければ預金を下ろせない等)などではないかと考えています。

この動画是非見てみて下さい。認知症介護で有名な三好春樹さんのインタビューです。
(自分が、明日倒れて認知症になっても苦しまずにすむ方法も語られています。)

    三好春樹氏、認知症とは何かを語る→YouTube(認知症きらきらネット)

三好氏の介護哲学集→こちら(介護や医療の職員向けですが家族にも)

<関連記事>
ユマニチュード(認知症介護術)テレビの放送内容詳細(実践動画も)
薬以外の様々な方法で改善した体験談
市川衛著「誤解だらけの認知症」認知症は病気か?
認知症介護・医療の何が間違っているのか 長尾和宏・丸尾多重子共著

P1030579_convert_20141031093423.jpg
スポンサーサイト

『旅のことば— 認知症とともによりよく生きるためのヒント』

追記:この小冊子の中身も見られる紹介スライド→こちら
……………………………………………………………………………

7月にインタビュー調査に協力させて頂いた研究を基に、素敵な小冊子が完成しました。
私もまだ見ていませんが、プレスリリースで拝見すると、私たち皆に、とても役に立ちそうです。制作して下さった皆様、ありがとうございます。そして本当にご苦労様でした。
<以下、プレスリリースから抜粋、転記。>
…………………………………………………………………………………………

   慶應義塾大学 SFC研究所 井庭崇研究室は、
   認知症とともに よりよく生きることを実践する工夫を まとめた
   パターン・ランゲージ
   『旅のことば — 認知症とともによりよく生きるためのヒント』を 制作しました。

   これは、認知症を受け入れつつ よりよい人生を生きるために、
   本人、家族、周囲のそれぞれが、
   具体的に どのような行動を起こすことができるのか を記述したものです。

   これにより、認知症であっても いきいきと暮らしている人たちの
   「前向きで実践的な工夫」を 広く紹介・共有し、
   多くの方が、より前向きに 暮らしていけるようになること、
   また、認知症とともに生きること について
   社会的な対話を 促すきっかけを つくることを 目指しています。

11 月に行われる以下のイベントで展示・発表、および冊子の配布をします。

  ▷ 完成披露会見 日時: 2014 年 10 月 31 日(金) 15:00 – 16:00

  ▷ 「認知症フレンドリー社会をどのように実現するのか?」ダイアローグセッション
    日時: 2014 年 11 月 4 日(火) 13:00 – 16:00

  ▷ G8 認知症サミット日本後継イベント(ブース展示)
    日時: 2014 年 11 月 5 日(水) 09:30 – 17:30
    2014年11月6日(木) 09:30 – 17:00

  ▷ 「認知症パターン・ランゲージによる対話のワークショップ」
   日時: 2014 年 11 月 16 日(日) 14:00 – 16:30


場所は、いずれも六本木詳細、問い合わせ、参加申込は→こちら

<関連記事>
*歴史的なニュース「「認知症の当事者が初の全国組織」
5種類の認知症 種類別 本人と介護家族の体験談集
*認知症になっても安心の社会を目指してRUN TOMO-RROW(RUN伴 “とも” )
 (NPO法人「認知症フレンドシップクラブ」の公式サイトへ)

P1020888_convert_20131125190157.jpg
川面(かわも)に映る紅葉

認知症の当事者が初の全国組織

追記:この全国組織の公式サイトはこちら(3つの会@WEB) 会員募集中!
……………………………………………………………………………………

2014年10月23日のNHKニュース。(動画付き公式サイトから全文コピー。)
 
   < 認知症の人たちで作る初の全国組織 >

認知症の人たちだけで作る初の全国組織設立され、23日、塩崎厚生労働大臣に
当事者の声国の政策に反映する機会を増やしてほしいと要望しました。

認知症の人たちだけで作る初の全国組織、「日本認知症ワーキンググループ」
病気への偏見をなくし当事者の声国の政策に取り入れてほしいと、
今月、設立されたもので、23日は、代表3人が厚生労働省を訪れ塩崎厚生労働大臣と面会しました。

この中で3人は、認知症への理解不足偏見が残っている現状を訴え、
認知症対策を議論する国の会議などにメンバーとして参加する機会を増やして欲しいと要望しました。

これに対して塩崎大臣は
「認知症の当事者が、公に声を上げたことには意味があると考えている。
認知症になっても希望尊厳をもって暮らしていけるような社会実現にしっかりと取り組んでいきたい」と述べ、国としてさらに対策に取り組む考えを示しました。

代表の1人で、鳥取市に住む藤田和子さん(53)は、
「認知症の当事者は何もできないという偏見が根強く残っている。
私たちが発言することで、認知症になっても自分たちの意思で活動し
社会に貢献できるんだということを示していきたい」と話していました。

PN20.jpg
写真は、47NEWSの記事から→こちら  *→毎日新聞の記事
FNNニュース動画こちら  →日本経済新聞記事

<この団体の代表をつとめる3人の体験談>
藤田和子さんの体験談(リンク集)
若年性アルツハイマー型認知症の佐藤雅彦さんの感動的な講演動画
ピック病を患う中村成信さんの記事
<その他の体験談>
5種類の認知症 種類別 本人と介護家族の体験談集
認知症のわたし(朝日新聞連載)

認知症の本人に聞いたことがありますか?

「驚きの介護民俗学」の著者で介護職員の六車由実さん(→記事)のツイートが、印象的だったのでご紹介します。

2014年9月20日放送のETV特集(Eテレ)「私たち抜きに 私たちのことを決めないで ~初期認知症と生きる~」(→記事・番組内容詳細)
( →番組に出演されていた若年性アルツハイマー型認知症の藤田和子さんの体験談

この番組に触発された六車さんは、グループホームの定例の話し合い(カンファレンス)認知症の利用者さん達を囲んで行ったそうです。

「利用者さんは、今の状況自分の思いをしっかりと説明してくれた
 こんな当たり前のことが、どうして今までされてこなかったのかと改めて思う」


とツイッターに書かれています。(六車由実@marronmiymiy)

「認知症の人は、分かっていない。まともなことなど話せない」という残酷な誤解は、
日本中に、いまだに広く、深く浸透していると思います。でもそう頭から思い込んでいるのは、実は、多くの医師看護師介護職員の方々でないかと、私は、感じています。

「何でもちゃんと分かっているのに、理解や返事に時間がかかるから、分かっているとは思ってもらえない。介護職員から、”分かっている人”として接してもらえない
というのは、レビー小体型認知症のご家族から頻繁に聞く悩みです。(→実例

私は、認知症と生きている方々が、切実に必要としているのは、お膳立てされた娯楽以上に、普通の人間として接し話をじっくりと聞いてくれる人だと思います。

敬意親愛の気持ちを持って「今、困っていることは、どんなことですか?」「そういう時、どんな感じがしますか?どう思いますか?」「うれしい時、楽しい時は、どんな時ですか?」など色々質問してみて下さい。
ゆっくりと繰り返し分かるまで伝え、返事が返るまで辛抱して待って下さい。
想像もしなかった言葉が、出てくると思います。

<関連記事>
認知症高齢者11人の手記(文藝春秋)(家族へも語られない苦悩)
74才、要介護4、長谷川式知能テスト4点の時に母が語った自分の症状(的確に語る)
日本でも始まっている認知症当事者たちの活動(「3つの会」というサイト)
*認知症当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」発足の記事→毎日新聞
scot.jpg
「スコットランドで初めて認知症の当事者として声を上げた一人、ジェームズ・マキロップさん(右)。彼の存在が認知症政策を大きく変えるきっかけとなった」
この文と写真は、NHK公式サイトから。

若年性レビー小体型認知症体験談(Mayさんのご主人)

若年性レビー小体型認知症のご主人と生きるMayさんへのインタビューです。
介護が楽になるヒントをたくさん伺いました。
(字数の関係で文体を変えましたが、話されたままの言葉を極力残しています。)
……………………………………………………………………………………………………

43歳(1992)字、文章、挨拶が下手になる。 冷えや起立性低血圧が年々悪化する。
50歳(1999)それまでなかった置き忘れなどのミスや車を擦ることが増えてきた。
57歳(2006)不眠に処方された精神安定剤を飲むと口元が固まり表情が乏しくなった
       ある医師の勧めで心筋シンチグラフィ検査を受けると歩行障害も震えも
       ないのにパーキンソン病と診断(誤診)される。
       この頃から医師に自分で病状を説明できなかった
59歳(2008) 小刻み、すり足歩行始まる。レビー小体型認知症の疑いを指摘される。
61歳(2010) レビー小体型認知症と診断され、認知症治療を始める。要介護3
64歳(2013) 急に色々なことができなくなってきた。長距離には車いすが必要。

…………………………………………………………………………………………

   診断まで18年かかったのですね?」

仕事が激務だったのでストレスが原因ではないか、その後は歳のせいと思い、認知症を疑ったことはなかった。本人に聞いてみても、病気の可能性を否定していた。

   「認知症の治療を始めて4年。診断後の治療は?」

医師の勧めで4分の1錠に割ったアリセプト(抗認知症薬)を飲ませたが、眠込んだり、強い妄想が出た。更に微量、粉にしてなめるだけでも効く可能性があると言われたが、止めてしまった。現在は、リバスタッチパッチ(抵認知症薬)を処方されている。

   「今は、どんな症状がありますか?」

日によって差がある。
服の着方(前後裏表、どの穴に何を通すか)がわからないことが徐々に増えてきた。

幻視は、壁から手や水が出てくる、トイレが赤いなどと言う。最初から「症状だ」とよく話し、本人も納得しているせいか、怖がったり興奮したことはない。ソファーに「赤い帽子の人が…」と言う時は、赤いクッションを片づけると消えたりする。

毎日夕方5時位になると目つきが険しくなり、幻視と妄想の世界に入ってしまう。
最初は戸惑ったが、安全性だけ確認して1人にして置いた方がいいのだと段々分かった。
30分から1時間位するとまた元の穏やかな夫に戻る

ちゃんと会話はできるのに、時間感覚だけが、ひどくおかしい時があり不思議だった。


   ショートステイに行くと、ひどく悪化していることがある。なぜですか?」

ストレス。夫との会話には時差がある。ゆっくり繰り返し伝え、理解し、返事をするまで長い時間が必要。すぐに諦めて無視せず、返事が返ってくるまで待ってあげて欲しい
夫も苦しんでいて、意思疎通ができないと「何もしないでくれ!」と拒否状態になる。


   「パーキンソン症状に対する介護のコツがあるのですね?」

トイレでの介助もいで強い力で無理矢理やると、かえって体が動かなくなる
漏れたら拭けばいいと思って、ゆっくりやると、軽い力でもちゃんと動いてくれる
トイレは、失敗しても責めないように気をつけている。  
日々、試行錯誤の繰り返しだが、上手くいくと嬉しくて、また色々工夫して試してみる。

夫は、音楽が好きで、聞いている時は表情が良くなる。本人が好きなものは、とても大事だと感じる。「美味しい・楽しい・気持ちよい」をモットーにしている。


   「今までの介護の中で、特に心に焼きついていることがあるとか」

家がいくつもあるとか、私が3人いると言う。優しい私、怖い私、力持ちの私などがいるよう。力の要る時「もう1人の人に頼んだら?」と言う。(→解説
私がイライラしている時「○○(私)を呼んで欲しい。○○(私)に会いたい」と言う。
そう言われた時は、とても悲しかった。でも夫の気持ちがわかり、夫を不安にさせたり不機嫌にさせるのは、病気のせいだけではなく、私のあり方、接し方なのだと…。


   「初めはとても大変だと思っていた介護が、段々楽になってきたそうですね」

失敗を通じて自分が少しづつ変わり、自分が変わったことで夫も変わるのだと感じる。
夫の失敗に対して、夫も自分も責めなくなった。お互いのために、それが、一番いい。

夫に色々押し付けている間は、上手くいかず、とても大変で、逃げ出したかった
しばさんのブログを読んで、夫の症状を夫の側から見るという視点に気づかされた。
自分の側からだけ見ていると苦しいことも、視点を変えると腹が立つことも減り、楽になった


   「お一人での介護を長く続けていくために必要なものは?」                                      
長い介護生活の中では、自分一人になる時間が救いになる。夫の顔も見えない、声も聞こえない空間に入って、自分の好きなことをする時間が、わずかでも必要だと思う。

<関連記事> 
幻視ほか、幻覚の体験談: いつ何がどう見え、どう感じるのか
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集 
体験談「時間の感覚が失われる」。本の紹介「空間認知能力の鍛え方」
力づくでは動かない手が優しい力で動くユマニチュード実践動画(幻視実例も)
P1020784_convert_20131107191033.jpg
コキア(和名:ホウキギ)       

アリセプトとレビー小体型認知症(製薬会社発表)

エーザイが公開する<レビー小体型認知症へのアリセプトの効果と副作用> → こちら
(治験の結果や使用上の注意事項などが非常に詳しく書かれています。必読!) 

   この中から、家族が、必ず知っておくべき部分を抜粋します。(青字部分)
   副作用、知識がなければ、病気の症状と思って見過ごします。→副作用具体例
全てのの全ての情報を暗記している医師はいません。人間ですからミスもあります。
  家族が 気を付け、医師に伝えなければ、適切な治療は 受けられません
……………………………………………………………………………………………………………

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
    本剤の成分 又は ピペリジン誘導体に対し 過敏症の既往歴のある患者


   ●ピペリジン誘導体を含む主な薬剤一覧→こちら  
               (抗精神病薬のセレネース、リスパダール等多数)

 ■ レビー小体型認知症  承認時までの臨床試験において、総症例346例中、
 169例(48.8%)の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が報告されてる。(承認時)

重大な副作用として、QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、
洞不全症候群、 洞停止、高度徐脈、心ブロック、失神、心筋梗塞、心不全、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血、 肝炎、肝機能障害、黄疸 、脳性発作、脳出血、
脳血管障害、錐体外路障害(アルツハイマー型認知症: 0.1~1%未満
             レビー小体型認知症: 9.5% )、
悪性症候群(Syndrome malin)、横紋筋融解症、呼吸困難、急性膵炎、急性腎不全、
原因不明の突然死、血小板減少がある。

注byしば:錐体外路障害とは、小刻み歩行不安定な歩行/動作が遅い声が小さい
表情が乏しい/手が震える/体が固まったようになりスムーズに動かない口の周り手足勝手に動くがもつれる/が強くこわばる/じっとしていられない/
よだれが出る等の症状です
。→簡単な説明 →詳しい具体例(薬の副作用で起こる場合)

   <使用上の注意> 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
①心疾患
(注byしば:心臓の病気や障害。詳しくは→原文のある患者
消化性潰瘍の既往歴のある患者、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中の患者
気管支喘息または閉塞性肺疾患の既往歴のる患者
錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者

レビー小体型認知症では、日常生活動作が制限される、あるいは薬物治療を要する程度の錐体外路障害を有する場合、本剤の投与により、錐体外路障害の発現率が高まる傾向
がみられていることから、重篤な症状に移行しないよう観察を十分に行い、
症状に応じて減量又は中止など適切な処置を行うこと

易しく書くと「パーキンソン症状(小刻みにしか歩けない、体が固まりスムーズに動かない等の症状)がある人は、その症状が悪化する傾向があるので、十分に気を付け、悪化するなら、減量中止が適切である」。

●エーザイのアリセプト情報サイト→こちら  →簡潔明瞭な臨床診断基準

<関連記事>
アリセプトの副作用について(小阪憲司医師を含めた医師たちの言葉)
レビー小体型認知症は、薬に弱いことが特徴(薬剤過敏性)(副作用が出やすい!)
レビー小体型認知症のパーキンソン症状の特徴(出ない方も)
パーキンソン病とレビー小体型認知症は、ほぼ同じ病気と考えられている
高齢者の認知症を悪化させやすい薬一覧(レビー小体型が一番危険性高い)
15
simsimさんの描くレビー小体型認知症の日常→漫画集
絵は、パーキンソン症状。転倒寸前場面。歩く時は通常、腕を振らず手は前に固定。

周囲が作る「認知症」 

前の記事(「認知症高齢者の手記集」→こちら)からの続きです。

文藝春秋(2014年8月号)に掲載された『「認知症高齢者」11人の手記を公開する』。
解説:重度認知症デイケア「小山のおうち」を開設した高橋幸男医師(エスポアール出雲クリニック院長)。聞き手:奥野修司氏(ノンフィクションライター)

以下(青字部分)は、記事からの抜粋です。
………………………………………………………………………………………………

「小山のおうち」では「徘徊」や「物盗られ妄想」といった認知症特有の行動がほとんどない(略)ここにいる人たちはよく笑い、よく喋る
笑顔はQOL(生活の質)を高めるといわれる。そのせいか、ほぼ全員が中程度から重度なのに、どう見ても軽度にしか見えないのである。

ボケてもいい社会であれば、それだけで屈託がなくなり、穏やかになっていくものだ。
P1030188.jpeg
認知症になると話ができなくなるかというと、そうではない。(略)
家では会話がないのに、「小山のおうち」ではすらすら喋るのは、尋ねられた後、
二呼吸か三呼吸は待ってもらえるからだ。

認知症高齢者は家族の中で孤立しているだけでなく、毎日怖い顔で叱られ続ける世界にいる。(略)やがて精神的にも限界がくる。
我慢の限界を超えると暴力をふるう人もいるが、「帰ります」と家を出て行く例が多い。
(略)本人は「家出」のつもりでも、世間では「徘徊」と呼ぶ。(略)
本人にすれば、自分の居場所を探しているだけなのだ。

話しかけてみることが重要である。認知症になっても(略)心は壊れていないのだから、我々と同じように悩んでいるのだ。(略)辛さは並大抵ではない。
たとえ言葉のキャッチボールができなくなっても、分からなくなったと思うべきではない
その人の得意話苦労話など、古い記憶に根ざした話を、こちらから一方的に話せば通じているはずだ。話しかけることによって人間関係が維持されれば、大事にされていると思い、穏やかになっていく

(略)高齢化社会がやってきて(略)<認知症の人=人格が壊れた人>というイメージが出来上がる。それを決定的にしたのが、有吉佐和子さんの「恍惚の人」だった。(略)
それがいつの間にか日本人の認知症観になってしまったのである。
(略)認知症の人はバカにされ、きわめて生きにくい存在になってしまった。
家族が「しっかりしろ」というのも、その背後に惚けることを認めない文化があるからだ。

P1030186.jpeg
写真は2枚ともユマニチュードの記事から。2人とも「手の付けられない重度認知症」と
周囲からは思われていたが、敬意と愛情を持って話し掛けられるとこの笑顔。

<関連記事>
認知症と生きる方が必要とする2つのもの
認知症安心ケア10か条(浦上克哉・鳥取大学医学部教授の著書から)
フランス発「ユマニチュード」認知症介護の技術
風邪薬、胃薬、鎮痛剤、睡眠薬、精神安定剤などの薬で認知症が悪化することも
薬以外の様々な方法で劇的に改善するレビー小体型認知症の体験談

認知症と生きる高齢者の心の叫び

文藝春秋(2014年8月号)に掲載された『「認知症高齢者」11人の手記を公開する』。

重度認知症の方々のためのデイケア「小山のおうち」を1993年に開設した高橋幸男医師(エスポアール出雲クリニック院長)は、妄想の世界にのみ生きていると思い込んでいた
認知症の方々の豊かな心の世界を知って衝撃を受け、1996年に医学専門誌「メディカルトリビューン」に通所者の方々が書かれた手記を発表しました。

その手記の一部を抜粋してご紹介します。年齢は書かれた当時のものです。
18年経った今も、多くの方に知られていない認知症の真実の姿だと思います。
…………………………………………………………………………………………

最近物忘れをするように成った
物忘れは悪い事です なさけない事です(略)早く死にたいです
それほど物忘れはつらいです            (82才 男性)

私はびょうきをしたため人生が終わった様な気がする(略)
自分はいままで強いばかりで生きてきた(略)自分より下のものには威張って来た
(略)今頃になって自分がやってきたこは大失敗だと思う。    (77才 男性)

家族からかるくみられているのかなあと思ふから置いてかれるような気がして
何んかさびしくなるようです。         (79才 女性)

しかられ私もつい大きな声を出して口ゲンカに成ってしまい情けなくついを出してしまいました。好きで忘れたりウロウロしているわけじゃないことを知ってほしかった(略)
よそでは人様に気付かれない様に余り話さない様にしています
それは家族が笑われない為です。        (73才 女性)

年を取りまして頭が半ボケになってなかなか頭が廻りません。
言葉がわかりませんが、がんばります。(略)
(息子が)唯シャベル事は私を叱りつける事だけ。さみしいだけです。(75才 女性)

三男は其の様な私を見てないていました。(略)それはつらい事でございました
今ではこれでいけないと思いまして、何でもメモするように心がけました。(略)
今ではお山のお家にくる様になりまして気持ちがかるくなり胸につかえていたものが何時のまにかとれました。
物忘れもすくなくなった様な気が致します。
子供達もあかるくなったといってよころんでいます。(82才 女性)

時間が与えられず、今々と急かされると困る。そんな時駄目になった自分を感ずる。(略)泣くことはないが悲しくなる。(略)
人には云わぬが自分を叱る。叱ることで自分を応援し勇気づける
将来のこと迄は思わないで只、その時点を踏んばる。     (81才 男性)

家ではダンナや息子がときどきおこることがある。何でおこるかと私もおこる。おこられると家出することがある。私はいないほうがいいと思われると思うから家出する(略)。
アヤちゃん(嫁)は親切で優しい子です。家族の中で頼りになるのはアヤちゃんです。(64才 女性)

おかかに毎日しかられております。(略)毎日の物忘れ なんとかなりませんか?
自分自身が残念で、くやしいです。
(略)自分自身がなさけなくなる今日此の頃です。       (75才 男性)

物忘れが酷くなり思い出す事が出来なくなりとても息苦しさを感じる事がこの所多くあります。
子供には叱られて、年金も取り上げられ、友達と逢う事も出来ずとてもつらい日々を過ごしている所です。
家の中では話をする人がいなくてとても苦しい日々です。
でもお山の家は楽しく、ほんとうに良い所です。(略)皆さんはいい人ばかりで楽しく過ごさせて頂き皆さんに感謝しています。               (67才 女性)

物忘れがあっても気にならない社会があるといいなあ
とにかく物忘れがあるとはずかしい気持ちになり、適当に話をきいて分かったふりをする。(略)物忘れは誰もが行く道だと思う。(略)
物忘れをしていたら又、人に聞けばいい。皆ながしっかりしてくれと励ましてくれる。
だけど、どんなに励まされてもできないことは出来ない
そんなことを理解してもらいたい。               (77才男性)


— 次の記事「周囲が作る”認知症”」へ続く —

<関連記事>
自分の症状や気持ちを語るレビー小体型認知症の母(74才。要介護4)
若年性レビー小体型認知症本人「認知症に見えない」と言われる気持ち
若年性アルツハイマー病と生きる藤田和子さんの経過・気持ち・活動
若年性アルツハイマー病に罹った女性大学教授の心理を描く優れた小説

P1010608_convert_20121016192202.jpg
エリカ

2分で分かるレビー小体型認知症

レビー小体型認知症はどういう病気なのか、何が一番重要なのか、2分で説明してみます。
最低限これだけ知っていれば、怖れる病気にも絶望的な病気にもなりません

    <<<  レビー小体型認知症 とは  >>> 

①「レビー小体」という丸い物質(肉眼では見えないたんぱく質の塊)が、
  を含めた全身に溜まることによって起こる、原因不明の全身病です。

②「レビー小体」が、脳や体のどこに、どれだけ溜まるかによって
  出る症状も、症状が出る順番も、症状の重さも一人ひとり大きく異なります。

物忘れは、比較的目立たない軽い方が多く、むしろ注意力の低下が目立ちます。
 (アルツハイマー病との合併は少なくありません。→出典

パーキンソン病と同じ小刻み歩き転倒体の不自由さが出る方もいます。→漫画

幻覚が見える方が多く、虫、人、動物などが、本人には実際にリアルに見えます
 家族が頭ごなしに否定したり、叱りつけると、ストレスから多くの症状が悪化します。
8106ca.jpg
simsimさんの漫画幻視は、意識も思考力も正常かつ正気でもはっきり見える。)

自律神経が冒され、立ちくらみ、失神、便秘、汗の異常など体調不良が目立ちます。

非常にしっかりしている時とぼんやり/もうろうとしている時の差が激しいことも
 アルツハイマー病にはない大きな特徴です。(→具体例

薬に弱い体質となり、通常量の薬で強い副作用が出やすいため、家族の知識観察
 早期からの正しい診断適切重な治療が、その後の明暗を分けます。

⑨ 特に精神科の薬(抗精神病薬)には弱く、副作用で認知症が進んだように見えたり、
 動けなくなったりする場合があります。一刻も早く医師に相談し対応して下さい。

適切な治療ケアを受ければ、長く良い状態を保つ方が、少なくありません。
 中には10年進行しない方や(病名に反して)認知症にならない方もいます。→出典

補足:認知症は「認知機能が衰えて自立した生活ができない状態」を指す言葉です。
病名に関しては、専門家の間で議論が続いています。パーキンソン病(脳幹にレビー小体が蓄積する。)も含めてレビー小体病と呼ぶ方が正確だと考える医師たちがいる一方、パーキンソン病の診断を決して変えない医師たちもいます。(→新聞記事


追記:進行の速度個人差が大きい理由についての1つの説→こちら

追記:この病気の発見者・小阪氏が語る誤診の悲劇の多さこちら →誤診名一覧

追記:テレビ朝日「みんなの家庭の医学」(10月7日)レビー小体型認知症を紹介。
番組の詳しい内容は→こちら/ →チェックリスト →認知症名動画集 →認知症漫画
血圧調整機能低下で異常な高血圧や低血圧になります。(人により様々。)変動幅も大。




<関連記事>
レビー小体型認知症 初めの一歩 まずここから読もう!(発見チェックリスト他)
レビー小体型認知症を描いた漫画10作品(リンクで詳しい症状を解説)
幻視への具体的な対応方法(家族の対応次第で問題はなくなる)
パーキンソン病とレビー小体型認知症はほぼ同じと考えられている(重要リンク集)
アリセプトとレビー小体型認知症(製薬会社発表の副作用) 必読!
レビー小体型認知症にアリセプト承認で起こりうる悲劇
5種類の認知症 種類別 本人と介護家族の語る体験談集(必読)
P1010723_convert_20130918092707.jpg
秋明菊(シュウメイギク)

症状さえ知っていれば防げること

レビー小体型認知症の家族会サイトに掲載している皆さんの体験談集(7人分)。
若年性レビー小体型認知症の男性の奥様(Aさん。50代)の体験記を加えました
アルツハイマー病と誤診されていた方です。是非お読み下さい。 →こちら

この体験談シリーズでは、長い経過を「症状中心」に簡潔にまとめています。
多様な症状を レビー小体型認知症の症状とは 知らないばかりに、
長年に渡って、いくつもの病院で精密検査をし続ける方は、大変多い
です。

頻尿、便秘、立ちくらみ、失神、微熱、冷え、汗の異常、疲労感、動悸、痛みなどは、
  レビー小体型認知症の自律神経症状としてよく現れるものです。詳細

 ●その他のよく知られていない症状 →早期発見チェックリストを

この病気は人により、同じ病気とは思えない程、出る症状出方出る順番違います
  幻視(幻覚)のない方/パーキンソン病と同じ運動障害のない方/
  物忘れや認知症のない方/自律神経障害が非常に重い方・軽い方、様々です。

重要な特徴薬剤過敏性微量の薬で効果が出る/通常量の薬で強い副作用が出やすい)これも個人差が大きく、過敏性の強い方は、深刻な危険に対し特別な注意が必要です。

今まで多くの家族からお話を伺い、一番問題となる(しかし少なくない)例はこうです。

本人・家族が、病名症状知らない →正しい診断まで長年かかり、病気は進行
→本物にしか見えない幻視などのために不安が膨らむ/家族との軋轢も起こる→
→精神的ストレスから悪化の一途 →医師もこの病気をよく知らず、誤診しやすい
→診断できても「落ち着く薬」等と通常量の抗精神病薬抗認知症薬などを処方→
→更に悪化して、動けなくなり、寝たきりになる/興奮したり怒りっぽくなる→
→家族が気づいて、すぐ原因となっている薬を止めれば回復する
→「認知症が進行しました」という医師の説明を信じて飲ませ続ければ、やがて飲み込む
 ことも難しくなり、誤嚥性肺炎を起こし始める

*私は、「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会 東京ゆるゆる組」の運営メンバー
 ではありません。介護家族として苦境にあった時に助けて頂き、そのご恩返しに記事を
 書かせて頂いています。
 会費も取らずに、客観的、中立的立場で正確な情報発信をする、信頼できる会です。

<関連記事>
レビー小体型認知症 初めの一歩 まずここから読もう!
レビー小体型認知症を描いた漫画10作品
5種類の認知症 種類別 本人と介護家族の語る体験談集(必読)
パーキンソン病とレビー小体型認知症はほぼ同じと考えられている(重要リンク集)
レビー小体型認知症にアリセプト承認で起こりうる悲劇

P1030520_convert_20141003100637.jpg
クリックして拡大すると何が写っているかわかります。
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。