「ニャン公の季節」片倉もとことうつ病

片倉もとこ(文化人類学者)著「旅だちの記」(2013年4月発行)を読んでいます。
しみじみと、心の底から好きです。
人生、仕事、病気、死に支度・・、広く色々なことを考えさせられるのですが、今日は、その中の1つだけ紹介します。

梅雨の季節、自律神経の乱れからくる何ともしようのない体調不良やうつ(うつっぽさもうつ病も)に苦しんでいる方は、とても多いと思います。

一見華やかな人生に見える(著名人で夫は外交官)片倉さんも生き方に悩み、長くうつ病に苦しんだことを書いています。(P.83〜90)病気に抗(あらが)わず、後に、その季節にも意味があったと振り返ります。

バラバラですが、以下、抜き書きです。(青字部分のみ)


なにも手につかない、、なにもしたくない、なにもできない、という日々がおそってくるようになった。

わたしは、「ニャン公の季節がやってきた」と思うようにした。

(猫のように)のろのろとしていれば、なんとかやりすごすことができた。

(何十冊の本を読んでなんとか治すよう色々なことを試してみるが上手くいかない。)

散歩ができないほどダウンしてしまうこともしばしばあった。
しかし、そういうとき、自分は意志が弱いなどと責めなかった。

仕事はサボれるだけサボった。それでも案外通用した。
自分にプレッシャーをかけることは、やめることにした。

光がさしこむようになったとき、わたしは「ワン公の季節がやってきた」とよろこんだ。
しかし急激に仕事をしはじめると、たちまち「ニャン公」になってしまうのであった。
用心しながらわん公の季節を持続させるように努めた。

*カテゴリ:「うつ病について」

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モッコウバラ(4月に撮影)

うつ病治療 安易な大量処方で悪化(新聞記事)

昨年、年間自殺者の数が、15年振りに3万人を下回ったことは、心に深く残るニュースでした。(→日経新聞記事2012年12月7日 )

自然に減った訳ではなく、背景には、国・自治体等の様々な取り組みがあります。
(→毎日新聞の記事2013年1月23日)

3万人は、毎日82人以上、毎時間3.4人以上という異常な数字です。
東京マラソンで走っているあの群衆の数と年間自殺者数がほぼ同じという状態が、毎年毎年続いていたのです。

うつ病からの自殺は、少なくありません。
しかも間違った治療によって悪化し、自殺に至った例が数多くあると言われています。
以下、中日新聞の記事(2012年9月4日)からの一部抜粋です。(青字部分)

  <うつ治療に薬害の影 安易な大量処方 副作用や病状悪化>

うつ病は、年間3万人を超える自殺の主な原因とされる。
全国自死遺族連絡会の調べでは、2006年7月〜10年3月に自殺した1016人のうち、69%が精神科で治療を受け、向精神薬を多数服用していた。
厚生労働省は10年9月「向精神薬の飲み過ぎが自殺につながっている可能性がある」として、日本医師会や医療機関に長期、多量の処方の注意を呼び掛けている。

なぜ、不適切な診療のケースがあるのか。
北里大東病院副院長の宮岡等教授(精神科)は「心の病気は、目に見える客観的な指標がないため、曖昧なまま薬物療法が行われやすい」と指摘する。

医師の不勉強も背景にあり、
「製薬会社から提供される情報の偏りなどのせいか、最近の薬剤は副作用が少ないかのように伝えられている。
精神医学教育でも薬物療法が強調されるため、面接能力の低い精神科医が増えた」。

「多くの患者を短時間で診察し、薬物療法を中心に診療する方が診療報酬が増えて利益が上がる仕組みになっている」ことも要因という。

不適切な治療を避けるには、どうしたらよいのか。宮岡教授は
初診で同系統の薬剤を2種類以上出したり、問診が極端に短い医師は要注意。
副作用や期待のできる効果の説明もなく投薬量を増やすのも問題だ」と話す。

ただ、勝手な判断で薬を中止することには大きな危険も伴う
宮岡等教授は「治療に疑問があったら主治医以外のセカンドオピニオンを求めることも考えて」とアドバイスする。

*このブログのカテゴリ「うつ病について
*「レビー小体型認知症患者は、抗精神病薬で劇的悪化」(レビー患者は、うつ病や統合失調症に誤診されることも非常に多い。)

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うつ病は「克服する」ものなのか

「うつ病克服し頂点へ 五輪レスリング女子・小原選手、はい上がった」という新聞記事を読みました。(2012年8月9日中日新聞。全文は、こちら)
優勝した時のあの涙の意味を初めて知った気がしました。
小原選手には、あらためて拍手を送りたい気持ちです。

 <ここからは小原選手ではなく、うつ病について書きます。>

よく使われる言葉ですが、私は、「克服」という言葉に首をひねります。
うつ病(脳の病気)は、意志の力や本人の頑張りで治るものではないからです。

病気は「敵」なのでしょうか。
うつ病によって変化してしまった脳も自分の脳、自分の体です。自分自身です。
一部分とはいえ自分自身を敵視するということは、良いことなのでしょうか。

私は、うつ病を敵視し克服しようともがいている間は、良くなりませんでした。
諦め、受け入れ、折り合いを付けて共存していこうと心から思った時から、少しづつ症状が出なくなっていきました。

うつ病は、私を救ったのではないかと後になって考えるようにもなりました。
あの時、あのまま走り続けていたら心筋梗塞かくも膜下出血などで死んでいたのではないか。
心身の疲労がピークに達した時、「危ないよ」と誰かが、私に急ブレーキをかけてくれたのではないかと。

うつ病は、人生をリセットもしてくれました。
失ったものは膨大でしたが、私は、無理のない穏やかな生き方を手に入れました。
しあわせは、手の届く所にあるのだと知りました。

生き方をすっかり変えることは、意志の力だけでは、到底できません。
余命わずかと告知されるなど生死の境に立たされて初めて、人は握りしめてきたものを手放し、人生をリセットできる気がします。

認知症にも、まだ見えていない何か深い意味があるように思えてきます。

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準決勝での小原日登美選手(畦地巧輝撮影)。
優勝した時の涙は、強く印象に残りました。
中日メディカルサイトから。

うつを治したいという方からの質問

抗うつ剤を止めたいという方からスロージョギングについてご質問を頂きました。
ここに回答を書かせて頂きます。
ただ私は、医師でもスロージョギングの専門家でもないことは、ご了承下さい。

この方は、うつ病ではなく、軽度抑うつ状態で8年間抗うつ剤を服用中だそうです。
「気持ちがすっきりせず、生活に支障はないが、嫌な思い出が頭から離れず、理由もなく不安になったり悲しくなったり、ちょっとしたことで調子が落ちる。この状態をなんとか克服したい」と書かれています。

 <抗うつ剤について>

うつ病には、日本では薬物療法が一般的ですが、薬だけでは治らない患者が少なからずいることは、度々報道されています。一部のクリニックは、安易に大量の抗精神薬や睡眠導入剤を処方し、問題になっています。
一方、認知行動療法は、多くの方に確実な効果があると言われています。

私(うつ病)の場合、毎年変わる主治医(総合病院の精神科医)が、「調子の良い状態が、少なくとも半年以上続かない限りは、抗うつ剤を止めてはいけない」と言い、6年近く抗うつ剤を飲みました。
しかし最後の主治医は、一転して薬を止めることに積極的でした。
生活に支障ない(ある程度眠れ、食べられる)状態が続いているなら止めるべきだと。
私は、その主治医の言葉に従い服薬を止めて良かったと思っています。

 <うつを克服したいというお気持ちについて>

私は、うつ病を完全に治したいと切望している間は、良い状態が続きませんでした。
私も治したい一心であらゆることをしました。ヨガ、呼吸法、早朝散歩等々。
それぞれに確かにそれなりの効果はありました。

けれども完璧な(毎日体調も気分も良い)状態を求めると、小さな不調が、必要以上に大きなストレス(精神的ダメージ)になります。
「今日もやっぱり気分が重い!」「数日良かったのに、やっぱりまたダメか!」と。
そうした過度の期待と失望の繰り返しが、悪循環を生んでいた一因のように思います。

治ることを完全に諦めて「もう一生治らなくていい。こういう体質だと思って付き合っていこう」と決めた時から心身の不調は、少しづつ減っていき、自分でも驚きました。
ストレスがかかれば、体調はどうしても悪化します。それは健康な人間でも同じです。
だるさで動けなくなっても、夜眠れなくても、「そういう時もある。あってもいい。その内良くなる」と思って受け流していると徐々に治まっていきました。
(これは、抗うつ剤を飲んでいた頃の私の個人的な経験で、一般論ではありません。)

「人生は、天気と同じ」と河合隼雄は書いています。
晴れの日、雨の日、台風、梅雨、全部込みで人生だと。
まして中高年にもなれば、晴天の日が減っていくのは、ごく自然なことかと思います。

 長くなりましたが、以下が、ご質問への回答(個人的意見)です。

質問者:うつ病が治った頃、スロージョギングは、毎日続けていましたか?
しば: ほぼ毎日30分続けました。しかし毎日にこだわる必要はないと思います。
質問者:効果は、どのように感じましたか?波はありましたか?
しば: まず、毎日走ってみようと思い立った時点で、既にかなり良い状態になっていた
    のだろうと思います。走った後の爽快感を徐々に強く感じるようになりました。
    何週間かすると、気分も体調も良い日が増えて来たことを感じました。
    波は当然ありますが、毎日一喜一憂しないことが大事かと思います。
質問者:どれ位の運動量が適切なのかが、よくわかりません。
しば: スロージョギングは、毎日30~60分が良いそうです。
    気持ちが良いと思える範囲なら効果があり、苦しい・疲れた・足が痛いと思った
    らやり過ぎ(効果も出ない。)なのだろうと私は思っています。
質問者:30分の有酸素運動を続けていけば、うつは改善していくものでしょうか?
しば: 改善すると本には書いてあります。(下記リンク参照。)私もそう思います。
    短期間にすべての人に劇的な効果が出るとは思いませんが、運動を続けた方が、
    続けないよりも良いと思います。   
    久保田競教授は、ジョギングで脳が大きくなるのに半年かかると書いています。    
    
うつ病についての記事は、こちら。
スロージョギングについての記事は、こちら。
スロージョギングのうつ病への影響についての記事は、こちらこちらをお読み下さい。

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ゴデチア(6月初旬)

内科を受診する多くのうつ病患者

うつ病と認知症は、症状が似ています。
(追記:甲状腺機能低下症(橋本病)にも良く似た症状が出ます。)

高齢者のうつ病は認知症に、若年性認知症はうつ病に誤診されることが多いので注意が必要です。


以下は、うつ病に関して、2012年6月14日「日経メディカル オンライン」に掲載された記事の一部を抜粋(青字部分。調査結果は黒字)。

************************************

うつ病の生涯有病率は7~10人に1人と高く、多くの患者が身体的な症状を訴えて内科を受診する。

「胃痛、動悸、疼痛などを主訴として内科を受診する患者の中には、うつ病を抱えている患者が多く存在する」と語るのは、信愛クリニック(神奈川県鎌倉市)院長の井出広幸氏。

しかし、ほとんどのうつ病患者は、自分自身がうつ病であることに気づいていないか、認めようとしない。そのため、うつ病に起因する何らかの身体的不調のみを訴えて内科を受診する患者が少なくない。

実際、抑うつ症状を有する患者の6割以上が、まず内科を受診するという国内の調査結果もある。
   <後に心療内科を受診した抑うつ患者の初診診療科>(三木治 心身医学2002)

   内科 64.7% 婦人科9.5% 脳外科8.4% 精神科5.6% 
   心療内科3.8% 耳鼻科3.8% 整形外科2.8% その他1.4%

また、内科を受診する患者の約1割は、うつ病患者ともいわれている。

厚生労働省はこれまで、医療計画上の重点対策を必要とする対象疾患に癌、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病を指定してきたが、昨年これら4大疾患に「精神疾患」を加えて5大疾患とした。

08年の患者調査によれば、精神疾患の患者数は約323万人と、4大疾患で最も患者数が多い糖尿病(約237万人)を大きく上回り、次いで多い癌(約152万人)の2倍以上。
厚労省は、「うつ病や認知症の増加により、精神疾患が国民に広く関わる疾患となった」としている。

この記事は日経メディカル2012年6月号特集「うつ病・認知症診療 15のコツ」の転載です。


*うつ病・躁うつ病に関するこのブログの今までの記事は、こちらを。

アジサイ
ガクアジサイ

双極性障害(躁うつ病)でも違うタイプがある

双極性障害(躁うつ病)について書いた記事(1. 2. 3.)を読んだ方から色々な情報が寄せられました。
1つは、「診断基準は曖昧で、医師により異なる」というもの。
もう1つは、「双極性障害には、双極性2型という躁状態がごく軽くしか出ないタイプがある」というもの。

  1. ある医師からのコメント。(青字部分。原文通りではありません。)

精神科の病気の診断は、非常に主観的です。
診断に有用な客観的な検査は、ほとんどありません。
抗うつ剤が効く患者は、双極性障害とは呼べないという医師もいるようです。
抗うつ剤が効かない患者は、うつ病ではないと言う医師までいます。

同じ患者を診ても、医師により診断が違うという事がよくあるのが精神科なのです。
双極性障害はこうであると確定していない部分がまだまだ多いことを理解して頂きたいと思います。

これは認知症に関しても同様です。
認知症の診断基準に必須となっている「短期記憶障害」は、レビー小体型認知症の1部やピック病の初期などでは当てはまりません。


  2. 双極性障害には、記事で紹介した症状が出る「双極性1型」とは異なる「双極性2
    型」というタイプがある。
このタイプの躁状態は軽く、「双極性1型」のように日常生活に支障が出ることはない。
本人は、「自分はうつ病だが、今は、調子が良い」としか考えず、周囲も気が付かない。
「暖炉の会」(うつ病・躁うつ病の自助グループ)のホームページ>と<躁うつ病のホームページの中の「患者さんと家族のための双極性障害の手引き」>を参照。

「うつ病と診断された患者の4割以上は双極性障害という海外のデータがある」と聞いた時は、ちょっと信じられませんでしたが、「双極性2型」があると知り初めて深く納得しました。
やはり診断基準が曖昧といえば曖昧ですが、光トポグラフィー検査まで受けなくても、自分で思い当たる節があれば主治医に相談することをおすすめします。
抗うつ剤が効かず、治療が長引いている方は、特に。


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クリスマスローズ(別名:ユキオコシ)
2~3月の花ですが、今年は、今、満開。

双極性障害(そううつ病)の良いサイト

認知症は、初期段階でうつ病と誤診されることも珍しくありません。
一般にはあまり知られていませんが、認知症とうつ病には、共通する所がたくさんあります。

介護家族は、心身の疲労からうつ病にかかるリスクが高まります。
早期発見・早期治療・病気の理解につながると良いなと思い、うつ病に関する記事を書いています。<過去の記事は、こちら(うつ病のカテゴリ)

その関連で双極性障害(躁鬱病、そううつ病)にも初めて触れました。(記事はこちら

それを読んだ方が、双極性障害についてのとても良いサイトを教えて下さったのでご紹介します。

双極性障害を研究されている加藤忠史さんという精神科医のサイトです。
この方は、双極性障害を患う方々に対してあたたかい目を持っていらして、患者や家族に希望を与えるサイトです。
薬物治療についても詳しく、細かいQ&Aや患者・家族の手記などもあります。

   <躁うつ病のホームページ>

この中の「患者さんと家族のための双極性障害の手引き」は、この病気について広くわかりやすくまとめてあり、とても役に立つと思います。


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オオイヌノフグリ
とても好きな花です。
おひさまが大好きなようで、陽が当たると太陽に
向かって大きく開き、陽が陰るとピタリと閉じます。

そううつ病の症状

うつ病と診断された患者の4割以上は、双極性障害(そううつ病)というデータがあると昨日の記事に書いた。
うつ病と双極性障害では、治療薬が異なるので、これを自分や周囲が見つけることは重要だ。
では双極性障害とは、どういう病気か。

うつ病の症状に加えて下記のAとBに当てはまると双極性障害と診断される。

A 気分が異常に高揚し、イライラして怒りっぽい気分が、1週間以上続いている。
  或は、これらの症状により社会生活に支障をきたし、入院が必要なほどである。

B 下記の7つの症状のうち、3つ以上が続いている。
 (Aが怒りっぽいだけの場合は、4つ以上)
 
 1. 自分が偉くなったように感じる。
 2. 眠らなくても平気で、例えば3時間眠っただけでも休めたと感じる。
 3. 普段より口数が多く、長時間しゃべり続けようとする。
 4. 色々な考えが、次々と頭に浮かぶ。
 5. 注意がそれやすく、あれこれと手をつける。
 6. 活動的になり、じっとしていられない。
 7. 無謀な行為をする。(高額な買い物、無分別な投資、夜中に電話をかける等)

          <出典「うつ病のベストアンサー」(主婦と生活社発行)P.97>

双極性障害と言われている著名人(本当にそうだったかどうかは不明):ゴッホ、ヘミングウェイ、ウィンストン・チャーチル、、ヴィヴィアン・リー、夏目漱石、俳優の田宮二郎、中島らも、北杜夫、絲山秋子など。(ウィキベディアから)


私が、本やネットでうつ病の症状を読んで違和感を感じるように、双極性障害を患う方の話を伺えば、もっと違う面が色々あるのだろうと想像する。
外から見る症状と本人が感じている症状には、大きなズレがあるものだから。

*うつ病に関する今までの記事は、こちらを

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寒緋桜(カンヒザクラ)。別名 : 緋寒桜(ヒカンザクラ)
例年3月に咲いていたが、今年は、今が満開。

うつ病の新しい診断法と治療法(NHK番組から)

2012年4月4日のNHK「あさイチ」は「うつ病治療の新常識」と題した特集。
「うつ病は、心の病気ではなく、脳の病気」と番組に出演した木村真人氏(日本医科大学千葉北総病院メンタルヘルス科病院教授)。
「心が弱いから発病するわけではなく、心の持ちようで変わるものでもない」と説明。
(この番組は、今年2月12日のNHKスペシャル「ここまで来た!うつ病治療」の内容に基づいている。2月22日には、「うつ病治療 常識が変わる」も放送された。)

「あさイチ」の放送内容は、大きく分けて次の2つ。

1. 今まで問診で診断していたうつ病が、光トポグラフィー検査【NIRS(ニルス)】という先進医療(保険外)によってより正確に診断できるようになってきた。

2. アメリカでは、経頭蓋磁気刺激(TMS)という治療によって7割のうつ病患者に効果を上げている。しかし日本では、杏林大学医学部付属病院で臨床試験が始まる予定があるだけで治療を受けることはできない。

更に詳しい内容は、以下の通り。(「あさイチ」の公式サイトと放送から。)

1. うつ病と診断されている患者の4割は、双極性障害(躁うつ病)という海外の論文がある。
2つの病気は、治療法(薬)が違う。
間違った治療法(薬)では、効果がないだけでなく、衝動性を高め、思わず自分や他人を傷付ける行動を起こしてしまう場合もある。

脳内の血流量を調べる光トポグラフィー検査では、うつ病と双極性障害の区別が波形として出る。
現在、この検査を受けられる病院は、以下の14カ所。費用は、多くの施設で13000円。

群馬県 群馬大学医学部附属病院
東京都 東京大学医学部附属病院
東京都 国立精神・神経センター病院
大阪府 近畿大学医学部附属病院
鳥取県 鳥取大学医学部附属病院
山口県 山口大学医学部附属病院
栃木県 自治医科大学附属病院
東京都 東京都立松沢病院
福島県 公立大学法人福島県立医科大学附属病院
新潟県 医療法人楽山会 三島病院
千葉県 学校法人日本医科大学 千葉北総病院
京都府 独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター
島根県 島根大学医学部附属病院
東京都 東京警察病院


2. 全米400カ所で行われている経頭蓋磁気刺激(TMS)は、うつ病患者で機能が低下する脳のDLPFC(背外側前頭前野。判断力や意欲に関係する部位)に磁気を当てる治療。
(1回40分間を毎日1ヶ月以上続けた患者を紹介。費用は保険適用で80万円)
抗うつ剤の効かない患者(3割というデータもある。)や長期化している患者にも有効。

DLPFCは、扁桃体(へんとうたい。不安・恐怖・悲しみの発信源と考えられている。)を抑制する機能がある。
うつ病患者は、この機能が低くなり、扁桃隊が暴走し、強い不安・恐怖・悲しみをに襲われると考えられる。
磁気の刺激でDLPFCの機能が上がると扁桃体を再びコントロールできるようになり、精神的苦痛も消えると考えられている。

この治療で良くなっても再発の可能性はある。その場合は、再び同じ治療を受ける。
この治療によって意欲がわき、自ら運動を始められるなど、良い循環は生じやすい。


*うつ病に関するこのブログ内の記事は、こちら。
*うつ病にも効果があるスロージョギンングの記事は、こちら。
*うつ病と有酸素運動の関係を書いた記事は、こちらを。


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雪柳(ユキヤナギ)。バラ科。

脳の変化に気付くのは難しい(2)若年性認知症とうつ病

最近、若年性アルツハイマーを患っても初期には記憶障害(もの忘れ)がほとんどない場合があると、ある介護家族の方が話されているのを聞いた。
その方のご家族の最初の自覚症状は、自分への違和感と抑うつ気分だったそうだ。
うつ病と誤診され、正しい診断に辿り着くのに長い時間がかかったという。

私のうつ病も振り返れば、何年もかけて発症したと思う。
何年もの間、常に体のどこかが不調だった。調べても原因は見つからなかった。
うつ病と診断される少し前には、股関節に原因不明の激痛が出た。
今考えれば有り得ない車の自損事故を繰り返し、赤信号を青と勘違いして事故を起こしたこともあった。
診断される少し前から記憶力も注意力もどんどん落ち、ATMにカードを置き忘れたり、駐車場で車をみつけられなくなったりした。

自分への違和感は、十二分にあった。
それでも年齢(40代)と心身の疲労のせいだと思い、病気だとは考えなかった。
(多くの認知症患者も初期には、自分自身への違和感を感じると医師から聞いた。)

うつ病と診断された頃には、仕事や家事がまともにできない程の疲労感、倦怠感、慢性的な頭痛、記憶力・判断力の低下、ひどい不眠に悩まされていた。
それでも抑うつ気分の自覚はなく(感情が麻痺していた。)ただの睡眠障害だと考えていた。
仕事を休めと医師から言われても『休めるはずがない。まだ頑張れる』と思っていた。

そうした判断自体が病的だったと理解したのは、ずっと後になってからだ。
その時には、既にその異常さに気付く力を失っていた。
(うつ病になると柔軟な思考が失われ、自分の思い込みで凝り固まってしまう。)

<関連記事>
*「うつ病と誤診され、10年後にレビー小体型認知症とわかったKさん本人が語る体験談
*「最初にうつ病と誤診されやすいレビー小体型認知症
*「認知症の症状・うつ

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ハコベ(別名:朝しらげ)
春の七草の1つ。
肉眼では見難いとてもとても小さな花です。

「うつ」誘発、たんぱく質特定(読売新聞)

うつ病の解明につながるたんぱく質を特定したというニュースが読売新聞に載った。
(2012年2月17日)

この記事を読んだ時、うつ病を経験した私は、恐怖と不安こそが、うつ病患者の心理ではないかと思った。
うつ病を、憂うつな気分、或は、ひどい気分の落ち込みが長く続く病気と思っている人は多い。
実際には、(私自身の経験で普遍性の有無はわからないが)正気を保っていられなくなる程の激しい恐怖感に襲われたり、巨大な不安の渦に飲み込まれ消滅してしまいそうな感覚に振り回された。

それは、脳を含めた身体全体を何か恐ろしい野獣に乗っ取られ、それが突如、暴れ狂う感覚だった。(最初の主治医は、それがうつ病の症状なのだと説明した。)
そんな時は、いても立ってもいられなくなり、全速力でヘトヘトになるまで歩き回ったりした。
病気のためにほとんど動かず、ストレスを受けると突然体が重く動けなくなったりしていた時期にでもだ。

電話も恐怖の対象となり、親しい友人からの電話にすら出られなかった。
人と目を合わせるのが恐ろしく、つばで目を隠す帽子なしには外出できなかった。
当時は、自分のハート(心臓、心)が、体外にむき出しにされているように感じた。
人がちょっとぶつかったり、引っ掻いたりすれば、ハートは、破裂し、即死する。
人の些細な言動や視線に対してそんな恐怖感を常に抱いていた。
刺激に異常に敏感になり、一言や一瞥(べつ)を致命傷のように受け止めていた。

うつ病患者の心理は、回復していく段階によって変わっていくが、恐怖は消えても不安は長い年月続いた。
かなり回復して日常生活を取り戻しても、記憶力はかなり低下し、頭も体もテキパキとは動かず、集中力も持久力もなく、ミスを繰り返す。
職場で叱責されると消えていた症状がぶり返し、悪循環が始まる。
自分自身への信頼や自信を回復することは、人が思うほど容易でない。

(*うつ病についての今までの記事は、こちら。

抑うつ症状は、レビー小体型認知症の患者に多く出る症状の1つでもある。
レビー以外でも認知症の初期にうつ病と誤診されるという話は、よく聞く。
特にレビーの場合は、薬物への過敏性という特徴から抗うつ剤で寝たきりになったりするので、よくよく気をつけなければいけない。

以下、2月17日の読売新聞の記事を全文引用。(原文はこちら。


「うつ」誘発、たんぱく質特定…新薬開発に期待

愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所(春日井市)は、体内のたんぱく質の一種に、恐怖や不安の増幅、ストレスによる活動低下など、うつ症状を誘発する働きがあることを突き止めた。

この働きを抑制する化合物をマウスに投与したところ、抗うつ薬を投与した場合と同様の効果も確認できたといい、同研究所は「うつ病の解明や新薬の開発につながる」としている。研究成果は米・学術誌「プロスワン」に掲載された。

このたんぱく質は「HDAC6(ヒストン脱アセチル化酵素6)」。同研究所はマウスを使った実験で、うつ病や自閉症と関連があるとされる脳内神経細胞に多く含有されることを発見した。さらに、HDAC6をなくしたマウスは、普通のマウスと比べ、慣れない環境に置かれても活発に行動し、不安や恐怖を感じにくくなることも分かった。


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フユシラズ(冬知らず/寒咲きカレンジュラ/冬咲きキンセンカ)だそうです。

有酸素運動がうつ病を治す(2)

(1)の続きです。>

「脳を鍛えるには運動しかない!」―最新科学でわかった脳細胞の増やし方―(ジョンj.レイティ著 2009年NHK出版発行)には、ストレス、加齢、女性のホルモンの変化などによって起こる脳の(全身の)不調や衰えを有酸素運動が回復させるメカニズムが、詳しく書かれています。

以下、青字部分は、本からの抜き書きです。

わたしが強調したかったこと―運動は脳の機能を最善にする唯一にして最強の手段だということ―は、何百という研究論文に基づいており、その論文の大半はこの10年以内に発表されたものだ。(P.308)

コットマン(神経科学者)は、毎日運動できればベストだが、休み休みでも運動すれば驚異的な効果がある、と結論した。
運動が「毎日やるか、まったくやらないか」というものではないということを肝に銘じてほしい。
もし数日間、あるいは、1、2週間、運動しそびれたとしても、再開した翌日には、海馬はBDNF(脳由来神経栄養因子)をどんどん生産している。その様子を想像しようではないか。(P.328)


(注byしば:BDNFは、脳を保護し、脳細胞の増殖を促進し、シナプスを伸ばす助けをし、ストレスによるダメージから脳を守る働きをする。加齢やストレスによって減少する。)


私は、抗うつ剤による治療を6年近く受けました。
比較的良い状態の時もありましたが、悪化を繰り返しました。

2009年に、うつ病に効果がありそうだと思い自己流の(速度の速い)スロージョギングを始めました。
症状は、徐々に改善し、半年後、薬物治療を止められました。
その数ヶ月後に突然の遠距離介護が始まり、全く運動をしなくなり、再び悪化。
2011年9月、遠距離介護も落ち着いて、ストレスが軽減した時、正しいスロージョギングを再開すると、8年続いた(もう一生治らないと思っていた)症状が、1ヶ月で消えました。

私が、繰り返し(しつこく)スロージョギングを紹介し続けているのは、このためです。
スロージョギングは、体も健康にしますが、抑うつ気分やうつ病に効果があります。
脳に効き、薬では治らない慢性化したうつ病が、治るんです。

認知症にも効きます。(進行を遅らせたり、症状を改善します。)
(この本によるとアルツだけでなくレビーにも他の認知症にも効果があります。)
様々な種類の認知症やうつ病を予防することもできます。

脳の機能を上げ、明るく前向きになり、エネルギー・やる気が上昇します。
心身の健康を簡単に無料で手に入れる最良の方法だと私は信じています。

*誰にでもできる有酸素運動、スロージョギングの過去の記事は、こちら。(走り方や効果など詳しく書いています。最も体力のない人は、10cmの歩幅で、1分走って1分歩く方法で良い無理のない走り方です。)


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サザンカ(山茶花)

有酸素運動がうつ病を治す(1)

スロージョギング講座で田中宏暁教授が勧められた「脳を鍛えるには運動しかない!」―最新科学でわかった脳細胞の増やし方―(ジョンj.レイティ著 2009年NHK出版発行)を読んでいます。
ハーバード大学医学部の准教授が書いた厚い本ですが、平易な文章で、読み出したら止まらない面白さです。

目次は、章ごとに学習、ストレス、不安、うつ、注意欠損障害、依存症、ホルモンの変化、加齢、鍛錬。
豊富な研究例や臨床ケースを紹介しながら、有酸素運動が、脳をどう変化させるのかをわかりやすく解説しています。


「うつ」の章は、私が今まで読んだどんな本よりもうつ病の仕組みについて納得でき、希望が持てるものでした。
スロージョギングで気持ちが明るくなる、前向きになる、自分に自信が持てるようになる、意欲が出て行動的になる等の変化を実感していましたが、それが気のせいではなく、科学で証明されたことなのだとわかりました。

驚いたことに、運動が、抗うつ剤よりも効果があるという研究結果(デューク大)は、2000年10月に既にニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたのだそうです。
(私は、過去にうつ病で6年間に9人の精神科医に診てもらいましたが―公立病院は主治医がどんどん変わるからです。―「運動しなさい」とは誰からも1度も言われませんでした。)

病気ではない抑うつ気分から重いうつ病までが、有酸素運動によって大きく改善したり、治る(緩解。症状が消える)ことが、多くの研究から明らかにされています。
適度な運動ならば悪影響も、薬に付き物の副作用も一切ありません。
(もちろん重症患者の場合は、運動させること自体が困難という問題はあります。)

有酸素運動によって脳内で増える物質は、(私が聞いたこともないものも含めて)数多くあり、それらが脳を修復、保護、発達させる仕組みは、複雑で、まだ完全には解明されていないそうです。

それでも脳細胞の変化によって起こる(以下に書くような)様々な症状が、有酸素運動によって改善される(或は消失する)というのは、何年薬を飲み続けても中々治らない多くの患者や家族にとって大きな希望です。

こうした症状は、うつ病を体験したことのない人にとっては、ほとんど理解できない、けれども本人にとっては、耐え難いものですから。

   <この本に書かれたうつ病の症状の1部>

 自己嫌悪の否定的な堂々巡りに陥り、そこから抜け出すための柔軟性も失われる。
 むなしく感じられる。何もできない気がする。希望が持てなくなる。
 学習能力、集中力、エネルギー、やる気が低下する。
 睡眠障害。食欲、性欲の低下。
 身の回りのごく基本的なことさえできなくなる。(P.164から)

続きは、(2)を。

*誰にでもできる有酸素運動、スロージョギングの過去の記事は、こちら。(走り方や効果など詳しく書いています。最も体力のない人は、10cmの歩幅でも良い無理のない走り方です。)

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こんな鳥を見かけました。
スズメ目ツグミ科のジョウビタキ(ヒタキの一種)だそうです。

私の脳の変化(うつ病について)その1

気持ちが軽く、晴れ晴れとした状態が続いています。
気が、体中に満ちていて、やりたいことが次々と浮かび、どんどん行動に移せます。
楽しいです。

これは、私には、8年振りにやってきた状態です。

8年前にうつ病と診断され、6年近く薬物治療を続けました。
既に慢性化していましたが、日常生活に困ることも少なくなり、自分の意志で治療を止めました。
この「体質」と一生上手く付き合っていくのだと心に決めていました。

母が急激に悪化して寝たきりになったのは、その3ヶ月後でした。
最近、初めて気が付きましたが、この8年間、心が晴れて、軽やかな状態が続いたことはありませんでした。
あまりにも長い間、そうだったので、それが「普通」になっていました。

2度と思い出したくない辛い思い出が、際限なく頭に浮かんできては、自分を責め立て続けるという症状が、うつ病にはあります。
思い出そうとして思い出すわけではなく、脳を何者かに乗っ取られたかのように、コントロールが利かなくなります。
その苦しみ・恐怖から逃れたい一心で、発作的にとんでもないことをしてしまう気持ちはわかります。
(うつ病のひどい時期は、自分の意志で感情や思考をコントロールすることはできませんから「闘病」とか「克服」という言葉は、的外れに感じます。ちなみにこの病気には、「完治」という言葉も使いません。「緩解」と言います。)

思い出したくないこと(自分の大失敗など)をふいに思い出してしまうということは、頻度は減っていましたが、ずっと続いていました。
ここ数年は、慣れたものといえば、慣れたもの。
『おっ。また出たな』という感じです。
そうなれば、思考の回路を大きなハサミでバチッバチッと切ることをイメージをします。
それについて何も考えないように。自分を責めないように。
嫌な感情に飲み込まれないように。

ところが、最近、気が付くと、嫌な出来事を思い出すことがなくなっていました。
代わりに、昔の楽しかった思い出が、突然、ふっと浮かんでくるようになりました。
驚きました。
8年間で初めてです。

その脳の仕組み(どういう物質やメカニズムが、記憶を勝手に操作しているのか)を私は、まったく知りませんが、とにかく私の脳に8年間居座っていた「お化け」は、ひとまず退散したようです。


―その2に続く―

(良くなった原因は複数考えられますが、一番大きなものはスロージョギングです。)


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ツタのとても小さな実。
小さ過ぎてピンボケですが、クリックして見てみて下さい。
チョビひげをはやしたアンパンマンです。



うつ病と認知症の共通点

認知症を患った本人(クリスティーン・ブライデンさん)の書いた本を読むと、その症状やそれに伴う気持ちが、うつ病患者によく似ていることに気が付く。
下の2つの記事は、「うつ病」のカテゴリーに入れられなかったので、リンクを張っておきたい。


 「うつ病の患者の内面で起こっていること」

 「うつ病と認知症の共通点」


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ローズマリー。とても小さい花。
2羽の鳥が愛を語らっているよう。

日経新聞 強い恐怖体験後 不眠がトラウマ防ぐ

不眠にもプラスの効果があるという記事が、2011年8月22日の日経新聞に掲載された。

認知症でもうつ病でも不眠に悩まされる人は多い。
(認知症の場合、何%の人が不眠、或は、昼夜逆転になるかはわからない。うつ病の場合は、ほとんどの人が不眠になる。)
なぜ不眠になるのだろうかと長年思っていた。

人間には、生存本能がある。
寝なければ死んでしまう。
生存本能に反する症状を出すということは、脳自身が、死を希求しているということ?

しかしこの記事を読むと、認知症やうつ病の不眠にも本人を守るための何らかの意味があるのかも知れないと思う。
それはいったい何だろう?


不眠で一番辛いのは、『眠れなくて困った!どうしよう?!』という考え方(不安)だ。
『どうせ眠れないんだから起きていよう。2~3時間でも眠れれば死にはしない。何ということはない』と完全に開き直ると数時間の睡眠時間でも意外と生活していける。(体重は減る。)
時間はかかっても、ストレスが減れば、また徐々に眠れるようになる。
(これは、私の経験。)

しかし自宅介護をしている家族が、一晩中叫んでいたり(2010年夏の母がそうだった。)暴れ回わったり、勝手に外に出て行ってしまうと介護する家族は、限界まで追い詰められる。
精神科への入院や施設入所を考えざるを得ないケースだと思う。



2011年8月22日の日本経済新聞の記事。(青字部分)

 < 強い恐怖体験後 不眠がトラウマ防ぐ >

国立精神・神経医療研究センターの栗山健一室長らは、強い恐怖を体験後に多くの人が陥る一時的な不眠に恐怖体験がトラウマとして定着するのを防ぐ作用があることを見つけた。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の抑制などにつながるという。

睡眠には日中の経験を記憶として脳に定着させる作用がある。
しかし、あまりに強い恐怖が記憶として定着すると、関連する物体や風景をも恐れてしまう。

実験では20~33歳の健康な28人に車の運転者の視点で、他の車などと衝突する映像を見せた。
その後、半数は徹夜、半数は、普段通りに眠ってもらった。

3日後、再び映像を見せて、恐怖感の有無を測定した。
眠った人は安全運転の映像にも恐怖感を示したが、徹夜だった人は示さなかった。
不眠により記憶の定着が抑制された効果とみている。

栗山室長は、恐怖体験後の睡眠薬の投与について
「眠れないのは(トラウマを防ぐ)自然な防衛反応の1つ。不眠に耐えることにもメリットがある」としている。


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ハナトラノオ(シソ科)でした。

貧血でうつ病の症状

何年か振りに風邪を引きました。
熱はないのですが、だるくて1日中横になっていたい感じです。
とはいえこの位の風邪では、家事も仕事も休めないので、辛くても頑張るしかありません。
人間の体のもろさ、ちょっとした病気でも起こる多大な不便と辛さをあらためてしみじみと実感しています。

2011年5月16日のNHK「あさイチ」で貧血と抑うつ症状について放送していました。

  だるくて何もする気になれず、1日中横になっている。
  ふさぎ込む。気分が落ち込む。
  (注byしば:うつ病は、この他に不眠や食欲不振などの症状が出ることが多い。)

そういう女性が、自分は、うつ病だと思い、5年間もカウンセリングを受けたが治らない。
ある病院(新宿溝口クリニック)に行ったら、血液検査でフェリチンの値を調べられ、貧血と判明。
貧血の治療をするとすっかり元気になったという内容でした。

このクリニックでは、抑うつ症状を訴える患者のフェリチンに注目し、貧血治療で効果を上げていると放送されていました。(患者の何%が貧血かは、忘れてしまいました。)

ネットで調べると、フェリチンという物質は、貧血のごく初期の段階から減少するようです。
フェリチンの減少→血清鉄の減少→ヘモグロビンの減少という順だそうです。
つまりヘモグロビンの量で正常と言われても、フェリチンを調べれば貧血が始まっていることがわかるということです。

このクリニック院長は、「抑うつ症状を訴える患者には、まず血液検査をする」と言っていました。
それは、まだ一般的手法ではないと思いますが、貧血を疑ってみるのは、大切だと思います。
必要のない抗うつ剤を飲む前に。


もう1つ、初めて知ったのは、食物に含まれる鉄分の吸収量の違いについてです。

・ヘム鉄…吸収率 約25パーセント
豚・鶏・牛レバー、かつお、まぐろ、いわしの丸干し

・非ヘム鉄…吸収率 約1~7パーセント
ひじき、大豆、切り干し大根、しじみ、小松菜、ほうれんそう

(あさイチの公式サイトよりコピー)

ひじき等に鉄分が多いのは知っていましたが、吸収量がとても低いということは、知りませんでした。

追記:2004年4月9日の「ためしてガッテン」でも放送。詳細は→公式サイト

うつ病自己診断テスト

 うつ病自己診断テスト」
 (画像上をクリックすると拡大して読めます。)
両親
(注意:これで「うつ病ではない」となったとしても、その後さらに悪化してうつ病になる可能性もあります。安心して放置したりせず、ストレス軽減(解消)や注意深い観察を続けて下さい。)

< 良書の紹介 >

いつもコメントを書いて下さるkimiさんからご紹介頂いた野村総一郎氏(精神科医。日本うつ病学会第一回総会会長)の本で「うつ病をなおす」(講談社現代新書。2004年第1刷発行)を読みました。

とても濃い(一部専門的でもある)内容を誰にでもわかる言葉で書いた素晴らしい本です。
著者の心のあたたかさ、思いやりの深さもにじみ出ていて読む者をほっとさせさます。

どうしてこんな良書をもっと早く見つけられなかったのかと、不思議にも残念にも思いました。
早期に読んでいれば、病気の治りも早まっていただろうと思いました。
うつ病についての知識は十分あると自分では思っていたのですが、この本を読むと、今でも腑に落ちる所が多々あり、心に刺さったままだった刺がいくつか抜けた気がしました。
(例えば、「うつ病になると親しい友人や妻や夫までを避けようとする」という箇所。)

患者はもちろん、その家族、うつ病についての理解を深めたいと思うすべての方に強く勧めたい本です。

介護うつ病もいつでも起こりうる深刻な問題ですし、今回の東日本大震災で精神的に追い詰められている方は、膨大な数に上ると思われます。

しかし私自身がそうでしたが、うつ病になってしまうと、自分がうつ病であろうという正しい判断すらできなくなってしまいます。(できる方もいると思います。)
初めての場合は、病院に行くこと、薬を飲むことに抵抗を持つ方も少なくないと思います。
でもそれでは、病気をどんどん重くし、治りにくくしてしまいます。

この本の65ページにあった「うつ病自己診断テスト」は、私が今まで見た中では、一番使いやすいものです。
(本からの注意:もちろん正しい診断は、専門医の診察に任せなければいけません。)
自分や家族が、『今までとは違』うと感じたら、是非チェックして受診の参考にしてみて下さい。

追記:「うつ」を治す(大野裕著。PHP新書)も良い本です。

★うつ病と長年誤診されていた若年性レビー小体型認知症本人の語る体験談こちら
 若年性アルツハイマー型認知症もうつ病と誤診される場合が、大変多いです。

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今、咲き誇るドウダンツツジ
秋の紅葉も見事な木です。

tag : うつ病 介護うつ

うつ病に有効な認知行動療法(4月14日日経新聞夕刊から)被災者の心のケアにも

2011年4月14日の日本経済新聞の夕刊(P.9生活面・医療)に意義深い記事があった。
(日経の記事は、下の青地で書かれた部分。)

認知行動療法は、うつ病などの精神疾患に有効であるとされ、海外で広く普及している。
しかし日本では、その治療を受けることがほとんど不可能だ。
(記事を読むとその理由がわかる。)

日本では、うつ病に対しては、薬物療法が一般的だが、2人に1人は再発すると言われている。
過剰な薬物投与で病気を悪化させる多くのクリニックの例もNHKで報道された。

私もうつ病で長年抗うつ剤を飲んだが、薬だけで治ったとは、考えていない。
薬も必要だが、それだけでは限界があり、認知行動療法との併用が必要だと思った。
認知行動療法を受けられないのなら、書籍で実践しようと色々な本を読んだが、一般人がこの療法を独力ですることは無理だと諦めた。
(注:私が、その時、そうだったのであって、今の書籍の状況、他の人のことは、わからない。)

当時の私(社会復帰に失敗しては悪化。)が、一番役に立ったと思ったのは、認知療法をとてもわかりやすく具体的に書いた<40歳からの「バカになれる脳」の鍛え方> (高田明和著。講談社プラスアルファ新書)という本だった。
タイトルとはかけ離れた良い内容で、繰り返し繰り返し読んで、ある程度、自分の考え方を修正できた。
うつ病になると考え方が、否定的な方向に変わってしまい、それが悪循環を生む。)
今は、もっと良い本が、出版されているのだろうが、調べていないのでわからない。

前置きが長くなったが、この記事で紹介されている認知行動療法センターは、日本の精神医療を変える画期的なものだと思う。
記事の中にもあるが、東日本大震災の被災者の心のケアにも重要な役割を果たすと期待する。


以下、所々省略したが、9割は記事から原文通りの引用。


 ― 最前線・現場 ―  認知行動療法の「根拠」

うつ病などの治療方法として近年注目されている認知行動療法
その治療に当たる専門人材育成のための国内初の研修・研究センター「認知行動療法(CBT)センター」が、4月1日、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)に正式に発足した。

認知行動療法は、日常生活でのものの考え方や行動を見つめ直し、ネガティブになりがちなパターンを見つけ、自分自身をコントロールできるようにする治療法。
薬物治療と並行して受けると効果が高いとされ、海外の研究では、うつ病、不眠、パニック障害などで有効性が確認されている。

昨年、医師による認知行動療法が保険適用となった。
しかし指導できる国内の専門家は10人に満たない。
同療法の国際認定組織から認定を受けた医師も5人以下だ。

CBTセンターは、医師、看護士、保健師、臨床心理士などを集めて講習を開く。
内容は、うつ病だけでなく、不眠症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物依存などに分ける。

東日本大震災の被災者の心のケアも期待される。
金吉晴副センター長は「被災地向けに長期的かつ専門的ケアが必要。今後、秋から冬にかけてはうつ病を発症しやすい」と警戒する。

今後は講習の録画をインターネットで見られるようにする。
通信教育も検討中。
大野裕CBTセンター長は「国内の精神医療は、治療効果に関するデータがほとんどない。今後2年間で100人の専門人材を育成したい」と語る。 

以上、日経新聞の記事から。

うつ病を疑ったら「介護うつ病(うつ病のチェックリスト)」もご参考に。

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しば

tag : うつ病 認知行動療法 認知行動療法センター 心のケア

介護うつ病(うつ病チェックリスト)

今日、10月14日の「クローズアップ現代」(NHK)は、「介護を担う家族を救え」。

番組で伝えられていた「介護者の4人に1人は、抑うつ状態」というのは、随分前に新聞で報道されて知っていた。
介護者は、常にうつ病になる危険にさらされている。

うつ病は、早期発見、早期治療をすれば、治りも早いが、こじらせると介護もまったくできなるなるし、治るまで何年もかかったりする。

うつ病と一言で言っても認知症と同じで症状は人により大きく違う。だからインターネットで出てくるうつ病自己チェックリスト(「憂うつな気分が続く」など)には、当てはまらない場合もあるし、まったく病識がないこともある。
○○市保健福祉局地域福祉課発行のパンフレットの自己チェックリストが、有効だと思ったので紹介する。

 以下の「うつ病自己チェックリスト」の内、2項目以上が2週間以上、ほとんど毎日続いていて、そのためにつらい気持ちになったり、毎日の生活に支障が出たりしている場合は、うつ病の可能性がありますので医療機関、保健福祉センター、○○市こころの健康センターなどに相談して下さい。この他に、眠れない、食欲がないといった状態が続く場合には、うつ病の可能性も考えてみて下さい。

1.毎日の生活に充実感がない
2.これまで楽しんでやれていたことが、楽しめなくなった
3.以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じられる
4.自分が役に立つ人間だと思えない
5.わけもなく疲れた感じがする


他にも以下のような症状が出る場合もある。(人によって大きく異なる。)

体調不良(便秘、胃腸の不調などあらゆるもの。)や痛み(頭、首、肩、背中、お腹、腰、股関節などあらゆる部分に起こる可能性がある。激痛の場合も。)が続く。
食べ物の好みが変わる。(鶏肉が食べられなくなった。)
人に会いたくない。
朝や午前中(特に雨の日)が、最も調子が悪い。
物忘れがとてもひどくなり、仕事でもミスを続ける。
運転のミスが増え、擦ったり、事故を起こしたりする。
頭の回転が遅くなり、物事を決めたり、判断するのが難しくなったと感じる。
本や新聞を読めなく(或は、読まなく)なる。
憂うつな気分など全く感じないので、自分はうつ病ではなく、まだまだ頑張らなければと思う。
心配事が、頭から離れず、気分転換もできない。
突然、訳もなく涙が出てくる。
突然、訳もなくイライラして、居ても立っても居られなくなる。

これは、昔、私に出た症状。
けれどもうつ病だなどとは夢にも思わず、ただ「眠れないから眠れる薬を下さい」と病院を訪ねた。
医師からは、「うつ病です。仕事を休んで下さい」と言われたが、『休めるはずがない』と思って、頑張り続けていた。
体調不良と疲労感は、どんどん悪化し、ある日、生まれて初めて過呼吸の発作を起こした。
悪化は止まらず、毎日39度の熱があるような状態(寝たきり。何も食べられない。たまらなく苦しい。)が、しばらく続いた。

自分の脳が、何かに乗っ取られたように、行動も(突然狂ったように歩き回ったり、突然石のように動けなくなったり。)感情も(突然不安感で押しつぶされそうになったり、突然号泣したり。)思考も(2度と思い出したくないありとあらゆる嫌な思い出が襲いかかってきたり、何をどう考えても未来は真っ暗だとしか思えなかったり。)自分でまったくコントロールできなくなる。
あまりの苦しさに死にそうだとは思ったが、死にたいとは、思わなかった。(私の場合)

それでも抗うつ剤、抗不安剤、精神安定剤、睡眠導入剤などを飲み、徐々に回復していった。
しかし電話に出られず、人の顔(目)を見ることができない状態が長く続いた。神経が過敏になっていて、小さな刺激(一言。視線)でひどく傷付くので、人がとても恐かった。

うつ病には、完治という言葉を使わない。寛解(かんかい)という。ストレスがかかれば、いつでも症状をぶり返す可能性があるということだ。
私もそうだ。でも今、これは病気というより「体質」だと考えている。冷え性や頭痛持ちのように、自分で気を付けて対処していれば、ひどくはならない。

ただ医師の言うことを聞いて、仕事を休んでいれば、もっと早く、もっと軽く、後を引くこともなく治っただろうと、今でも思う。
だから介護をしているすべての人に伝えたい。
少しでも当てはまると思う項目があれば、すぐに病院に行って頂きたい。
休めないと思っても、人(ケアマネでも保健師でも)に相談して、何とか休んで頂きたい。
そうすれば、こじらせることはない。
必ずまた元気になれる。

追記:うつ病がひどかった時、力をくれた谷川俊太郎の詩「朝」をご紹介します。





試しに始めてみました。ランキングというのは、ちょっと抵抗があるのですが
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今後書く記事の参考にしたいと思っています。
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しば
プロフィール

<しば>

Author:<しば>
私は認知症について希望を持てる情報を集め、共有している一介護家族です。医療・福祉の従事者ではありません。

特定の医師・治療法等へのこだわり、信仰する宗教はありません。
認知症に関連するビジネスもしていません。
掲載する情報は正確・公正であるよう努めています。

このブログ内の記事は、出典さえ書いて頂ければ、自由にコピーして資料等として使って頂いて構いません。リンクもご自由に。

’13年5月から「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」(全国に広がる家族会)公式サイトに「しば記者デスク」「体験記」というコーナーを頂き記事を連載中。(こちらの記事は会に著作権があります。)

ツイッター:しば@703shiba

*レビー小体型認知症の症状やチェック方法は、カテゴリの一番上「症状チェック」を。


母 '05パーキンソン病と診断。’10.3月要支援2→要介護4へ激変。5月レビーと診断。2度の転倒骨折入院の後、自宅介護が困難に。8月末グループホーム入所。’11年3月に圧迫骨折で寝たきりに。7月特養入所・要介護5に認定。'12年要介護4に回復。’14年なぜか要介護5になるが穏やかで普通に会話が可能。
S13(1938)年生まれ。

父 ’10年9月ピック病(前頭側頭型認知症)と診断。
昭和2桁生まれ。

私 ’60年代生の女性。300km離れた所に住む。日々の介護はきょうだいに頼り’10年から月1回、’12年から1〜2ヶ月に1回帰省。

好きなこと:読むこと・書くこと・草花の写真を撮ること等々。

*記事に付けた花の写真は私が撮影したものです。

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