認知症のわたし(2)(朝日新聞)

朝日新聞夕刊「ニッポン人・脈・記」蘭に連載中「認知症のわたし」。
2012年9月27日掲載の第2回は、豪州のクリスティーン・ブライデンさん(63)と元脳外科医の若井晋さん(65)。

ブライデン(旧姓ボーデン)さんに関しては、度々このブログでもご紹介しています。
  *2012年10月・来日記念セミナーの詳細は、こちら。
  *「認知症への偏見 うつ病との共通点」
  *「家族がだれかわからなくなっても」
  *「認知症・うつ病の患者の内面で起こっていること」

記事の中に出てくるNPO 健康と病いの語り ディペックス・ジャパンでは、現在、インタビュー協力者を募集しています。(→詳細)  対象者は:
 「若年性の脳血管性認知症の方」「若年性アルツハイマー型認知症の女性」
 「認知症の家族を介護する男性(全年齢)」か「女性(70歳以上か50歳未満)」

以下、青字部分は、記事からの抜粋です。


  <2> 患者ではなく人です

認知症の人が、自らの体験を話す先駆けになったクリスティーン・ブライデンさん。
「まるで記憶をしまった引き出しの鍵を1つずつなくしていくようです」
「私たちの記憶に残るのは何を言ったかではなく、言い方です。感情はわかります」
「病名を背負いつつ、いかに前向きに生きるかを学ぶ長い旅が続いています」

46歳で認知症と診断され豪政府を辞めた。独身で、3人娘の末子は9歳だった。
うつと絶望から立ち上がり、著書を出す。50歳で再婚。講演も始めた。

看護師の石橋典子さんが、この著書を知り、「私は誰になっていくの?」を日本で世に出した。推薦文は、精神科医の小澤勳さんが書いた。(関連記事)
本人は何も分からないのだからかえって幸せかもしれない、という人が専門家にさえいる。とんでもない

認知症でもピントのあった補助があれば、生き生きと過ごせる」と石橋さんは言う。

元脳外科医。前年まで東大教授だった若井晋さん(65)は、01年から自らの認知症を疑った。専門医に診てもらうまで4年半かかった。
妻の克子さんとは、病を公表しないと始まらないと話し合った。
2年前、重い病になった人の語りを映像で残すNPOディペックス・ジャパンに協力して録画を済ませた。

最初は何でと思ったけれど、やっと私がわかった・・。大切なことは、私たちが本当の自分と出会うということじゃないか。
悩み苦しんだ末に、認知症と生きることもまた、新しい人生だ、と考えている


クリスティーンさんは、10月に5年振りに来日する。
私たちは患者ではなく人です。私たちが病と向き合う力を奪わないで、励まし元気づけてください

*連載の(1)(3)もお読み下さい。

<参考記事>
*「若年性レビー小体型認知症 Kさんの体験談」(認知機能低下がほとんどない)
*「若年性レビー小体型認知症 Hさんの体験談」(リンクもご参考に)
*「レビー小体型認知症は認知症なのか
「若年(性)認知症の方の抱える問題」
「ノーベル賞作家が認知症になること」

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グレビレア
オーストラリア、ニュージーランドの花とか。

認知症のわたし(1)(朝日新聞連載)

朝日新聞夕刊「ニッポン人・脈・記」蘭に連載が始まった「認知症のわたし」。
2012年9月26日掲載の第1回は、小説・映画「明日の記憶」のモデルとなった越智俊二さんと「ぼくが前を向いて歩く理由」の中村成信さん。

この記事を読んで、以前聞いた放送大学教員の言葉を思い出しました。
人間には2種類しかいません。今、障害を持っている人とこれから障害を持つ人です

生き続ければ、すべての人が(あなたも)やがて手助けを必要とするようになります。
誰にも迷惑をかけずに一生を終えられる人は、どこにもいません。

以下、青字部分は、記事からの一部抜粋と要約です。


   <1> 手助けをしてください

越智俊二さんがおかしいと感じたのは、’94年47歳のとき。(関連記事)
地図を見ても道に迷って仕事の現場にたどり着けなくなった。
妻は疲れのせいだろうと思った。

退職を決めたのは、その4年後。柔道で鍛えた体が痩せこけていた。
アルツハイマー病と診断されたのは、退職から1年半後。
デイケア施設で陶芸や絵、書道を始め、元気を取り戻した。

2004年アルツハイマー病の国際会議で越智さんは、演説した。
物忘れの病気になり、ずいぶん苦しんだ時期もありました。
でもいまは、デイで仲間と笑い、家族に感謝して生きています。
物忘れがあっても色々なことができます。
安心して普通に暮らしていけるように手助けをしてください

’06年秋まで35回の講演をこなし、’09年に逝った。

2012年9月、認知症になった人の視点から医療や介護を考えようという勉強会が発足した。
医師や研究者に交じり、認知症の3人が呼びかけ人に名を連ねた。
その一人が中村成信さん(62)。(このブログ内の関連記事

’06年万引きで逮捕され、茅ヶ崎市役所を懲戒免職になった。
その後、前頭側頭型認知症のピック病(万引きはその症状)と分かった。
このブログ内のピック病についての記事
処分の撤回を求める活動を牽引した野上高伸さん。(妻が若年性アルツハイマー病)
処分は停職6ヶ月に修正され、中村さんは定年まで働いた。

「自分でも自分がわからない」という行動をすることがあり、外出には家族や友人が同行する。
週3日介護施設で庭仕事を手伝い、趣味の写真撮影に出掛ける。
認知症でもできることはあると知ってもらいたい。病気を隠さなくてもいい社会になってほしいから


*連載の(2)は、こちら。(3)は、こちらを。

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松葉牡丹(マツバボタン)
6月に撮ったものですが、まだかろうじて咲いています。

高齢者の肺炎防げ(新聞記事)

2012年9月27日の日本経済新聞夕刊「らいふプラス」から一部抜粋(青字部分)。

 <高齢者の肺炎防げ 介護中の感染に指針 ワクチン接種も重要 口腔ケアが効果

肺炎で亡くなる高齢者が急増、日本人の死因の3位に浮上した。
口の中の細菌を吸い込んで発症するケースが多く、高齢者施設の入所者に目立つ。
歯垢などを取り除く口腔ケアやワクチン接種は予防効果があり、今年度から手術前後の口腔ケアに診療報酬が認められた。

肺炎での死亡率は、高齢になるほど上がり、死亡者の96%は65歳以上。
日本呼吸器学会は11年8月「医療・介護関連肺炎(NHCAP)」という概念を設けて診療ガイドラインを作った。
NHCAPは、以下のいずれかに当たる人が発症した肺炎。
 1.長期療養型病床または介護施設に入所している。
 2.90日以内に2日以上入院している。
 3.高齢で介護を必要とする。
 4.継続的に通院して人工透析や注射で抗がん剤などによる治療を受けている。

NHCAPは、重症化しやすく死亡率が高い。」(倉敷中央病院の石田直主任部長)

高齢者の肺炎の3分の1から4分の1は肺炎球菌が原因のため、肺炎球菌ワクチンの接種が効果があると報告されているが、接種率は10%代。
費用(6〜8千円)が公的医療保険の対象となっていないのが一因。

「高齢者の肺炎の70%以上は、細菌を含む唾液や食べ物を気管や肺に吸い込むことで起こる誤嚥(ごえん)性肺炎で、寝たきりや脳血管障害、認知症の患者はリスクが高い」
(東北大学加齢医学研究所・大類孝教授)

食べ物を飲み込む時に気道が閉じて食道が開く嚥下(えんげ)反射や気道内の異物を咳き込んで排出するせき反射が低下して細菌が気道を通じて肺に入り込みやすくなっているためだという。

専門医は、ワクチン接種の他、以下の3つの予防策を提唱している。
 1.嚥下反射やせき反射を回復させる薬の服用、食後2時間は座位を保って誤嚥を防ぐ。
 2.口腔ケアで口の中の細菌の絶対数を減らす。
 3.免疫力を高め、誤嚥しても細菌を繁殖させない

全国11カ所の特別養護老人ホーム入所者360人対象の調査によると、毎日口腔内をきれいにし、歯科医などが週1〜2回専門的なケアをしたグループは、しなかったグループと比べて、肺炎発生率が約39%、死亡率が約53%低かった。
「口腔ケアは、細菌の数を減らすだけでなく、口腔の刺激で嚥下機能回復→食が進み栄養状態改善→免疫力向上→肺炎防止—という好循環を生む」(米山武義歯科医)

*カテゴリ「胃ろう・嚥下障害」は、こちら。

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秋明菊(シュウメイギク)
菊ではなくアネモネの一種。

手術で改善 正常圧水頭症(テレビから)

2012年09月26日放送のNHK「きょうの健康」から。→公式サイトは、こちら。

70~80歳代の高齢者に多く、出やすい症状(出ない場合もあり)は:
<歩行障害> 小刻みに歩く/すり足/外股で足が左右に広がる/転倒しやすい
<排尿障害> 頻尿/急に尿意を覚える/トイレに間に合わなくなる/尿もれ
<認知障害> もの忘れ/やる気の低下/作業に時間がかかる
      (注:家族の顔がわからない/被害妄想などが見られることはない。)

番組を見て、あらためてレビー小体型認知症の<症状>に似ていると思いました。

母も一昨年(2010年)急激に悪化した時、この病気を疑われ画像検査を受けました。
結果は「歳相応の脳の萎縮で異常なし」。
認知症ではないと診断されました。(大きな市立総合病院の神経内科でです。)

家族は、そこで安心してはいけません。
レビー小体型認知症では、画像に異常に出ないことがあります。
(レビー小体型認知症の「通常型」では、海馬の萎縮が見られることがあります。小阪憲司著「第二の認知症」P.111)
レビーの<症状>をよく知り、該当すれば、医師にそれを必ず伝えましょう。

*この病気の介護家族の体験談「その1」「その2

*治療を受けていない人がほとんどと報じた「ためしてガッテン」の内容

*NHKスペシャル「認知症を治せ」の動画は、こちら。

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行う手術。(「きょうの健康」公式サイトからコピー)


認知症本人からのメッセージ

NHK解説委員室「解説アーカイブズ」に掲載された「認知症の人からのメッセージ」。
介護家族にはよくわかるのですが、一般にはほとんど知られていません。
是非ご一読を。 以下、青字部分が、記事からの引用です。(全文は、こちらを。


「本人が望む生活は本人自身が声を上げていかないと誰もわかってくれませんし、何も変わりません。全国の認知症本人の皆さん、勇気を振り絞り、声を上げようではありませんか」という佐藤雅彦さん(7年前に若年性認知症と診断)。
きっかけは、「認知症の人は何もわからないという偏見をなくしたいと考えたから」


記事には、症状を自覚した時、どんな思いをしたのか等、様々なことが書かれています。

追記:佐藤さんご自身の講演動画→こちら ( 必見!)

 <本人は、どんな風に接して欲しいと思っているのか>

認知症になるとできなくなることも多いけれど、特別な人と見るのではなく、普通に暮らせるよう支援してほしい。

 ●尊厳をもって接してほしい。(関連記事)
・社会のお荷物と考えるのではなく、一人の人格のある大人として接してほしい。
・子供程度の能力や経験しかないように扱わないでほしい。他。 

 ●できないことばかりに目をむけないでほしい。(関連記事)

 ●何かの役割を持ちたい。(関連記事)
・認知症になってもできることがある。人の役に立つことをして生きていきたい。

 ●急がせないで。
・時間がかかっても、自分でできることをやらせてほしい。
・スーパーや駅の窓口で時間がかかってもいいように、認知症や障碍のある人のための窓
 口を設けてほしい。他。

*このブログのカテゴリ「認知症ケア・介護など」は、こちらを。

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NHK解説委員室・解説アーカイブズからコピー。

介護手帳(ケアダイアリー)(1)

以前、エーザイ(株)が発行している「わたしの手帖」をご紹介しました。

前頭側頭葉型認知症・ピック病介護家族の体験談(1)(2)を提供して下さった浅井郁子さんが、今月、「ケアダイアリー・介護する人のための手帳」を発行されました。

さっそく購入してみたのですが、介護経験者が作っただけあって非常に実用的。
シンプルにして必要十分なデータを書き込めます。(鉛筆か消せるペン使用がお勧め。)

記録を付けておくことの重要性・便利さは、計り知れません。

母もそうでしたが、デイサービスやショートステイなど次々と新しいサービスを受ける時期があります。
その度に、その施設の担当者(時に複数)から今までの経過など様々なことを詳しく聞かれるのですが、家族も疲労でもうろうとしていて、わけがわからなくなってきます。

その度に以前の記録を探し回ったり、同じことを時間をかけて何人もに説明する面倒も省けると思います。(この手帳を見せて質問だけ受ければ完璧でしょう。)
またこうした手帳さえあれば、主な介護者が急に不在の事態になっても、代役の人(高齢の配偶者や親戚等)が困ることが減るはずです。

簡単な毎日の記録も健康管理には、とても重要です。
病気になった時にもいつから変調があったのか、すぐに医師に説明できます。
排泄のリズムがわかったり、どんな時にどんな症状が出るかが見えてきたりもします。
(便秘の時、ソワソワする/怒りっぽくなった/この薬を飲み始めてこうなった等)

こうした手帳は、介護を楽にするのにとても役立つと思います。

  *「ケアダイアリー・介護する人のための手帳」公式サイトは、こちら。
  * アマゾンは、こちら。

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B6(B5の半分。12.8×18.2cm)、厚さ9mm、200g。持ち歩きにも便利です。
ビニールカバー付き。白い帯は外せます。
(ちょっと曲がってしまいました。すみません。)

死別への心の準備(新聞記事)

最近、中日新聞に掲載され深く心に残った記事へのリンクです。
妻に先立たれた夫が、何を思い、何に苦しみ、どう立ち直ったかを描いています。

   <妻を亡くして 3回シリーズ>(記事全文は、以下の中日新聞公式サイトへ)
 (上)日本対がん協会会長・垣添忠生さんの場合
 (中)気象エッセイスト倉嶋厚さんの場合
 (下)歌人で細胞生物学者・永田和宏さんの場合


以下は、私(しば)の思うことです。(昔々、ホスピスやがんセンターで細々と傾聴ボランティアをしていました。)

介護には、ゴールがあります。
けれども愛する家族を介護する人にとって、ゴールを迎えることは、恐ろしいことでもあります。

私たちは、その日が来る前に、死別を受け入れる準備もしていかなければいけません。
人間は死ぬのだということを頭ではなく身体全体で理解し、自分なりに身体の中に納めていかなければいけません。

さもないと最後にパニックになり、正常な判断ができなくなります。
ひたすら延命を望み、管だらけのむごい姿を見ることになります。
「これで良かったのか」という疑問と後悔が残ります。

人は、自然に穏やかに死んでいくこともできます。
死を受け入れることができていれば、家族皆で手を握り、「今までありがとう」と伝え(聴覚は最後まで残ると言われています。)静かにあたたかくあの世に送り出してあげることもできるのです。
そのためには、死を受け入れるための心の準備を少しづつ積み上げていくことが大切だと思います。


    「モモ」 ミヒャエル・エンデ著

「もしあたしの心臓が鼓動をやめてしまったら、どうなるの?」
「そのときは、おまえの時間もおしまいになる。(中略)
おまえじしんは、おまえの生きた年月のすべての時間をさかのぼる存在になるのだ。
人生を逆にもどって行って、ずっとまえにくぐった人生への銀の門にさいごにはたどりつく。そしてその門をこんどはまた出ていくのだ。」
「そのむこうはなんなの?」
「そこは、おまえがこれまでになんどもかすかに聞きつけていたあの音楽の出てくることろだ。でもこんどは、おまえもその音楽に加わる。おまえじしんがひとつの音になるのだよ。」(中略)
「もし人間が死とはなにかを知っていたら、こわいとはおもわなくなるだろうにね。」
(12章「モモ、時間の国につく」より)


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萩(ハギ)

レビー小体型認知症(小体病)の症状

レビー小体型認知症は、人、動物、虫の幻視(幻覚)が特徴ですが、2割の方には幻視が見られません。(この病気の発見者小阪憲司著「第二の認知症」P.66)

初期には、「幻視が見えることを隠す」場合もあります。
壁・床がゆがむ(波打つ)/人の気配がする/夫が2人いる等」特殊な幻視も。

パーキンソン症状(よく転ぶ。腰と膝を曲げ、小股で足をすりながら手を振らずにヨチヨチ歩く。手が震える等)も特徴ですが、記憶障害から始まる「通常型」では、3割の方にこの症状が出ません。(前述の本P.105)
(母は、歩けませんが、手の震えは、まったくありません。)

では家族は、どうしたらレビー小体型認知症と見抜くことができるでしょうか?

まずパーキンソン病と診断された後に認知症/アルツハイマー病と診断された場合は、レビー小体型を考えなくてはいけません。(2つの病気の関係は、こちら
最初に認知症、アルツハイマー病、うつ病等と診断された方も注意と観察が必要です。(前述の本P.121)

毎日新聞に載ったレビー小体型認知症のチェックリストは、こちらです。
その他の認知症のチェックリスト

介護家族に聞くと「歳のせいだと思っていたが、言われてみれば・・」と、診断のかなり前(5年以上)から様々な症状があったことがわかります。(個人差大きいです。)
(レビー小体型認知症の主な症状と症状をわかりやすく解説した動画もご参考に。)

寝ていて叫んだり、大声で寝言を言った。寝ぼけて暴れた」(REM睡眠行動障害)
「普段は普通なのに、時々ボーッとして反応がにぶくなる時があった」(認知の変動)
日中も眠そうだった。1時間以上昼寝をしていることがよくあった」(睡眠障害)
風邪薬や鎮痛剤を飲んで、もうろうとなったことがあった」(薬物過敏性)
「立ちくらみ、便秘、不眠、だるさ、食欲不振、多汗や無汗があった」(自立神経症状)
「陰気、気力・関心低下、感情のにぶり、不安感、心配性、焦燥感」(うつ症状)

パーキンソン症状から転倒骨折や動きがゆっくりになって何でも時間がかかるように。

見えないものが見え(幻視・幻覚)それを現実と思って行動することも特徴。
追記:本物にしか見えないからです。→患者本人が語る幻視

家族は、見間違い・目の錯覚・寝ぼけ・疲れ・ストレスだと思っていることが多いです。
「トイレにヘビが出た」と棒を持って行く。「押し入れに子供がいる」と話し掛ける。
「人がいる」と110番したり食事を用意したり、「虫がいる」と退治しようとする。
ブツブツ独り言を言っていたり、何かをつまもうとする等、奇妙な動作をしている。
「”誘拐された”等、ありえない妙なことを言った」(妄想)という家族もいます。

書く字が小さい声が小さく抑揚がない/まばたきが少ない/尿失禁などの症状も。
進行してくると:
座っていて段々体が傾いていく/つまずいた訳でもないのに頻繁に転び起き上がれない
話す時に目を合わせようとしない表情が全くなく目つきに生気がなく異様な顔に。

「歯車様固縮・歯車現象」もあり、簡単に確認できます。
患者に肩の力を抜いてもらい、腕を取って回してみます。
カクカク(ガクガク)と抵抗しながら回り、油の切れたゼンマイ仕掛けのロボットが動いているような感じがします。

追記:その他の症状=失神/頻尿/注意力低下/頭痛/イライラ/耳鳴り/息苦しさ/動悸/胸痛/肩こり/背中の痛み/下痢/倦怠感/むくみ/インポテンツ/微熱/手足の冷え・しびれ/のぼせ

追記:ごく初期から植物やシミなどが人や動物の顔に見えることがあります。本人は、幻視を目の錯覚と思っています。→関連記事「幻視を利用した検査方法

追記:原因不明の意識消失発作がある。「5分位意識がなくなり、救急車が来た時には意識が戻り、検査しても原因がわからなかった。1ヶ月に2回ほど続いた」など。(河野和彦著「コウノメソッドでみる認知症診療」P.42)

追記:多くの介護家族は、睡眠時の無呼吸があると言う。睡眠時無呼吸性症候群と診断されることがある。

「レビー小体型認知症の幻視(幻覚)の種類と特徴」
*「幻視(写真)を利用した簡単な検査方法と利用写真の実物
*カテゴリー:「レビー小体型認知症について」
*パーキンソン病の初期症状(NHK「総合診療医ドクターG」放送内容)は、こちら。
*「ためしてガッテン」の公式サイト「急増中のパーキンソン病」

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名前のわからない花。植木鉢で下向きに咲いていました。

レビー小体型認知症(レビー小体病)の具体的症状

レビー小体型認知症は、人、動物、虫の幻視(幻覚)が特徴ですが、2割の方には幻視が見られません。(この病気の発見者小阪憲司著「第二の認知症」P.66)

初期には、「幻視が見えることを隠す」場合もあります。→参考記事
壁・床がゆがむ(波打つ)/人の気配がする/夫が2人いる等」特殊な幻視も。

パーキンソン症状(よく転ぶ。腰と膝を曲げ、小股で足をすりながら手を振らずにヨチヨチ歩く。手が震える等)も特徴ですが、記憶障害から始まる「通常型」では、3割の方にこの症状が出ません。(前述の本P.105)
(母は、歩けませんが、手の震えは、まったくありません。)

では家族は、どうしたらレビー小体型認知症と見抜くことができるでしょうか?

まずパーキンソン病と診断された後に認知症/アルツハイマー病と診断された場合は、レビー小体型を考えなくてはいけません。(2つの病気の関係は、こちら
最初に認知症、アルツハイマー病、うつ病等と診断された方も注意と観察が必要です。(前述の本P.121)

 →レビー小体型認知症 早期発見チェックリスト3種

 (その他の認知症のチェックリスト

介護家族に聞くと「歳のせいだと思っていたが、言われてみれば・・」と、診断のかなり前(5年以上)から様々な症状があったことがわかります。(個人差大きいです。)
(レビー小体型認知症の主な症状と症状をわかりやすく解説した動画もご参考に。)

寝ていて叫んだり、大声で寝言を言った。寝ぼけて暴れた」(REM睡眠行動障害)
「普段は普通なのに、時々ボーッとして反応がにぶくなる時があった」(認知の変動)
日中も眠そうだった。1時間以上昼寝をしていることがよくあった」(睡眠障害)
風邪薬や鎮痛剤を飲んで、もうろうとなったことがあった」(薬物過敏性)
「立ちくらみ、便秘、不眠、だるさ、食欲不振、多汗や無汗があった」(自立神経症状)
「陰気、気力・関心低下、感情のにぶり、不安感、心配性、焦燥感」(うつ症状)

パーキンソン症状から転倒骨折や動きがゆっくりになって何でも時間がかかるように。

見えないものが見え(幻視・幻覚)それを現実と思って行動することも特徴。
追記:本物にしか見えないからです。→患者本人が語る幻視

家族は、見間違い・目の錯覚・寝ぼけ・疲れ・ストレスだと思っていることが多いです。
「トイレにヘビが出た」と棒を持って行く。「押し入れに子供がいる」と話し掛ける。
「人がいる」と110番したり食事を用意したり、「虫がいる」と退治しようとする。
ブツブツ独り言を言っていたり、何かをつまもうとする等、奇妙な動作をしている。
「”誘拐された”等、ありえない妙な/変なことを突然言った」という家族もいます。

書く字が小さい声が小さく抑揚がない/まばたきが少ない/尿失禁などの症状も。
進行してくると:
座っていて段々体が傾いていく/つまずいた訳でもないのに頻繁に転び起き上がれない
話す時に目を合わせようとしない表情が全くなく目つきに生気がなく異様な顔に。

「歯車様固縮・歯車現象」もあり、簡単に確認できます。
患者に肩の力を抜いてもらい、腕を取って回してみます。
カクカク(ガクガク)と抵抗しながら回り、油の切れたゼンマイ仕掛けのロボットが動いているような感じがします。

追記:その他の症状=失神/頻尿/注意力低下/頭痛/イライラ/耳鳴り/息苦しさ/動悸/胸痛/肩こり/背中の痛み/下痢/倦怠感/むくみ/インポテンツ/微熱/手足の冷え・しびれ/のぼせ

追記:ごく初期から植物やシミなどが人や動物の顔に見えることがあります。本人は、幻視を目の錯覚と思っています。→関連記事「幻視を利用した検査方法

追記:原因不明の意識消失発作がある。「5分位意識がなくなり、救急車が来た時には意識が戻り、検査しても原因がわからなかった。1ヶ月に2回ほど続いた」など。(河野和彦著「コウノメソッドでみる認知症診療」P.42)

追記:多くの介護家族は、睡眠時の無呼吸があると言う。睡眠時無呼吸性症候群と診断されることがある。

*「完全版:レビー小体型認知症の全症状 詳しい説明リンク集
*「幻視(写真)を利用した簡単な検査方法と利用写真の実物
「レビー小体型認知症の幻視(幻覚)の種類と特徴」
*「病気を知って家族を守ろう」(「レビー小体型認知症の診断基準」へのリンクあり)
*カテゴリー:「レビー小体型認知症について」
*パーキンソン病の初期症状(NHK「総合診療医ドクターG」放送内容)は、こちら。
*「ためしてガッテン」の公式サイト「急増中のパーキンソン病」

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名前のわからない花。植木鉢で下向きに咲いていました。

高齢者にタブレット端末を(新聞記事他)

島根県と同県江津市のNPO法人「結まーるプラス」(河部真弓理事長)は、高齢者向け出張「PCタブレット講座」をしているそうです。(2012年9月21日 読売新聞の記事)

先日テレビで、映画「人生、いろどり」の舞台となった村を紹介していました。
高齢者の方々が、全国の料亭や旅館に葉っぱを売って成功したという四国の村です。
85歳位の女性が、丸い背中でiPadを触りながら注文を受けていました。

知人は、田舎に住む両親にiPadをプレゼントしたそうです。
facebookだけを見られるように設定して。
ご両親は、他の機能は何1つ使わず、メールもコメントの書き込みもしないそうですが、毎日facebookで孫の写真を見たり、息子達一家の様子を知り、とても喜んでいるそうです。
時々は、返信代わりに電話を掛けてきてくれるのだそうです。

最近、ニュースで伝えていましたが、iPhoneやiPadを使ってみたいと思っている高齢者は、かなり多いそうです。
操作が極めて単純で(何だかわからなくなってもボタンさえ押せば元に戻る等。)字も写真も自由に大きくできるので、実はかなり「高齢者向き製品」でもあるのだと解説していました。

私の父は、PCも携帯メールをしませんが、母(昭和13年生)は、苦労しつつも娘との携帯メールを楽しんでいました。
思い返すと、急激に悪化する以前に、漢字変換ミスがとても増えていました。
やがてメールが打てなくなり、次に読めなくなり、電話がかけられなくなり、最後に電話を受けることもできなくなって解約をしました。
認知症のサインの1つとして覚えておくと良いかも知れません。

母から来た最後のメールは「風邪のおもちたべたい」でした。
意味を尋ねると、私が作って友人に好評だったと伝えた「レンコン餅を食べてみたい」という意味だとわかりました。
私「なんでレンコン餅が、”カゼのお餅”になっちゃったの?」
母「・・忘れた。・・何か書けば、想像して、何とかわかってくれるかと思って・・」

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iPadを利用している金沢のリビングデイサービスのブログから。
(写真は、上部をトリミングしました。)

認知症ケアのポイント(新聞記事)

2012年9月18日の中日新聞朝刊から。(下記、青字部分)

紹介されているバリデーション療法タクティールケアは、多くの人にとって耳慣れない言葉ですが、笑顔で接している家族や心優しい介護職員が(これを知らなくても)自然にしている場面を見ることがあります。

介護のポイントの1つ、「寄り添う」に定義はありません。
寄り添うには、覚悟と決意が要る気がします。(楽で簡単な方法はないでしょう。)
「あなたが、例え私を苦しめることをしても、私はあなたを許し、受け入れる。
何があろうとあなたを好きであり続ける。あなたの味方であり続ける」と。

「違う!ダメじゃない!これ以上困らせないで!こうするの!何回言ったらわかるの!」
と思わず言ってしまいがちですが、症状を更に悪化させると言われています。

以下、青字部分が、新聞に掲載された全文(原文通り)。

    < 認知症の非言語的ケア  特有な症状軽減も >

認知症になると、記憶障害だけでなく、生活にもさまざまな支障を来します。
被害妄想や徘徊(はいかい)、排せつの障害が出ることもあり、往々にして介護者の精神的な負担が増えます。

しかし、介護者が認知症の知識を持ち、正しく接することができれば、妄想や徘徊など、認知症に特有な症状も軽減するといわれています。
いかに良いケア、良い環境が大事かということです。

認知症ケアは、「笑顔」「褒めること」「認めること」「寄り添うこと」「相手を尊重すること」がポイントです。

徘徊などの周辺症状は、不安や混乱が原因で起こります。
原因を探り、できるだけ穏やかに接すると、相手も穏やかになり、症状が軽減します。
こうしたこつを学び、非言語的ケア、すなわち触れるケアを充実させると、さらに良いケアになる可能性があります。

足をさするフットケアや、相手の行動を認め、気持ちに寄り添うバリデーション療法、背中を優しく包み込むように触るタクティールケアなどが、こうしたケアの一種で、注目されています。

ただそうはいっても腹が立つ、という介護者は多いようです。それも人間ですから当たり前です。 (国立長寿医療研究センター内科総合診療部長・遠藤英俊)


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朝日新聞にも「タクティールケア」についての記事があり、そこに載った図。

レビー小体型認知症介護体験談(うめのははさんの場合2)

(1)に続き「うめのはは」さんの介護体験談です。<必ず(1)もお読み下さい。>
 この体験は、特殊な例ではありません。
レビー小体型認知症と正しく診断されない患者が圧倒的多数という現実の中で、薬の副作用と知らないまま悪化していく患者は少なくありません。
(レビー小体型認知症の発見者・小阪憲司著「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」P.94 P.206に書かれています。)

 
 <向精神薬で体が固まる>

処方されたセロクエルを飲むと約3時間後、全身が動かなくなった。
1人で入浴中だったため大声で家族を呼んだ。家族が湯船からやっと引っ張り上げた。
すぐ服用を中止したが、2日間位は体が中々動かず、元に戻るまで3〜4日かかった。
それ以降、体の傾斜(座っていても体が傾く状態)が残った。

 <主治医を変える>

薬のことを含め何を訴えても聞いてもらえず、疑問を感じ、4か月前に主治医を変えた。
初めて「レビーではないか」と言われる。MRIでは、前頭葉の軽い委縮、軽い脳梗塞の跡があった。自分でネットや本で調べ、レビー小体型認知症だと確信した。

 <再び向精神薬で悪化し、歩行困難など回復せず>

新しい主治医にリスパダール(1mg)を処方され、再び体の動きが悪くなり2回で止めた。
朝一人で起き上がれなくなり、日中の眠気も強かった。薬が抜けるまで3〜4日かかった。
その後も立ち上がり困難、歩行困難、前傾姿勢、体の傾斜が、残ったままになった。

 <サプリメントが効果>

抑肝散(医師処方の漢方薬)を処方されたが、父には効果が出なかった。
限界を感じていた時にサプリメント(フェルガード)を知り、1日2包飲ませてみた。
飲んで3〜4時間すると「体が軽くなったような気がする」と言った。
服用2日目、立ち上がりや歩行が改善し、介助が半分位で済むようになった。
服用7日目、1人でシャワーを浴びられるまでに回復。(いす使用。服の着脱は介助)。
食事中や食後の眠気がなくなり、幻視への恐怖から起こる興奮も弱まり落ち着いた印象。
認知機能は、元々あまり衰えがなく、物忘れも年相応だった。会話も成立していた。

 <現在>

この夏から再び徐々に悪化。立ち上がりや歩行が不安定に。表情も乏しくなってきた。
物忘れは目立たなかったのに、最近、予定の日時の間違い等が増えてきた。
トイレに行くのが大変なので自分で水を制限していたせいなのかも知れない。
サプリメント(フェルガード)を増やしたいが高価なので躊躇している。

私(うめのははさん)は、認知症家族会の交流の場を知り、毎月参加するようになった。
レビーの家族も多く、病気の知識がないまま、症状に振り回されている話をよく聞く。
医療に対しては不満があり、レビー治療の現状を変えていって欲しいと強く願っている。

追記:適切な治療をする医師も少なからずいるという非公開コメントも頂きました。そうだと思います。ただ地方では、レビー小体型認知症専門医どころか認知症専門医すら殆どいないような状態です。レビー患者数(全国推定64万人)に対して診られる医師が圧倒的に少ないことは事実です。小阪憲司医師の「第二の認知症」P.206にも「この病気を知らない医師がまだ多い」と書かれています。

 <このブログの関連記事>
「フェルガードの医学的効果とレビー小体型認知症患者への使用法例」
「病気を知って家族を守ろう」
「認知症を悪化させる薬の処方(読売新聞)」
「認知症薬アリセプトの効果と副作用」
「早期発見されず薬で悪化するレビー小体型認知症」(1)(2)
「認知症に向精神薬使用実態調査(NHKニュースから)」

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オジギソウ

レビー小体型認知症の介護体験談(うめのははさんの場合1)

レビー小体型認知症のお父様を介護されている「うめのはは」さんの貴重な体験談です。

お父様は、私の母と同じパーキンソン症状から始まり記憶障害が目立たない「純粋型」。
(記憶障害から始まる「通常型」が一般的。小阪憲司著「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」P.104)

向精神薬のリスパダールで悪化したことは同じですが、母の幻視に一時期劇的に効いた抑肝散が効かず、米ぬか由来のサプリメント(フェルガード)が劇的に効くなど効果に個人差が大変大きいことをあらためて実感しました。
(薬の効果、副作用の出方に個人差が非常に大きいことが、レビーの特徴です。)

(参考:体験談に出てくる向精神薬2種について「認知症薬物治療マニュアル コウノメソッド2012」には、「精神科学が幻覚、妄想と聞けば処方するリスパダールは、レビー小体型認知症 の場合、禁忌」「セロクエルは、レビー小体型認知症でも少量なら可能。25mg を1 日0.5〜6 錠。強いので微調整も考える。体の傾斜を起しやすい」等と書かれています。)

  <お父様の経過>

7〜8年前に片手の震えを病院で指摘され、紹介された大病院の神経内科でパーキンソン病と診断。当時は、普通に歩き、自分で何でもできていた。
4〜5年前から立ち上がり時に転ぶことがあった。
3年前に胃潰瘍で入院後、薬の管理が難しくなり、私が飲ませるまで体が動かなくなった。
その頃、初めて幻視(幻覚)が現れるようになり、夜中も騒ぎ、対応が難しくなる。
医師から処方された向精神薬(セロクエル)で体が動かなくなることを経験。

医師を変えて、「レビー小体型認知症ではないか」と言われる。
処方された向精神薬(リスパダール)でも体が固まり薬を止めても体の傾き等が残った。
自分でネットと本で調べ、レビー小体型認知症と確信。
1年半前、転倒し肋骨にひび。立ち上がり時によろけることが多くなっていた。
フェルガード(サプリメント)で改善したが、この夏また徐々に悪化してきている。

  <幻視、妄想に本人も家族も苦しめられる>

初めは、ランプを見て「火を付けられた」、夕方になると「人が大勢来る。バズーカ砲で撃ってくる」等と騒ぐようになった。犬や猫も見え、一時、幻聴(バイク音)も。
壁と天井の境が開き、笠をかぶった人が何人も出て来てお経を読んでいると言う。
人がお風呂に居るから自分も入ると裸になることも。

歩けるので夜中に一人で見回りをし「人がいる!見に来い!」と度々家族を起こした。
ベッドの横には、護身用の棒や懐中電灯を用意。金庫を盗まれると買い替えた。
一晩に数回、棒を振り回して大声で家族を呼ぶこともあった。
幻視に向かって「責任者出て来い!俺に挨拶しろ!」とよく怒鳴った。
「警察を呼びたい。天井裏を確認したい」と訴え、家族が説明しても本人は真偽がわからず「ノイローゼになりそうだ」と悩んでいた。
「もうこの家には居たくない。ホテルに泊まりたい」とも言うが、ショートステイを持ちかけると嫌なのか話をそらす。
ムズムズ脚症候群がずっとあり「犬にかじられた」「注射を打たれた」「お湯をかけられた」などと言う。

(2)に続く。

 <関連記事>
*「レビーの幻視と妄想 その種類と特徴
「患者は幻視を医師に訴えない」
*サプリメント、フェルガードの効果とレビー小体型認知症患者への使用方法
このサプリメントは、3〜4割の患者には効果が出ないそうです。
医学的研究もされ論文も出ており、推奨している医療機関の一覧は→グロービア公式サイトを。

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ムクゲ。残暑の中、まだ咲き続けている。

悪化の一途を辿る家族についてのご質問

非公開コメントでご質問を頂きました。
私の母もほとんど同じ道を辿り、主治医からまったく同じことを言われました。
同じ問題で苦しんでいる方が大勢いらっしゃるので、こちらに回答を書きます。

 < ご相談の内容 >
3年前にパーキンソン病と診断された70代の父が、どんどん悪化している。
幻視がひどく家族を困らせることを主治医に訴え、処方された薬を飲むと更に悪化した。
考えてみると8年前から寝室でヘビの幻視(幻覚)を見たが、疲れだと思っていた。
症状をネットで調べ、レビー小体型認知症を知り、主治医にそれを伝えて相談した。
「幻視は、パーキンソン薬の副作用。例えレビーだとしても治す薬はない」が回答。
処方が変わることはなかった。今の主治医の治療を受け続けて良いのだろうか。

 < 回 答 >
同じ経過を辿った私の母の場合を書きます。
パーキンソン病の主治医(市立総合病院のベテランの神経内科医)から上記とまったく同じ言葉の他にこう言われました。(2010年春)
「パーキンソン薬を止めたら幻視はなくなるが動けなくなる。どちらが良いか。
レビーかどうかなど解剖してみなければわからない。レビーには治療法がない」

主治医は怒り、私は、黙りました。
数ヶ月後、圧迫骨折入院中、主治医の転勤で医師に変わり、レビー小体型認知症と診断。
幻視を減らす薬と処方された向精神薬(リスパダール)を飲み急に歩けなくなりました。
医師も看護師も薬剤師もリハビリ担当者もケアマネジャーも薬を疑いませんでした。

このブログへ投稿された読者のコメントからリスパダールの副作用だと知りました。
(投稿者も治療で劇的に悪化したレビー小体型認知症患者のご家族でした。)
「認知症薬物治療マニュアル コウノメソッド2012」を読むと、レビーにリスパダールは禁忌と明記してありました。

今の私ならすぐに薬を調べ、向精神薬を細心の注意で観察しながら減薬してみます。
(抗精神薬には、いきなり止めてはいけないものが多くあります。)
すぐには変化が出ない薬もありますから数日間注意深く観察し、悪くなれば戻し、改善が見られれば更に減らします。
アリセプト5mgでもレビーでは興奮して怒ったりする方がいます。適量を探します。

家族が薬を調節する方法は、常識破りですが、河野和彦医師が勧めている方法です。
上記のコウノメソッドや河野氏の著書「認知症治療28の満足」に書かれています。

私は、母の主治医をすぐに変えました。
県外の病院まで行きましたが、改善はしませんでした。
(処方の少しの変化で劇的に改善したり、悪化したりする場合もあれば、どう頑張ってもBPSD—困った症状—が改善されない患者も少なくないのが、レビーの特徴です。)
母にとって長距離移動の負担は大き過ぎるので、通える範囲に、レビーの専門医ではないけれども家族の話をよく聞いてくれる誠実な医師を見付け、そこに通いました。

 追記:私は河野医師のコウノメソッドを信奉してはいません。
    ただ誰でもが薬物療法の詳細を知ることができ、参考になるものです。

<このブログ内の関連記事>(他にも多くあります。)
  *「病気を知って家族を守ろう」
  *「認知症を悪化させる薬の処方(読売新聞)」
  *「認知症薬アリセプトの効果と副作用」
  *「早期発見されず薬で悪化するレビー小体型認知症(1)」(2)
  *「認知症と向精神薬」(NHKニュースから)
  
  *「レビー小体型認知症の症状一覧」
  *カテゴリー「「レビー小体型認知症について」

●私が信頼している家族会:「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(無料配布の「ゆるりん通信」は、レビーを正しく知る上で非常に有益。他に類を見ない充実した内容です。)

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珍しい種類のムクゲ

オムツ交換不要にする介護ロボット(新聞記事)

2012年9月17日日本経済新聞の記事から要約、抜粋。(青字部分。ほぼ原文通り。)

使い勝手などは、わかりません。しかし飛躍的進歩を感じます。
現場の声を取り入れて改良を重ねていけば、より良いものとなり、普及すれば身体介護の形が変わるかも知れません。

追記:非公開コメントで、このロボットの開発者は、介護経験者ではないという情報を頂きました。どれだけの実用性があるかは、自分で見て、体験してみなければわからないでしょう。個室で実体験ができるような場所や機会が望まれます。


    介護用ロボットを2種類投入 マッスル

制御機器メーカーのマッスル(大阪市)は介護を助けるロボットを開発した。
ベッドから車いすへの乗せ替えを補助するタイプと、排せつ物を自動で処理するタイプの2種類。
介護現場では作業負担軽減のニーズが大きいとみており、早期の量産化をめざす。

「ロボヘルパー」という名称で、26日から東京で開かれる国際福祉機器展に出展する。
価格はいずれも数十万円程度の見通し。
介護保険の適用製品になれば「月々数千円の自己負担で利用できる」と玉井社長。

乗せ替え補助ロボットは、専用シートごと車いすに移す仕組み。
工業デザイナーの喜多俊之氏が設計し、インテリア風の親しみやすいデザインに仕上げた。

排泄物処理ロボットは、要介護者に専用ケースを装着。
センサーで検知してタンクへ吸入する。
洗浄・消毒も自動で実施する。
介護者、要介護者双方の心理的負担を軽減できるという。


*参考:厚生労働省「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業事 業報告書」はこちら。

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有名デザイナーの喜多 俊之氏とその作品

若年(性)認知症の方の抱える問題

65歳未満で発症する認知症を若年(性)認知症といいます。
厚生労働省公式サイトによると人口10万人当たり47.6人の方が発症。
推定発症年齢の平均は、約51歳。働き盛りの年齢です。

(追記:*若年性レビー小体型認知症 患者本人の語る体験談→こちら
    →<レビー小体型認知症 早期発見チェックリスト


先日ご紹介した「のんた2号」さんのブログ(「若年性アルツハイマー病の妻と弥次喜多道中)に書かれていた記事が、若年認知症患者と家族の問題を簡潔に表しているので、ご本人の承諾を得てこちらに転記します。(下記の青字部分

一番大きな負担は、経済的問題だそうです。
NPO法人認知症フレンドシップクラブの柏事務局(千葉県柏市)のブログに救済の制度が紹介されています。
この記事は、大変な労作です。当事者には、非常に役立つと思います。

  →「若年認知症患者と家族が利用できる手当、年金・医療制度
    (1)(2)(3)(4)

 <のんた2号さんの書かれた記事>

妻が認知症の診断を受けた10年前も今も若年認知症家族が抱える一番大きな問題は、経済的支援です。就学途上の子どもの教育費や家のローンが特に問題になります。

若年認知症の場合、今まで順調だった夫婦関係や親子関係が崩れる場合もあります。
もっと心理的な支援も必要としています。

また昔も今も、とても誤った情報が、若年認知症をほとんど診ていないであろう医師や若年認知症と向き合ったことがない専門職のコメントがウェブ上や相談コーナーで流れている場合もあります。

10年前より若年認知症本人に合ったサービスや施設は少し増えましたが、まだまだ足りません。病気の進行のレペルに沿ったサービスを必要としていますが、受け皿は整っていません。就労支援の問題もあります。


*若年認知症になることの哀しみ、苦しみ、夫婦の想いを描いた萩原浩の小説「明日の記憶」は、とても良い本です。
映画化された「明日の記憶」(渡辺謙・樋口可南子)も素晴らしいです。

私はまだ読んでいませんが、小説のモデルになった越智須美子さんの書かれた「あなたが認知症になったから。あなたが認知症にならなかったら。」という本もあります。

<関連記事>
*「若年性レビー小体型認知症患者本人が語る症状・診断・治療・気持ち
*「若年性認知症 普通の人として普通に暮らす
*「認知症のわたし(朝日新聞連載記事)
*「NHKある夫婦の記録「隠したって何もないもん」
*「車いすで沖縄へ家族旅行」若年性レビー小体型認知症のHさん一家
*「認知症の方本人はどう接して欲しいと思っているのか
*「若年(性)認知症の方とその家族が直面している経済的問題と対策
*「認知症と生きる人のためのサイト」(「3つの会@web」)

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朝顔(アサガオ)がまだ咲いていました。

介護食を作るための便利な製品紹介

既にご存知かも知れませんが、私は今日初めて知ったのでご紹介します。

寒天やゼラチンの代わりになる食品固形化補助粉末。2012年6月に発売。
食品と一緒にミキサーにかけるだけで、常温で固まるという便利さ。
固さは、量や温度によってムース状から固めのゼリー状まで調節可能。
温かいものも固形化でき、冷めても形を壊さずに温められるそうです。

 胃ろう用医療食等も販売しているクリニコ社の「まとめるこeasy」(→公式サイト

このサイトには、介護食(嚥下食)についての情報も色々あります。
自宅で作るには手がかかり過ぎると思っていた「ソフト食」も比較的簡単に作れそうです。

*嚥下障害・胃ろうについてのカテゴリーは、こちら。
胃ろうの記事の1つは、朝日新聞社の論説サイトWEB RONZAで関連情報として紹介されました。

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サイトにあった焼き鮭。

病気を知って家族を守ろう

NPO法人認知症フレンドシップクラブの柏事務局(千葉県柏市)のブログにレビー小体型認知症の学術的な情報が掲載されています。
医師や研究者向け資料ですが、日本語ですから私たち素人にもほとんど理解できます。

「素人に医学的なことなんてわかるはずがない。医師に全部お任せするしかない」と言う方が少なくありませんが、本当にそうでしょうか?
この世のすべての病気を覚える訳ではありません。たった1つの病気です。
数冊の本を読めば、一通りのことはわかります。
更に詳しく知りたい方は、上記ブログにあるような資料を読めば、少なくとも知識において不足はありません。

レビー小体型認知症をよく知らない医師がいくらでもいるという(急速に変わりつつあると信じたい)現状の中で、レビーについての本を1冊も読まないことは、あまりにも恐ろしいことです。
レビー小体型認知症患者は、向精神薬、睡眠薬、通常量のアリセプト等の副作用で劇的に悪化する可能性が高いからです。(詳しくは、こちらを。)

圧倒的多数の患者が誤診されています。(小阪憲司著「第二の認知症」P.206参照)
医師から「認知症です」「アルツハイマーです」と言われ、治療を始めたら急に歩けなくなった、動きが遅くなった、激しく怒ったり興奮する、ボケが進んだと感じる場合は、レビー小体型認知症を疑って下さい。これが症状です。

    <推薦本を書いた記事>
  *必読本「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」 
  *レビー小体型認知症に関する本(コメント蘭までお読み下さい。)

   <薬について深く知ることができる資料>(一般論とは異なる部分があります。)
  *「認知症薬物療法マニュアル コウノメソッド2012」
  *2013年度版

   <認知症フレンドシップクラブ柏事務局のブログに掲載された医学情報>
  *レビー小体型認知症の臨床診断基準(記事はこちら
   
  *臨床診断/系統的な自律神経評価
   心血管系の機能評価法を用いた報告・レビー小体型認知症における高炭酸換気応答
  (記事は、こちら。
    
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名前わかりません。

9月の父

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認知症特集(NHK「名医にQ」)

放送は、2012年9月15日(土)夜8時から45分間。(詳細は→「きょうの健康」公式サイトを)
過去の2回の番組(「早く気付こう認知症」「認知症 あなたの疑問に答えます!」)の内容の凝縮版だそうです。

アルツハイマー型認知症中心の内容ですが、認知症についてまだ良く知らないという方には、非常に良い番組だと思います。
早期発見にも役立ちます。(各種認知症の早期発見チェックリストは、こちら。

レビー小体型認知症でもアルツハイマー型の症状で始まる方の方が多いです。
小阪憲司著「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」P.104)
アルツハイマー病と診断されている方の中には、レビー小体型の方、併発している方が少なくありません。(詳しくは、こちらの調査を
レビー小体型でもパーキンソン症状や幻視(幻覚)が出ない方もいますのでご注意を。

番組の中で、早期発見の方法や「医師と患者の会話」が特に参考になると思いました。
(具体的会話などの内容は、以前、記事でご紹介しました。→こちら

認知症を良く知らない方は、この会話が異常だと気が付かないのではないかと思います。
認知症患者は、質問に「まともに答えられなくなる」と思っている方が多いからです。
実際には、言葉巧みに言い繕い(事実と違うことも言う。)一見何の問題もない人のように見えます。
以下のような場合は、認知症のサインであることがあります。

*物忘れなどを周囲は心配しているのに本人は全く気にせず平気でいる。
 例「私は大丈夫だよ。毎日ウォーキングしてちゃんと予防もしてるし」
*質問をよく考えずに答える。(適当にいい加減なことを言う。ウソを言う。)
*場当たり的な「取り繕い」をする。(巧みな言い訳。人のせいにする。ウソ。)
*どうすればいいか等をすぐ人にきき、自分が人に依存していることを気にしない。
 例「○○って何だ?」「これはどうするんだっけ?」「○○はいつ?」

<番組出演者>
最新治療  弘前大学大学院教授 東海林 幹夫
診断・検査 八千代病院神経内科部長 川畑 信也
ケア・サポート 大阪市社会福祉研修・情報センター 沖田 裕子
ゲスト パパイヤ鈴木

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番組では、親指を離さずに右のハトの形を左のハトの形にひっくり返すことが、認知症早期にできなくなると説明。

クリスティーン・ブライデン氏来日記念セミナー

このブログに時々コメントを下さる「のんた2号」さんのブログ「若年性アルツハイマー病の妻と弥次喜多道中」で知った情報です。

ブライデンさんは、オーストラリア政府で働いていた女性です。
46歳で若年性アルツハイマー病の診断。3年後、前頭側頭型認知症と再診断されました。
認知症患者本人の立場から綴った素晴らしい2冊の著書があります。
(「私は誰になっていくの?」「私は私になっていく」)

 来日を記念する講演会は、

   2012年10月28日(日) 12:45~16:15 東京都江東区 
       11月3日(土) 13:00~17:00 沖縄県名護市

 出演予定:
 クリスティーン&ポールブライデン夫妻
 永田 久美子 (認知症介護研究・研修東京センター 研究副部長)    
 沖田 裕子 (NPO法人 認知症の人とみんなのサポートセンター 代表) 
 武田純子 (北海道認知症グループホーム協会 顧問) ※沖縄のみ
 遠藤英俊 (国立長寿医療研究センター 内科総合診療部長) ※沖縄のみ
 認知症ご本人数名 ほか


詳細は、のんた2号さんのブログをご覧下さい。→こちらを。

ブライデンさんの本の内容(引用あり。)については、私のブログで3回ご紹介しています。
  「認知症への偏見 うつ病との共通点」
  「家族がだれかわからなくなっても」
  「認知症・うつ病の患者の内面で起こっていること」

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萩(ハギ)の花

認知症予防がうつ病予防になる(食事)

2012年9月8日の中日新聞に岐阜女子大で開かれた認知症を予防する食事を学ぶ市民公開講座の記事が掲載。(記事全文は、こちら。

  講師は、水野幸子教授と藤田昌子准教授(臨床栄養学)。
  認知症の予防には「ビタミンB6、B12や葉酸が効果がある」と紹介。
  葉酸を多く含むホタテやマグロ、トマト、キュウリなど(モロヘイヤ、ゴーヤー)
  を使ったレシピを教えた。

<各栄養がどんな食品にどの位含まれているか→ビタミンB6、ビタミンB12葉酸

2012年9月12日の「あさイチ」のテーマは「最新精神栄養学 うつを食事で改善する!?」。番組は見逃しましたが、詳細は、NHK公式サイトで読みました。

  うつ病予防に効果があると納豆、オクラ、山芋を番組で紹介。

  うつ病になると、不足しがちになる栄養素として紹介されたもの
    <ビタミン・ミネラル類>
    ・ビタミンB1B2、B6、B12 ・葉酸 ・ ・亜鉛
    <脂肪酸類>
    ・ドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)
    <アミノ酸類>
    ・トリプトファン ・メチオニン ・フェニルアラニン ・チロシン

脳の病気という点では、認知症とうつ病は、同じです。
症状も非常によく似ているため誤診も多いとこのブログでも何度か書いています。

しかし予防に必要な栄養素が共通しているのはなぜだろうと思って調べてみました。
精神経誌(2009年111巻1号)に載った馬場元氏(順天堂大学医学部)の論文(全文はこちら)に「老年期うつ病では、認知機能障害を引き起こす器質的・機能的基盤が存在しており、認知症の危険因子であると考えられる」とありました。

中高年(特に高齢者)では、うつ病予防が認知症を予防することにもなるようです。

*このブログ内のカテゴリー「うつ病」は、こちらを。
*認知症やうつ病の予防や治療に効果のあるスロージョギングのカテゴリーは、こちら。
*認知症やうつ病にも誤診されやすい甲状腺機能低下症(橋本病)の記事は、こちらを。

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オキザリス

小阪憲司氏の講演会in長崎

佐世保市がレビー小体型認知症の発見者・小阪憲司医師を呼んで講演会をします。
これは、遠くても行く価値があります。
詳細は、佐世保市ホームページを。


    第15回認知症を考える講演会
      「認知症の正しい理解~レビー小体型認知症を中心に~」
  
  日時:平成24年(2012年)10月6日(土)13:30~15:00

  場所:長崎県 佐世保市民会館ホール

  講師:小阪憲司先生(横浜メディカルケアコートクリニック院長)

  入場無料。申し込みなし。



小阪氏の著書についての記事は、こちらを。
介護家族はもちろん、医師、看護師、ケアマネジャー、介護職員など医療や介護に携わる全ての方に読んで頂きたい本です。
そうすれば全国で推定64万人の患者の圧倒的多数が誤診され、過った治療(向精神薬、睡眠薬、多過ぎるアリセプト)で劇的に悪化して苦しんでいるという悲惨な状況は、変わっていくと思います。
専門的な内容もわかりやすく書かれ、どなたにも読み易い本です。

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9月の帰省(2)認知機能の低下

母は、初めて甘いものを欲しがらなくなりました。
私の顔を見ると必ず「ねぇ。何かお菓子頂戴!」と言っていたのに。
おやつの小さな水まんじゅうも一口食べて「もう要らない」。
食欲が落ちたのか、味覚が変わったのか、甘いものが好きという意識が消えたのか?
食事も以前のようにほとんど完食ということはなくなりました。

持って行った絵本の読み聞かせは、今回も喜びました。(前回の記事
いわさきちひろの赤ちゃんの絵には、声を立てて笑いました。
「きゃ〜可愛い!・・赤ちゃんのおしりって・・プクプクしてるんだよねぇ!」

何冊か読み終えると
「・・意外と面白いもんだねぇ」
「そうだよ。私も絵本、大好きだよ。一緒にわくわくドキドキするよ」
「あんた、これ、誰に読もうと思って持って来たの?」
「え・・?」母が生きていると思っているサルのぬいぐるみを指差しました。
「タンタン?うん。この子は好きだね。こんな顔して聞いてるよ。(澄まし顔をして見せる。)私もよく読んでやるの。皆が、”私にも読んで!”って言うから困っちゃうよ」

サルには名前があったのですが、既に消え、今回は、呼ぶ度に名前が変わりました。
母のこの発言は、すべて妄想です。
母の会話の中には、2年半前から多くの妄想が入ります。

伯母が母を訪ねた時、母は、金婚式の記念写真(母の自慢の宝物)を伯母と祖父(母の父)の写真だと言ったそうです。
これは、ショックでした。今までなかったことです。
私の子供が来た時も母は、すぐには誰かわかりませんでした。
記憶力(今まで低下が目立たなかった。)を含めた認知機能の急激な低下を感じました。

私が帰った後。
妹「○○ちゃん(私)も○○(私の子)も来てくれて本当に良かったね!楽しかったね」
母「・・それが、会えなかったんだよねぇ・・」

2010.05.04いわさきちひろ展s004-s
いわさきちひろの絵

9月の帰省(1) 母の大きな改善(身体機能と感情)

出発の朝、忙しくて「行ってきます」と書き損ねたのですが、先日帰省しました。
事情があり7、8月と帰れなかったのですが、久しぶりの母は、大きく変わっていました。

 1. 陽気になった。(以前は常に少しうつ気味。今回は初めて躁気味。)
 2. 体の動きが、とても良くなった。(手がほとんど正常に動くようになった。)

認知機能は、ほぼ普通に会話できるまでに回復した6月と比べると格段に落ちました。
意味のわからない発言が時々あり、会話もトンチンカンで噛み合ない時がしばしば。
しかし反応や話すスピードは速く、普通に会話が成り立つ時もたくさんありました。
怒ったり、不安に襲われたりという感情の波がほとんどなかったので、一緒に楽しく過ごすことができました。


母に私の子供も遅れて来ることを伝えると、意外なことを口にしました。
「え?!○○(私の子)が?!(顔が輝く)・・・お化粧しなくちゃ・・」
これは、急激に悪化して以来、初めて言った言葉です。(2年半振り)

すぐに実家にあった母の口紅を持って行き、手渡し、鏡を見せました。
母「やだ!・・ひどい顔!・・ずーっと鏡なんて見たことなかったもんねぇ・・」
昔と同じ手つきでスルスルと口紅を塗りました。(ムラはあったので直しました。)
私「やっぱり口紅1つで全然違うねぇ!凄〜く明るく元気そうに見えるよ」(事実)
母「そう?・・眉墨は?・・眉を描くと違うんだよ。ここ(顔)は白くしないと・・」

優しい職員さんに誉めてもらい「美人じゃないよ〜!そんなこと、昔から言われたこともない!」と言いながら、母は、昔通りの生き生きとした笑顔でした。
(化粧は、認知症患者へのセラピー効果あり。→新聞記事資生堂の化粧療法のサイト

以前は眉間にしわを寄せて「どうしたらいいの?私、どうしたらいいの?」と発作のように延々と繰り返すことが頻繁にありました。
今回は「私、ど〜したらいいんだ〜」と笑いながら歌っていたので非常に驚きました。
(病識がなくなって明るくなったのかと思いましたが、妹の話では病識はあります。)

2人でやった「大じゃんけん大会」(派手な実況中継付き)も盛り上がりました。
母は、勝つ度に「イェ〜ィ!」とガッツポーズ。ベッドの上で小躍りしていました。
(母は、人前ではいつも明るく、おどけて周囲の人を楽しませるのが好きでした。)
翌日私の子供が来た時も「じゃんけんやろう!」と母から言い出しました。

じゃんけんが出来るようになるとは、夢にも思っていませんでした。
帰省の度にリハビリと観察を兼ねてグーチョキパーとやってもらっていましたが、今までは、1つの形を作るのに5秒前後かかっていたのです。(しかも不完全な形でした。)

母は、6月に2年間飲み続けた睡眠薬(レンドルミン)を止めました。
変化の原因は、それ以外に思い当たりません。(肝臓、甲状腺も悪く、便秘薬を含めて10種類以上の薬を飲んでいますから何かと相互作用していたのかも知れませんがわかりません。)

睡眠薬は、処方された当初から全く効きませんでした。(個人差は大きいと思います。)
間もなくグループホームに入り、夜中に騒ぐことが徐々に減ったと聞き、睡眠薬の中止を要望しました。
しかし断続的にでも眠るようになったのは、「薬が効くようになったから」との説明。
「安定してきた時に薬は変えない方が良い」と医師にも看護師にも介護職員にも言われ、繰り返した要望が通ることはありませんでした。
全員が口を揃えて言っていたのですから、それは「常識」だったのだろうと思います。
勇気を持って睡眠薬を止めて下さった現在の施設には、心から感謝しています。

追記:この記事のコメント蘭に認知症専門医の方が、睡眠薬(眠剤/睡眠導入剤)の副作用と取り扱いに関する解説を書いて下さっています。是非ご覧下さい。

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サルビア・コクシネア・レッド(ベニバナサルビア)のようです。

認知症予防策新たな試み(新聞記事) 

2012年9月9日の日本経済新聞の記事。(一部抜き書き。一部要約。青字部分)

母もまず目立ったのは、料理ができなくなったことでした。
メニューを考えられない、段取りが出来ない、野菜を切りながら煮物をするなど1度に複数の作業ができないといったことが顕著になりました。
妻や嫁のいる男性高齢者の場合は、複雑な能力を必要とされる機会がないため一見問題なく生活しているように見え、認知症の発見が遅れると以前、本で読んだことがあります。


   認知症予防策 新たな試み
     思い出の写真で対話、マージャン
       脳活性化効果、今後検証へ

千葉県柏市の介護予防施設では「ふれあい共想法」を行っている。
千葉大学の大武美保子准教授が考案した脳を活性化する(認知機能を高める)方法。
大武氏は、NPO法人ほのぼの研究所(柏市)で講座を開き、長崎北病院が導入。
認知症の初期症状が出始めた70代男性は、1年続けると他の人の話を理解して会話できるようになった。

 <「ふれあい共想法」のポイント>
1. 男女6人程度の参加。
2. テーマに沿った写真を用意(各自持ち寄る)。故郷、旅行、健康、食べ物など。
3. 写真はスクリーンなどに投影して参加者からよく見えるようにする。
4. 自分の写真を約5分で説明。質疑応答に5分。全員が順に話し手と聞き手になる。
5. 制限時間厳守。司会者は、話し手が自分の言葉で表現し、聞き手に質問を考えるよう
  に促す。

対面でするゲームも注目されている。その1つが健康マージャン(酒・煙草・賭なし)。
諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授らが脳の血流量増加を確認した。
「4人で会話をしながら、相手の行動を読んで自分の手を考えるからだろう」と篠原氏。

最近の研究によって、認知機能は、記憶力の低下よりも行動や生活を管理する機能の低下が顕著だとわかってきた。
計画を立てたり、複数のことに気を配りながら作業をしたりする「実行機能」は、認知症の初期の段階で衰える。
料理などに時間がかかるため、やらなくなり、更に症状が進むという悪循環に陥る。

料理、旅行、園芸などの実行機能を使う趣味を週1回1年継続した高齢者は、実行機能が向上した。(東京大学の矢富直美特任研究員らの研究)
「実行機能を集中的に使えば、認知症の予防につながるかもしれない」と矢富氏。

<この記事と共に紹介された2つのサイト>
*ふれあい共想法について知るHP→NPO法人ほのぼの研究所
*認知症を知るには→厚生労働省HP


このサイト内のカテゴリ→「認知症の予防・診断・治療」

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グロキシニア

レビー小体型認知症がテーマのフォーラム(10月30日)

フォーラムを主催する「一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会(JADECC)」(公式サイトは、こちら。)は、認知症ライフパートナーという資格試験等の事業をしている団体です。
レビー小体型認知症をテーマにしたフォーラムは珍しく、パネラーも充実しています。
貴重な機会だと思いますので是非ご参加を。(私も行きます。)

私が、この2年間大変お世話になり続けているレビー小体型認知症介護家族おしゃべり会 の代表の方の講演もあります。


日時:  2012年10月30日(火)13:00~16:30

     【講演】13:30~14:50【パネルディスカッション】15:00~16:10
     【質疑応答】16:10~16:30

参加費: 一般:1,500円/会員:1,200円

会場: すまい・るホール(東京都文京区後楽1-4-10 住宅金融支援機構1F)

定員: 300名

主催: 一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会

基調講演 「日本認知症コミュニケーション協議会の取り組み
      ~認知症の人に寄り添う”認知症ライフパートナー”その役割とは~」
      渡辺 光子氏
     (一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 理事長。
      福祉住環境コーディネーターの有資格者でもある。)
    
講演   「レビー小体型認知症を知ってますか?」その症状と特徴
      尾崎 純郎 氏(レビー小体型認知症研究会 事務局長)

     「父はレビー小体型認知症になりました。」
      加畑 裕美子 氏
     (レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会 代表)

その後のパネルディスカッションには、NHKの認知症番組にも出演された金子智洋さん(63歳。レビー小体型認知症患者)と節子婦人も加わります。(関連記事は、こちらこちら

申し込みは、こちら。

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レビー小体型認知症の母の日々(3)

(2)からの続き。

 <常に様々な幻視(幻覚)が見え、それを現実と思っている(妄想)>
亡き祖父や大勢の幻視に囲まれてイッセー尾形の一人芝居のように生き生きと会話をしたりします。(幻視の人物は声を出さないようですが、母はよく話し掛けます。)

父が天井から逆さまにぶら下がる、テレビに映っている人の頭に釘が刺さっている、私の顔からコンニャクが湧き出してくる、部屋の中に雨が降る、極楽鳥が飛び交う、幽霊が出る等多種多彩です。
幻視の子供達には、それぞれ名前があり、家族構成等の物語が出来ています。
人の誤認も多く、周囲の人(介護職員等)が、家族や親戚等に見えます。

這い回る虫の幻視に苦しめられる方も少なくないようですが、母の幻視に虫はなく、好ましい人、子供や動物が多いようです。
(母自身が幻視の見え方について語ったことは、こちら。患者は幻視を隠すことがわかります。)

 <母らしいと思った時>
「(診察の結果)アルツハイマーではなく・・」と医師から言われて車いすの上でガッツポーズ。「レビー小体型認知症です」という言葉は耳を素通り。
(母は、昔からよく派手にガッツポーズを取るノリの良い、茶目っ気のある人でした。)

この2年で2度だけ母の前で泣いたことがあります。手が付けられない状態が過ぎて一転して穏やかになり、昔通りの母に戻った時です。
母は2度とも「泣かないで」と優しく私の頭をなでながら言いました。
「人のことばっかり考えないで、自分のことも大切にしなきゃ」
「(何もしてあげられないと言うが)優しい気持ちを一杯くれたじゃないの。それだけで十分」

母らしい言葉だと思っていましたが、今あらためて考えると、もう少し違う次元から舞い降りた声だったような気がします。

母は、認知症を患って以来、感性が研ぎすまされ、人の心を正確に見抜く時があります。
認知機能の検査では計れない、ある種の「叡智」が宿ったかのように感じることがあります。
ありえないことでは、ないでしょう。
記憶力も病識もあるまま、突然、体の自由も認知機能も奪われるという極限の苦しみを味わい尽くした後に、穏やかな現在に至るという体験をしたのですから。

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グラジオラス

認知症で抗精神病薬の使用実態調査( NHKニュース)

2012年9月4日のNHKニュースから。(青字部分。記事全文と動画は、こちら。

困った症状があれば、薬で治してもらおうと以前の私は、自然に思っていました。
それは、現在、あらゆる型の認知症患者に対して適切でない考え方と言われています。
薬物治療ではなく、患者を安心させる介護・ケアによって落ち着かせることが大切と言われます。

薬について何も知らなかった私は、母が急激に悪化しても、それが医師の処方した薬のせいだとは気が付きませんでした。

昨日の記事に書いたようにレビー小体型認知症の患者の圧倒的大多数は誤診されています。
レビー小体型認知症患者は、薬の副作用が激しく出やすい特徴がありますから、アルツハイマー病に適切と言われる量のアリセプトで興奮したり、抗うつ剤や精神安定剤などの向精神薬で感情、思考、動作が働かない状態になります。
(レビー小体型認知症の発見者・小阪憲司著「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」P.133 P.135〜136)

多くの医師は、それを知らないということを私たちは肝に銘じなければいけません。

    <このブログ内の関連記事>
  *認知症を悪化させる薬の処方(読売新聞)
  *認知障害を起こす処方薬一覧(朝日新聞)
  *各種認知症におけるアリセプト(認知症薬)の副作用
  *認知症薬アリセプトの効果と副作用
  *早期発見されず薬で悪化するレビー小体型認知症(1)(2)


以下、青字部分は、NHKニュース記事からの抜粋です。

認知症の増加で、抑うつや興奮、幻覚、妄想などを抑える「抗精神病薬」を飲む高齢者が増えている。
日本老年精神医学会は、認知症に対する抗精神病薬の使用状況について実態調査を行うことになった。

抗精神病薬を使う認知症患者は、死亡率が高くなるとする海外の報告がある。

学会の理事長を務める順天堂大学の新井平伊教授は、「抗精神病薬は適切に使えば認知症患者に対しても有効と考えられるが、安易に処方されないようリスクを明らかにして使用方法の確立につなげたい」と話している。


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ムクゲにそっくりな芙蓉(フヨウ)

アルツハイマー型認知症の進行の仕方

<レビー小体型認知症は、アルツハイマー型と誤診されていることが多々あります。
以下に紹介するFAST(進行表)を見て、あまりにも違っていればアルツハイマー型ではない可能性があります。>

前回の記事の中に出てきたアルツハイマー型認知症の進行具合を示すFAST (Functional Assessment Staging)は、こちらから読めます。→「日本臨床61巻」

これを読むとレビー小体型認知症の母の進み方とは、全く違うことがよくわかります。

アルツハイマー型では「高度の認知機能の低下」に伴って起こる尿失禁、便失禁は、母の場合、早期(認知症とも診断されず、要支援2の時)に起こりました。
アルツハイマー型では、最終段階で起こる歩行困難も早くから起こりました。
体が自由に動かないので、着替えも入浴も全部やってもらう状態ですが、調子の良い時は、ほぼ正常に会話ができます。
(妄想や幻視や理解力低下のためにかなりおかしなことはよく言います。)

レビー小体型認知症患者の圧倒的多数は、アルツハイマー型認知症など他の病気の診断を受けていると小阪憲司医師(レビー小体型認知症の発見者)が著書に書いています。
いうまでもなくその理由は、この病気を知らない医師がまだ多いからだ」と。
(小阪憲司著「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」P.206〜207)

前回の記事のコメントにもありましたが、FASTを読んで「進行の仕方が大きく違う」と感じたら違う種類の認知症を疑うことは大切だと思いました。

レビー小体型認知症の一部(母はそのタイプです。)と前頭側頭型認知症(ピック病など)では、初期には物忘れがほとんどない場合があります。
認知症=物忘れ(記憶障害)と思っていると誤ります。

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ペンタス

プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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