胃ろう後でも食べられるようになる

嚥下(えんげ)障害(=食べたり飲み込むことが困難になる状態)は、レビー小体型認知症患者にとても起こりやすいと言われています。
しかし早期(まだ元気に歩ける時期)に始まる人もいれば、私の母のように一歩も歩けなくなって3年が過ぎても問題なく食べている人もいます。
(母は、寝返りは打てませんが、震えはなく、箸を使えます。)

先日、嚥下障害の有無を調べる簡単な方法を介護家族から伺いました。
ペットボトルで飲ませてみるのだそうです。
嚥下障害を起こしている人は、ペットボトルからでは飲めないそうです。
(追記:理由は、コメント欄のkuririnさんのご説明をご覧下さい。)
さっそく母に試すと、全くむせずにゴクゴクと平気で飲みました。

かなり病状が進んでも嚥下障害がないという例は、他の介護家族からも時々聞きます。
両者を分けるものは何なのだろうとずっと疑問に思っています。


嚥下障害を起こすと誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
そうして入院すると胃ろうを勧められるのが一般的です。
胃ろうには様々な誤解がありますが、その1つは、「胃ろうにしたら、もう口からは食べられない」というもの。
実際には、医療スタッフの指導の下、毎日の口腔ケア食べる訓練で可能になります。

医師はよく「治りません」「もう食べられません」「できることはないです」「もう長くないですよ」と簡単に言いますが、そんな無責任な言葉を鵜呑みにしてはいけません。

胃ろうを造ってもケアとリハビリで食事ができるようになる例は、以前にもご紹介しましたが、最近の新聞記事にも掲載されたので抜粋・要約を載せます。(青字部分)

2013年7月9日の千葉日報 シリーズ「食べること 生きること」

             訪問歯科医の口腔ケア日記 筆者:五島朋幸歯科医師

  家族の力添えで「奇跡」 「まさか食べられるとは」

肺炎で入院し、胃ろうになった男性。以後、口からは、全く食べていない。
訪問して口内を見ると、奥さんが質の高いケアをしていて、とてもきれいだった。

私(歯科医師)は、まずベッドを軽く起こして口腔ケアを始める。
頬や舌のマッサージを続ける。男性の目が、しっかり開いた。

「これからゼリーを食べていただきます」と告げるときょとんとした表情。
スプーンでゼリーを口の中に入れると、モグモグした後、ゴクンと飲み込めた。
母娘は、声をそろえて「飲んだ!」と叫んだ。

半年後、男性は、介助をされながら柔らかい食事を食べられるまでになった。
「まさか本当に食べられるとは思わなかった。奇跡」と奥さんは言った。



*介護家族の方々からは、黒こしょうのアロマパッチ(襟元に貼る)で飲み込みが改善し
 た
という話を聞いています。(追記:詳細はコメント欄をご覧下さい。)
*関連カテゴリ:胃ろう・嚥下障害

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オムツゼロ達成の特別養護老人ホームで見た食前の口腔ケア(マッサージ)はこんな感じ。職員が指を使って広くまんべんなく口の中から外に向かって(かなり強めに)押し出します。口回りの筋肉がほぐれて動きやすくなり、唾液も沢山出るようになるそうです。
(写真はこちらから

胃ろうとレビー小体型認知症

ここ数年で胃ろうへの反応は、変化をしてきたといいます。胃ろうをしないという選択をする人が、増えてきたそうです。
しかしそれが、胃ろうの良い点と悪い点の両面から熟考した結果の選択ではない場合もあると読売新聞が伝えています。(2013年4月8日読売新聞→記事全文
以下(青字部分)は、その記事からの抜粋(原文通り)です。

一方、胃ろうだけが不要な延命措置としてクローズアップされているとの疑問の声も聞かれた。
茨城県内の病院では、胃ろうを拒否する代わりに、むしろ苦痛の大きい鼻からのチューブを希望する患者や家族が増えた、と困惑する。患者に正しい情報が伝わっていないためで、看護部長は「胃ろうのほうが口から食べるリハビリもしやすい」と訴える。

経口摂取と併用して安全に食べるための道具」(東京都の病院)という声もあった。また、胃ろう患者の半分近くが、再び口から食べたり、経口摂取と併用したりするという新潟県の病院院長は「口から食べられるようにしても病院側のメリットは少ない。リハビリが普及する仕組みを考えるべきだ」と話す。


また、「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(家族会)に参加した時、伺ったお話もレビー患者や家族には、重要な情報だと思いました。

レビーは、その症状からアルツハイマー型と比べて、より早い時期から”嚥下(えんげ)障害”(飲み込みの困難)を起こす場合が多い。
そうなると食事だけでなく、薬を飲むことが難しくなり、様々な全身症状をでコントロールしているレビー患者にとっては、”生活の質”(QOL)だけでなく、生命にかかわる問題となる。
レビー患者(特に比較的若い患者)は、早めに胃ろうを造ることが、良い結果をもたらすことも多い。胃ろうによって体調が安定すれば、生活の質も高く保つことができる


*関連カテゴリ:「胃ろう・嚥下障害
(単純に決めつけるのではなく深く理解し、共に考えましょう。リハビリが重要です)

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メキシコ万年草(セダム)。
(取っても取ってもなくならない「雑草」なんだそうです。)

飲み込み困難を早期発見しリハビリを(朝日新聞)

2012年11月8日朝日新聞の記事から(以下、青字部分)。

 <嚥下(えんげ)障害 「むせ」や声の変化…兆候に注意>(チェックリストあり)

高齢になったり脳の病気になったりすると、ものをのみ込む「嚥下(えんげ)」の力が弱くなることがあります。怖いのは、ものが間違って肺に入り、肺炎が起きること。障害をなるべく早く見抜き、嚥下力を鍛えることが大事です。

食事や唾液(だえき)をのみ込むときには、のどの組織や筋肉が気管をふさぎながら、ものを食道に押し込む。
これらの動きが悪くなるのが嚥下障害で、栄養不足や、肺に食べ物や唾液などが入って起きる「誤嚥(ごえん)性肺炎」の原因になる。
 *続きは→朝日新聞apitalを。

 <この記事で紹介された役立つサイト>

   *藤島式嚥下体操のやり方(イラストで詳しく図解)
   (「浜松市リハビリテーション病院」公式サイト)

   *嚥下リハビリを相談できる全国の医療機関一覧
   (「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」公式サイト)

   *胃ろう(PEG)に関する10の質問と回答(夫々に動画付き)
   (「PEGドクターズネットワーク」公式サイト。胃ろうに賛成する医師達の意見)

     Q1 PEG(胃ろう)ってなんですか?
     Q2 ご飯は口からも食べられますか?
     Q3 お風呂には入れますか?
     Q4 リハビリやスポーツに支障はありませんか?
     Q5 栄養摂取にどれくらい時間がかかりますか?
     Q6 交換は必要ですか?
     Q7 在宅介護はできますか?
     Q8 元気になったら元に戻せますか?
     Q9 床ずれが改善するといわれますか?
     Q10 栄養剤の調剤は面倒ですか?

*このブログ内のカテゴリ:「胃ろう・嚥下障害」
(胃ろうに関しては、賛成意見・反対意見、両方の情報を掲載しています。)

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アメリカ梯梧 (アメリカデイゴ)。別名:海紅豆(カイコウズ)
沖縄のデイゴとは、全然違う花です。
夏の花のはずなのに、なぜかまだ咲いている・・。
今年は、花の時期がかなり狂っています。

平穏死を考える(日経新聞)

2012年10月20日の日本経済新聞夕刊の記事から抜き書き(一部要約)。

  「平穏死」を考える 石飛幸三さんに聞く
        「延命ありき」は無責任  人生の最後 自ら描く

人間は必ず死ぬ。できれば天寿をまっとうし、穏やかに逝きたい。
ところが現代医療は、この願いを踏みにじり、死期の迫ったお年寄りに無用の苦痛を強いている。
特別養護老人ホーム「芦花ホーム」の医師・石飛幸三さんは、2年半前に著した『「平穏死」のすすめ』でこんな現状を報告。高齢社会の医療のあり方に一石を投じた。

7年前に特養の医師になった。
そこで目にしたのは、手足が曲がったままかたまり、寝返りも打てず、自分の意思もなくした人が、1日3回胃ろうで宇宙食のような栄養液を入れられて生き永らえている姿だった。

「皆が責任をとらなくなったから」こんな事態が起きている。
お年寄りの容体が急変すると、責任を追及されないよう施設職員は、すぐ病院に送る。病院は、すぐ胃ろうをつくり施設に送り返す。

「私は、胃ろうがすべて悪いと言っているのではない。脳梗塞で一時的に食べられなくなった人が、体力を回復するまでのつなぎとして利用するなど、まだ先があるなら効果を発揮する場面も多い。
胃ろう自体は、有効な医療手段です。でも、それを老衰のお年寄りに自分たちの責任逃れのために行うことに疑問を呈しているのです。

「人間は、生き物です。老衰が進むと体が食べ物を求めなくなる。
それなのに家族も介護士もひとさじでも多く食べさせようとする。
でも、それがお年寄りの体に負担をかけ、誤嚥性肺炎を引き起こす。
あげくは点滴や胃ろうで栄養を補給する。体は悲鳴をあげている」

「発想の転換が必要なんです。
生物としての寿命をまっとうした体は、余分な荷物をおろして旅立とうとしている。
三宅島ではお年寄りが食べられなくなると、水だけをそっとそばに置いていたそうです。
静かに見守るのが、本人にとって一番楽なんです」

石飛さんは、それぞれが元気なときから自分の死と向き合い、どんな最期を迎えたいかを言葉や文書で周囲に伝えることを勧める。

「胃ろうは1人1年間で500万円の医療費がかかる。今の高齢者もツケを若者に回して延命しようなどと考えていないはず。高齢者の意思を無視して自分たちの責任回避を図るのは、現代版の棄老(うば捨て)でしょう」

著書:『「平穏死」のすすめ』『「平穏死」という選択』


*このブログのカテゴリ:「胃ろう・嚥下障害」
*このブログのカテゴリ:「死を受けれるために」

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芙蓉(フヨウ)

高齢者の肺炎防げ(新聞記事)

2012年9月27日の日本経済新聞夕刊「らいふプラス」から一部抜粋(青字部分)。

 <高齢者の肺炎防げ 介護中の感染に指針 ワクチン接種も重要 口腔ケアが効果

肺炎で亡くなる高齢者が急増、日本人の死因の3位に浮上した。
口の中の細菌を吸い込んで発症するケースが多く、高齢者施設の入所者に目立つ。
歯垢などを取り除く口腔ケアやワクチン接種は予防効果があり、今年度から手術前後の口腔ケアに診療報酬が認められた。

肺炎での死亡率は、高齢になるほど上がり、死亡者の96%は65歳以上。
日本呼吸器学会は11年8月「医療・介護関連肺炎(NHCAP)」という概念を設けて診療ガイドラインを作った。
NHCAPは、以下のいずれかに当たる人が発症した肺炎。
 1.長期療養型病床または介護施設に入所している。
 2.90日以内に2日以上入院している。
 3.高齢で介護を必要とする。
 4.継続的に通院して人工透析や注射で抗がん剤などによる治療を受けている。

NHCAPは、重症化しやすく死亡率が高い。」(倉敷中央病院の石田直主任部長)

高齢者の肺炎の3分の1から4分の1は肺炎球菌が原因のため、肺炎球菌ワクチンの接種が効果があると報告されているが、接種率は10%代。
費用(6〜8千円)が公的医療保険の対象となっていないのが一因。

「高齢者の肺炎の70%以上は、細菌を含む唾液や食べ物を気管や肺に吸い込むことで起こる誤嚥(ごえん)性肺炎で、寝たきりや脳血管障害、認知症の患者はリスクが高い」
(東北大学加齢医学研究所・大類孝教授)

食べ物を飲み込む時に気道が閉じて食道が開く嚥下(えんげ)反射や気道内の異物を咳き込んで排出するせき反射が低下して細菌が気道を通じて肺に入り込みやすくなっているためだという。

専門医は、ワクチン接種の他、以下の3つの予防策を提唱している。
 1.嚥下反射やせき反射を回復させる薬の服用、食後2時間は座位を保って誤嚥を防ぐ。
 2.口腔ケアで口の中の細菌の絶対数を減らす。
 3.免疫力を高め、誤嚥しても細菌を繁殖させない

全国11カ所の特別養護老人ホーム入所者360人対象の調査によると、毎日口腔内をきれいにし、歯科医などが週1〜2回専門的なケアをしたグループは、しなかったグループと比べて、肺炎発生率が約39%、死亡率が約53%低かった。
「口腔ケアは、細菌の数を減らすだけでなく、口腔の刺激で嚥下機能回復→食が進み栄養状態改善→免疫力向上→肺炎防止—という好循環を生む」(米山武義歯科医)

*カテゴリ「胃ろう・嚥下障害」は、こちら。

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秋明菊(シュウメイギク)
菊ではなくアネモネの一種。

介護食を作るための便利な製品紹介

既にご存知かも知れませんが、私は今日初めて知ったのでご紹介します。

寒天やゼラチンの代わりになる食品固形化補助粉末。2012年6月に発売。
食品と一緒にミキサーにかけるだけで、常温で固まるという便利さ。
固さは、量や温度によってムース状から固めのゼリー状まで調節可能。
温かいものも固形化でき、冷めても形を壊さずに温められるそうです。

 胃ろう用医療食等も販売しているクリニコ社の「まとめるこeasy」(→公式サイト

このサイトには、介護食(嚥下食)についての情報も色々あります。
自宅で作るには手がかかり過ぎると思っていた「ソフト食」も比較的簡単に作れそうです。

*嚥下障害・胃ろうについてのカテゴリーは、こちら。
胃ろうの記事の1つは、朝日新聞社の論説サイトWEB RONZAで関連情報として紹介されました。

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サイトにあった焼き鮭。

レトルト介護食(新聞記事から)

2012年8月2日の日本経済新聞「新製品バトル」(P.33)から。
嚥下障害(えんげ障害。食べ物を噛んで飲み込むことが困難)のある高齢者を自宅介護されている方々の参考になればと思います。
同じブランドで色々な製品が出ています。製品は、ネット上で買うこともできます。
以下、青字部分は、新聞からの抜き書き。


最近、大手食品メーカーが家庭向け介護食の販売を強化している。
ターゲットは、要介護者とそうでない人(災害時用備蓄食など)が半々と企業は見ている。
柔らかくて栄養が豊富なレトルト介護食は、歯が痛い人や風邪を引いた人も重宝しそうだ。
これまでドラッグストアなどで見かけることの多かったレトルト介護食がスーパーに並ぶ日も近いかもしれない。

 <売り場の目>
介護用品コーナーで介護食を販売するイトーヨーカ童では「(消費者からは)季節のメニューが欲しいという声が多く聞かれる」。
東日本大震災後は、備蓄食として買っていく客も目立つという。
 
 <比較された3製品>

  *マルハニチロ食品の「やわらか和食牛肉おじや」
(「メディケア食品」のブランドで販売。内容量160g189円前後。→詳細
とろみ・甘み・塩味・色ともに濃い。

  *和光堂の「ふっくら鯛雑炊」
(『食事は楽し」のブランドで販売。内容量100g。210円前後。→シリーズ詳細
優しい味で高齢者に適した味。鯛の風味が出ているが量が少なく高値感あり。

  *キューピーの「おじや 親子丼風」
(「やさしい献立」のブランドで販売。内容量160g。189円前後。→詳細
やや濃いめの味付け。たんぱく質とカルシウムが他の2社より多い。


*嚥下障害・胃ろうに関する今までの記事は、こちら。

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キューピー製品は、こんなパッケージです。

胃ろうを止める(新聞記事)No.2

2011年2月9日読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」に日野原重明さんが書いた胃ろうの記事。(冒頭部分は省略。全文原文通り。)

先月、このブログに「胃ろうを止める」という記事を書きました。
日本老年医学会が指針を発表したところで、胃ろうを途中で止めることは極めて困難ではないかというコメントを医師から頂きました。私もそう考えていました。

しかし日野原さんは、この記事の中で「日本尊厳死協会に入会しておけば倫理的に認められる」と書いていました。

以下、青字部分は、ヨミドクターからのコピーです。

(略)ところが以上のような状態が長く続くと、鼻孔からの補液を1日3~4回繰り返すのではなく、腹部を小さく切開して胃のあたりの皮膚に孔を開ける処置をします。
それを「胃瘻(いろう)」と呼びます。ここから液体を補給することは鼻孔栄養よりも操作が楽だから、介護人でも可能です。

しかし、意識が回復しないか、または認知症がひどくてうとうと眠っている老人や、がんの末期でホスピスでの療養が望ましい重症患者では、胃瘻から水分や栄養物を補給しても、それが本人のためになるかどうかは分からないケースが多いのです。
その時は、胃瘻からの補液はむしろ中止した方が当人に望ましいと、医師や家人は考えるかもしれません。

もし患者の意識がはっきりしている時に、当人が日本尊厳死協会に入会しておれば、家人は医師と相談して、補液の中止を行っても、これは倫理的に認められることで、栄養補液をすこしずつ減らしていけば、結果として尊厳死となるのです。
そこで、以上のような重症な病気にならない前に、前もって日本尊厳死協会に登録すればよい。
今日、この登録者は29万5千人にも達しています。

胃瘻を続けていても、その補液は食道から逆流して気管に入ることがあり、そのために嚥下性肺炎で死亡することもあるので、鼻孔からの補液と同様に、胃瘻には副作用もあるわけです。

今、日本では口から食べ物をとれないために胃瘻で延命している人は約40万人にも及ぶと言われています。
自分が重症となり、回復が望めなくなったと思われた時には、補液などをしてほしくないことを事前に家人や医師や日本尊厳死協会に登録しておけば、それが一番よい手立てであることを覚えておいてほしいと思います。


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モチノキの仲間(生け垣の小さな花)
去年撮影。

胃ろうを止める(新聞記事)No.1

2012年6月28日の読売新聞の記事全文(原文通り。青字部分)。(ドクターヨミー)

しかし胃ろうを途中で中止するという選択は、胃ろうにするかどうかを決める選択よりも家族(肉親)への精神的負担は大きくなるだろうと想像します。
食べられなくなる前に、胃ろうについて十分知り、十分考え、本人の状況を十分検討し、後悔しない決断ができるように準備をしたいと私は思っています。

胃ろう・摂食障害についての(このブログの)今までの記事は、こちら。

追記:日野原重明さんが書いた「倫理的に問題のない胃ろう中止」についての記事は、こちらを。


   < 胃ろうなど人工栄養中止可能に、医学会が指針 >

日本老年医学会(理事長・大内尉義東大教授)は27日、高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給について、導入や中止、差し控えなどを判断する際の指針を決定した。

指針は医療・介護関係者向けに作成されたもので、人工栄養補給を導入する際は、「口からの摂取が可能かどうか十分検討する」などと指摘。
さらに、胃ろうなどの処置で延命が期待できたとしても、本人の意向などにそぐわない場合、複数の医療関係者と本人・家族らが話し合った上で合意すれば差し控えが可能とした。

人工栄養補給を開始した後でも、苦痛を長引かせるだけの状態になった場合などは、再度、話し合って合意すれば、栄養分の減量や中止もできるとした。

医療側に対しては、患者側が適切な選択ができるよう、情報提供することを求めている。

国内では近年、口から食べられなくなった高齢者に、おなかに小さな穴を開け、管を通して胃に直接、栄養分や水を送る胃ろうが急に普及。
認知症で、終末期の寝たきりの患者でも、何年も生きられる例が増えた。
一方でそのような延命が必ずしも本人のためになっていない、との声が出ていた。


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アーティチョーク(朝鮮アザミ)
海外ではスーパーで食品として売っています。

欧米にはなぜ寝たきり老人がいないのか(読売新聞)

2012年6月20日ヨミドクター(読売新聞の医療サイト)の記事から一部抜粋。
記事原文は、こちら。読者の多くの感想も書き込まれています。

ここに書かれたことが、100%正しいかどうかは、私にはわかりません。
医師の倫理や親子間のつながりの深さや医療費など、他にも色々な要因があるのかも知れません。
過去の記事にも書いた通り、胃ろうにした後、家族の懸命のリハビリによって再び口から食べられるようになった例(こちら)もあります。
胃ろうは、単純に良い悪いと決めつけることのできない治療です。
だからこそ深く知り、よく考えなければいけないと思っています。

*胃ろうと嚥下障害についてのこのブログの過去の記事は、こちらです。

以下、青字部分は、原文通り。

***********************************

  < 欧米には、なぜ寝たきり老人がいないのか >

ヨーロッパの福祉大国であるデンマークやスウェーデンには、いわゆる寝たきり老人はいないと、どの福祉関係の本にも書かれています。
他の国ではどうなのかと思い、学会の招請講演で来日したイギリス、アメリカ、オーストラリアの医師をつかまえて聞くと、「自分の国でも寝たきり老人はほとんどいない」とのことでした。
一方、我が国のいわゆる老人病院には、一言も話せない、胃ろう(口を介さず、胃に栄養剤を直接入れるため、腹部に空けた穴)が作られた寝たきりの老人がたくさんいます。

不思議でした。日本の医療水準は決して低くありません。
むしろ優れているといっても良いくらいです。

「なぜ、外国には寝たきり老人はいないのか?」

答えはスウェーデンで見つかりました。
今から5年前になりますが、認知症を専門にしている家内に引き連れられて、認知症専門医のアニカ・タクマン先生にストックホルム近郊の病院や老人介護施設を見学させていただきました。
予想通り、寝たきり老人は1人もいませんでした。
胃ろうの患者もいませんでした。

その理由は、高齢あるいは、がんなどで終末期を迎えたら、口から食べられなくなるのは当たり前で、胃ろうや点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識しているからでした。
逆に、そんなことをするのは老人虐待という考え方さえあるそうです。

ですから日本のように、高齢で口から食べられなくなったからといって胃ろうは作りませんし、点滴もしません。肺炎を起こしても抗生剤の注射もしません。
内服投与のみです。
したがって両手を拘束する必要もありません。
つまり、多くの患者さんは、寝たきりになる前に亡くなっていました。
寝たきり老人がいないのは当然でした。

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ネジバナ。
芝生の中によく生えています。
大好きな花です。

胃ろうと人生の終幕(朝日新聞より)その3

2012年4月18日朝日新聞(朝刊P15)の「胃ろうと人生の終幕」と題した良質な記事を3回に分けてご紹介。
医師、自宅介護経験者、大学教授、それぞれの立場から胃ろうについて語っている。

3回目は、清水哲郎氏(意思決定支援ノートを作成した東京大特任教授。専門は哲学。妻の長期闘病を機に死生学に関心を寄せた。著書に「医療現場に臨む哲学」など)。
記事より1部抜粋。

 
  <死生観、医学に解はない>

胃ろうをすべきか、否か。その答えを医学自体は、持っていません。医療の現場には、戸惑いがあります。

胃ろうによって、より充実した人生になるのかどうか。本人の語りを丁寧に聞くことが大事なのです。

それは、自分1人で完結せず、家族や周囲の人たちとも大きく重なっています。
だから本人だけで決断するのではなく、家族が決めるものでもなく、一緒に考えていただきたい。

私たち研究チームは「高齢者ケアと人工栄養を考える」という手引きをつくりました。
(注byしば:ダウンロードは、こちら。全65ページ)
本人の生き方や価値観、人柄などを記入しつつ、意思決定の道を一歩一歩たどる。そうやって最も適した選択をしていくためのノートです。

ただ認知症が進み、全身の状態もかなり衰えている時は、グレーゾーンです。
例えば、あまり強く「うちのお父さんはもっと生きたいはずだ」と思い込んで胃ろうをつけるのは、独りよがりになりかねません。
「愛という名の支配」になってしまいます。

ですから医師と家族だけでなく、介護に当たっているケアマネジャーやヘルパーの方にも、話し合いに参加してもらうのがいい。
場合によっては、医師らがやんわりと「ご本人にとっての幸せということを、もう少し、一緒に考えてみましょうか」と促した方がいいですね。
一方、医師が一律に「延命措置はしない」と言い切るようなことがあっても困ります。
何かの理由で飲み下す機能がまひしているだけ、ということもあり得る。

がんなどの終末期ではQOL(生活の質)を大事にする考えが浸透しています。
でも高齢者については、まだ国民的合意ができたとは言えません。5年や10年はかかるかもしれない。
いま、ようやく一般市民が注目し始めたところなのです。


*胃ろう・嚥下障害・介護食などについて書いた過去の記事は、こちらを。


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ブロック塀に咲いていたとても小さな雑草の花。
蔦葉海蘭 (ツタバウンラン)だそうです。
別名:蔦唐草(ツタカラクサ)、海蘭葛(ウンランカズラ)
花のアルバムは、こちら

胃ろうと人生の終幕(朝日新聞より)その2

2012年4月18日朝日新聞(朝刊P15)の「胃ろうと人生の終幕」と題した良質な記事を3回に分けてご紹介。
医師、自宅介護経験者、大学教授、それぞれの立場から胃ろうについて語っている。

2回目は、宮崎詩子さん(東京都在宅医療推進会議委員。ブログ「みやざ樹詩子のしあわせ介護」)。
記事より1部抜粋。


  <家族が使いこなせるなら>

胃ろうという技術は、正しく使いこなせば、価値が見いだせる。祖母(94)の姿を見て、そう実感してきました。
(祖母は、80歳頃認知症と診断。90歳で脳卒中。家族でチームを組み自宅介護)

祖母は、まひが残り、鼻から入れた管で栄養をとっていて、苦しそうでした。
医師に胃ろうを提案され、インターネットや本で活用法を調べました。
きっと祖母は回復する。そう信じていた私たちは、胃ろうをつけて家に帰ることを選んだのです。

退院した日からアイスクリームを1口2口と増やし、のみ込む機能を取り戻すリハビリを続けました。
2ヶ月後には、おかゆを食べ、半年後には、胃ろうがなくても口から栄養がとれる状態に。
1年後には、白いご飯を見て、ぱくりと食べるように。
五感を刺激し続けた結果、光や音も感じるようになりました。

胃ろうは、まるで実用性があるボディーピアス。
外せる状態になった後も、薬を入れたり水分を補給したりするために残しました。

胃ろうというツールを使うかどうか。その答えを出すための情報が、簡単に入手できないことが問題です。
医師らとコミュニケーションがとれ、十分な情報を得られるシステム作りが大事でしょう。

胃ろうをつけずに死までの時間をカウントダウンしていくのか、それともつけて、わが家のように幸福な時間を生み出す命綱とするのか。
この違いは、実は、家族が終末期にどう関わるかによるのだと思います。

胃ろうをつけると決めたからには、家族は、使いこなす努力をすべきです。
「介護は無理」と施設に送るくらいだったら、つけるべきではない気がします。

3月下旬、食べ物を口元につけても、祖母は口を開けなくなりました。
1週間かけ様子を探った結果、体がうけつけないことが、本人の意思、命の限りが近づいたと私たちは判断しました。
全ての医療行為と、胃ろうを使うことをやめました。
10日後、祖母は亡くなりました。

家族は、ずっと祖母の意思を決定する代理人として、老いて行く道を手作りし、生の充足を図ってきました。
家族の最後の責任は、「終わり」のサインをキャッチするこだったと考えています。



*胃ろう・嚥下障害・介護食などについて書いた過去の記事は、こちらを。


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木瓜(ボケ)
花のアルバムは、こちら

胃ろうと人生の終幕(朝日新聞より)その1

2012年4月18日朝日新聞(朝刊P15)の「胃ろうと人生の終幕」と題した良質な記事を3回に分けてご紹介。
医師、自宅介護経験者、大学教授、それぞれの立場から胃ろうについて語っている。

1回目は、中村仁一氏(胃ろう増設に疑問を抱く医師。老人ホーム同和園付属診療所長。著書に「大往生したけりゃ医療とかかわるな」)。
記事より1部抜粋。(本文は、この倍程度の量)



 <最期は自分で決めておく>

お年寄りに胃ろうを造るのは、医師も家族もより慎重であるべきだと考えます。
日本老年医学会は、今年1月、終末期の高齢者には、胃ろうの差し控えや中止も選択肢とする考えをまとめましたが、もっと早く表明してもらいたかった。

お年寄りに胃ろうを造って、回復や生活の改善に役立ったケースは、ほとんどありません。
医師は「このままだと亡くなってしまいますよ」と時に脅迫めいた口調で胃ろう増設に同意を求めたりする。
だけど一度、胃ろうを造るとなかなか外せません。

本人の意思がわからないのに、少しでも長生きしてほしいからと勝手に造るのは、家族のエゴに過ぎません。
家族が自宅で看病するというなら、少しは理解できます。しかし現実にはそうでない方がたくさんいる。

食べたり飲んだりできなくなって何の医療も施さないと、人は、自然死の道をたどります。通常は、7~10日ほどで亡くなります。
僕らの先祖は、つい40~50年前までは、このような最期を迎えていたのです。
私は、この施設で自然死を迎えた方を250人以上みてきましたが、1人も苦しんだ方はいません。

日本人は、医療に過度な期待を寄せ過ぎです。老いと死に医療は、無力で何もできません。
その点を肝に銘じて、自分の人生の最期を生きている時から考えるべきです。


*胃ろう・嚥下障害・介護食などについて書いた過去の記事は、こちらを。

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花大根 (ハナダイコン)
別名:諸葛菜(ショカッサイ)紫花菜(ムラサキハナナ)大紫羅欄花(オオアラセイトウ)
花のアルバムは、こちら

ソフト食の未来

2012年2月21~22日に東京ビックサイトで開かれた「メディケアフーズ展2012」(主催=UBMメディア。出展約60団体)に行って来ました。
嚥下障害(えんげしょうがい。噛んだり飲み込んだりすることが上手くできない障害。)がある方でも食べられる介護食の大規模な展示会です。
NHKのニュースで見て、自分で食感や味を確かめたくなりました。


何度か記事にも書いたソフト食。生まれて初めて試食しました。

やはり会社によって味の良し悪しはありますが、多くのものは、驚くほど美味しかったです。
見た目は、もちろん普通の料理ですが、食感も思ったよりしっかりしていて、食べる実感、幸せを十分感じることができるものが多かったです。
もっとフニャフニャした頼りない食感を想像していました。
このソフト食を自分の親に食べさせたいかと訊かれたら、答えは、「はい!」です。

NHKのニュースでは、にぎり寿司(介護食)を「見た目も味も寿司」と紹介していました。
確かに、見た目は、見事なまでのにぎり寿司。
でも私は、期待が大き過ぎたせいか、食感にびっくりしてしまい、脳が混乱して終わってしまいました。
(見た目とまったく違う重さとか食感のものに触れると脳は認識のズレに混乱します。)
食事には、見た目も食感も大事なのだとあらためて痛感しました。

ほとんどの団体が、病院や介護施設を販売対象にしています。
需要が急増しているのでしょう。
競争の激化で質が上がり、価格は落ちているのでないかという印象を持ちました。
値段を聞いてもスーパーなどで売っているお惣菜と大きな差はない所が多かったです。
手間がかかっている分、値も相当張るのだろうと想像していました。

ただ個人が在宅介護用に買えるかと尋ねると、個人向け販売はないという答えが多かったです。
(注:すべての団体に質問した訳ではないので正確な数字はわかりません。)
「通信販売を始めたところです」「将来的には個人向けも」という答えもありました。
1日も早く、近所のスーパーで普通に買えるようになって欲しいです。

記事でご紹介した「テクニック図解 かむ・飲み込むが難しい人の食事」(藤谷順子著)には、在宅介護用の市販品も紹介されています。
キューピーの「やさしい献立」シリーズ。mishimaの「りらく」シリーズ。フジッコの「ソフトデリ」シリーズ。
「ヘルシーネットワーク」では、ネットやフリーダイヤルによる購入も可。
「あい~と」 電話0120-400-141(月~金9-5時)という会社も紹介されています。
 
嚥下障害・胃ろうに関する今までの記事は、こちら。

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バラ(薔薇)

十二指腸ろう(胃ろう)を付けている方の体験談

胃ろうの記事に関して、「十二指腸ろう」の男性(ハンドルネーム:小田原提灯さん。67歳)から、リハビリについて非公開コメントを頂きました。
再び口から食べられるようになりたいと強く願いながら、専門的なリハビリが受けらず、不安を抱いていらっしゃるそうです。
本人の了承を得て、貴重なご経験を紹介させて頂きます。

 <経過>
平成8年に食道癌、その後、数回顎に転移。
放射線治療の後、痛みや筋肉の動き難さにより口からの食事が困難になり経鼻チューブ(24時間装着)を利用。
平成23年、胃は一部切除されているため十二指腸に胃ろうチューブを付ける。

 <十二指腸ろうにして困っている点>
流動食600ccと白湯2000cc等を注入するのに約2時間かかる。(毎日3回で6時間)
パート出勤のために朝は、4時過ぎから注入。
外出時間は制限され、外出先での注入ができないため外泊はできない。

注入時間を速くすると下痢になりやすい。

食事に味覚がないので寂しい。流し込むだけで満腹感も感じられない。
あたたかい食卓を囲んでの夫婦の会話がなくなったことが寂しい。

 <生活>
経鼻チューブと比べれば、簡単で楽。
(24時間装着の経鼻チューブは、違和感があり、痛痒く、人目も気になった。
マスクで隠して床屋に行き、外すよう言われた時は、辛かった。)

入浴は、お腹から出ているチューブをサランラップで守れば、何の問題もない。 

外出自体に支障はなく、仕事もし、自転車で走り回り、ブログ「城下町・小田原」を書くなど生活を楽しんでいる。
 
現在は、3時に口からお茶や特製ジュ-ス、プリン、ゼリ-、青汁、味噌汁、おしるこ等を摂取できるようになった。非常においしいと感じる。

 <口から食べるためのリハビリ>
医師から簡単な説明はあったが、自分でしなくてはならず、中々効果が上がらない。
どこかで専門的なリハビリを受けたいが、探してもそうした施設が見つからない。
再び口から食べられるようになるのか不安を感じている。

 <将来の希望。本人の弁>
「1日も早くチューブとオサラバして、家内と2人であたたかい鍋をつつきながら会話をする食卓を囲みたいですね」
 
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金魚草?

嚥下障害と食事がわかる良書

「テクニック図解 かむ・飲み込むが難しい人の食事」 (藤谷 順子 監修)講談社。
1700円。購入→(アマゾンはこちら) (楽天はこちら)

本の帯には、こう書かれています。(青字)
味、見た目は普通の食事と同じなのに重度~軽度の嚥下障害食に対応!
カンタン126レシピ。素材の選び方・基本調理法がわかる!
食べたかったごちそうが、また食べられる!
天ぷら・うな重・すき焼き・海鮮丼・カツ丼・ソースカツ・煮魚・焼き魚・ハンバーグ・カニクリームコロッケ・オムライス・エビチリ他多数。
監修は、国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科医長・医学博士。


単なるレシピ本ではなく、嚥下障害とは何なのか、何にどう気を付ければ良いのか、リハビリはどうするのか、介護テクニック、口腔ケア、色々な市販品などを懇切丁寧に紹介しています。
この1冊さえあれば、嚥下障害とその対応に精通できると思います。

以下、家族の嚥下障害を疑っている方に役立つチェックリストを抜き書き。(青字)

加齢による嚥下障害は、ある日突然起きるのではなく、少しづつ進行するため、本人でも気がつきにくいものです。高齢者は気道に食べ物やたんがあっても激しいむせが起こらず、自覚がないこともあります。

 <誤嚥を疑うサイン> ―こんな症状が出たら要注意―
1. 食べ物をよくこぼす
2. 無意識によだれを垂らしてることがある
3. 食べかすや薬が口の中に残る
4. 食事中に咳き込むことがある 5. 食後の咳が増えた
6. 飲み込みにくい食べ物がある 7. 食事に時間がかかるようになった
8. 食べた後に声がかすれる
9. よくたんがからむ
10.お茶や水でむせることがある

 <嚥下機能に関する簡単なテスト> (上記のサインが当てはまったら試してみる)
1. 唾液を飲み込んでもらう(30秒に3回できるかどうか)
2. 水を飲んでもらう(3cc飲んでもむせないか。声が変わらないか)
3. せき払いをしてもらう(力強くせきができるかどうか)
4. 舌なめずりをしてもらう(唇の回りをぐるりと1周できるかどうか)
5. 特定の言葉を発声してもらう(アーを15秒、パパパ、タタタ、カカカを言えるか)
6. うがいをしてもらう(こぼさずできるか。勢い良く吐き出せるかどうか)

嚥下障害の疑いがあれば耳鼻科かリハビリテーション科などで「嚥下内視鏡」や「嚥下造影」を受けることをおすすめします。治療に役立てることができます。


嚥下障害・胃ろうに関するこのブログの今までの記事は、こちら。

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ジャノメエリカだそうです。(つつじ科)

胃ろうのメリット ある医師のコメントから(後編)

胃ろうについての記事(日経新聞の記事紹介)について、ある医師から貴重なコメントを頂きました。
胃ろうを「生活の質」の向上のために活用されていらっしゃる医師の視点から胃ろうの利点や効果的な使い方などが書かれています。
医療関係者ではない私も胃ろうの利点が、理解できるようになってきました。
しかしその利点を活かすためには、医療・看護・介護のスタッフや介護家族らのより深い理解と意識改革が必要と思われます。

以下、その医師のコメントです。
*これは、ご厚意によって寄せられた一医師の個人的な見解であり、各医師が夫々違った見解をお持ちだと思います。胃ろうに関しては、主治医と納得いくまで話し合って下さい。
*補足を加えたり、読み易いように若干書き直した部分があり、原文通りではありません。
*このブログの胃ろう・嚥下障害に関する今までの記事は、こちら。

***********************************

口から食べ物を味わって食べるという行為は、人が生きていくうえで絶対必要なことだと私(医師)は、考えています。
(胃ろうではなく、経鼻チューブの場合は、チューブが嚥下―飲み込み―の妨げになり、窒息のリスクも高くなるため、経口摂取は、基本的にさせません。)

口から十分に食べられれば、胃ろうは不要となりますが、在宅の場合は、とりあえず胃ろうを残したほうが良いと思います。
肺炎で高熱が出た時や、水分でむせるなど口からの摂取だけでは不十分な場合が一時的に起こっても容易に対処できるからです。
胃ろうチューブの交換時(半年毎)に、交換か、チューブを抜くか検討すれば良いと考えています。
胃ろうの再挿入は難しいことではないので、当分不要な状態が続くと考えられればその時点で抜去します。

また在宅の場合、半固形食をお勧めします。
より短時間で注入できる、胃腸の環境をより自然なものにできる、逆流による誤嚥性肺炎を防ぐ、流動食による下痢を防ぐなどのメリットがあります。
市販されているもの(OSゼリー等)を直接注入する方法、とろみ剤(固形化する補助食品)を先に胃ろうで注入した直後に流動食を注入する方法とがあるようです。
市販されているものを注入するには、かなりの力が要ることがデメリットになりますが、在宅で家族が行うには、メリットの方が大きいようです。

<「早めが良いのなら、胃ろうにするタイミングはいつ?」という質問に対して>  
 
ST(言語療法士。嚥下機能訓練も担当)が居れば、嚥下機能と誤嚥のリスクを評価してもらって決めるのが理想ですが、ケースバイケースだと思います。
基本的には、一時的にせよ嚥下障害のため食事摂取が十分出来なくなった時点だと思います。
その時点での全体的な運動機能や精神活動のレベルなども問題になると思います。

「むせ」が見られなくても嚥下障害を起こしている場合は、多くあります。
(誤嚥により炎症を起こしても症状が出ないまま治るということも少なくありません。)
しかし(むせない)嚥下障害による苦痛からも摂食や飲水を拒否することがあります。
パーキンソン症状が急に進行した方レビー小体型認知症の方には、よく見られます。

誤嚥性肺炎を起こす前に、胃ろうを作成した方が良いと思いますが、本人や家族の心理的な抵抗が強く、導入は難しいでしょう。
嚥下機能訓練で十分対応できる場合もあるようです。
しかし誤嚥性肺炎を繰り返すようになると、手おくれの感が否めません。

また、胃ろうを造設すると、在宅介護・療養型医療機関(老人病院)・老人保健施設(老健)への長期入院・入所しか選択肢がありません。
特別養護老人ホーム(特養)もごく一部で受け入れていますが、人数制限のある施設が多いようです。

高齢者の場合、寝たきりになり嚥下障害から胃ろうを造設している方の多くは、レビーではないかと思います。(注:1番下をお読み下さい。)
昔と違い、廃用性拘縮で寝たきりになることは、現在では減ってきていると思います。
1日に何回か車いすに座らせるだけでもかなりの拘縮予防が図られます。

昔よりも患者数が増えている印象が強いレビーの場合は、体幹~下肢の固縮のため寝たきりになり易く、嚥下障害を伴う事が多いです。
摂食訓練を続けていても嚥下機能の低下は避けられず、導入時期の設定は、非常に難しくなっています。

以上は私の個人的な考え方ですが、このように考えている医療関係者はそれほど多くはないと思います。
胃ろうを作ったら「口から食べるなんてとんでもないことだ」と考えている医師が少なくないと思います。


注byしば:パーキンソン病、アルツハイマー型認知症等と診断されている患者の中にレビー小体型認知症、或は併発している患者が、相当数いるということです。
これに関しては、また記事を書きますが、1つの根拠を知りたい方は、こちらの論文(久山町認知症研究)をお読み下さい。

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蝋梅(ロウバイ)

胃ろうのメリット ある医師のコメントから(前編)

胃ろうについての記事(日経新聞の記事紹介)について、ある医師から貴重なコメントを頂きました。
胃ろうを「生活の質」の向上のために活用されていらっしゃる医師の視点から胃ろうの利点や効果的な使い方などが書かれています。
医療関係者ではない私も胃ろうの利点が、理解できるようになってきました。
しかしその利点を活かすためには、医療・看護・介護のスタッフや介護家族らのより深い理解と意識改革が必要と思われます。

以下、その医師のコメントです。
*これは、ご厚意によって寄せられた一医師の個人的な見解であり、各医師が夫々違った見解をお持ちだと思います。胃ろうに関しては、主治医と納得いくまで話し合って下さい。
*補足を加えたり、読み易いように若干書き直した部分があり、原文通りではありません。
*このブログの胃ろう・嚥下障害に関する今までの記事は、こちら。

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レビー小体型認知症の方の場合は、嚥下(えんげ)障害を起こす方が多く、誤嚥性肺炎も起こりやすくなります。
たまたま食物を多く誤嚥した場合などは、肺炎になりやすいですが、免疫力があれば肺炎を再発することは少ないです。
誤嚥性肺炎を繰り返すようになる時は、免疫力の低下(体力の低下)が大きな原因ですので、胃ろうを作っても予後(後の病状)が変わらないと言われています。

レビーで誤嚥性肺炎になった方は、腹筋の固縮(パーキンソン症状による緊張の亢進)などにより、胃ろうで胃内に流動食を入れても、それが逆流して誤嚥を起こし、むせたり、啖が増えたりすることがよくあります。
胃ろうによる流動食の注入を一旦止める(点滴や注射による栄養補給にする)と、呼吸器感染による症状(発熱や喀痰の増加など)が改善してきます。

レビーの場合、パーキンソン症状を含め症状が不安定になりますので、経口摂取(口から栄養や水分を取る)が一時的に安全に出来なくなることは、よく起こりえます。
食事の時に嚥下(のみ込み)が良くなくても、胃ろうがあれば、一時的に胃ろうからの流動食を増やすとか、発熱時に胃ろうから水分補給を行うなど、メリットは多いと考えています。
こうした場合、胃ろうがあることで、無用な入院が不要になると思います。

この場合、胃ろうは、経口摂取を安全に行うための補助手段と考えるべきでしょう。
誤嚥性肺炎を防ぐには、口から食事をしてもらうことで嚥下機能の低下を防ぎ、改善させることが重要です。
嚥下機能(のみ込む力)が衰えないように、経口摂取も続けながら、量が足りない分を胃ろうで補うことが理想的です。
そういう意味で、私は、胃ろうを作るなら早期に作った方が良いと思います。

しかし看護スタッフには、むせると窒息や肺炎を恐れたり、「胃ろうにした患者は、経口摂取なんてとんでもない」と頭から思っている医療関係者も少なくありません。
「むせる」ということは、誤嚥したものや痰を自力で外に出すことが出来るということです。
「むせる方」は、多少誤嚥をしても窒息事故を起こさないように気をつければ、「誤嚥してもあまりむせない方」より危険は少ないと私は考えています。
胃ろうから流動食を注入する前提に立てば、無理に食べさせなくとも良いので、リスクは少なくなります。
しかし胃ろうにしていても唾液の誤嚥により誤嚥性肺炎は起こります。
(後編に続く)


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胃ろう。NPO法人「PEGドクターズネットワーク」のサイトの中の「胃ろう入門」より。

胃ろう 症状による導入の理由と必要性(日経新聞から)

2012年2月9日の日本経済新聞夕刊に胃瘻(胃ろう)の特集記事が載った。
現在は26万~40万人が胃ろうを利用していると推計されているという。
胃ろう賛成・胃ろう反対とやみくもに決めつけるのではなく、なぜ食べられないのか、食べられるようになる方法には何があるのか、胃ろうにすることが最良の選択なのか、状況に合わせて良く考えることが必要なのだと説いている。
以下(青字部分)は、その記事からの抜き書き。
このブログの「胃ろうと嚥下(えんげ)障害」に関する過去の記事は、こちらを。


  <胃瘻(腹部にチューブ通し栄養剤送る) 終末期は慎重に>
     <学会が見解 尊厳死重視の風潮に配慮>

栄養剤や水分を直接胃に送るチューブは、通常のタイプで1ヶ月半~2ヶ月、耐久性のあるタイプでも半年に1回は交換する。交換自体は数分だが、患者を病院まで運ぶ負担が大きい。
「往診で対応できれば、胃ろうを導入する高齢者の生活の質はさらに向上する」
(NPO法人「多摩胃ろうネットワーク」理事水野英彰医師)

「簡単な手術で患者の苦痛を和らげ、家族の負担も軽減でき、自宅にも帰れる画期的治療法」「欧米では延命効果が小さいとされるが、日本では栄養状態が改善するなど明らかに寿命が延びている」(NPO法人「PEGドクターズネットワーク理事長で国際医療福祉大学鈴木裕教授)

日本老年医学会は1月下旬「患者本人の尊厳を損なったり、苦痛を増大させたりする可能性があるときには差し控えや撤退も選択肢として考慮する必要がある」と、導入の是非を慎重に検討し、導入後の中止も選択肢だと初めて示した。
同学会倫理委員会の飯島節・筑波大学教授は「いたずらに命を引き延ばすより尊厳のある終末期を迎えたいという考え方が強まっている」と背景を説明。
「患者や家族の意思を十分に確認せずに胃ろうを導入する傾向もある」と警鐘を鳴らす。

認知症のグループホームを運営する社会福祉法人サンの西村美智代理事長は「延命か治療か目的を明らかにした上で医師が選択肢を示さなければ患者や家族は言うとおりにするしかない」と説明方法の改善を求める。
一方で「食べられなくなった時にどのような終末期を迎えたいのか、本人が判断できるうちに確認しておけば、意思表明できなくなっても家族が決断しやすい」と助言している。

特養「しらゆりの園」(沖縄県南城市)は、胃ろうをつけていた入所者9人全員が通常食になったという。
国際医療福祉大学の竹内孝仁教授は「急性肺炎など疾患の治療過程や、単に認知症で食べなくなった高齢者には不要だったり、導入してもリハビリで外せたりする人は多い」と指摘する。


 <胃ろうを導入する理由と必要性>

1. 疾病経過型
 急性肺炎などで入院した高齢者の全身状態の回復が順調でなく、点滴や経鼻チューブ
 などによる栄養補給が長期間見込まれるため

導入するメリットはあるが、退院の際に外して、介護施設や自宅で口からの食事に移行すべき

2. 嚥下(えんげ)障害型
 脳卒中やパーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など神経難病の末期などで、
 嚥下(のみ込む)機能が失われたため

導入と継続を検討する必要がある

3. 安全管理型
 認知症で食事を取らなくなり、無理に食べさせるより安全で手間が省けるため

なぜ食べられなくなったか、原因(脱水症状や薬の服用など)を確かめ改善する必要がある

4. ターミナルケア型
 終末期(ターミナル)で食事を食べられなくなり、栄養を直接補給して延命させるため

胃ろうでも唾液が肺に入るなど誤嚥(ごえん)性肺炎は多く、延命効果はないというデータもある

(注:国際医療福祉大の竹内孝仁教授の著書「胃ろうよ さようなら」を基に日経新聞が作成。)

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菜の花
氷雨の中に咲いている。

「のみ込む力 鍛えて防止」(日経新聞から)

2011年12月18日(日)の日経新聞から。(以下、要約。)

窒息事故や誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐためには、筋力アップが有効。

<のみ込む力の主なチェック項目>(心当たりがあれば専門医に)
 *やせてきた
 *食事中にむせる
 *食べるのが遅くなった
 *口から食べ物がこぼれる
 *声がかすれてきた

浜松市リハビリテーション病院の藤島一郎病院長によると
「摂食・嚥下障害」の原因は、3つ
  *嚥下運動に関する筋肉や神経の障害
  *舌や食道などの嚥下組織の障害
  *認知症などの精神活動の障害

抗がん剤や利尿剤、抗精神病薬などでものみ込みに影響を与える場合が少なくない。

のみ込む力が衰えると窒息事故の他、誤嚥性肺炎につながる。

自分で食事のとれる人は、食事前に軽い運動で首回りの筋肉をほぐすこと。
舌骨上筋群(あごの下から首の筋肉)を鍛えることも大切。
あおむけに寝て首を起こしたり、おでこを押さえて下を向いたりする。

呼気筋力アップには、水にさしたストローを吹く。
「ハッフィング」という腹から息を吐き出す訓練も。

しかし脳梗塞などの後遺症でのみ込めなくなった人の回復方法は、違う。
麺棒でのどを刺激する「アイスマッサージ」が代表的。
方法は、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、神経内科、歯科で教えてもらえる。

食事は、食べ物の大きさと水分量、柔らかさ、とろみなどの条件が大切。
特別用途食品として売られているゼリーは、症状の度合いによって指標が示されているものも多く参考になる。

参考になる本 藤島一郎著「口から食べる嚥下障害Q&A」
ネスレ日本の「摂食・嚥下障害と食事のポイント」は、レベルに合わせた食事も紹介する懇切丁寧なサイト。

「嚥下障害・胃ろう」に関する(このブログの)今までの記事は、こちらを。

藤島式嚥下体操のやり方(イラストで詳しく図解)
 (「浜松市リハビリテーション病院」公式サイト)
嚥下リハビリを相談できる全国の医療機関一覧
 (「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」公式サイト)

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サザンカ(山茶花)のつぼみ

胃ろうを中止するための指針案(読売新聞から)

2011年12月5日の読売新聞 に胃ろうの中止に関する記事が載った。

胃ろうに関しては、賛否両論がある。
食べられなくなった患者に十分な栄養を与えて回復させ、再び自分で食べられるまでになり「生活の質」を向上させるという素晴らしい面がある一方、意識もないような患者を長年生かし続けるという面もある。
胃ろうにすると施設入所の時に断られる場合もある。

胃ろうに関しては、(嚥下障害と一緒に)カテゴリーを作って記事を書き溜めてきた。
様々な新聞やテレビで紹介された特集記事を載せているので参考になると思う。


以下、YOMIURI ONLINEからのコピー(記事全文。青字)


   終末期の人工栄養補給、中止可能に…学会指針案
 
高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給は、延命が期待できても、本人の生き方や価値観に沿わない場合は控えたり、中止したりできるとする医療・介護従事者向けの指針案が4日、東京大学(東京・文京区)で開かれた日本老年医学会のシンポジウムで発表された。

近年、口で食べられない高齢者に胃に管で栄養を送る胃ろうが普及し、認知症末期の寝たきり患者でも何年も生きられる例が増えた反面、そのような延命が必ずしも本人のためになっていないとの声が介護現場を中心に増えている。

そこで、同学会内の作業部会(代表・甲斐一郎東大教授)が試案を作成した。広く意見を募って修正し、来年夏までには同学会の指針としてまとめるという。


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落ち葉

胃ろうの報道に対するある医師の意見

胃ろうは、単純に良い、悪いと論ずることのできない問題です。
医師の意識(目指しているもの)、患者の状態、家族の知識と意識、リハビリの体制、施設に居れば施設職員の意識と対応によって胃ろうは、全く違うものになるからです。

家族にできることは、患者が食べられる内から胃ろうについて、良い面、悪い面を学び、深く考えておくことだと思い、「胃ろう・嚥下障害」のカテゴリーを作って記事を書き溜めてきました。

私は、回復のための胃ろうには、心から賛成しています。
そのためには、医師、リハビリ職員、介護職員が、チームとなって患者を支えていく体制が必要でしょう。

しかしリハビリの予定もなく胃ろう作って、意識もないように見える状態で何年も何年もただ生かし続けることを私は、母に望みません。
私たちは、胃ろうについてもっともっと学ばなければいけません。


昨日のNHKの報道に関する記事を読まれた方(医師)から非公開コメントを頂きました。
回復のための胃ろうに真剣に取り組んでいらっしゃる方です。
貴重な意見だと思いましたので、原文のまま載せます。
(青字部分。最後の一文は省略させて頂きました。)


現在胃ろうの造設を行う方の多くは、パーキンソニズムなどによる嚥下障害が原因だと思います。
その多くがレビーではないかと思われます。私の経験では、ほとんどがレビーです。

レビー以外の方で、経鼻径管栄養を行っており、経口摂取訓練を行う事が出来ない方を、2名ほど胃ろうにしました。
経鼻チューブは嚥下運動の妨げに成るため、誤嚥しやすくなり嚥下機能訓練を安全に行う事は難しいと言うことで、胃ろうにし嚥下機能訓練を行い、十分な量を経口摂取可能となり、胃ろうの使用をやめました。

このように、リハビリで機能の改善が期待できる方ほど、胃ろうの増設を私は勧めています。
胃ろうにより栄養状態の改善・維持をはかり、リハビリを行う事で、経口摂取を可能にすることができる場合も多いと思います。

多くの方は、レビーなどの変性疾患により、嚥下障害や運動機能障害・認知機能の低下のため延命を図る目的で胃ろうを増設します。
このような方は、当然生活の質は低下していきます。胃ろうを作ろうが作るまいが・・・。

経口摂取の回復に真剣に取り組んでいる医師にとって、迷惑な報道でしかありません。
嚥下障害があると、誤嚥から肺炎をおこしたり、窒息事故などが起きる可能性があり、経口摂取だけでは安定した栄養摂取うが困難な方に、胃ろうをつくることは、むしろ早く行うべきだと私は考えています。
このような方々が、胃ろうの増設を、この報道で拒否するようになる事が心配です。

変性疾患などで、経口摂取も困難な状態まで、生活の質が落ちた方に、胃ろうを作るべきか否かと言う論議なら理解できますが・・・・。
最近は、尊厳死を望み胃ろうが必要な状態に成っても胃ろうは作らないでほしいと言う方も増えています。
(以下、省略。)


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ディモルフォセカ

胃ろう 生活の質低下 (NHKニュースから)

2011年11月15日のNHKニュース放送。
胃ろうの人の生活の質について、大規模な研究の結果を伝えていた。

NHK」のサイトにそのニュースの動画と記事がある。

多くの医師は、すぐに胃ろうを勧めるが、胃ろうにしただけでは、生活の質が低下することがわかる。
胃ろうにした後のリハビリが、鍵だ。
リハビリの体制が、整っていないことが問題だと思う。


以下、青字部分は、このサイトからのコピー。(全文)


   「胃ろう」 生活の質低下も

口から食べることができず、チューブで胃に栄養を送る「胃ろう」を付けた人の生活がどう変わるのか、全国の特別養護老人ホームを対象にした調査結果がまとまり、栄養状態は改善したケースが多いものの、外出の頻度が減るなど生活の質が低下するケースが目立つことが分かりました。

この調査は、全国の特別養護老人ホームで作る団体や大学の研究グループが行い、およそ1100の施設から回答がありました。

それによりますと、入所中に「胃ろう」を付けたおよそ4000人について栄養状態を聞いたところ、「よくなった」というケースが61%で、「悪くなった」の6%を大きく上回りました。
一方、ベッドを離れて活動している時間は、「増えた」が12%だったのに対して、「減った」が57%となったほか、「会話などのコミュニケーション能力」も「よくなった」が10%に対し、「悪くなった」が28%になるなど生活の質は低下しているケースが目立ちました。

調査を行った国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授は「口から食べて味わうことが生きるうえでの大事な活力であり、それを失ったことが生活の質に影響した」と分析しています。
竹内教授は「胃ろうが必要とされるケースはあるが、そのままでは生活の質の改善につながらないケースも多い。
リハビリなどを進め可能なかぎり食事を口から食べる取り組みを進める必要がある」と話しています。


今までの「胃ろう・嚥下障害」に関するこのブログの記事は、こちら。


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時計草(パッションフルーツ)の実。
面白い花は、こちら。

Eテレ 摂食・嚥下障害のある人の食事と食事介助

Eテレ「福祉ネットワーク」の2011年9月14日(水)の放送、「すべての人に食べる喜びを -大分発 摂食指導の現場-」を見ました。(再放送:9月21日正午から。)

<「福祉ネットワーク」のサイトからコピーした番組紹介>

大分県日出町にある宅老所「ぷらすわん」は、全国でも珍しい「食べるための機能回復」に特化したデイサービスセンターだ。
代表の中島知夏子さんは、高齢者の体調や病状に合わせたプログラムを作り、口から食べるトレーニングを行う。
指導を受けたお年寄りのほとんどが、再び自分の口から食べる喜びを取り戻し、身体的にも精神的にも回復していく。高齢者や障害のある人すべてに、食べる喜びを伝えたいと奮闘する中島さんの日々を追う。

以上。

<番組の内容と私の感想>

期待以上の素晴らしい番組でした。
目からウロコが落ちるような情報も数々ありました。
当たり前のことなのですが、「食べること=生きること」「食べる喜び=生きる喜び」なのだとあらためて思い知らされました。
何より、様々な方々の「食べる喜び」を支えようと尽力している中島さん(62歳)の生きる姿勢に深く心を動かされました。

今、摂食・嚥下(えんげ)障害のある方は、全国に80万人いるそうです。
中島さん(62歳)は、自宅の1部をデイサービスセンターにし、31人が通所しています。
(人数を聞くと驚きますが、映像を見ると毎日31人が同時に来る訳ではないようです。)

食事前には、鏡を見ながら発声練習。
これによって噛む力、飲み込む力を鍛えるそうです。

以下、*印の5点は、中島さんが実践している食事・食事介助の工夫です。

中島さんは、摂食・嚥下障害が出て来ても切り方によっては食べられると言います。
*肉や野菜などを細長く切ったり(みじん切りではない。)、細かく切れ込み等(いわゆる「隠し包丁」)を入れることで、「1回噛んだような状態にする」と、ずっと食べやすくなると言います。

*米飯は、おかゆの上にご飯をのせる。
適度の粘りが混じって食べやすくなり、食べることに疲れたり飽きたりして途中で止めるということがなくなったそうです。

*脳梗塞などで、手に麻痺のある人には、厚めのウレタン素材(スポンジ)を巻いたスプーンが使いやすい。

*食事介助する時、本人の手を介助者の利き腕に乗せて、介助者と一緒に手を動かすことで「自分で食べている感覚」を取り戻す。

*肩を組むように腕を首にあてがい、食べ疲れると顎が上がっていくことを押さえる。


テレビでは、
88歳、パーキンソン病、寝たきりの胃ろうの女性が、中島さんの努力で再び食べられるようになった様子、
96歳、口の中に入れた食べ物を飲み込むということを忘れた(わからなくなった)女性が、再び食べられるようになった例を紹介していました。
96歳の女性の家族は、「再び一緒に団らんできる(一緒に食卓を囲める)幸せを取り戻した」と話します。

中島さんは、多くの写真と共に食事の内容、本人の様子、介助の細かい方法を詳細に書いて、定期的に家族に渡しているそうです。
家族が、それをテキストにして、家庭でも同じように介助や食事作りの工夫ができるようにという配慮です。
しかしこれは、大変な時間と労力のいる仕事です。
使命感など、個人の利害を超えるモチベーションがなければできないことだと感じました。


中島さんは、摂食嚥下障害、知的障害、視覚障害、聴覚障害など複数の障害を持つ若い女性の食事指導もしています。
その女性の通う通所施設で出される食事を見て、「唾液が少ないので、これでは食べられない。細く切ったり、とろみのたれをかけると良い」等のアドバイスを施設の職員にします。
女性が、食事を食べられるようになった姿を見て、女性のお母さんは、声を上げて泣いていました。

施設職員は、同じような食事の配慮が必要な利用者が他にも少なからず居ると思い、施設の食事の改善に取り組みます。
障害者施設では、食事に対する取り組みをしている所は稀だとナレーションでは言っていました。

考えてみれば、私の兄(知的障害者)も、食べた物は、飲み込まれないまま大量にいつまでも口の中に残り続けています。
自分では歯をみがいたり口をすすぐことができません。
入れ歯なので、食べにくいものもたくさんあります。
以前、歯科医に言われましたが、知的障害があると入れ歯を普通に使いこなすことも難しいそうです。
(入れ歯で噛むには、技術と訓練が必要だそうです。
一般の人は、それを意識もせず自然にしていますが。)
もしかしたら母より先に、兄に摂食・嚥下障害の問題が起こって来るのかも知れないと思いました。


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白い桔梗。
昔から好きです。


Eテレ 食べるための機能回復に特化したデイサービス

Eテレ「福祉ネットワーク」の2011年1月14日(水)の放送(午後8時から)は、
「すべての人に食べる喜びを -大分発 摂食指導の現場-」
(再放送:9月21日正午から。)

<「福祉ネットワーク」のサイトからコピーした番組詳細>

大分県日出町にある宅老所「ぷらすわん」は、全国でも珍しい「食べるための機能回復」に特化したデイサービスセンターだ。
代表の中島知夏子さんは、高齢者の体調や病状に合わせたプログラムを作り、口から食べるトレーニングを行う。
指導を受けたお年寄りのほとんどが、再び自分の口から食べる喜びを取り戻し、身体的にも精神的にも回復していく。高齢者や障害のある人すべてに、食べる喜びを伝えたいと奮闘する中島さんの日々を追う。
以上。


ここのところ、「福祉ネットワーク」の宣伝が続いていますが、他意はありません。
NHKとも縁はないんですが、まぁ、自分で見たいなと思った番組をご紹介しています。

母は、まだ飲み込みに問題なく口から食事が取れているのですが、食事形態に付いては、既に記事に書いた通り、ちょっとした「問題」がありました。
「刻み食」と呼ばれる食事の形態が、施設によって違っていたんです。

一般人が、普通に想像する「刻み食」は、普通の食事をザクザクと切ったものですね。
母も前の施設では、そういうものを食べていました。

しかし介護の世界で「正しい刻み食」と呼ばれているものは、ミキサーにかけて、とろみをつけた、固めのお粥のようなものでした。
母は、施設が変わると同時にこのお粥状「刻み食」になり、食べることを拒否しました。

今は、母の施設で「一口食」と呼ばれる「荒みじん切り」に近い食事をとっています。
しかし遠くない内に嚥下障害を起こし、誤嚥(ごえん)性肺炎を繰り返すようになるだろうと医師から言われています。
そうなると命にかかわります。
「胃ろう」にするかどうかという選択とも直面することになります。

口から食べることは、介護では重要な問題です。
食べるためのリハビリが、具体的にどのように行われるのか、是非、番組を見て学びたいと思っています。


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結構背が高く、大きく茂る植物です。
クレオメ、西洋風蝶草(セイヨウフウチョウソウ)だそうです。
風蝶草なんて風流な名前ですねぇ。

噛むということ

母の毎回の食事は、おかゆ状の「刻み食」から一口食に変わった。
(追記:「一口食」と聞いて、普通食を一口大に切ったものだと思っていたが、実物を見てみると、グループホームで「刻み食」と呼ばれていたものよりも細かく刻まれた食事だったので驚いた。食事形態は、施設によって呼び方が異なる。)

「この頃、ご飯、おいしくなったよ。なんで?」
と母は、妹に訊いたという。
食欲も出て、以前よりずっと多くの量を食べているようだ。

以前、「誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐ」の記事の中のにあった。
「咀嚼(そしゃく)に使う筋肉は、使わないと2週間で約4割も力が落ちる。
1ヶ月で元の30%になる。
こうなると普通食は食べられず、離乳食のような食事になる。
柔らかい食事を続けると舌の筋肉も落ちる。
舌を動かせなくなり、中長期に影響する。」

母もあと少し遅ければ、普通の食事を食べる筋力を失っていたかも知れない。


誤嚥(ごえん)性肺炎は、唾液や食べ物が、誤って気道に入ることで起こる。
誤嚥性肺炎で入院すると多くの場合、医師から「胃ろう」(カテゴリの中の「胃ろう・嚥下障害」参照)を勧められる。
「胃ろう」とは、簡単な手術で胃に管を付け、流動食を口や鼻からではなく、胃に直接入れることだ。

しかしどんな人でも簡単に十分な栄養が摂れる「胃ろう」には、様々な問題点もある。

噛むことを重要視し、噛むためのリハビリに熱心に取り組む医療・福祉施設もある。
一度は、食べられなくなっても、リハビリの効果で回復し、また食べられるようになる人たちもいる。

2011年2月9日に放送されたためしてガッテン(噛むことの効果)の公式サイトには、以下のように書かれている。

(噛むことが)脳の中の「運動」や「感覚」をつかさどる部分や「記憶」や「思考」、そして「意欲」に関係する部分まで活性化させることがわかってきました。
1年間ほぼ寝たきりだった人が、(噛むことによって)歩けるまでに回復することがあるのも、噛むことで脳の広い範囲が活性化されることが関係していると考えられています。



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芙蓉(ふよう)

高齢者ソフト食とは

施設の「刻み食」と「ソフト食」について以前書いた時、非公開コメントで良い情報が寄せられました。

北海道の特別養護老人ホーム 渓樹園のサイト(高齢者ソフト食導入への道のり)です。

聞き慣れない言葉で、中々イメージしにくかったのですが、この「ソフト食の写真」を見ると、思わず感動します。

繰り返し書きますが、私の見た安全で正しい「刻み食」というのは、色々な色の混じった大粒の固めのお粥のようなものです。
何という料理を粉々に砕いたものなのか、食材は何なのかは、見た目からは、まったく想像ができません。

初めて「食べろ」と出されたら、ギョッとして、口に入れるのにかなり勇気が要るものです。
(人間は、見たことのないもの、何だかまったくわからないものは、平気で食べられません。)
荒っぽい言い方ですが、自分なら「残りの一生をこれを食べて生きる」のと「普通の食事を食べて、もしかしたら窒息死する」のどちらを選ぶかわかりません。(まだ普通の食事を飲み込めるという条件下で、です。)

この写真を載せているサイトは、高齢化と共に、「食べるための身体機能はどう変化し、どういう症状が現れるのか」をわかりやすく説明しています。

「きざみ食」と「高齢者ソフト食」のメリットとデメリットも理解を深めるのに役に立ちます。


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ちょっとピントがずれていますが、これが
千利休の孫が愛したという宗旦むくげです。
むくげは、韓国の国花。
英名は、シャロンのバラ( rose of Sharon)。

「ソフト食」おすすめサイトと栄養ケア専門誌

「刻み食」を調べていて初めて知った「ソフト食」。
見た目も味も劣る「刻み食」から、「ソフト食」に変える施設や病院も出てきているようです。

飲み込みが難しくなった人(嚥下障害のある人)にも食べやすい、しかも食べ物の形をしていて、ちゃんと美味しそうに見えるというのがソフト食だそうです。
(刻み食は、残念ながら見ただけでは何なのかがわからない食事です。)

自宅介護で、食事作りに苦労している方から良い情報を頂きました。


高齢者ソフト食の普及に尽力している黒田留美子さんの公式サイトです。

サイトには、<楽しく、美味しく、安全に。 食べることは「生きる喜び」です>と書かれています。
ソフト食の詳しい説明、レシピやレシピ本、全国でのセミナーの予定などが掲載されています。

これを自宅で「毎食作らなければならない!」というと、辛くなると思うんですが、ちょっと参考にして、工夫に取り入れるというのは・・?
それにしても、食べることが難しい家族のために料理をするというのは、本当に言葉には尽くせないご苦労があるのだろうと想像します。頭が下がります。



管理栄養士・栄養士向け雑誌「ヘルスケア・レストラン」も面白くて役に立つそうです。

「保健・医療・福祉分野の栄養ケア( 食事で病気を予防し、治療効果をあげる。)に対応する能力を身に付けるための情報を多方面から満載している」と書かれています。

◆ 毎月20日発行◆ A4判 88ページ◆ 定価:1,100円
最新(8月)号の特集:高齢者の食べる意欲を高める/食卓でのリハビリテーション


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ちょっとブレてますが6月に撮ったもの。
ヤマモモだそうです。
美味しそうだなぁっと思ったんですが、
やっぱり食べられますか~♪

刻み食とは(嚥下障害のある人の食事) 

「介護110番」というサイトの「介護ことば辞典」で調べると安全な刻み食とは、まさに特養で母が食べていた形なのだとわかった。
グループホームに居た時の母は、個々のおかずを約1cm角に切られたものを食べていた。
そこでは、それを「刻み食」と呼んでいた。
母は、その時、飲み込みにほとんど問題がなかったために、毎回無事に、楽しんで完食していた。
しかしそれは、飲み込みに問題(嚥下障害)がある人には「安全な刻み食」とは呼べないようだ。
(なぜ危険かという説明は、「健康長寿ネット」の中のこちらの記事を。)

<「介護ことば辞典」による「刻み食」の定義>

噛む力が弱い人のために、食物を小さく刻んで食べやすくした食事を“刻み食”といいます。
食物を飲み込む時には、咀嚼した食物の粒を飲み込みやすいように塊の状態にして飲み込みますが、これを“食塊(しょくかい)”といいます。
例えば、みじん切りのキャベツ”など料理によっては、細かく切っただけでは、飲み込む時に食塊を作ることができず、むせやすくなります。
また、焼き魚の身や卯の花の煮物などは、細かくても口の中の水分を奪い取ってしまうため、食塊を作ることができません。
そのため、“刻み食”を作る場合は、単に料理を細かく切るだけでなく、舌で押しつぶせる程度の軟らかさにした軟菜食を、さらにミキサーなどにかけて細かくしてから、片栗粉でとろみを付けるなど、食塊を作りやすくする工夫が必要になります。



しかしこの「安全な刻み食」は、見た目が悪い。
色々な色が付いたドロドロの固めの粥のように見え、見ただけで食欲を失う。
母もこの食事になって以来「まずい」と言って、食欲が大きく落ちた。
(一時期は、食べることを拒否していた。)

そう感じるのは、私や母だけではないようで、調べてみると、刻み食を止めようとしている所が、あちこちにあるようだ。
「総合リハビリ美保野病院」のブログの記事(2008年6月27日) 「刻み食が消えた」では、刻み食の問題点に着目し、「ソフト食」を導入した経緯が書かれている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一般的に「刻み食」が食べられなくなった利用者は、「ミキサー食」になる。
同じ「介護ことば辞典」には、以下のように書かれている。

“ミキサー食”とは、常食や軟食として作った食事をミキサーにかけたものをいいます。
全粥(かゆ)の米粒でも、口の中で残るような場合には、ミキサーなどにかけて、さらに軟らかく、なめらかにします。
おかずは、だし汁を適量加えてミキサーなどにかけ、食品中の残りかすがないようにします。
ミキサー食には、芋類や空豆などデンプン質が多い素材、大根やニンジンなど野菜の煮物、肉じゃが、シチューなどが適しています。
一方、繊維の多い野菜や、きのこ類、こんにゃくなどはきめ細かく粉砕できないので適していません。
ミキサー食の粘度は、ポタージュ状を目安にします。
水分が多い食物は、飲み込む時に食塊にできず、誤嚥しやすいため、片栗粉、コーンスターチ、増粘剤などで粘りを出します。
この時、粘りが強過ぎると、喉の奥に張り付いて危険なので注意しましょう。



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さるすべり (百日紅。ひゃくじつこう)

誤嚥性肺炎を防ぐ(避難所で)

2011年4月15日日本経済新聞夕刊「らいふプラス」震災と病(3)に掲載された「誤嚥性肺炎」という記事をご紹介する。
解説は、舘村卓・大阪大学大学院歯学研究科準教授。

私もこの難しい病名を去年まで知らなかった。
この記事は、誤嚥(ごえん)性肺炎とその予防について、とてもわかりやすく解説されている。
記事の中にある口腔体操の内容は、ネットでも紹介されているし、月刊誌「きょうの健康」2011年2月号にも紹介されている。見ながら一緒にするには、YouTubeの「お口の体操ビデオ・ゆっくり編」などがわかりやすい。

以下、8割は、記事からそのまま抜き書き。


誤嚥(ごえん)性肺炎とは、細菌を多く含む唾液や食べ物が、誤って気道に入り起こる。
肺炎は、死因の第3位の脳血管疾患に迫るほど増えている。
高齢者の肺炎の70%は、誤嚥性肺炎ともいわれる。

この10年ほどで口をきれいにすると肺炎が起きにくくなることがわかってきた。
口腔(こうくう)ケアの基本は、歯みがき。
使い捨ての歯ブラシもない場合は、ガーゼでぬぐう方法もあるが、粘膜を傷つけてしまうこともある。
ストレスや少ない食事の量は、唾液の分泌を減らし、細菌が増えやすい環境にする。
米食は、口に貼り付きやすく、歯垢(しこう)ができやすい。

含まれる細菌は、排泄物と変わらないほど多いが、歯ブラシで落とせるので実践してほしい。
水不足でも、歯ブラシに水1、2滴を付ければ、それで刺激を受けて唾液が出る。
それを吐くだけで歯垢は、ずいぶん取れる。
歯周病は、糖尿病など慢性疾患との関連が指摘されている。
全身疾患の持病を悪化させないためにも口腔ケアが求められる。

入れ歯を失うと、口を動かす範囲が狭くなり、食べる力が弱まる。
咀嚼(そしゃく)に使う筋肉は、使わないと2週間で約4割も力が落ちる。
1ヶ月で元の30%になる。
こうなると普通食は食べられず、離乳食のような食事になる。

柔らかい食事を続けると舌の筋肉も落ちる。
舌を動かせなくなり、中長期に影響する。

歯ブラシで舌を左右などに押して、舌がやせないようにする訓練をして欲しい。
口を広げたり、発声したり、下を動かす口腔(こうくう)体操も効果がある。

姿勢も重要。
寝たままだとせき払いしにくく、誤飲で気管の中に入るリスクが高い。
立った状態だと横隔膜が下がり、胸が開いてせき払いしやすくなる。
背もたれのあるところで、ひざの裏をサポートする姿勢で食事をしてほしい。


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ハカラメ(葉から芽)という植物



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しば

tag : 誤嚥性肺炎 口腔ケア 口腔体操

プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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