認知症タイプ分類質問票

認知症の種類を判別するためのチェックリストです。(下記青字部分)
考案者は、群馬大学大学院の山口晴保教授(週刊朝日 2014年7月4日号掲載)

注 byしば:分類が重要なのは、認知症の種類によって治療(薬の種類や量など)
対応(ケア)を変えなければ、更に悪化するからです。(→レビー小体型の場合
しかし認知症は、2〜3種類合併することも多いので注意と各認知症の知識が必要です。

レビー小体型認知症では、アルツハイマー型の症状や脳血管性の症状(やる気がない/飲み込みにくい)が出ることがあります。→詳細(レビー小体型の3タイプ)
物忘れはなく、注意力の低下(計算間違い等)だけが出たり、「非常にしっかりしているのに、たまにおかしなこと(ありえないこと)を言うのが始まりだった」という家族も少なくありません。

追記:前頭側頭型認知症は、ピック病を含みます。
………………………………………………………………………………………

    認知症タイプ分類質問票(考案:山口晴保教授)

 ご本人の日々の生活の様子から、当てはまるものに丸つけて下さい。
 (1つでも丸がついた場合は、疾病を疑います。) 

<軽度認知障害>(記憶障害があっても日常生活は送れる)詳細

    しっかりしていて、一人暮らしをするのに、手助けはほぼ不要
    買い物に行けば、必要なものを必要なだけ買える
    薬を自分で管理して飲む能力が保たれている

<せん妄>(意識障害の1種で症状が変動する) →詳細

    この1週間〜数ヶ月の間に症状が急に進んでいる

<アルツハイマー型認知症>(物忘れが多くなる) →詳細

    お金など大切なものが見つからないと、盗られたと言う
    最初の症状は物忘れだ
    物忘れが主な症状だ
    置き忘れやしまい忘れが目立つ
    日時がわからなくなった
    できないことに言い訳をする
    他人の前では取りつくろう

<レビー小体型認知症/パーキンソン病に伴う認知症 →詳細 →漫画集

    頭がはっきりしている時とそうでない時の差が激しい →詳細 →具体例
    実際には居ない人や動物や物が見える        →詳細 →具体例1 2
    見えたものに対して、話し掛ける・追い払うなどの反応をする 
    誰かが家の中に居るという             →漫画 →具体例
    介護者など身近な人を別人と間違える        →漫画 →具体例
    小股で歩く                    →詳細 →動画
    睡眠中に大声や異常な行動をとる          →詳細 →漫画
    失神(短時間気を失う)や立ちくらみがある     →詳細 →対策
    便秘がある                    →詳細 →対策
    動作が緩慢になった                →詳細 →動画
    悲観的である                   →詳細 →具体例

<脳血管性認知症>(意欲がなくなり、反応が鈍い)詳細 具体例

    動作が緩慢になった
    悲観的である
    やる気がない
    しゃべるのが遅く、言葉が不明瞭
    手足に麻痺がある
    飲み込みにくく、むせることがある          →詳細
    感情がもろくなった(涙もろい)           →具体例
    思考が鈍く、返答が遅い

<前頭側頭型認知症>(性格が変わり、社会性がなくなる)→詳細

    最近嗜好の変化があり、甘い物が好きになった
    以前よりも怒りっぽくなった
    同じ経路でぐるぐると歩き回ることがある       
    我慢できず、些細なことで激高する
    些細なことで、いきなり怒り出す
    こだわりがある、または、まとめ買いをする
    決まった時間に決まったことをしないと気がすまない  →具体例
    コロコロと気が変わりやすい
    店から物を持ち去る(万引き)などの反社会的行動がある
    じっとしていられない

<正座不能症状>(薬の副作用でじっとしていられず動き回る)

    じっとしていられない

<正常圧水頭症>(物忘れの他、尿失禁や歩行障害になる)詳細

    尿失禁がある
    ボーッとしている
    すり足で歩く                    →動画

<失語症>(言語障害が起こる)

    言葉が減った
    ものの名前が出ない

<関連記事>
*「認知症Q&A」(認知症の疑い!受診は?治療は?介護は?まず何をする?)
*「抗認知症薬アリセプトが徘徊や暴力の原因になることも」(長尾医師の本から)
*「認知症の種類別 本人と家族の体験談集」(貴重なヒント満載)
*「親の認知症に気づいて!」(日経新聞から)
認知症の種類別 解説講義動画集(治療やケアの注意点も詳しく分かり易い)
*「認知症の種類別 口答知能テスト(長谷川式スケール)の答え方
*「認知症の種類別 外見や言動の違い」(医師の解説)
*「アルツハイマー型認知症の進行の仕方(FAST)(大きく違えば他の認知症の可能性)
*「認知症の種類別 早期発見チェックリストと症状」(認知症以外で物忘れの出る病気も)
パーキンソン病、レビー小体型認知症との関係に関する重要リンク集(必見)

認知症チェック
認知症タイプ分類質問票(クリックすると拡大します。)

レビー小体型認知症のドキュメンタリー映画

追記:コメント欄に映画を見た感想(2人)があります。
…………………………………………………………………………
先月の記事でご紹介した伊勢真一監督のドキュメンタリー映画

妻の病—レビー小体型認知症—上映は、7月5日(土)日比谷

  詳細は→こちら(連絡先も)

入場希望者多数の場合は、電話予約をした方優先になるそうです。

その後の上映は未定ですが、希望すれば、全国の公的施設などを利用して自主上映できるそうです。(基本料10万円+税がかかります。)

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画像をクリックすると拡大します。
画像はfacebook(いせ filmさん)から。

<関連記事>
レビー小体型認知症 即習ガイド(症状、診断、治療の注意点など)家族会サイト
認知症の種類別 早期発見のチェックリスト・症状集
(うつ病、てんかん、甲状腺機能低下症のチェックリスト等もあります)
パーキンソン病とレビー小体型認知症の関係(リンク集)(関連記事を)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集
認知症Q&A 認知症を疑ったら、まず何をどうすればいいのか
とても役立つ認知症動画集(各認知症の違いや注意点もわかる)
若年性レビー小体型認知症 本人の語る体験談集(リンク集)

認知症のような症状の出る様々な病気(日経新聞)

認知症=物忘れ(=アルツハイマー型)と広く浸透していますが、趣味をやめる/だらしなくなる/怒りっぽくなる/心配性になる/味覚や臭覚が衰える/寝てばかりいる等、
他の症状が初期症状として出てくることも多いです。(チェックリスト

うつ病パーキンソン病等と誤診されることも多いレビー小体型認知症
前頭側頭型認知症(ピック病)の一部では、物忘れが目立たない場合があります

(レビー小体型認知症には、記憶障害が目立ち、アルツハイマー型と誤診されるタイプ
もあります。→3つのタイプの詳細
認知症の種類別チェックリストは→こちらを

レビー小体型認知症では、初期から
     ●表情の乏しさ(暗く硬く病的で異様な印象をうける無表情
     ●生気(覇気・元気・気力)のなさ
     ●歩行を含めた動作の緩慢さ、会話時の反応のにぶさ
等が目立つことがあります。
しかし目立った物忘れもなく会話は成立するので、多くの同居家族は
たまに変なことを言うけど、認知症じゃない」と思い込みます。(→実例漫画

追記: 適切な治療こちら)で生き生きした表情は、取り戻せます
(母は、パーキンソン病と診断され、治療中、上記3つと幻視どんどん悪化しましたが、その後、適切な治療によって4年後の現在でもにこやか穏やかに生活しています。)

以下は、2014年6月14日の日本経済新聞(NIKKEIプラス1)の記事です。
解説者は、筑波大学医学部付属病院精神神経科教授の浅田隆氏と牧野真理子医師。

以下、青字部分は、記事から一部抜粋、一部要約。


         < その物忘れに潜むもの >

最近、物忘れが多くなった。もしや認知症では…と心配している40、50代のほとんどは、他に原因がある。
一番多いのは、疲れストレス睡眠不足などから一時的に頭の働きが落ちている場合。

<認知症の可能性をチェック>(注byしば:アルツハイマー型のみに適応)
  ●食べたものではなく、食べたことそのものを思い出せない。
  ●何度も同じことを言ったり、聞いたりする
  ●いつもの道で迷子になった
  ●むしろ家族の方が心配している

  いずれにも当てはまらなければ、以下の原因が考えられる。

栄養不足 ビタミンB群などが不足すると疲れやすく頭が働かない症状が。
      ダイエットや摂食障害の10代20代の女性に多い。

更年期症状 女性ホルモンが減ると脳の情報伝達にも影響する。

うつ病  記憶力、集中力、注意力などが低下。覚えられない、思い出せない。

てんかん けいれんがなく、数分〜数十分意識だけもうろうとなるタイプがある。
      40代以降の発症が多い。

甲状腺機能低下症 記憶力低下、眠気、無気力などが出やすい。女性に多い。


<関連記事>
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何が認知症を悪化させているのか(医師の本から)
パーキンソン病、レビー小体型認知症との関係に関する重要リンク集(必見)

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鈴蘭(スズラン)の実

最近の母

母が急激に悪化してから4年以上になる。特別養護老人ホームに入って3年近く。
最近、再び要介護5になった。余程調子の悪い時に面接したのだろうと想像する。

母は、すっかり穏やかになって、もう突然怒り出すことが(私の前では)まったくない。
発作のように不安に襲われて、取り乱すこともなくなった。
母は、ただ静かに微笑みながら、いつまでも楽しく私との会話を楽しむ。
調子が良ければ、話の内容は、健康な頃と変わらない。

身内にあった祝い事を喜び、眼鏡をかけて、写真の1枚1枚を熱心にながめる。
「○○(名前)、幸せそうで良かったねぇ」と嬉しそうに見つめている。

その祝い事で、私が、昔、母からもらったものを人からとても誉められたと伝える。
「結婚した時、母が、持たせてくれたんです」
「そうですか。素晴らしいお母様ですねぇ」
そんな会話をしたのだと話す。
自分のためには、何も買わず、贅沢とは無縁の母だった。
感謝を伝えると「もう、止めて」と言って、涙を流している。

母は、にこやかで、しっかりしているけれど、命のエネルギーのようなものが小さくなった気がした。
声も更に小さくなり、むせないが、食べる量が減った。お菓子も求めない。
なんとなく体型も違う。
耳と肩の距離が縮まった気がして、首の付け根(背)を触ったら石のように固かった。
揉むと柔らかくなり「気持ちが良い」と喜んだ。
この固まり(パーキンソン症状の固縮か?)が徐々に広がって、やがて喉まで固めてしまうのだろうかと思うと怖くなった。

あまり目立たなかった短期記憶障害も確かに出て来た。
すべてではないが、新しい記憶が、時々きれいに消えていることに驚かされる。
母は、過去4年で一番穏やかだ。でも母の病気は、進行している。

穏やかな母を見ていたら、『これなら自宅で看られるじゃないか!』と思った。
『私の家に連れて帰りたい!』と、ふいに、強烈に思った。
(ただひとり、4年間、自宅介護を切望し続けてきたのが、父だった。)

私の家に連れて行くことは、現実的に、無理だ。
母から父(毎日母に会いに行く。)と兄を引き離すことになる。親しい親戚も。
母を家で看るなら、私が、私の家族と別居して実家に住み込むしかない。

私は、堪え切れなくなった。
何年もの間、一度も言えなかった言葉を、気が付けば口にしていた。

「お母さん、幸せ?」
(家族と離れて、一人きり、施設にいて、こんな生活で幸せ?!)
「幸せだよ」
母は、即答した。健康な時と同じ声で、同じ笑顔で。
我の強い子供に、やさしく諭すように。

<関連記事>
2014年2月の母「私、頭が変。怒り出すと止まらなくなる。怒りたくないのに」
2013年2月の母「可哀想かどうかなんて本人にしかわからないことだよ」
2012年6月の母「私だって、まだ人の役に立ちたいんだよ!」
若年性レビー小体型認知症だった母(幻視を幻視と気づかなかった)
母自身が語っていた幻視の見え方(人に隠してもいた)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集(母の語った症状なども)

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額紫陽花(ガクアジサイ)

若年性アルツハイマー型認知症 本人の体験談(クローズアップ現代)

2014年6月9日のクローズアップ現代「初期認知症と診断されたら」を見ました。
初期からの支援に成功しているスコットランドで、認知症と診断されても生き生きと笑顔で人生を楽しんでいる方々が紹介されました。
診断名を伝える際に、十分な情報(希望)を伝える重要性も説いていました。
番組の全テキストと動画(8分弱)はNHK公式サイト→こちら

今回は、番組の中で紹介された若年性アルツハイマー型認知症の方の体験談のみご紹介します。今、現在、同じ苦しみの中にある方々のために。私たちの理解を深めるために。
以下、青字部分は、番組のナレーションからの抜き書きです。一部要約。

………………………………………………………………………………………

診断技術の向上に伴い、40代50代で初期認知症と診断されることも珍しくない。
初期認知症の人は、目立った症状が見られないため、周りから理解されにくく、支援体制も万全ではない。
診断後、周囲から孤立し、うつ症状に陥るなど症状を悪化させるケースもある。
初期の段階でわかっても、多くの人が不安を増幅させていると言われている。

  < 藤田和子さん(52才)が語る”診断後の気持ち・苦しみ” >

3人の子供を育て、看護師として充実していた45才の時、自分で物忘れに気づき受診。
「初期アルツハイマー型認知症の疑いがある」と告げられた。
病名以外の説明(症状や今後のこと等)は、まったくなかった。

本人「(医師に病名だけ伝えられて)放り出されて、家に帰ってからも、『私はどうしたらいいんだろう』とか『どうなっていくんだろう』っていう不安感絶望感…」

1年後、専門医を訪ね、正式にアルツハイマー型認知症と診断され、治療を開始。
しかし支援体制がないことで苦悩を深めていった。

日常の買い物に家族の付き添いが必要になった。
しかし周囲の目が気になり、介護保険は申請しなかった。

頭痛疲労感があり、1日に何度も寝込む日もあった。
体が思うように動かない辛さは、家族とも分ちあえなかった。

同じ境遇の人と知り合って、悩みを分かち合える場所も近所にはなかった。
誰かに、この苦しみから救ってもらいたい!
しかし適切なアドバイスをもらえる公的支援もなかった。

「自分が、この世に存在していることが、家族にとっても、すごく
負担でしかない…ような。私がいない方がいいんだろうなっと…」


現在、藤田さんは、自分が得られなかった支援の必要性を公的場で訴えたりされています。この番組で藤田さんの姿を見て、共感し、勇気をもらった若年性認知症の方がどれだけ沢山いらっしゃっただろうと思いました。

似たお気持ちを若年性レビー小体型認知症の方々から直接伺っています。
診断後、絶望以外なく、いつか家族の負担になることを耐え難いと思われていました。
やがて、希望勇気を持ち、現在では、自らが支援する側の活動もされています。
関連記事参照。

<関連記事>
若年性レビー小体型認知症3人の体験談(本人が症状や思いを語る)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談(公的支援申請方法も)
病気を打ち明けることの利点・隠す苦しみ(体験談)

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ビヨウヤナギ(未央柳 。別名:美女柳、美容柳、金線海棠)

認知症介護・医療現場の罪を明らかにする本

「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」(長尾和宏・丸尾多重子著
2014年2月発行)を読みました。朝日新聞に記事を書いている医師と高齢者・介護者の交流の場(NPO法人)を作った女性本音対談集です。

施設選びチェックリストもありますが、施設選びの本ではありません。
認知症医療・介護現場の現状と問題の本質を突き、とても優れた本だと思いました。
自宅で介護をする家族への実践的なアドバイスも沢山(漫画で解説も)。
医療・介護従事者、介護家族はもちろん、『認知症になったら終わり。認知症にだけは、なりたくない!』と思っているすべての人に読んで頂きたいです。

本の感想は、また別の記事に書きたいと思います。
以下、青字部分は、本からの抜粋(原文通り)です。


(「ボケ」という言葉には)なんとなく温かさがある。なんとなく愛らしい感じがする。
ところが認知症」と言ったとたんに”脳の難病”みたいに受け止めてしまうのは私だけだろうか。
ボケ」なら家にいてもいい感じだが、「認知症」となれば、専門医を探したり、施設に入れなくてはならないイメージに変わってしまう(略)。
今、「認知症医療」も<がん対策基本法>と同じ間違いを繰り返すのではないかと、私は危惧している。長尾氏P14

<以下、印象に残った言葉のごく一部を抜粋。長=長尾氏 丸=丸尾氏>

長:(略)「家族に迷惑をかける」という気持ちが、前面に出すぎているのが今なんよ。
丸:家族介護する、看取るってことは、ものすごい貴重な人生経験なのにね
  悲しい経験には違いないけど、結果的に人間性が豊かになるのに。P.33

丸:「ウチの親がボケた。困ってる。方法がわからない。私はどうすればいいのか?」
  と、家の中ではなく、家の外に向かって声を上げること。当たり前だけど、これを
  できる人とできない人で、介護の生活にすごく差が出るんじゃないかと思う。P.96

  (杖を振り回し、精神病院系列の施設に移されようとしていた男性の例から)
長:こんな言い方をしたら怒られるかもしれないけど、認知症の人は素直になる分、
  動物的にもなる。たとえば、犬は不審な人には噛みつくが、そうじゃない人には
  噛み付かない。それと似ている部分があります。
丸:どんなにボケボケでも、人を見ているんです
  その人が、自分に対してどういう気持ちで接しているのか、認知症になっても
  わかる
のよ。馬鹿にされていることも、ちゃんとわかっている。P.64
  (男性は、労働組合の委員長で旗を振り回して闘っていた人だとわかる。)
長:ボケて暴れる人には、実はみんなちゃんと理由があるんだね。(略)
  本人はなんらかの意図があってやっているんだ。P.66

丸:上手に話を合わせプライドを傷つけない。そうすれば穏やかな心を取り戻しはる
長:話を合わせるだけで穏やかになるんだから、大変なことでもないと思うけどなあ。
                                    P69
丸:じいちゃん、ばあちゃんの「目的行動」を「徘徊」と呼ぶこと自体に罪がある。何か
 新しい言葉を考えたほうがいい。せめて「迷子」とか、そういう言葉を使ってほしい。
                                    P.74

………………医療・施設・処方薬の問題……………………………

丸:(ある特別養護老人ホームで)車椅子で、ほぼ全員がボーっとしていた
長:それは、薬でそうさせているんですよ、施設の人がね。いや、主治医かな。
  入所者に必要以上にお薬を飲ませて、ボーッとさせて、介護の煩わしさを軽減させる
  のが良い医者なのかな。ちゃんと歩いて特養に入所したのに、たった数週間で家族の
  顔もわからなくなり、車椅子になる。
  おかしいですよ。でも、そんな介護施設いっぱいある。(略)
  医師も多くの職員もおかしいと思ってないんです。罪の意識、ゼロや。P.38

丸:認知症の薬睡眠薬を併用して、状態の良くなった人を見たことがない!P.75
長:薬そのものが悪いというよりも医師の処方の仕方に問題があると僕は思っています。
  医師は、アルツハイマー型認知症と診断すると、条件反射のようにこうした薬を出し
  たがる
んです。患者さんそれぞれの症状の意味をあまり考えようとしないのです。
  (略)
  アリセプトなどの抗認知症薬は、(略)その副作用として、吐き気不眠
  不穏(穏やかではない状態)、徘徊などが報告されている

  (略)
長:そもそも、そうした副作用の現実をよく知らない医師もいるようです。
  副作用のひとつである不穏が、時には過剰になって暴れ出してしまうこともある。
丸:私、この薬を処方された翌日から、夜中に徘徊を始めたというばあちゃんや
  じいちゃんをたくさん知っているよ。P.76
  (略)
丸:自分が出した薬のせいで徘徊が始まったとしても、普通の医師は、そんなん
  認めへんよ。さらに睡眠薬を上乗せして、夜中に無理矢理眠らせて、まもなく寝たき
  り老人のできあがり

 この薬を飲んでこうなった」と(略)お医者さんに伝えるのが家族の役割やと思う
                                  P.77
長:たとえば、アリセプトという薬が、どれだけ認知症治療のウエイトを占めるか?
  と質問されれば、70%と答える医師もいるだろうし、50%と答える医師もいる。
  だけど僕は……10%以下と答えます。ああ、本当のこと言っちゃった。
丸:私の経験から言えば、5%以下。(略)逆効果になっている人が、7割以上やと思う。

本脚注:厚労省によって増量の指導がされているアリセプトは長尾先生いわく
増量したら逆効果になる人がいる。その人その人で合う量を上手に調整していくのが、本来の医療者の仕事。減らすと意識がしっかりしてくる人も多い。医師によっては、
1〜2mgの少量から開始し、増量も少しづつ行うケースがある」P.200

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(画像は、アマゾンから)

追記:丸尾さんの書いた連載記事→「介護保険は誰を幸せにした?

<関連記事>
アリセプトの効果と副作用(権威も少量で処方)
とにかくアリセプトを飲ませておけばいいのか?(週刊ポストから)
認知症を悪化させる薬一覧(処方箋をチェック!素人でもすぐ見つけられる)
計算ドリルと認知症(コメント欄を読んで下さい)
フランスから来たユマニチュード(認知症介護の技術)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集
認知症Q&A 最初の一歩(認知症を疑ったら/診断されたらまず何をする?)
「誤解だらけの認知症」市川衛著も良い本です。

「とにかくアリセプトを飲ませておけばいい」のか?(週刊ポスト)

私は、アリセプトの有用性については、わかりません。
ですからアリセプトという薬自体を否定も肯定もしません。
ただ私の母も含め、レビー小体型認知症でアリセプトの副作用(症状悪化)
を経験した何人もの介護家族を知っていますので、
例え少数であろうともその可能性があるのなら、気をつけるべきだと考えています。

つい先日も「90を過ぎた親の物忘れが段々ひどくなってきたので、近所の病院に連れて行ったらアリセプトを処方された」と友人から聞き、私は、愕然としました。

以下は、「週刊ポスト」(2014年6月13日号)の認知症特集の記事から一部抜粋、一部要約。


  < 最新研究報告「認知症」について現在わかっていることの全て >

米国で約50の医学会が参加し、不必要な治療や検査をリストアップし公表する
「無駄な医療行為追放(Choosing Wisely)」キャンペーンにこんな項目が掲載されている。
「認知症による行動障害が現われても、『まず薬』で対処してはいけない」
理由は、「有効性が限られている上に、脳卒中などのリスクを高めてしまうから」。
だが、その無駄をひたすらやり続けているのが、日本の認知症医療である。
(略)
認知症の医療現場では、「とにかくアリセプトを処方しておけばいい」という空気が蔓延している。

「アルツハイマー型以外の認知症には副作用などの害の方が大きく一時的な利益もないのに、他の認知症治療にも使われるケースが後を絶たない。
認知症の怖さが強調され、家族が処方を望み、医師も処方してしまっているんです」
NPO法人医薬ビジランスセンター理事長・浜六郎医師

認知症と似た症状には、薬の副作用などで一時的に認知障害や記憶障害が起きる
「せん妄」をはじめ、転倒などで起こるものもあり、別の疾患を疑う必要がある。
だがこれらが「アルツハイマー型認知症」と誤診されるケースが多いのだという。

高齢者に多い側頭葉てんかん(記憶障害を伴う。)の60代男性が、アルツハイマー型認知症と誤診された。アリセプトを処方されたが、症状は悪化の一途
呼びかけれても反応しなかったり、会話の途中でもボーッとするようになった。
(→高齢で発症するてんかんの主な症状

「病院の大小にかかわらず、アルツハイマー病の診断は専門性の高いところでしかできない。初診でいきなり『アリセプトを飲んでみましょう』という医師は疑った方がいい。
この薬の難しい点は、初期段階のアルツハイマー病は、他の疾患との区別が付きづらく、一方アリセプトは初期段階しか効きづらいところです」
長浜バイオ大学教授・永田弘氏


<関連記事>
アリセプトの効果と副作用(権威も少量で処方)
認知症別早期発見チェックリストと知識(パーキンソン病も)
副作用で認知症の症状を悪化させる薬一覧
レビー小体型認知症が誤診されやすい6つの理由
入院して「せん妄」を起こしやすい人(「急に認知症になった」のではない)
5種類の認知症別 本人と家族の体験談集(役立つヒント満載)
誤診されやすいレビー小体型認知症は、向精神薬で劇的悪化を起こしやすい

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タチアオイ(立葵/ホリホック/ホリーホック)

パーキンソン病の治療で悪化したレビー小体型認知症(新聞記事)

追記:2014年5月28日の朝日新聞医療サイトにもレビー小体型認知症が→記事全文
(内容:認知症・入浴を嫌がる時の対応理解力あるレビー小体型には真実を説明)

追記:レビー小体型認知症には、主に、2種類(+少数例)があります。
純粋型パーキンソン症状から始まるタイプ。パーキンソン病と診断されている人も。
通常型:アルツハイマー型に似た病変があるタイプ。症状は多彩。 体験談集
自律神経型:少数例。どちらでもなく自律神経症状が先行するタイプ。→本人体験談
(出典:小阪憲司著「レビー小体型認知症がよくわかる本」2014年2月発行P.36)

追記:この分類に関して、コメント欄に更に詳しい情報があります
…………………………………………………………………………………………………
2014年6月2日の読売新聞から一部抜粋。青字部分。(記事全文→こちら

急に歩けなくなり、『家の中に知らない人がたくさんいる』と、
 ありもしないことを言い出して。どうしたらいいのか……」

今月初めのある夜。東京都大田区内の70歳代の女性の家族が、担当のケアマネジャー
に電話で訴えた。
「もしかして」と思ったケアマネジャーは、認知症に詳しい同区内の「たかせクリニック」の高瀬義昌医師に連絡して、往診を依頼。

高瀬医師は女性宅を訪ね、本人と家族からじっくり話を聞くなどして
レビー小体型認知症」の初期だと診断した。
小刻みな歩幅(パーキンソン症状)や存在しないものが見える「幻視」などが特徴で、
薬剤に過敏に反応して症状を悪化させることがある。

女性はパーキンソン病で、かかりつけ医が処方した薬を飲んでいた。
高瀬医師は、その薬の一つが強く効き過ぎて歩けなくなっていると考え、
飲まないよう指示すると、女性は歩けるようになり、幻視も改善した。

(新聞からの抜粋はここまで)

……………………………………………………………………………………………
これは、特殊な例ではありません。
4年前に私の母にも起こったことであり、延々と繰り返されていることです。
パーキンソン病の権威と呼ばれている、ある大学病院の医師でも、悪化した時、レビー小体型認知症の可能性について一言も触れなかったと介護家族の方から直接伺っています。

幻視は、パーキンソン病薬の副作用です。止めたら動けなくなりますよ。
幻視を消すのと動けなくなるのと、どちらがいいですか?」
母をパーキンソン病と診断し治療してきた主治医から言われた言葉です。

医師以外の誰かが、レビー小体型認知症を疑わなかったら、悪化の一途でした。
私の母も介護家族の皆さんも、パーキンソン病ではなくレビー小体型認知症だと気づき適切な治療をして大幅に改善しました。

レビー小体型認知症を知らない/認知しようとしない神経内科医や認知症専門医は、まだまだ減っていないと実感しています。

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レビー小体型認知症患者・一般高齢者の認知症状を悪化させる薬一覧(副作用も)
レビー小体型認知症の幻視を特集したテレビ番組全内容(重要リンク集も)
認知症介護・理解に役立つ無料動画集(とても分かりやすい説明動画あり)
幻覚(幻視)に具体的にどう対応したらいいのか?

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撫子(ナデシコ)(園芸種)
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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